市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像
市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像 is an award-winning work by 佐々木実 recognized by the 大宅壮一ノンフィクション賞. The bibliographic identifiers were checked at the work level from the title and author information.
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市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像 by 佐々木実 was recognized by the 大宅壮一ノンフィクション賞.
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Book Information
- Publisher
- 講談社
- Published
- 2013-05-09
- Pages
- 334 pages
- Language
- 日本語
- Size
- 14 x 2.8 x 19.5 cm
- ISBN-13
- 9784062184236
- ISBN-10
- 4062184230
- Price
- 1662 JPY
- Category
- 本/文学・評論
第45回大宅壮一ノンフィクション賞・第12回新潮ドキュメント賞受賞! 「構造改革」「規制改革」という錦の御旗のもと、いったい何が繰り広げられてきたのか? その中心にはいつも、竹中平蔵の存在があった。“外圧”を使ってこの国を歪めるのは誰か? 郵政民営化など構造改革路線を推し進めた政治家・官僚・学者たちは、日本をどのような国に変えてしまったのか? 8年におよぶ丹念な取材からあぶり出すノンフィクション。 第45回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品! 第12回新潮ドキュメント賞受賞作品! 「構造改革」「規制改革」という錦の御旗のもと、いったい何が繰り広げられてきたのか? その中心にはいつも、竹中平蔵というひとりの「経済学者」の存在があった。 “外圧”を使ってこの国を歪めるのは誰か? 郵政民営化など構造改革路線を推し進めた政治家・官僚・学者たちは、日本をどのような国に変えてしまったのか? 8年におよぶ丹念な取材からあぶり出された事実から描ききった、渾身のノンフィクション。
佐々木 実(ささき・みのる) 1966年、大阪府生まれ。91年、大阪大学経済部卒業後、日本経済新聞社に入社。東京本社経済部、名古屋支社に勤務。95年に退社し、フリーランスのジャーナリストとして活動している。本書で、第45回大宅壮一ノンフィクション賞と第12回新潮ドキュメント賞をダブル受賞した。
Reviews
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「虎の威を借る狐」に化かされないために
本書は凄い。竹中平蔵の生きざまを一言でまとめると「虎の威を借る狐」といったところだが、この本は、その「狐」がいかに成り上がり、無能な政治家と国民を化かして日本の政治と経済を歪めたか、克明に示している。以下、詳しく紹介しよう。 1 アメリカの外圧を内圧に アメリカは、冷戦に勝利しソ連が大きな脅威でなくなった1990年代初頭において、日本をソ連に代わる脅威と感じるようになっていた。そして「アメリカが巨額の貿易赤字を計上しているのは、日本がアメリカに工業製品を大量に輸出しているからだ」、として、日本に対し「貿易よりも内需を拡大せよ」、と要求するようになっていた。具体的には、「内需拡大のため、公共投資を大幅に増やせ」、などと言ってきた。 竹中は、この傲慢な要求を、アメリカ政府の立場を代弁するように、そのまま自らの意見として学術雑誌等で主張した。情けないことに、日本政府は、その後、アメリカの圧力に屈するように(また、竹中の意見に従うように)、10年総額430兆円の公共投資を決めたのだった(本書p111、134)。 アメリカは、自分たちの要求がすんなり通ったのを見て増長し、厚かましくもそれ以降、「年次改革要望書」という、日本国内の制度改正・規制緩和を要求する文書を毎年日本政府に提出し、日本経済をアメリカに都合よく利用しようと試みるようになる。 