Mainichi Publishing Culture Award
想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心
This science essay considers the origins of the human mind and the capacity to imagine through chimpanzee research. Drawing on the Ai Project and field observation, it examines despair, hope, cooperation, and parent-child bonds through differences between humans and our ape neighbors.
Work Information
To look closely at chimpanzees is also to redraw the outline of the human mind.
Published by Iwanami Shoten. The author, a pioneer in comparative cognitive science, uses chimpanzee cognition, learning, family bonds, and wild behavior to consider imagination and sociality in humans.
Review Summaries
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The book is valued for concrete observations grounded in long research and for a voice that returns the question of what humans are to the reader. It also succeeds in presenting scientific findings accessibly.
Book Information
- Publisher
- 岩波書店
- Published
- 2011-02-26
- Pages
- 240 pages
- Language
- 日本語
- Size
- 13.5 x 2.2 x 19.5 cm
- ISBN-13
- 9784000056175
- ISBN-10
- 4000056174
- Price
- 2310 JPY
- Category
- 本/ノンフィクション/科学/動物・植物
絶望するのも、希望をもつのも、人間だから
松沢哲郎(まつざわ てつろう) 1950年生まれ.1974年,京都大学文学部哲学科卒業,理学博士.現在,京都大学霊長類研究所教授・所長,国際高等研究所学術参与,中部学院大学客員教授. 1978年から「アイ・プロジェクト」とよばれるチンパンジーの心の研究を始め,1986年からは毎年アフリカに行き,野生チンパンジーの生態調査もおこなう.2000年からは,アイと息子のアユムをはじめ三組の母子を対象にして,知識や技術の世代間伝播の研究に取り組む.こうしたチンパンジーの研究を通じて人間の心や行動の進化的起源を探り,「比較認知科学」とよばれる新しい研究領域を開拓してきた.日本学術会議会員.紫綬褒章などを受章. 著書に『進化の隣人 ヒトとチンパンジー』『チンパンジーはちんぱんじん』(岩波書店),『チンパンジーから見た世界』(東京大学出版会),『おかあさんになったアイ』『アイとアユム』(講談社),編著書に『人間とは何か』『心の進化』(岩波書店),『チンパンジーの認知と行動の発達』(京都大学学術出版会)などがある.
Reviews
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ヒトとは何かを考えさせられる
著者はこの本の出版後、社会的な失態を追及され大学教授を退職しているが、それでもこの本の内容は、非難されるべきものでは当然ないだろう。ゲノム解析の結果、人とチンパンジーのDNAの塩基の並び方が98.9%一致。つまりその差はたった1.2%。その差とは何か……これがこの本の命題となっている。 ヒト(人類)とは何をする生物なのか、深く考えさせられる本だった。
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中今を生きるチンパンジー。決して、優劣でない。
チンパンジーが、人類の進化の過程の生物、と認識してしまいがちだが、本書の結論は違う。 チンパンジーは、その環境に最適化した結果である。 強引にも人類と比較すると、身体に限らず脳の機能についてもある特定の点では、人類を凌駕している。 興味を持ったのが、チンパンジーが神道の『中今、なかいま』を生きている点。 特に面白いのが、努力して中今を生きているわけでなく、チンパンジーに最初から脳の機能で設定されている生き方である点。 神道では、中今を生きることを推奨されるような機会があるが、それは人類の新たな進化なのか、もしくは、失った機能の取り戻しなのか、、考えさせられる。
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ヒトと動物、ヒトと自然に二分することの誤り。
ゲノム解読により、ヒト科ヒト属とヒト科チンパンジー属のDNDの塩基の並び方は約1.2%の違い、サルでは、約6.5%の違いに過ぎないことが判った。イネゲノムとの遺伝子比較では、約40%がほぼ同じということが明らかになった。 姿、形を変えながら地球上の生命は繋がっていて自然の一部である。 著者は、西アフリカのギニアで25年間チンパンジーを見てきた。 チンパンジーから見た、人間とは何かとは、生活史や親子関係から見ると共に育てる、共に育つ「共育」そして、「認める」が人間の特徴となる。 チンパンジーは、「教えない教育」、「見習う教育」である。それは、師匠と弟子の関係に似ている。 認識における「関係性」(三つを超える)、再帰的構造(入れ子)の有無がヒトとチンパンジーを分ける。 自己認識(自他の明確な区別)について、ヒトでは3歳迄と4〜5歳からでははっきりと分かれる。 自分が見ているものとは違う認識世界に他者がいるというのが分かるのは4〜5歳になってからである。そして他者を理解するというのは自己埋込み的な再帰的構造にある。 人間とは何か。言語という情報、経験を持ち運べるものを獲得した。 そして、想像(イマジネーション)するちからである。 チンパンジーは、絵を描くが抽象的である。似顔絵を与えるとなぐり書きをするか僅かに顔の輪郭をなぞる。多分、眼の前にある、そのものを見ている。たとえ一瞬であるとしても。想像できる時間と空間の広がりは極めて狭い。だから、チンパンジーは絶望しない。 人間は、そこにないものを思考する。だから、人間は絶望するし、希望も持てる。 最新の成果として、チンパンジーの子どもが人間の大人よりも優れた直観像記憶を持っているという発見がある。 人間は、それを失う代わりにシンボル、表象、言語と呼ばれる認知機能を手に入れた。 直観像記憶は、他者と共有出来ない。そして、脳の容量は決まっているからだ。 日本の研究は、欧米の母子分離による研究でなく日本オリジナルな「観察参与」という方法によるものである。 京大霊長類研究所の研究は、進化の隣人に寄り添い生きものとそれを生んだ自然への畏敬に貫かれている。
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チンパンジーは「ヒト」である。
「人間」はいつから「人間」になったのだろう? いわゆる「類人猿」と「人間」を分かつ決定的な因子はなんだろう? それは存在するのだろうか? それがワタシの子どものころからの疑問でした。この作品はその問いに、新たな知見を加えてくれました。
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人間性を考えさせられる本です。
人間というものがどういうものか、チンパンジーとの対比で、垣間見えてくる。 比較認知科学、心理学、人間に興味のある人は必見です。
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学生にも推薦図書として紹介します。
素晴らしい本です。 保育士の講義を担当しているものとして、全編が学びになりました。 母子関係に揺らぎが出てきている現代にこそ、この本から教えられるものが多いと感じました。松沢先生ありがとうございました。
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恐ろしいぐらいに凄い本である
平易な言葉で淡々と書かれているが、鳥肌が立つぐらいに凄い本です。 自分自身が何者なのか、深く考えさせられる本でもあります。 ちなみに「チンパンジーは絶望しない」という章があります。深く感銘を受けました。 生き物は生き続けられる限り生き続ける。 再認識させていただきました。
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京大のお家芸
チンパンジーと人間の対比で、人間自体について教わることが多い。今に始まった事ではないが、彼らを「動物」として扱うこと(殺しても「器物損壊」に過ぎない)に疑問を抱く。