澪標,落日の光景 (講談社文芸文庫 とB 1)
This I-novel follows a narrator close to the author, born into an Omi merchant family, as he traces sexuality, household, and family memory. Its plain style contains a severe gaze at personal desire and family history, and it has been read as one of the achievements of Japanese autobiographical fiction.
Work Information
An autobiographical novel traces memories of household and sexuality, quietly etching the contours of age and life.
A representative I-novel by Shigeru Tonomura, available in the Kodansha Bungei Bunko volume Mio-tsukushi and Rakujitsu no Kokei. The text is also available through Aozora Bunko and is widely referenced for the way it overlays family lineage with individual bodily life.
Review Summaries
-
Although the material is confessional, readers value the way it avoids mere sensationalism and places a severe self-scrutiny behind its quiet narration. Its distinctive weight comes from the overlap between household memory and bodily memory.
Book Information
- Publisher
- 講談社
- Published
- 1992-06-01
- Pages
- 297 pages
- Language
- 日本語
- ISBN-13
- 9784061961791
- ISBN-10
- 4061961799
- Price
- 1831 JPY
- Category
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
亡き妻への愛を吐露して哀切限りない「夢幻泡影」。読売文学賞受賞の名著、著者のヰ夕・セクスアリス「澪標」。夫婦ともにガン発病、迫り来る死とたたかう闘病生活の不思議な明るさと静寂感充ちる「落日の光景」「日を愛しむ」。愛する者の死。人生の不可思議。末期の眼。死へ向う透明な生。外村文学の鮮やかな達成4篇。
Reviews
-
良い商品でした
とても良い状態の商品でした。値段の設定も良心的で、満足しました。
-
澪標とは「つくしんぼう」なのか?
タイトルの「澪標」(みおつくし)は、船に水深を知らせるための杭であり、 水路をガイドする。人生の深淵と浅瀬の境に立って人生の道標になぞらえられる。 それぞれは独立した杭だが数本が並立して安全な道の方向を教える。 また澪標=「身を尽くし」でもある。 家や家族や絆を守るために身を尽くして闘う、人生に相渉ること。実際、 百人一首にもこの言葉を用いた有名な2首がある。いずれも恋の歌である。 ○わびぬれば いまはた同じ 難波なる 身をつくしても 逢はむとぞ思ふ (恋人とうまくいってなくて悲しい。こんども今までと同じように振られる ことになるんでしょうか。だったらここはひとつ命がけでアタックしてみるか。) ○難波江の 蘆のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき (たった一夜のアバンチュールに身を焦がして、これからもずっとあなたを 思い続けて生きなければならないのでしょうか。) たしかに「みをつくし」という言葉は恋情や性愛に濃厚に寄り添ったことばだ。 最後に、澪標=つくしんぼう=男性器という「穿った」見方もある。 確かにこの『澪標』の主人公は新村のペニスであり、この孤独に屹立する ペニスの遍歴をたんたんと描いているのがこの私小説だとも言える。 この本を読んでいて知らない言葉に出合うのも楽しい。 「衛生掃除」と呼ばれる京都の風習は知らなかった。夏場疫病対策として 町内一斉、お店は閉めて畳を外に出して虫干しする。こんなこと今でも やっているのだろうか。
-
唖然・・・
分量から言っても内容から言っても「澪標」が白眉といえる。時に唖然とするほど率直な自らの性体験の記録であるが、愚直なまでに己の性欲を見つめ、考え込むその真剣さが時には滑稽、しかし常に新鮮である。特に少年時代の記述は明治末ー大正期日本社会における性のあり方を考える際には一級の歴史資料と言ってもよいのではないだろうか。女性にとって決して楽しい読み物ではないと思うが、それだけに読む価値があるかもしれない。