ちなみに年次改革要望書において、これまでアメリカ政府が日本政府に要求し、すでに実現された項目をあげてみると、例えば以下のものがある(堤未果「株式会社アメリカの日本解体計画」p94参照)。 ・人材派遣の自由化 ・大店法の廃止 ・会社合併手続きの柔軟化 ・郵政民営化 これらの項目についても、竹中は日本政府の取るべき政策であると経済学者の立場から主張した。まさにアメリカ政府という「虎」の威を借る狐である。 2 竹中はいかにして権力の中枢に近づいて行ったか とは言え、一民間人が日本政府の外から物を言ってもその影響力は限られている。だが竹中は、やがて日本政府の経済顧問に成り上がる。のみならず「郵政民営化」に関しては自ら小泉内閣の閣僚として関わることになった。この狡猾な男は如何なる方法を使ってそこまで到達したのだろうか? 本書によれば、その秘密を握っているのは「国際研究奨学財団」というシンクタンクだ。このシンクタンクは、日本船舶振興会、全国モーターボート競走施行者協議会をバックに持ち、豊富な資金力を有していたが、当初、国政への影響力を持ってはいなかった。それゆえ、誰かその学識をもって我が国の政治経済のあり方を指南できるような人物はいないか、財団の理事に適任の人間を物色していた。 そして財団の目に留まったのが竹中である。竹中は、かねてよりマーチン・フェルドシュタイン、フレッド・バーグステン、ローレンス・サマーズといったアメリカの経済学者を尊敬し、彼らを偶像視していた。彼らは、アメリカ政府に政治経済の在り方を指南し、政府からその学識を買われ閣僚に任命された人物だった(本書p95、109。彼らは日本政府に構造改革、規制緩和を迫った人物でもある)。同様の野心を秘めていた竹中に、国際研究奨学財団の代表のポストは「渡りに船」だった。竹中は、財団の方から誘われると二つ返事でそのポストを引き受けた(本書p144)。 国際研究奨学財団は、発足するとすぐに政策提言を日本政界に売りこんだ。政策課題を分かりやすく解説した小冊子を作成し、現職閣僚や国会議員らに送付したという(本書p148)。そこにアメリカ政府の主張と同様の、規制緩和の必要が書かれていたのは言うまでもない。竹中は、この小冊子を読んだと思われる堺屋太一(小渕内閣の経済企画庁長官)の引きで、小渕総理が創設した経済戦略会議のメンバーとなる。これが竹中の、権力の内側に入り込んだ瞬間だった。竹中は以降、政府の公式なアドヴァイザーとなり、歴代の総理大臣に規制緩和を継続的に進言するようになる(本書p152~)。 そして、竹中の規制緩和論の一環である郵政民営化論を、「政敵を潰すのに利用できる」、と考えた男がいた。小泉純一郎である。小泉は、政敵・小沢一郎の権力基盤になっていた全国特定郵便局長会の集票力と、郵便貯金・簡易保険の資金力に注目した。この集票力と資金力を削ぐには、郵政民営化が効くことに気付いた(本書p301)。そして竹中を、自らの野心のために大臣に任命して、郵政民営化を行わせようとしたのである。 3 郵政民営化を竹中と小泉はいかに国民に売り込んだか 元来、郵便局は国営だった。郵便貯金と郵便局の簡易保険で集めたお金は大蔵省の資金運用部が預かって、政府系金融機関や特殊法人に貸し付けた。この資金運用の在り方が不透明であり、かつ民間に流れるべき資金が国家のもとに滞る、との批判があった。この批判を受け、郵便貯金・簡易保険の資金は、小泉に先立つ橋本龍太郎内閣で、大蔵省資金運用部による運用から、日本郵政公社による市場での運営に改められた(本書p330)。 この改正によって郵政を民営化する必要はなくなっていた。だが、小泉は、政敵を抑え込むために、そして、ウオール街の意向を受け日本政府に郵政民営化を進めるよう求めていたブッシュ大統領に応えるために、あえて民営化を強行しようとした。必要のない民営化の強行に、国会でも異論が相次ぎ、参議院で民営化法案は否決されるに至った。 小泉純一郎は、ここで衆議院解散に打って出る。総選挙で勝てば、民営化を実現できる、と考えてのことである。だが、選挙で勝つためには、郵政民営化に関心が高いとは言えない国民を味方につける必要があった。小泉の意向を受けた竹中は、広告会社を使って一大キャンペーンを打つ。そのキャンペーンが主なターゲットにしたのは、「主婦や子供、シルバー世代など、知能指数が低く、具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターに共感している人々」だったという(本書p334)。そういう人々に「総理は正しいことをしている」と思い込ませるため、竹中は小泉に、「民営化に反対するような古い自民党はぶっ潰す!」