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肉弾

Oyabu Haruhiko Award

肉弾

Akiko Kawasaki

Set against Hokkaido’s nature and human wildness, this novel follows a young man wounded by his relationship with his father as he recovers the will to live. Civilization, the body, animality, and renewal resonate strongly.

Hokkaidowildnessfather and sonrenewal

Work Information

The wildness inside a human being rises as a force for life.

A KADOKAWA novel set in Hokkaido, portraying bodily sensation outside human-centered civilization and the force of survival.

Review Summaries

  • Readers respond to the force with which the novel links nature and instinct, finding in it a will to live even under harsh circumstances.

Book Information

Publisher
KADOKAWA
Published
2017-10-06
Pages
256 pages
Language
日本語
Size
13 x 2 x 18.9 cm
ISBN-13
9784041053829
ISBN-10
404105382X
Price
2662 JPY
Category
本/文学・評論/文芸作品

誰に望まれなくても、お前は生きろ。 豪放でワンマンな父親のもとで育った貴美也は大学を休学中のニート。親に反発しながらも庇護下から抜け出せずにいる。そんな彼を父親は、北海道での狩猟に連れ出した。地元ガイドの話を無視し、大物の雄鹿を仕留めるために、父子はカルデラ地帯の奥深く分け入っていく。そこに突然熊が襲ってきた。なすすべなく腹を裂かれて死ぬ父親。ひとり取り残された貴美也。後ろから気持ちの悪い唸り声が追ってきた。情けなく涙と涎を垂らし、悪態をつきながら、貴美也は逃げる。ただ、死なないために。 自分の傲岸なまでに強靭なエゴに支配される人間。人間に従属する歴史を繰り返した犬。人間の営みにより生活をおびやかされた熊。残酷だが美しい、それぞれの生――そして青年は覚醒する。

●河崎 秋子:羊飼い。1979年北海道別海町生まれ。北海学園大学経済学部卒。大学卒業後、ニュージーランドにて緬羊飼育技術を1年間学んだ後、自宅で酪農従業員をしつつ緬羊を飼育・出荷。2012年「東陬遺事」で北海道新聞文学賞(創作・評論部門)受賞。2014年に三浦綾子文学賞を受賞した『颶風の王』を15年KADOKAWAより単行本として刊行。同書で2015年度JRA賞馬事文学賞を受賞した。

Reviews

  • 商品も配送も問題なく良かったです

    商品も配送も問題なく良かったです

  • どれもかわさきあきこおもしろい。

    途中で投げ出したくなるくらいちょっと怖いけどおもしろい

  • 微妙にウェットな文体が気になる

    人間が出ていないところはいいのに(特にニホンオオカミがどうして滅んだかの解説の章)人間が出てくると青春小説のようなちょっと恥ずかしいタッチになる。吉村昭とかコーマック・マッカーシーのようなドライな文体でこの題材を読んでみたい。

  • 素晴らしすぎる!

    熊が暴れる昨今、熊小説を読みたくて本作を手に取った。あまりに素晴らしい内容に読み始めから最後までノンストップである。 冒頭の豚の話が出てきた時、これは傑作かもしれないと思ったのが大正解。ここ最近読んだヒューマニズム時代小説によって身体中にぶちまけられた人工甘味料を洗い流したような清々しさであった。長い作品ではないので解説は不要であろう。何も問わずに読むべし。

  • 割と面白い

    話の設定にやや無理があるけれど、内容は割と面白い。最後の終わり方がやや強引ではあったけれど、その説明もされていて、まあ許せる範囲です。 全体的には面白かったです。

  • 熊や犬の視点で読めるユニークな小説

    なかなかユニークな小説である。会社で成功しているものの、パワハラ気質の強い親父が、弱々しい引きこもりの息子を連れて熊狩に行く。息子が引きこもりになってしまった理由は、親父が結婚と離婚を繰り返し次々と配偶者を変えていくという、荒んだ家庭環境で育ったことが影響している。 熊と犬に襲われて親父さんは無惨な死を遂げる。息子は絶望のあまりの自殺をしようとするが、思いとどまり生に向かおうと決意する。そして、凄まじい経験をしながら、生きていく意欲のなかった息子が、生き抜く力を獲得していく。 その成長、変化が、熊の視点、犬の視点、かつての犬の飼主視点、親父の視点、息子の視点のさまざまな独白で描かれている。冷静に考えると、熊や犬が本当にそう考えるか?など疑問もわくが、読んでいる最中には、もう、そんな疑問も抱かないほど、読者は物語に引き込まれてしまう。 息子と熊のスリリングな闘いも見所である。北海道が舞台なのもいい。ワイルドな北海道ファンの心に響く小説だと思う。

