絵金、闇を塗る
Ekin, Painting the Darkness is a historical novel about the Tosa painter known as Ekin. Through the lives and deaths of people drawn into his paintings, it traces his path from Edo training and exile toward the uncanny beauty of theater paintings.
Work Information
Blood-dark paintings reveal the power of art to alter human fate.
NDL confirms the hardcover ISBN and page count. Shueisha's paperback page confirms the content description; the award-period hardcover ISBN is used here.
Review Summaries
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Readers value the mix of legendary painterly material and accessible historical fiction. The portrayal of people possessed by art gives the novel a dark pull.
Book Information
- Publisher
- 集英社
- Published
- 2018-07-05
- Pages
- 336 pages
- Language
- 日本語
- Size
- 13.4 x 2.6 x 19.4 cm
- ISBN-13
- 9784087711486
- ISBN-10
- 408771148X
- Price
- 1870 JPY
- Category
- 本/文学・評論/歴史・時代小説
祝!! 第7回野村胡堂文学賞受賞 江戸末期に土佐に生まれ、幼少より絵の才能を発揮し、狩野派の技法を信じがたい短期間で習得した天才絵師、絵金。江戸で絵を学んで故郷に戻り、土佐藩家老のお抱え絵師となるも、とある事件により追放される……。狩野派を学びながらも独自の美を追究した絵金は、血みどろの芝居絵など見る者を妖しく魅了する作品を描いた。 その絵に魅入られ、人生を左右された男たちの生きざまから、絵金のおそるべき芸術の力と、底知れぬ人物像が浮かび上がる、傑作時代小説。 (目次) 序 一章 岩戸踊り 二章 絵金と画鬼 三章 人斬りの目覚め 四章 末期の舞台 五章 獄中絵 六章 絵金と小龍 【著者略歴】 木下 昌輝(きのした まさき) 1974年奈良県生まれ。近畿大学理工学部建築学科卒。2012年「宇喜多の捨て嫁」でオール讀物新人賞を受賞。2014年、単行本『宇喜多の捨て嫁』を刊行。同作は2015年に第152回直木賞候補作となり、第4回歴史時代作家クラブ賞、第9回舟橋聖一文学賞、第2回高校生直木賞を受賞した。他の著書に『人魚ノ肉』『天下一の軽口男』『敵の名は、宮本武蔵』『戦国24時 さいごの刻』『秀吉の活』『兵』『宇喜多の楽土』がある。
Reviews
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絵金に噛みつかれた6人の物語
絵金さんを、追いかけたらいかんぞえ…。 絵金さんを追いかけよったら、噛みつかれるがで…。 本書は、絵金に魅せられた…いや、取り憑かれた6人の物語である。 絵金の才能を見出した者、育てた者、影響された者、跪かせようとした者、己を託した者、そして人生を翻弄された者に至る迄…彼等の眼を通して絵金の魅力を思う存分味わう事が出来るばかりか、幕末から明治に掛けての過渡期と言う時代のうねりを感じる事も出来る。 因みに本書に登場する人物達は如何にも人間臭く、絶妙な心理が描写されている所が秀逸であるが、そんな彼等の心の隙に絵金の魔力がじわじわと入り込む…だが、絵金は決して自ら望んだ訳ではない―何故なら、絵金はただ「絵と目合っただけ」であり、それに惹き込まれ、翻弄されたのは彼等の弱さ…否、心の奥底に潜む本質に絵金が一瞬触れただけなのだ。 心の闇や迷い、そして苦悩…そんな彼等を嘲笑うかのように、或いは同情するかのように…欲も無く、野心も無く…そう、絵金は全てを超越した存在だったのだ。 何れの章も素晴らしいが、個人的に最も感銘を受けたのは最終章…何故なら、彼の作品は顔料や技法には関係なく、その土地に溶け込んで初めて「完成する」事を知ったからである。 