暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ (講談社文庫 ほ 41-7)
A nonfiction work centered on the Ujina Army Shipping Command that uncovers the maritime logistics behind the Pacific War and Hiroshima's wartime history. Through the actions of figures such as Tajiri Shoji, it brings the structure of logistical neglect into view.
Work Information
The structure of a war that neglected logistics becomes visible from Ujina Harbor.
A work by Horikawa Keiko published by Kodansha in 2021. Through the Ujina Army Shipping Command, the 'Akatsuki Unit', it portrays Japan's wartime mobilization and Hiroshima's memory in three dimensions.
Review Summaries
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It is evaluated as a nonfiction work that sees through the causes of Japan's defeat in the 'war at sea' by focusing on maritime transport and the neglect of logistics.
Book Information
- Publisher
- 講談社
- Published
- 2024-07-12
- Pages
- 480 pages
- Language
- 日本語
- Size
- 10.8 x 2.1 x 14.8 cm
- ISBN-13
- 9784065345054
- ISBN-10
- 4065345057
- Price
- 1045 JPY
- Category
- 本/文学・評論
人類初の原子爆弾は、なぜヒロシマに投下されなくてはならなかったのか。 第48回大佛次郎賞受賞の傑作ノンフィクション NHK BSスペシャル 2024年12月放送予定 陸軍兵士の海上輸送という、日本軍事史上最も重要で、最も未解明の問題に光を当てた素晴らしい本だ。――東京大学名誉教授 北岡伸一 本書『暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』を読んで、先の大戦の敗戦に対する「身近」な感じが、身を切られるような切迫した今ここにある課題なのだということを確信した。――ジャーナリスト 船橋洋一(解説より) 誰よりもこの国の船舶事情を知り尽くし、開戦に反対して罷免された軍人がいた。自ら開戦決定の歯車となり、破綻する輸送現場に立ち尽くす参謀がいた。そして敗戦を確信し、海ではなく原子野に立つことを選んだ司令官がいた。彼らの存在が、そして軍港宇品の記憶が、あまりに早く忘却の彼方に追いやられてしまったのは、世界で最初の被爆地となったヒロシマの宿命でもあった。(序章より) 人類初の原子爆弾は、なぜヒロシマに投下されなくてはならなかったのか。 日清戦争から始まり満州事変、日中戦争、太平洋戦争に至るわが国の近代戦争の中枢にあった、旧日本軍最大の輸送基地・宇品。 その司令官たちとヒロシマが背負った「宿命」とは何だったのか。 第48回大佛次郎賞受賞の傑作ノンフィクション。
1969年広島県生まれ。ジャーナリスト。『チンチン電車と女学生』(小笠原信之氏と共著)を皮切りに、ノンフィクション作品を次々と発表。『死刑の基準―「永山裁判」が遺したもの』で第32回講談社ノンフィクション賞、『裁かれた命―死刑囚から届いた手紙』で第10回新潮ドキュメント賞、『永山則夫―封印された鑑定記録』で第4回いける本大賞、『教誨師』(以上、すべて講談社文庫)で第1回城山三郎賞、『原爆供養塔―忘れられた遺骨の70年』(文春文庫)で第47回大宅壮一ノンフィクション賞と第15回早稲田ジャーナリズム大賞、『戦禍に生きた演劇人たち―演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇』(講談社文庫)で第23回AICT演劇評論賞、『狼の義―新 犬養木堂伝』(林新氏と共著、角川文庫)で第23回司馬遼太郎賞を受賞。本書『暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』は2021年に第48回大佛次郎賞を、24年に山縣勝見賞・特別賞(同作を通じて船舶の重要性を伝えた著者とその講演活動に対して)を受賞した。
Reviews
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歴史と組織のなかでの人の運命
本当に素晴らしい本でした。 広島の宇品にあった陸軍船舶部の司令官たちの物語で、無謀な戦争への止まらない時流のなかで、なんとか責任を果たそうと苦闘した司令官たちの姿には胸を衝かれます。 類書のない内容で、著者が行ったはずの膨大な調査と研究を思うと、本当に頭が下がります。 著者と、貴重な記録や手記を残してくれた方々のおかげで、私たちは歴史を知ることができます。 題名だけ見るといかにも地味ですが、大変ドラマティックです。 できるだけ多くの方に読まれてほしいと思う本でした。
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読み応えあり
戦争の舞台裏を知ることができた。
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ロジスティックスだけではなく、組織体制もお粗末に感じる
