Mainichi Publishing Culture Award
寒村自伝 上 (岩波文庫 青 137-1)
Kanson Arahata's autobiography looks back on the formation of his ideas, his participation in socialist movements, and his political experiences across the Meiji, Taisho, and Showa eras. Through one life, it presents the course of antiwar thought, labor activism, and socialist politics in concrete detail.
Work Information
An autobiographical testimony that traces modern Japanese social movements through the memory of a participant.
Arahata, deeply involved in labor and socialist movements, recounts his path from youthful antiwar convictions to postwar politics. The Iwanami Bunko edition circulates in two volumes and remains a principal way to read the award-winning autobiography.
Review Summaries
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It is valued as a candid recollection by someone directly involved in the history of social movements. Readers find interest not only in the political events but also in the way ideas take shape within lived experience.
Book Information
- Publisher
- 岩波書店
- Published
- 1975-11-17
- Pages
- 446 pages
- Language
- 日本語
- ISBN-13
- 9784003313718
- ISBN-10
- 4003313712
- Price
- 25 JPY
- Category
- 本/ノンフィクション
Amazon.co.jp: 寒村自伝 上 (岩波文庫 青 137-1) : 荒畑 寒村: 本
Reviews
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荒畑寒村という男
議員となったこともある。政治家、思想家、社会主義者――色んな肩書きを持つ荒畑寒村だが、彼を語るのにそうした「枠」は実は必要ないのかもしれない。一人の男、一人の日本人の自伝としてこれを読めば、まるで一本の素晴らしく美しい映画を見たように感動的である。どなたか映像美で有名な監督さんが映画化してくれないだろうか? これは生前の彼と親しかった(「ガールフレンド」の称号をいただいたこともある)瀬戸内寂聴が彼を評した言葉だったと思うが、「並の小説家以上の文才がある」・・・本当にそうだ。記憶力、描写力、自らを少し突き放して眺める心の余裕。幼少期から老年期までの彼の生涯が、その瞳に映るまま甦るかの如く名著である。 特に少年期の思い出話が素晴らしい。犬嫌いの父に拾ってきた子犬を捨てられ自らの無力さに慟哭したこと。遠い山が案外近くに見えて「もうちょっと歩いたら、辿り着けるのでは?」「もうちょっと」「もうちょっと」・・・結局日が暮れても辿り着けず、泣きながら家に帰ったこと。あの頃から自分は何も変わっていない、遠すぎるものを目指しては、力つきてしまうのだ――などと若干、自虐的に語る寒村氏、しかしそうした憧憬による「あと少しで届くかもしれない!」という気持ちがなければ、どんな職業、どんな夢も、泡と消えるに決まっている。 「少年のまま大人になった」と云えば、この頃はなにやら精神的に幼い男性を示し、悪いイメージがついてしまったように思うが、本当の意味で「少年のまま」、純粋な老人だった寒村氏、この一冊で私は彼の大ファンになってしまった。あまりにもその為人、美しすぎるのである。歴史や政治に興味のない方や、若い方、男女問わず、読書が好きな方なら誰にでもおすすめしたい一冊だ。
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貴重な世相史でもある
日本の社会主義運動の草分け的存在の著者が昭和50年、満88歳のときに出版した自伝。上巻ではその生い立ちから社会主義運動への加担、大逆事件を経て関西で活動を開始するまでを描く。17歳で社会主義協会に入会しその後横浜に平民結社を結成、平民新聞の販売から次第に社会主義運動に加わる。平民社解散後、紀州田辺の「牟婁新報」記者として文筆業を糧とする生活を始め、上京後幸徳秋水や堺利彦の「平民新聞」の編集に携わる。 明治41年に赤旗事件で検挙され入獄、その間に大逆事件で師に当たる幸徳秋水や内妻の菅野須賀子らが逮捕起訴され死刑となった。出獄後、消えかけた社会主義運動を「近代思想」の創刊から再出発させ、労働組合運動と社会主義運動の緊密化を図るために関西で活動を始めるようになる。 この本は社会主義運動もさることながら、当時の世相や生活実態も詳しく描かれていて興味深い。意外だったのは著者が東北をめざして社会主義の本や雑誌などを赤い箱車に積んで売り歩く伝道行商を明治38年著者18歳のときに行ったのだが、買うのは学校、教会、寺院、医者、弁護士など地方の知識人だけでなく小間物屋の主人や警察署長が買ったりしている。売れた本の数も書かれていて結構買われていたこともわかる。