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ニムロッド

Akutagawa Prize

ニムロッド

Takahiro Ueda

Satoshi Nakamoto works for a cryptocurrency mining company and, through his ties with his colleague Nimuro Jin, who has given up becoming a novelist, and his lover Noriko Takubo, examines what it means to remain an individual in an informational world. It is a philosophical novel about Bitcoin, life, language, and the absence of God.

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Work Information

In an age when everything turns into information, the outline of individuality quietly begins to waver.

Winner of the 160th Akutagawa Prize. Beginning with the contemporary subject of Bitcoin mining, the novel connects individual consciousness, literary desire, and the informationalization of life. Rather than moving through a clear incident, it layers unease and reflection about a changing world to reveal a disquieting sense of the present.

Review Summaries

  • Readers value the way the novel uses contemporary material to enter philosophical questions. Many approach it less as a plot-driven story than as a work to be read through its chains of images and thought.

Book Information

Publisher
講談社
Published
2019-01-26
Pages
136 pages
Language
日本語
Size
13.5 x 1.8 x 19.5 cm
ISBN-13
9784065143476
ISBN-10
4065143470
Price
1200 JPY
Category
本/文学・評論

第160回芥川賞受賞作。 NHK総合「おはよう日本」 インタビューシリーズ「令和に生きる」に著者出演で大反響! それでも君はまだ、人間でい続けることができるのか。 あらゆるものが情報化する不穏な社会をどう生きるか。 新時代の仮想通貨小説! 仮想通貨をネット空間で「採掘」する僕・中本哲史。 中絶と離婚のトラウマを抱えた外資系証券会社勤務の恋人・田久保紀子。 小説家への夢に挫折した同僚・ニムロッドこと荷室仁。…… やがて僕たちは、個であることをやめ、全能になって世界に溶ける。「すべては取り換え可能であった」という答えを残して。 …… 「すごく好きです。胸がつまって泣きそうになりました。」――島本理生さん (TBS系毎週土曜日あさ9:30~放送中「王様のブランチ」より ) 【芥川賞選考委員絶賛、選評より】 「地上から塔の頂上へと、軽々と読者を運んでいく垂直の跳躍力こそがこの作家最大の魅力である。」――吉田修一さん 「ここには小説のおもしろさすべてが詰っている。」――山田詠美さん 【各メディアで書評続々掲載中】 朝日新聞、讀賣新聞、毎日新聞、日経新聞、東京新聞、京都新聞、産経新聞、赤旗、共同通信、週刊朝日、週刊新潮、東京新聞、ダ・ヴィンチ…。

1979年、兵庫県生まれ。早稲田大学法学部卒業。2013年、「太陽」で第45回新潮新人賞受賞。2015年、「私の恋人」で第28回三島由紀夫賞受賞。2016年、「GRANTA」誌のBest of Young Japanese Novelistsに選出。2018年、『塔と重力』で平成29年度芸術選奨新人賞を受賞。2019年、本書で第160回芥川龍之介賞を受賞。他の著書に『太陽・惑星』『私の恋人』『異郷の友人』『塔と重力』(以上、新潮社)がある。