ロジスティックスの拠点、宇品からの視点で描かれている。 昭和にもなっていながら、陸軍は長州、海軍は薩摩、薩長にあらずんば人にあらずという藩閥体制を 引きずっていたことに驚く。「ある明治人の記録」を読んでいるだけに、長州のテロルの系譜が陸軍に 生きていると感じてしまう。 今更ながらだが、皇道派は「極右テロ」、統制派は「組織ガバナンス(文字通りの意味だが)」と捉えれば 納得がいく。 藩閥体制に弾かれた人(出世ルートに乗らない)が宇品に居残り、ロジスティックスの専門家となり 戦争を支えていくのは皮肉に感じる。また、実務は民間の船舶・人員に頼っており、その陣容も 粗末に感じられる。軍隊の優越意識が現場軽視となり、戦争に支障をきたしているのがわかる。 真珠湾攻撃も、ロジスティックスからは8月に準備をしていたことがわかる。12月開戦に照準を合わせており 戦争を避けようとしたのは、一部の人と見た方が良い。
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負けるべくして負けた先の大戦
島国が抱える基本的な問題を無視した結果が最大の不幸をもたらしたとしか言いようがない。日本は戦争ができない国。昔も今もそれでいいと思います。ただし、自国を守る武装は必要だと思う。今の情勢であればなおさら。
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陸軍の海運専門部隊の記録であり、同時に太平洋戦争の敗北を船舶による海上輸送能力という観点から分析した圧巻の一冊
「太平洋戦争は補給を軽視したから負けた」 ……日本人であればご存じの方も少なくないフレーズだけど、それじゃ日本が海外で戦争をするにあたって求められる補給って、ロジスティクスって何かと問われると言葉に詰まる方もまた少なくないかと思われる。 本書はその太平洋戦争の敗北に直結したとされる補給の問題を海上輸送の、即ち「輸送船」の問題に目を付けて徹底的に掘り下げたルポルタージュである。戦争に用いられた船の話なら海軍に関する取材が中心なのかと思われるかも知れないが大間違いであると予め申し上げておく。 なんと旧海軍は海上輸送に一欠片も関心が無く、海の向こうで戦う自国の兵士の為に弾薬や食料、あるいは援軍となる追加の兵士を輸送する船を護衛する任務すら「そんなのは我々の任務では無い」と協力する姿勢すら見せなかったというのだから驚かされる。 当然ながら海の向こうに兵士を、弾薬や兵器を、食料を運ばねば戦う事すら叶わない陸軍としては自前で海上輸送の筋道を立てなければならない。その為に立ち上げられたのが陸軍の海上輸送専門部隊であり船舶輸送の専門家集団「陸軍運輸部」別名「暁部隊」である。 本書は本来大陸や台湾への運輸が主務であった筈の陸軍運輸部が満州事変を切っ掛けとして戦端が開かれた日中戦争によりその重要度が増し、太平洋戦争に至ってその活動範囲が日本近海から南半球まで広がり、やがて終戦間際を迎えた時期に原子爆弾を投下されるに至った広島で独断の、しかし必死の救護活動を行った陸軍運輸部(戦時には船舶司令部)の歴史を三人の人物の足跡を中心に追っている。 一人は何の後ろ盾も無い中で陸軍運輸部を戦時に対応できる集団へと育て上げながら最後は罷免の憂き目に遭った「船舶の神様」田尻昌次 一人は宇品を去った田尻の後を引き継ぐ形で田尻が不可能と断言した南方への輸送に絶望的な船舶不足の状態で臨んだ参謀・篠原優 一人は船舶を失い海上輸送と言う本来の任務が果たせなくなる中で特攻兵器を押し付けられ原爆の惨禍の下で救護活動に当たった司令官・佐伯文郎 本書で語られるのは彼らの足跡であり、同時に彼らが突き付けられた旧軍首脳部の「根拠なき楽観主義」でり「不都合な真実への否認」である。 本作の主役となる三人は紛れもなく船舶による海上輸送に携わる実務家であり「現場の人」であるのだが、彼らが膨大な試行錯誤と経験の積み重ねの中で導き出したのは島国日本の生命線とも言える戦時における海上輸送の不可能性だったのだが、その結論が根拠とも言えない「ナントカナルサ」の精神と組織防衛主義、そしてあまりにも現実離れした船舶損耗率によって捻じ伏せられていく過程である。 この過程を見ているとどうしても思い出してしまうのが東日本大震災に伴う原発事故であろう。「全電源喪失などあり得ない」という何の根拠も無い利益・利権優先の想定が何を招いたかを考えれば日本人の、日本政府の体質というのは太平洋戦争当時の軍部と何ら変わりないのではないかと疑ってしまうのは私だけでは無いだろう。 本書においても海軍による護衛はおろかまともな武装一つ与えて貰えなかった陸軍の徴用船(当然ながら動かしているのは民間人)がアメリカの潜水艦や航空機が待ち構える南洋で無謀な輸送計画の中海の藻屑と消えていった様がこれでもかと繰り返し描かれて、その非人道性には言葉を失う。とりわけガダルカナル島への輸送で海岸への座礁を命じられた鬼怒川丸の乗組員たちが辿った運命など「悲惨」という言葉すら生ぬるく感じる。 陸軍20%、海軍12%という戦死率と比較し43%という桁違いの死亡率を記録した船員たちの慟哭が読んでいる間中耳の奥に響き渡る、そんな読書体験を与えてくれる一冊であった。
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戦争で大事な兵站事情のことがよくわかりました
兵站のために苦労していた、「田尻昌次司令官」「佐伯文郎司令官」の努力がよく解りました。しかし、その努力に報いる護衛戦準備(海軍と陸軍の連携)が不充分だったことに、作者は何故、もう少し言及しなかったか、アメリカの戦力と日本の戦力の違いに何故、言及しなかったか知りたかった。 そうしたことが分かれば、どうにもならなかった当時の様子が理解でき、戦争による悲劇や惨めさへの想いが共有できたように感じました。
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日本人が自らに問うべきは先の大戦の戦争責任ではなく、敗戦責任。
日本の敗戦の原因を知ることは将来の日本を支えてゆくために必要な知識です。 過去を水に流すという日本人の悪弊を捨て去るためにも大変良い書物です。
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軍港について興味のある方
軍港宇品港の歴史がよくわかりました。ちなみは私は宇品に住んでします。