Shosetsu Subaru Newcomer Award
サラの柔らかな香車 (集英社文庫)
A youth novel in which a young man who has failed in the shogi world reconsiders his own dream while teaching a blond, blue-eyed girl the game.
Work Information
Shogi changes the distance and the future between two people.
Winner of the 24th Subaru Newcomer Award. It uses shogi to explore talent and the world of competition.
Book Information
- Publisher
- 集英社
- Published
- 2014-09-19
- Pages
- 280 pages
- Language
- 日本語
- Size
- 10.5 x 1.2 x 15.2 cm
- ISBN-13
- 9784087452280
- ISBN-10
- 408745228X
- Price
- 707 JPY
- Category
- 本/文学・評論
プロ棋士の夢が破れた男と、金髪碧眼の不思議な美少女が出会う。彼女に将棋を教えると奇跡的な才能が開花する。厳しくも豊かな勝負の世界を描く傑作。小説すばる新人賞受賞作。(解説/大崎善生)
Reviews
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面白い
将棋好きには面白い
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三人の女流棋士それぞれの人生、将棋への思いの強さにわくわくしながら、頁をめくってました。
タイトルに名前が入っている少女〈サラ〉だけでなく、女流棋士として豊かな才能と勝負強さを持っている〈萩原塔子(はぎわら とうこ)〉〈北森七海(きたもり ななみ)〉の三人が織り成す人間模様、将棋に賭ける三者三様の思いの強さに心打たれました。 著者の傑作『覇王の譜(はおうのふ)』(新潮文庫)の読みごたえには及ばないけれど、随所に「おっ!」と惹き付けられる描写があって良かったです。 なかでも、小学二年生の七海が百貨店の将棋まつりで、萩原塔子・女流三段の指す将棋に見惚れるシーンの素晴らしさ! 将棋という世界の奥深さに目覚めはじめた少女の運命的な出会いを描いて、文庫本140頁から145頁にかけての六頁に、私はしびれました。 続篇てことでいいのかな。著者の『サラは銀の涙を探しに』(集英社文庫)行くんが楽しみであります。
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どこかで読んだような設定が多い
もし伝説の真剣師・新宿の殺し屋 小池重明に子供がいて、その子供が将棋 界に復讐するなら・・・・という設定は少しでも将棋の世界に浸っていて文学 好きなら妄想することで、実際の小説として目の前に現れた時はやはり少し批 評的にならざるを得ない。 既に他者のレビューに言及されている通り、文章表現の稚拙さが少々目立つ のと、登場人物の設定が実際の将棋界+過去の将棋小説、コミックなどからの 寄せ集めにすぎず、著者オリジナルのキャラクターがほとんど見かけられない ことが非常に残念だ。 林葉直子女史原作の「しおんの王」に既にサラ・塔子・七海の三人の女流将 棋差しのパターンが出ているし、現役実名棋士以外の棋士、元奨たちもどこか で読んだものの範疇を超えていない。あとは著者にとっては余計なお世話かも 知れないが、もう将棋については書ききった雰囲気が感じられ、次の材料があ るのかな、と思ってしまったほどである。
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一気呵成に読み終えました
元奨励会での研鑽が文章力を伴うとこんな素敵な小説を生み出すのだという化学反応を見た思いです。 将棋の記譜は断片的に盛り込まれていますが、局面がないため、将棋の知らない方はそのまま雰囲気を味合えばいいですし、将棋を知っている人は脳裏に将棋盤をおいて読み進めることになります。 サラという天才を登場させるところもミステリアスですし、萩原塔子、北森七海という女性を素敵な対戦相手として登場させるのもいいですね。それぞれの対局シーンもまた実にしっかりと描かれていました。「小説すばる新人賞」の受賞作は伊達ではありません。 寝食を忘れて、一気呵成に読み終えた瞬間、大きな対局を終えたような心地よさに浸れました。 小説ですから、ストーリーには触れません。未読の方もおられるわけですから。 終盤戦の副題が秀逸でした。また、このような終盤戦は予想だにしないものです。多くの将棋を舞台にした小説を読んできましたが、他のストーリーとはかぶらないもので、将棋の奥深さを知っている作者ならではの展開だと思いました。
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将棋の才能をめぐっての青春群像小説
