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いくさの底

Mainichi Publishing Culture Award

いくさの底

Seiji Kodokoro

In northern Burma during the Second World War, an officer is murdered in a village where a Japanese army guard unit is stationed. As the army tries to contain the situation without revealing the cause of death to the villagers, another incident exposes military formalities, tensions with local society, and the pressure placed on individual conscience.

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Work Information

The death of one officer opens up the conscience and deception hidden deep within the battlefield.

KADOKAWA's official page confirms the August 8, 2017 hardcover-style trade edition, 208 pages, ISBN 9784041061756. This is the stand-alone book of the award-winning work; ISBN-10 404106175X was converted, and the same value was used as the paper-book ASIN. A Kadokawa Bunko edition followed in 2020, but the edition closest to the award period is used here.

Review Summaries

  • The mystery is praised for being tightly bound to the themes of a war novel. Its restrained tension and criticism of a military system that values appearance and short-term victory leave a grave aftertaste.

  • Attention centers on how the novel reveals the structure of war through the search for the truth behind a murder, rather than through spectacle. Its quiet prose heightens the unease inside both the isolated village and the military unit.

Book Information

Publisher
KADOKAWA
Published
2017-08-08
Pages
208 pages
Language
日本語
ISBN-13
9784041061756
ISBN-10
404106175X
Price
2490 JPY
Category
本/文学・評論

ある一人の将校の死が、パンドラの函をこじあける――戦争ミステリの到達点 【新聞、週刊誌ほかで、本読みたちから絶賛の嵐!】 謎解きの構成が、戦争小説としてのテーマと完璧に結びついている点といい、 抑えた筆致が醸し出す不穏な緊張感といい、ほれぼれするほど完成度の高いミステリである。 ――千街晶之(「東京新聞」書評より) 外部との連絡が難しい閉鎖空間の村で、互いを疑うことで生まれる息苦しいまでのサスペンスは圧倒的。意外な犯人にも、衝撃の動機にも驚かされる。 ――末國善己(「朝日新聞」書評より) 正統派犯人当て小説。 読者を真相へ導く終盤の展開には圧巻の迫力がある。 ――杉江松恋(「週刊新潮」書評より) 戦争小説のスタイルと犯人当て小説の手法が必然性を持って結びついた「戦場ミステリ」の逸品! ――若林踏(「小説現代」書評より) いちだんと夾雑物を排し、静かに鋭く人間性を掘り下げている。 堂々たる語りの優れた戦争ミステリーだ。 ――池上冬樹(「共同通信」配信書評より 「そうです、賀川少尉を殺したのはわたしです」――ビルマ北部のある村に駐屯することになった日本人将校の突然の死。 いったい誰が、なんのために殺したのか? 皆目見当がつかず、兵士も住民も疑心暗鬼にかられるなか、のどかな村に人知れず渦巻く内紛や私怨が次第にあぶり出されていく。 戦争という所業が引き起こす村の分断、軍隊という組織に絡め取られる心理。 正体のあかされない殺人者の告白は、いつしか、思いもよらない地平にまで読者を連れ出す―― 驚天動地、戦争ミステリの金字塔。

Reviews

  • 年間ベスト1にはしないけど

    必ずベスト5には入れる佳品。 もっと戦争について内容が濃いドロドロした話だと思ってました。 でも謎解きだったんですね。 それはそれで良しです。 他の作品も読んでみたいと思わせる作品です。

  • 小さな欺瞞が積み重なった上の大きな欺瞞、それが戦争なのかもしれない 内部に欺瞞を孕んだ冷徹な理詰めの組織、それが軍隊なのかもしれない 戦争と軍隊を凝視し続ける著者の渾身の一作