とか、「私に逆らう者は抵抗勢力だ!」とか、テレビを通じてセンセーショナルに連呼させた。のみならず、「民営化に反対する代議士には刺客を送り込む」として、その土地に縁もゆかりもない人間を、民営化に反対する代議士のいる選挙区に対立候補として擁立させた。結果、小泉は、選挙で歴史的な勝利をおさめ、郵政民営化を国策とした。首相・小泉という「虎」の威を借りた「狐」・竹中のキャンペーンに国民はすっかり化かされてしまった。 4 再び政治家に騙されないためには これはずいぶん国民をバカにした話だ。その「上から目線」は実に腹立たしい。と同時に、何か背筋に寒気が走る感じがする。十分な根拠もなしに何事かを断定的な口調で言い、それを繰り返す、というのは、かつてヒトラーが、ル・ボンの書いた「群集心理」から学び、かつ演説で実際に用いたドイツ国民洗脳の手法だからである。 ちなみにこの手法は、安倍晋三によって踏襲された。安倍は労働法制の規制緩和の際、「岩盤規制にも私は敢然と挑む」などと、小泉に似た物言いをし、総選挙で勝利を重ねた。多くの国民は、安倍の言う「岩盤規制」なるものが何なのか、本当にそれが不要なのか、よく考えることなく安倍を勝たせてきた。労働法規においては、それは労働者の心身の健康を守るための労働時間の規制であったり、景気変動によって労働者が都合よく雇止めされないための解雇規制だったりするのだが・・・。こういった規制を緩めた結果、低賃金労働者は、雇止めの恐怖に怯えつつ過労死すれすれまで働かされた。その一方で、日本企業は全体として史上空前の利潤を獲得した。(竹信三恵子「企業ファースト化する日本」参照)。小泉の指南役だった竹中は、安倍の指南役でもあったから、小泉に教えたように国民をだます手法もしっかり安倍に教えたと思われる。 我々もそろそろ悟っていい。政治家が根拠を十分に示すことなく一定の政策について「こうするのが正しい」と断定的な口調で話すようになったら、それは我々を騙そうとしている、ということを。 アメリカ財界が次に狙っているのは、日本の医療における社会保障制度の切り崩しであり、JA(農協)が持っていると言われる600兆の金である(堤未果「株式会社アメリカの日本解体計画」p56、94)。政治家が、「日本の医療における社会保障は抜本的な改革が必要です」とか、「日本の農協は、解体しなくてはいけません」などと言い出したらご用心!であろう。 最後に、竹中平蔵やその同類に化かされないためにも、見境のない規制緩和がなぜよくないのか、あるべき日本経済とはどういうものか、それを築くために何が必要なのか、我々ひとりひとりがよく勉強すべきであると思う。その参考になる文献をあげておく。 1 原丈人さん「増補 21世紀の国富論」(公益資本主義を提唱。またITが産業として成熟期にあり、経済の動力としての力を低下させつつあるとの文明論も。) 2 トマ・ピケティ氏「21世紀の資本」(日本を含む世界の先進国で、富が個人・法人の民間富裕層に偏っていることを統計的に明らかにし、富裕層へ所得累進課税、相続増税、そして法人増税を行うべきことを指摘。) 3 内橋克人さん「共生経済が始まる」(食とエネルギーと医療介護は各地域の住民が自治的にコントロールする、というFEC経済を提唱。) 4 小関悠一郎さん「上杉鷹山 富国安民の政治」(米沢領の民が、自ら質素倹約・粉骨砕身するように、藩主鷹山が人格的模範となった。)
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竹中平蔵の実像
竹中平蔵氏のやった悪行を良く調べてあると思います。本当の売国奴で、自分が得することしか考えない人ですね。悪く言う人しかいないのが良く分かりました。 経済学は、何がいいのかよく分かりませんでした。
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状態が良かった。
10年以上前の本ですが、状態がとても良かったです。ありがとうございます。
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後黒さと両様の解釈
著者のスタンスは明らかに追及調である。悪気無く解釈すれば、官僚制の硬直や象牙の塔を打ち破る性格はあった。それは純粋には日本でのコンサルシンクタンク化の夢だったと言えよう。 小泉改革も反経世会、反田中という抗争政争面だけではなく中曽根民営化を継ぐ第二民営化の政治運動だったとも解釈できる。その成否は中曽根政治の帰結、功罪と違い曖昧で中途半端なものになってしまったにしても。 結局は反大蔵・反財務省への反動、復讐生理で消費大増税を許し国民生活一般、国民経済一般を棄損、停滞させ続け、改革の夢が多大な犠牲を払いつつそのまま砂上の楼閣に終わったことが確かな事実だと考えざるを得ない。