  • 無気力青年が命のやり取りを通じて自己を回復させていくというテーマは悪くないが、若干ロマンに走り過ぎ

    最近ハマっている作家、川﨑秋子の作品もこれで3冊目。道東の過酷な世界を舞台にした無情にして骨太な物語を期待して拝読。 物語の方はニート青年の沢貴美也が会社経営者である父親に半ば無理やり道東へ連れて来られる場面から始まる。再婚を繰り返す父親が支配する家庭環境と高校時代に経験した挫折から典型的無気力青年へと成り果てた貴美也は大学も中退した身で手元にあるのは狩猟を趣味とする父親から無理やり取得させられた空気銃の免許だけ。 宿泊した宿の主である老人からこの地に入植した先祖が体験した凄まじい話を聞かされた翌日貴美也は父親に連れられて摩周湖近くのカルデラへ。禁猟区である筈の土地の奥へ熊狩りを果したいという父の目論見にただ黙って引きずられる様に足を踏み入れた貴美也だが、不意を打たれた父親はあっさりと熊に食い殺され、貴美也は必死の逃走を試みる事に…… うーん、北海道といえば羆を出しとけみたいな所はあるんだけど、川﨑秋子も割とその俗なイメージに乗っかってしまうんだなという印象。いや、確かに所々で道東の過酷な自然の描写は堪能できるし、無気力青年の自己回復というテーマもしっかり掘り下げてはあるんだけど、どうも全体的に少年マンガっぽいというか。「絞め殺しの樹」みたいな物を期待するとちょっと肩透かしかも。 お得意の道東残酷物語は序盤の宿の主人が貴美也に語って聞かせる入植者たちの話がピーク。野良仕事に出ていた入植者が家に戻ったら可愛い我が子が無惨な姿に、というのは吉村昭の「羆嵐」の冒頭そのまんまなんだけれども幼子を襲った動物ってのが……羆なら絵になるんだが「まさか」と言いたくなる動物なので逆にショッキングさが増す。 もうこの描写だけでも相当に来るのだが、我が子の無惨な最後を知った入植者夫婦がその後見せた姿に唖然と。最初からテンションマックスでこの段階では「さすが一味違う作家だ」と大喜び。続く飛蝗による被害のエピソードも強烈。同じ北海道を舞台にした某青年マンガではホモ相撲の前振りでしか無かったけどガチンコ系の作家・川崎秋子がそんなヌルい話を読ませる筈も無い訳で…… ある意味、この序盤の老人の話だけでも相当にお腹いっぱいになるのだがこれはまだ前振り。 本番は横暴な父親に無理やり連れ出されたカルデラでの熊狩りの方。話が「熊怖い、超怖い」という方向に進むのは誰もが想像する所だと思うんだが、話が単純な人間vs熊の図式に収まらないのがミソ。熊の最初の襲撃の場面で割って入って来るもう一つの動物=犬が本作では大きな意味を持つ。 本作で登場する野犬の群れは皆一様に元飼い犬であり、人間たちの勝手な事情で捨てられたという点で共通している。藤子不二雄の名作「エスパー魔美」の一エピソード「サマードッグ」をご存知の方も多いと思うが、人間の勝手な都合で飼われ、そして捨てられた犬たちが物語を動かすうえで、そして主人公である貴美也を変える上で大きな役割を果たしている。 この話の主人公・貴美也は妻をとっかえひっかえする父親に育てられた挙句、その酷い家庭環境から逃げる為に打ち込んだ高校での陸上競技も父親が原因となったある事件で挫折。自暴自棄になって父の後妻と関係を持ったは良いが、その直後に乗り込んできた父親が後妻をボコボコにするなど、あらゆる意味で父親に振り回され、支配された存在である。 序盤では父親に対しても敬語で接するなど、ほとんどロボットみたいな無気力ぶりなのだが熊の襲撃で父親があっさり殺された直後に絶望し、自ら命を断とうとする所まで追いつめられる。だが、その直前に犬に襲われた事で「冗談じゃないぞ」と漸く一人の独立した存在として立ち上がる。 この犬に襲われて、というのがもう一つのミソ。彼ら貴美也を襲った犬の群れは貴美也同様に人間の勝手な事情で飼い犬として可愛がられ、そして捨てられた結果大自然の中で「野生」を取り戻した存在なのだけど愛玩動物が野生を取り戻した姿と横暴な父親に振り回されるだけの存在だった貴美也が「冗談じゃねえ」と極限状況の中で自己を回復させる姿を重ねて描いているというのは明らかな事かと。 終盤で自分を襲い、父親を食らった羆の肝を貴美也が食らう姿はどこかカンニバリズムを思い起こさせる。勿論カンニバリズムといいつつ相手は熊ではあるんだが、それでもカンニバリズムは自分が生死を賭けて戦い殺した相手の魂を取り込むという信仰的側面がある事を忘れてはならない。無気力青年が命のやり取りを経て戦士として覚醒したのだ……と訴えたかったのかもしれない。 ただ、後半がちょっと駆け足だったというか。前半で宿の老人が語って聞かせた入植者たちをこれでもかと痛めつけた道東の大自然の中、最大の脅威ともいえる羆相手にニート同様だった青年が割とあっさり打ち勝ってしまうという展開はどうにも少年マンガ臭い。 そもそもその前段として野犬の群れ相手に銃火器無しで人間が勝ってしまうという所からして「えっ?」という感じなのであって、終盤で描かれる羆との死闘もどこか少年向けの冒険活劇染みている(そもそも決まり手自体が某北海道金塊争奪戦マンガそのまんまだし)。 道東の過酷な自然を通じて人生の不条理さや残酷さを描き、その上でその過酷さの中で生きる人間の強さみたいな物を描いてきた川崎秋子作品を期待すると「ずいぶんと俗っぽいものを書く事もあるんだな」と首を傾げてしまった。 中盤以降がなんというか冒険活劇チックで、そういう話も割と好きであるという懐の広い方であれば良いのだけど川崎秋子の個性を欲した方からすると「うーん?」とならざるを得ないかもしれない。

  • ヒトと動物との共存とは

    ともぐいで直木賞を受賞される前に読みましたが、非常に面白かった。 熊に仲間が食われたら、その熊を仕留めて皆で食うことが弔い。 アイヌ民族のならわしです。 現代はさすがにできませんが... 三毛別ヒグマ事件の小説にもありますね。それほど遠くない過去にもそのようなことがあったようです。 昔の人間が野蛮とかそういうことではなく、 要は、食料がまわりに豊富にあるか無いかの問題だと思います。

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