    ビルマ戡定後、重慶軍の遊撃隊から村を守るため、日本軍の警備隊がヤムオイ村に入るところから物語が始まる。 警備隊の隊長は学帽を被っていてもおかしくない若さの下級将校、賀川少尉である。 その隊長が、村に到着したその日の夜に、駐屯宿舎の厠で惨殺死体となって見つかる。 だれが、どんな理由で少尉を殺したのか。 シナ兵か、味方か、村人か。 シナ兵が村人に扮して紛れ込んでいるのか。 隊長の死は隠匿され、若い青年将校である切れ者の連隊副官が派遣されてくる。 彼と、軍属の民間人で通訳である依井の2人は、関係者一人ひとりを理詰めで追い詰め、 徐々に事実関係を明らかにしていく。 カメラやあだ名という仕掛けが効いている。 最終的に殺人犯と彼の動機を突き止めた2人は、やむを得ない理由によって、その男を罰することができない。 最後には重く苦い読後感が残る。 戦時中という特殊な状況の中で、止むをやまれぬ切実な理由から、登場人物たちはみんな何かを誤魔化している 日本軍は兵の死亡理由を誤魔化し 部隊幹部は賀川少尉が死んだことを誤魔化し 死んだ賀川少尉は自分の過ちで部下を死なせたことを誤魔化し 捕虜になった日本兵は身分を誤魔化し 村人は村長と助役の身分を誤魔化している 小さな欺瞞が積み重なった上の大きな欺瞞、それが戦争なのかもしれない 内部に欺瞞を孕んだ理詰めの組織、それが軍隊なのかもしれない 殺人犯の独白には、著者の苦い思いが滲んでいるように感じた。 「死者をおとしめまいと貴重な教訓に蓋をする。まったく愚かな行為です。」 「二名もの友を理不尽に殺した仇です。まったく迷いはありませんでした」 「人でなしは殺さねばなりません。殺さねばまた誰かが泣きを見るのです」 「軍隊は何より恥を恐れます。恥をさらすまいと常に努めます。」 「あなた方の想像をはるかに超えて重慶軍は辛抱強い。確かに戦意や装備の面では劣る。負けると思えばすぐに逃げる。これは文化や倫理の違いのためでしょうが、大陸の歴史に負うところがやはり大きいのです。 撤退も退却も重慶軍にとっては戦における一手段に過ぎません。ようは最後に勝てばいいのです。国を挙げての戦とはそういうものであって個人や部隊の名誉など些事です。戦乱に明け暮れたあげく今なお共産軍と国民党軍が戦いを続けるシナをあなた方はもう少し深く吟味する必要があります。 日本との戦いが始まってなお完全な共闘ができないのはなぜか。もちろん日本との戦いに勝利をおさめた後を双方が考えているからです。 シナ人は百年先を考える。目先の勝ち負けに一喜一憂し、個人の名誉不名誉にこだわる日本人とはものの考え方がまったく異なります。この村での両軍の動きはいわばその縮図です。ヤムオイ村を押さえられたからといって重慶軍は焦る必要がありません。いずれ取り返せばいいのであって、そのための布石を打っておけばいいのです。 では、いずれとはいつでしょうか。 十年先かも知れません。 二十年先かも知れません。 この戦争はまだ続きます。あなた方は相当に覚悟しておかねばなりません。」

  • プロットはいいが…。

    一種の叙述型ミステリーというか、登場人物の一人の勘違いに引きずられて 最後に真相が明かされて「あっ!」という快感は確かにある。 アイディアは良いと思う。 しかし、プロットの見事さを除くと、物語に臨場感がない。 肉付けがなさ過ぎて、下書きじゃないかと思った。 いわば語り部としての通訳「依田」にしても年齢や人相風袋、履歴が分からない。 軍属のくせに、将校に対してため口なのに、将校の方からは敬語というのも 違和感がある。こんなものなの? ほかの登場人物も「副官」「准尉」「村長」「村長の女房」「オオマサ」「コマサ」 といった具合で、人となりが全く分からず、人物像が全然迫ってこなかった。 そもそも全員日本人にしか思えないかった。 これで戦争の悲劇と言われてもねえ。よくわからない。 200ページ弱の小品だが、もっと肉付けしてほしかった。

  • スリムに締まった佳作だけど

    真相は海外の某古典的名作短編を連想した。抑えに抑えた文章で今どき潔い200頁という分量。好感の持てるスリムさだけど、物足りなさも感じでしまう。特に主人公に魅力がとぼしい。性別と前職だけで、はっきりした年齢すらわからないのだ。