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竹中平蔵の負の側面を強調
前半は竹中平蔵の生い立ち、生き方を冷静に描写。しかし、後半は一気に批判的になって行く。 竹中の批判されるべき政商まがいの動きが詳しくわかって勉強になった。一方で、彼が推し進めた小泉構造改革も、特定の学者らの言葉を引用して、否定していることには、違和感を持った。自分は市場の競争原理が成長のエンジンという竹中らの思考軸には賛成で、著者の志向とは異なるもの。
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「ウォール街を日本に導入する」
「ウォール街を日本に導入する」 本書の見出しに書かれてるこの文言に全てが集約されている。これが構造改革の目的。 本書はそのための人脈作り、会計操作、政局、世論誘導のメソッドが克明に書かれた傑作と言える。 竹中平蔵が指摘する「日本の問題点」と「改革の必要性」は全てウォール街を日本に導入するための後付け理論。彼には信念など何もない、強いて言うなら「今だけカネだけ自分だけ」これが信念。 強欲なウォール街から送り込まれた破壊工作員が小泉安倍に始まった自民党や維新の会を操っている。 日本人は今こそ本書から破壊工作員の手口を学び、これらを追い詰めないと日本は本当に沈没してしまう。
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「効率性のみ追求する知識人が現実の政治と固く結びついて影響力を行使するとき、取り返しのつかない災いが起きる」
Kindle版で読了。 「竹中は、あくまで政策に関与するための手段として経済学をとらえている。もっといえば、政治権力に接近するための道具としてとらえているように見える。それは言葉よりむしろ行動にあらわれていた」(位置1308)とあるが、本書は、竹中氏の行動を丹念に取材することにより、氏の人間性を描き出すことに成功しているように思う。 本書によれば、竹中氏は、小泉政権が最優先課題として掲げた郵政民営化について、「なぜいま郵政事業の民営化を急がなければならないのか。じつをいうと、竹中自身、ほかの政治課題をすべて押しのけてまで急がなければならない理由などないことを自覚していた」(位置3484)(本書は田原総一朗が『ジャーナリズムの陥し穴 明治から東日本大震災まで』(ちくま新書)で明らかにした当時のやりとりを引用。)。橋本内閣で行われた財政投融資改革により、制度面での問題の大宗は改められていたからだという。しかし、小泉総理の「反経世会」の盟友・加藤紘一によれば、「「郵政問題」における小泉の関心は、財政投融資改革という政策論より、たしかに「対郵政族議員」に向けられていた」(位置3223)ものであり、政策的にというよりも、政治的に非常に思い入れのある施策だった(Evidence BasedならぬEmotion Based Policy)。 政策的に納得していないにも関らず、竹中氏は、総理の意を体し、理屈を捻り出し、さらには広報戦略までを仕切り、異論のある論点については、総理に直接アクセスして了解を取り、「総理の考え」として押し通していく。そして、政策を実現する過程では身銭を切ることも厭わないが、政策の果実を自らやその周辺者が享受することについては、利益相反ではなくむしろ当然の論功行賞と捉えているかのように振る舞う(倫理感を傍に置いてしまえば、政策の果実を関係者が享受することは何ら問題がないと認識される。)。 2013年に出版された本の文庫版であるが、昨今弊害が指摘されることも多い「官邸主導」の政策形成過程で暗躍し得る者の行動様式・モラルの一つの典型として読んだ。 宇沢弘文に師事した著者の「効率性のみ追求する知識人が現実の政治と固く結びついて影響力を行使するとき、取り返しのつかない災いが起きる」(位置4498)という警句は重い。
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現代版「わが闘争」
まさにこれ。 数々の改革は公益のためではなく、明らかに私益のため。 商才はあったのかもしれないが、公益を担う政治家の器ではない。 維新と相思相愛なのも腑に落ちる。 こういうのが政治の表舞台にのさばれば、今以上に自己中な者が増え、個人はバラバラ。相互不信の殺伐な社会が続くであろう。 こういうことをしてはいけない、という反面教師として読むべき。