天路
A transnational novel in which a Japan-based American writer, unable to accept his mother's death, encounters Tibetan views of life and death on the Tibetan plateau. He travels between languages and cultures while coming to terms with loss in a different way.
Work Information
It traces a path of death and renewal across the Tibetan plateau.
A writer who left the United States for Japan travels to Tibet with a Han Chinese friend while carrying grief for his dead mother. Built from four linked pieces, the novel follows sensations of death and renewal, loss and prayer, through encounters with different languages and cultures. It was published by Kodansha in 2021 and won the 74th Noma Literary Prize.
Review Summaries
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The novel is highly regarded as fiction that crosses languages and cultures through the experience of bereavement and travel in Tibet. Its treatment of life and death through the texture of the journey stands out.
Book Information
- Publisher
- 講談社
- Published
- 2021-09-01
- Pages
- 192 pages
- Language
- 日本語
- Size
- 13.5 x 2 x 19.5 cm
- ISBN-13
- 9784065243756
- ISBN-10
- 4065243750
- Price
- 1852 JPY
- Category
- 本/文学・評論
第74回野間文芸賞受賞! 国と国、言葉と言葉の〈間〉を旅する作家がたどりついた、世界の臨界点。世界の声が響きあう越境文学の達成! アメリカを捨て日本に移り住んだ作家は、故国に残した母の死を抱えて中国の最果て、チベット高原へと赴く。 一千年の祈りの地でたどる、死と再生の旅。 30年前から日本に暮らすアメリカ国籍の「かれ」は、故国の母の死を受けいれられぬまま、漢民族の友人とともにチベット高原を旅する。「世界の屋上」と呼ばれるその土地は、一千年来、ひたすら生と死に思いをめぐらせてきた人々の文化が息づく場所だった。異質な言葉との出会いを通して死と再生の旅を描く、読売文学賞作家の新たな代表作。 ・収録作「西の蔵の声」評より―― 「喪失の痛みからの回復をこうやって異質な言葉との出会いを通して描くことができるというのは、ほんとにすごい。リービさんの名人芸」松浦理英子氏(群像2019年3月号創作合評) 「エクソフォニーをさまよい続ける作者の、母の死との対峙と開眼の瞬間が描かれている小説であり、非常に感銘を受けた」鴻巣友季子氏(同上) 「言語だけを携えて、作者は世界に立ち向かっていく。この作品は一人の人間の中に沸き起こる複数の言語と文化、過去と現在の共振として読まれるべきように思う」 ――磯﨑憲一郎氏(朝日新聞2019年1月30日文芸時評)
りーび・ひでお 作家、日本文学研究者。1950年、カリフォルニア生まれ。少年時代を台湾、香港で過ごす。プリンストン大学とスタンフォード大学で日本文学の教鞭を執り、『万葉集』の英訳により全米図書賞を受賞。1989年から日本に定住。1987年、「群像」に「星条旗の聞こえない部屋」を発表し小説家としてデビュー。1992年に作品集『星条旗の聞こえない部屋』で野間文芸新人賞を受賞し、西洋人で初の日本文学作家として注目を浴びる。2005年『千々にくだけて』で大佛次郎賞、2009年『仮の水』で伊藤整文学賞、2016年『模範郷』で読売文学賞を受賞。法政大学名誉教授。
Reviews
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随筆のような物語