  • 前線の雰囲気

    ビルマ平定戦の最前線となったちゅう中国国境の雰囲気が満喫できる本です。本国に逃れようとする華僑、中国軍を追撃する尖兵隊を率いた被害者。駐屯地となったことで、国境の村となったビルマ人の集落。最前線となった土地で暮らす人々の日常がよく描かれています。

  • (2018年―第28冊)ミステリーとしてはかなり上質な作品であり、と同時に太平洋戦争の駒となった兵士達の悲劇を描いた小説としてもまた上質な作品

    戡定(かんてい)作戦終了後のビルマの山間のヤムオイ村に、重慶軍の侵入を警戒して賀川少尉率いる日本の警備軍が駐屯することになる。しかしある夜、賀川少尉が何者かに殺害されてしまう。果たして犯人は誰なのか。それは日本軍に敵意を持つ村人なのか。それとも姿を見せない重慶軍兵士が闇夜に乗じて侵入したのか。そしてさらに中一日おいた夜、今度はヤムオイの村長が同じく他殺体となって発見される…。 -------------------------- 太平洋戦争の前線を舞台にしたミステリー小説です。10年以上前に古処氏の戦争小説は日系米兵が主人公の『 七月七日 』と沖縄戦を描いた『 遮断 』を読んだことがあります。研ぎ澄まされた、乾いた筆致で戦争の実相を描き出して見せるその力量に感銘を受けたことを今も鮮明に憶えています。この『いくさの底』は朝日新聞と東京新聞の書評欄に取り上げられているのを目にしたもので、久しぶりに古処氏の小説を読んでみたいと思って手にしました。 物語はシャン語の通訳として警備隊と行動を共にする依井の眼を通して展開します。依井は民間企業・扶桑綿花の社員でありながら軍属扱いを受けています。つまり根っからの軍人というわけではなく、また年齢も日本軍兵士の平均を大きく上回っているため、よく言えば敬意をもって遇され、悪く言えばどこまでいっても兵士仲間の一人とはみなされない存在です。 その依井が目にする凶悪な二つの殺人事件の背景には、日本軍、重慶軍、そしてビルマの山村が存在しますが、彼はそのどれにも帰属感を持つことがない人物といえるかもしれません。 物語の最終段階で突如として立ち現れてくる犯人の正体と事件の真相は、読者である私の浅薄な予想など全く寄せ付けない、驚くべきものでした。読者を見事に欺く、かなり上質のミステリー小説といえるでしょう。であると同時に、事件を生むに至った<戦(いくさ)の底にあるもの>の悲しき実態を目にして、口の中がどうしようもなく乾く思いがしました。 シンガポール陥落後という記述が小説内にあることから、1942年あたりが舞台なのでしょう。そして1944年のあのインパール作戦まではもう少し時間があります。ビルマの山野で、依井や犯人たちが、メンツにとらわれた指揮官によってもたらされたこの愚かな作戦にやがて巻き込まれていくのでしょうか。そのことを想像してさらに暗澹たる思いにかられたのでした。 .

  • 戦争はやはり恐ろしい

    日本軍がビルマのとある村に駐屯中に殺人事件が起こる。果たして犯人は誰なのか?動機は? 他のレビュアーの方も書かれているが、臨場感は半端じゃないです。 そして戦争の恐ろしさをたった1つの村で起こった事件を通じて際立たせている。 もっと評価されて欲しい作家の1人。

  • 実はアマゾンでなく本屋さんで買いました

    「ルール」と比べると少し薄味かなと感じますが,これは推理がメインなのでそこは良いのかなと思います. (始めて読んだ古処さんの作品が「ルール」だったので,ついついその雰囲気を求めてしまいます) 当時の戦について,細々と・生き生きと・リアルに(少なくとも読者がそのように受け止められるように)描くのは,大変な苦労を伴うものではないでしょうか. 「研ぎ澄まされた」というレビューを投稿されている方がいらっしゃいましたが本当にその通りだと思います. 著者はあまり量産される方ではないので,いつも新しい作品を待ちわびています. 多くの方々に読んでいただきたい作家だと思っています.

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