Reviews

  • ニムロッドの『だめコレ』は現代人を救えるか。

    上田岳弘さんの小説はデビュー作の『太陽・惑星』から読んでいるので、その流れでの感想です。 (ネタバレあり) 自分は読後、胸の中に何か引っかかりのようなものを覚えて、その正体がなかなか分からず、この感想を書くまでに3回読みました。 でも、半年ほど経って、ようやくその決定的な理由が分かりました。 ストーリーは、仮想通貨の発掘を求められたIT企業の社員の主人公と、同僚で友人の小説家志望・荷室、主人公の恋人の女性を中心に、その熱くもなく冷たくもない、どこかぬるい関係が描かれます。 いわゆるW村上的というか、都会的なドライな人間関係の物語なので、起伏に富んだエンタメ的ストーリーのようなものはあまりありません。 代わりに、荷室またの名をニムロッドが書いたSF小説と、彼のときどき送信してくる過去に実在した失敗作航空機の情報『駄目な飛行機コレクション』が断章的に差し挟まれる。 上田さんはこの『だめコレ』を、全体を貫くメタファー(比喩)として使います。 不完全だからこそ愛おしい人間という存在。 またはニムロッドの名が表すようにバベルの塔の如く、投機や先物市場、銀行の準備金などに顕著な、実態のない数値でしかない現代の過度な金融主義的資本主義。 そしてそのもっとも極端な形態としてのコンピュータが生み出す完全な電子情報にすぎないビットコイン。 それらがまるで複数の渦がひとつの大きな渦にでもなるように、やがて1点に集約していく・・・。 ビットコインの仕組みの説明もわかりやすいし、純文学の要であるメタファーの扱いも巧みで、読んでいて「さすが実力派の上田岳弘」と思いました。 けど、読後の「なんだろ、この感じ」という「妙なモヤモヤ」はずっと消えない。 それで半年の間に3回ほど読んでいるうち、ハッと単純なことに気がつきました。 上田さんの三島由紀夫賞を受賞された2冊目の単行本『私の恋人』と、この『ニムロッド』とは決定的にオチが違っていた。 つまり、テーマである〈人類のこれからのありかた〉に対する〈回答〉が全く違う。 『ニムロッド』では作中のSF小説で、比喩なのか現実なのか、すべての人がひとつに溶け合ったような個人の消滅した世界が描かれる。 (これは2作目のスタニスワフ・レムのオマージュ『惑星』と同じモチーフ) じつはこれ、ハードSFの三大作家のひとりアーサー・クラークの『幼年期の終わり』のラストシーンと同じであり、そのオマージュのエヴァンゲリオンに登場する〈人類補完計画〉とも同じ。 クラークのほうは精神的な進化による一体化というヘーゲル哲学的なオチで、エヴァのほうは、わかりやすくいうと「引きこもり」オチ。 バブル崩壊/阪神淡路大震災/オウム真理教事件のあとに放送されたエヴァの主人公・碇シンジは、 自分に自信がなく、コミュニケーションも下手で、当時の若者の多くがそうだったようにバブル崩壊後(エヴァではハルマゲドン後)の日本で「生きる意味がわからない」人物として描かれ、 シンジ君は結局、母親のクローンである綾波レイに依存するように、自分の精神の内側に引きこもってしまう。 そのエヴァ、もしくはエヴァフォロアーである〈セカイ系〉と呼ばれたサブカル作品を踏まえると、実は、明らかに『ニムロッド』も全く同じオチを選択している。 (生きる意味がわからない→社会から離脱する→引きこもる) つまり、90年代的あるいは2000年代的に流行った、いわゆる『セカイ系』のアニメ/マンガ作品とあまりにオチがそっくり。 けど、じつは2冊目の単行本であり3作目の小説である『私の恋人』は完全に真逆のラストを用意している。ここが決定的なポイントです。 『私の恋人』のほうでは、主人公は原始時代から輪廻転生をくり返しており、しかもスーパーコンピュータばりの知能を持つ彼は、いつか未来で理想の女性に出会うことを楽しみにしている。 空想上の理想の女性、今でいう二次元の嫁を夢見る主人公は、ラストで、半信半疑ながらも偶然知り合った元薬物中毒のオーストラリア人女性に電話をかける。もしかしたら彼女こそ、その恋人かもしれないと。 上田岳弘さんは基本的に同じようなテーマを扱いながらも、その『私の恋人』や続く『異郷の友人』では、人と人の出会い/交友を描くことで、ニヒリズム的(脱社会/引きこもり的)なオチではなく、 『ささやかながらも、意味/価値のある人生』を見出している。 ここが『ニムロッド』と『私の恋人』の決定的な違いだと思いました。 つまり、一方では人生に価値が見い出せないまま荷室と主人公の恋人は行方をくらまし(『ニムロッド』)、 もう一方では、ささやかな人生に(人間同士の関係に)しっかりと人生の価値を見つけている(『私の恋人』)。 この『救済』の〈ある/なし〉が、両者の読後の印象を真逆にしているのだとわたしは思いました。 ちなみにサブカルのほうでは、その〈エヴァ〉=〈セカイ系〉的な作風はもう古く、例えば、 『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない』『僕は友達が少ない』『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている』のようなアニメ/ライトノベルではもう10年ほど前から、 日常の中で豊かな人間関係を築くことを主眼に置いた作品がヒット作になっています。 (ちなみにファンタジー小説/アニメですが『Re:ゼロから始める異世界生活』という作品は、明らかにコミュニケーションから生まれる人間関係/信頼の強度をテーマに、並行世界SFを描いています) どうして上田さんが3作目で提示した〈救い〉を捨て、なんとなく不気味な資本主義の崩壊的な予兆を残して終わった(ラストでは主人公は自身の構想する仮想通貨の名前をニムロッドにしようと思いつく)のかわかりませんが、 個人的には、純文学の完成度としては本作『ニムロッド』、現代的なテーマ(に対する回答)としては『私の恋人』が良いと思いました。 興味のある方はぜひ読み比べてみてください。 ちなみにデビュー作の『太陽』もユニーク&知的なSFで、とてもおもしろいですよ。 (あと『惑星』を読んだ後に「ソードアートオンライン」というアニメを見ると、ホラーというか、ちょっと不気味な感じがします)