中国東側からチベット方面へ、車で旅をしながら過去を振り返る。 日本語で書かれながら、時々中国語、チベット語学が入り交じり、過去が回想される、しかも西洋人が書いているという、稀有な作品でした。Googleマップで地理を確認しながら読みました。コロナでどこも出かけられないため、行くことがかなわない遠い異国の世界に想像を馳せることができる作品は、心にしみわたりました。
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中国のさらにその先
台湾で育ったことのある、米国籍の作家、リービ英雄は、新宿の一軒家に住み、日本語で小説を書く。台湾への思い出のその先にある中国を訪れ、そして今回の作品ではチベットに向かう。中国の友人が運転する日産のブルーバードに同乗し、高地を走っていく。 チベットは中国のようで中国でないようで、言葉は漢文(中国語)ではなく蔵文(チベット語)。でも、中国政府はチベットの中国化を進めてきた。 標高3000mという高地では、簡単に高山病にかかる。それを避けるためには、酸素ボンベを用意していく。中国化されそうでいて、その標高はやっかいな世界でもある。 なぜ、主人公がチベットを目指すのかは明示されない。ただ、その中で、主人公の過去の断片が語られる。台湾で育ち、父親と別れて母親とともに米国本土に帰国したこと、その理由となった障害を持つ弟のこと、母親の再婚相手の連れ子である血のつながらない妹のこと、来日して住んだ新宿のアパートの部屋のこと、そこで灯りに照らされるチベットの本のこと。とりわけ、もうひとつの軸となるのが、母親との関係だ。妹から連絡がある。 主人公は、チベットの寺院で、高僧に受け入れられる。キリスト教的な贖罪が、祈りという形になって主人公に与えられる。でも、繰り返し表記されるチベットの文字は、遠く日本の寺院における、例えば卒塔婆に書かれる文字ではないのか。 物語はいたってシンプルで、行って帰ってくるだけ。遙か高い場所にある世界は、容易には変わらない強さを持ち、けれども人に取っては、他の世界ともつながっているし、世界の果てですらなく、来客を迎えてくれる、けれどもそれ以上には干渉しない、そうして存在する世界だということが確認される。人は転生するし、それは生きている間に何度も自分自身として転生するものであるのかもしれない。そうして子どもが生まれる。
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ん~何が伝えたいのかよく分からない。
本のタイトルと書きだしが気になって手に取ったけど失敗。 基本的に、私はエッセイとかのように、筆者が感じたことを つらつらと綴っているような本とは相性が悪いですが、 この本はまさにそんなか感じですね。 得るものがあったとすれば、チベット仏教の様子が 垣間見れたくらいかな? 逆にエッセイみたいなのが好きな人はいいかも?
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乾いたロードムービー
アメリカで生まれ台湾で幼少期を過ごし、成人してからは日本文学研究者として日本に移住する。作者のプロフィールそのままの主人公が、大陸の友人と共にチベットを訪ねる旅を描いています。 主人公は亡母がいないこと「不在」をうまくつかむことができません。不在とは有の反対概念ではない。有の世界にいる我々には理解できない状態。すべての物事は絶え間なく移り変わり、常なるものはありません。ですがそれとて有の世界の話。無常の有の世界は幻想で、本当は無なのだといいます。とはいえ、無と考えた瞬間に「無がある」ことになり、論理的思考を超えてしまいます。 やや分かりにくり日本語表現に味があり、魅力的です。主人公と一緒に高原の乾いた空気や困惑や許しを味わう、いい旅でした。
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仏教に洞察があり、的確な記述に心地よさを覚えた。
著者のことを知ったのは、會津八一の紹介者としてである。新潟市の會津八一記念館に常設されているヴィデオに登場し、流暢な日本語と會津八一に対する的確な評に感心していた。會津八一記念館には、催し物があるたびに行くので、そのヴィデオを何回か見ているが、小説家として紹介されているものの、どんな本を書くのだろうと思っていた。そして、新聞の書評でこの本のことを知り、読んだ。 内容はチベットへの旅行記である。道中のことが細かく書かれているが、飽きさせない。文章力に優れているのだろう。車で移動しているのだが、その車窓を眺めながら、時折、子供の頃や、母との暮らした頃を懐古し、読者に著者の個人経歴を垣間見せて興味をそそるのだった。この辺りの描写が平坦になりがちな道中記にめりはりをつけている。 アメリカ人でいながら、と書くのは失礼だが、仏教に洞察があり、その的確な記述には心地よさを覚えた。さすがに會津八一という玄人好みの文化人を研究するだけの素養があると思った。前に書いた著者の作品を読んでみたいと思わせる作家である。