私は囲碁はそこそこ打てるが、将棋に関してはルールを知ってる程度である。 戦術や専門用語などはほぼ知らない。 しかし、そんな私でも十分楽しめた。 将棋を知らなくても楽しめる小説なのでそこは安心して手に取ってよいと思う。 本書ではプロ棋士養成機関である奨励会を突破できずプロ棋士になれなかった人物が何人も出てくる。 子供のころから人生の全てを将棋に賭け、プロ棋士になる事だけを夢見て努力してきた人間の挫折。 その挫折のショックたるや一般人には想像もできない。 将棋ではないが、私が教えてもらっていた囲碁のプロ棋士は 「18歳までにプロになれなかったら本気で自殺するつもりでした。」 と言っていた。 小中学校でもあまり勉強はせずに囲碁に打ち込んでいたし、高校には進学せずにプロ棋士を目指してたそうだ。 もし、プロになれずに社会に放り出されたら学歴もなく囲碁以外になんのとりえもない人間で、社会で生きていく術がない。親のすねをかじるくらいなら死のう。と真剣に考えてたそうだ。 幸いその棋士は16歳でプロになれているが、10代で人生に挫折して自殺した人も何人かいるそうだ。 本書にはそうしたいわゆる「奨励会クズレ」と呼ばれる人たちのエピソードがいろいろと出てきて興味深い。 作者自身も奨励会で挫折して夢をあきらめた人だ。 どんなに人生を賭けて努力しても越えられない壁というものが将棋や囲碁には確かに存在する。 その一方で凡人が死ぬほど努力しても越えられない壁をアッサリと越えていく人間もいる。 いわゆる「天才」と呼ばれる人である。 本書の主人公の護池・レメディオス・サラがそうである。 実在の棋士で言えば史上最年少でタイトルを獲得した藤井聡太や羽生善治などがそうであろう。 凡人とは全く違う風景が見えている人である。 本書はそうした天才と凡人を対比させ、「才能」とは何かを考えさせられる内容になっている。 将棋の才能をめぐっての青春群像小説として楽しく読めた。
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才能論について考えさせられます
将棋世界に元奨励会の人が書いたものとして紹介されていたので興味を持って買ってみました。将棋の図面は全くなく将棋の知らない人が読んでも理解できると思います。現在の将棋界のことも知らないことを前提に丁寧に説明されています。また将棋界に詳しい人なら知らないことは全くなくスムーズに読み進められます。 私は現在奨励会に入っている子供やこれから受験しようとしている子供と普段接しています。またプロ棋士になった人の子供時代のこともよく覚えておりまわりの大人達とよく才能論について議論することがあります。この本にあるサラという少女の軌跡は才能論を考える上で今まで実際に見た少年達とは一味違います。子育て論と見ても考えさせられる作品になっていると思います。
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一気読み必至。軽快なストーリーは十分に楽しめる。
ミステリーとミステリーの間に一時の清涼剤のつもりで手にした。軽快な語り口でどんどんページをめくっていく。話題の将棋を題材にした、どこかで耳にしたことのあるストーリーではあるけれど、それでも十分楽しめた。ジャンルは違えど昔流行った、ヒカルの碁を思い出した。映像化しても面白い作品。
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才能は君が持つもの、天才は君を持つもの
将棋界を舞台に描かれた青春小説。「天才とは」という問いに正面から挑んでいる。将棋の指し手の描写もあるが、 描かれているのは、勝ち負けの機微ではなく「天才とは何か・才能とは何なのか」というテーマをめぐる考察である。 1.少女たちの闘い いわゆる戦闘美少女ものの系譜(の傍流)に入るつくりになっている。主人公のサラは金髪碧眼の美少女。作中に 描写はないが、アルビノのイメージがある。表紙ジャケット写真の影響かもしれない。迎え撃つ女流名人萩原塔子は 別のタイプの美女。 ただし、この部分=萌え要素は、本作品の本領ではない。 2.共感覚・ヴィトゲンシュタイン・魔法医 将棋の世界には「モノが違う」という言葉がある。その世界である程度の研鑽を積んだときに痛いほどわかる格の違い というものが、厳然として存在する。 格の違いとは何なのか、なぜ我々は天才の物語に飽かず惹かれるのか。そうした問いに答えるために本作では様々な 概念や人物が援用されている。 ・音や文字が同時に色や味が経験される共感覚 ・哲学の新分野を切り拓いたヴィトゲンシュタインの孤独 ・主人公の運命を見通した魔法医 などがそれである。必ずしも作品世界に適合しているわけではないが、ある種のリーダビリティの保障になっている。 個人的な好みを言えば、こうしたペダントリーを(ハッタリでよいから)もっと書き込んでほしかった。たとえば、 魔法医をめぐってなら、中島らもが『ガダラの豚』で展開したような文化人類学の知見をこの作品の中で読みたかった。 3.モデル探し 本作には、将棋ファンかつ文芸書マニアというニッチなファンに対する目配せが散りばめられている。 主人公の「護池・レメディオス・サラ」の名字である護池は、もちろん伝説の真剣師小池重明からとられたものだろうし、 ミドル・ネームのレメディオスは、スペインからメキシコへ亡命した女性画家レメディオス・バロへのオマージュに違い ない。新潮社版『百年の孤独』の装丁がレメディオス・バロの画です。