  • 良かった

    保存素晴らしかったです。 ありがとうございます。

  • 仮想通貨と近未来

    中小企業の社員として片手間で仮想通貨を採掘する主人公と異なり、残り二人の主要人物(同僚と恋人)はどこか非現実的で、ふわふわとした仮想キャラクターのような印象を受ける。 それが作中で語られる"塔"に関する小説と、本作の象徴たる仮想通貨の性質と相まって、近未来の仮想空間を垣間見たような不思議な読後感を与えてくれる。 2020年代中盤の今、来るべき世界を想像する手助けとなる作品。 "ドルは紙切れとコイン、それから武器でできている。仮想通貨はソースコードと哲学でできている。"

  • 本作はハズレでしたが著者に少し期待してます

    著者の「k+ICO」がなかなか良かったので読んでみましたが、この作品は理解できませんでした。私は村上春樹の作品は若い時からほとんど読んでますが、著者もほとんど読んでいるのかな?って思いました。ハルキ臭が強いです。読後感は大昔に読んだ「1973年のピンボール」のようで、結局何が書きたいの?何が言いたいの?っていう感じでした。読んでいて不快感はないので星2つ。 暗号資産に関する部分は、多分そういう物なんだろうなと。頭のいい人が、何もないところから価値を生み出して、信者を増やし続けることができればバブルになる。チューリップの球根でも数十年続く巨大バブルを生み出せたので、より巧妙なビットコインバブルはどの位続くのだろう。2024年11月現在バブルは続いている。1か月で30%も価値が変動する商品は私には投資対象外ですが、このような異常なボラティリティは、一攫千金を夢見る大衆には支持され続けるかもしれません。違法マルチの温床にもなってますが。 暗号資産も、村上春樹や上田岳弘の作品も、多くの人にとっては興味対象外、無価値、ゴミかもしれませんが、信者を増やし続けることができれば、バブルになって大儲けできる。その点で似たような物。高齢となり才能が出尽くした感のある村上さんより、まだ若くて?村上テイストのある上田さんに少し期待してますが、本作は外れでした。未読の作品も沢山あるので、他を当たってみます。

  • 仮想通貨を独特な例え

    仮想通貨を軸に人間関係を描いた小説。 説明は難しく何度も読まないと難しいかもしれません。ですが、これを理解できたら読書が楽しくなると思います。

  • 感情とデジタルが融合。そして浮遊感。

    不思議な感覚に落ちました。ふわふわ漂う浮遊感と塔の上にいる気分の融合だろうか。 物語は、仮想通貨というリアルな世界でありながら、手にする事はできないデジタル空間。人類が作ってきた駄目な飛行機という実物世界。そして、小説を書くという空想の世界が、小気味よく展開していきます。 サイバーとリアルと空想をひとつにまとめて、ぐるぐるかき混ぜる感じ。そこに、登場人物たちが、感情を表す文章を浮かべてきて、爽快感や刺激を加えます。クセになりそうな物語でした。

  • 薄い表現、薄い人間たち、こじつけで塔を構築する脆く浅薄な小説

    後書きで作者も言っているが、塔のイメージがまずあっった。 そこから、こじつけで、ネット等から拾った様々なエピソードをこじつけていった薄い小説。 特攻のエピソードは余りに浅薄。 これを選ぶリタイア直前または済の小説家先生たちの眼力は不明。 シャレル・ベンツの「俺の眼を撃った男は死んだ」を読んだ後なので、その言葉と物語の重さ、強さ、衝撃と比べてしまい、浅薄さが際立つ。

  • このディストピア感を良しとせよと言うのか?

    題名だけは昔聞いたプログレであったような気がしたから気になっていたので。 ニムロド、ニムルド、意味深な題名。 それにしても、このSFめいたディストピア、近未来小説? 最先端の機器を使いこなす人々には面白い? 自分を重ね合わせるような話になるのだろうか? 読んでも読まなくても良かった。疲労の澱が溜まるような気怠さしか感じられない。 感動もなく読んだ時間が勿体ないような気分。 ここに書かれた挫折感、徒労感は日常経験する当たり前のもの。 取り立てて書かなくても、年を取ればわかると言いたくなるような。 これが賞取り本?

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