単に絵金の作品集ばかりを追い求めるだけでは彼の本当の魅力は理解出来ない…即ち、彼の作品を知るには「土佐と言う土地」の「祭りの中」の「蝋燭の動き」が必要だという事を実感し、改めて彼の作品の一つ一つを見直そうと思った次第である。 絵金…天才にして奇才、華美にして残酷、崇高にして猥雑、眼を背けたくもあり見たくもあり…その与えられた才能が余りにも偉大だったが故に決して時代が彼に追い付く事は無く、また本人も型に嵌った出世は考えなかったのだろう…確かに狩野派に入門し、その卓越した技術で全てを習得はしたが、寧ろ破門されてからの方が彼はより自由であった。 だからこそ思うのだ…絵金はやはり「本物の絵師」だった、と。 恐らく日本美術史を専攻した方でも絵金を知らない方はいるであろうし、屏風絵は祭りが終われば燃やされる運命にあったが為に、既に多くの名作が失われてしまったに違いない。 これは、普通の芸術家だったら許せないのではなかろうか? 何故なら、芸術家は後世に名を残し、作品が残る事を求めるからである…だが、本書を読み終えた今、絵金は名も作品も残らずとも満足だったのではないかと思った…何故かは解らないが、そんな人だったのではないかと思えてならないのだ。 最初は「小説=作り話」として期待はしていなかったが、いざ読んでみると、寧ろ伝記や画集よりも絵金の魅力を最もよく伝えているのではないかとさえ思う程の緊張感があり、今に絵金の作品が目前に再現されるかのような究極の迫力があったように思う。 絵金さんを追いかけよったら、噛みつかれるがで…。 私はもしかしたら、既に噛みつかれつつあるのかもしれない。
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上等でした
コロナ禍で図書館が利用しにくい昨今、最近は読みたい本が古書で安く買えるので助かっています。 この本もそういう本でした。また利用させていただきます。著者の木下さん、がんばってください。
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楽しく読んだ
「獄中絵」で、「おもしろみのない」人間に「おもしろみ」を求めるのは酷だよお。 と、心から思った。 規律正しく自制したい「性分」の人間に「魂をぶつけろ」と言ってもなあ。全員が全員そういう風に振る舞ったら世の中無法地帯になる訳で。しかも本人が「絵で何かを表現したい」と渇望してる訳でもないのにそら無茶な。的に。 鬼才異才とは距離を取った方が平穏な人生送れるよな。関わったのが運の尽き。と、思わんでもなかった 概ね楽しんで読みました
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おもしろかったー
読み始めたら 一気に読んでしまいました 実物の絵を見たくなります
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今年は終わってしまったが絵金祭りが一躍ブレイクする予感
七月の三週目の終末は土佐の赤岡町では絵金祭りだった。 今年の絵金まつりは豪雨災害の後の熱帯夜と湿気を得て、更に妖艶、凄壮なものであったことだろう。 いつかは行かねばならぬ私の夢の祭りの一つである。 小さな南の漁師町の真っ直ぐな通り、夜が更けるとどの家も明かりを消し百目蝋燭の火だけが並んでいる。 揺らめく蝋燭の灯りに照らし出されるのは各家の軒先に並べられた極彩色の血みどろの芝居絵。 血走った眼、見栄を切った異様な立ち姿、乱れる黒髪、 そして絵金の血赤と呼ばれる水銀朱で彩られた鮮血と業火。 闇夜だからこそ揺らめく蝋燭の火に生命を得たように蠢く残酷絵、無惨絵の数々。 そして、その絵師、絵金を題にあの木下昌輝が連作短篇を書いた。 時は幕末の土佐、江戸、大阪、そして土佐、更に赤岡。 絵金が絵金と成る前の幼少時代から随時トピックを追って語られる。 だが物語は絵金の成長物語というよりは、初めから妖異なまでに卓越した絵師である絵金が、その絵が 動乱の幕末の時代の人物たちの運命の引き金となってゆく様相を描いている。 主役は絵金の絵であり、それに踊る男たちなのだった。 八代目團十郎を感応させ、岡田以蔵を人斬りに狂わせ、 武市半平太も坂本龍馬も絵金の絵に触発されて己の運命の役どころを取り憑かれたように演じてゆく。 以前より絵金を知る者も、この物語で絵金を知った者もこの登場人物たちのように読後に己の内の 何者かに出逢い何者かに変曜するかもしれない。 謎の絵師を謎のままに留めながら読者にこのように傷跡を刻むとは、流石は宇喜多サーガの語り部、 木下サーカス団の団長である。(笑)
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絵金がいたということ
その通り
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色彩が迫り来るパワー溢れる作品
初めて読んだ木下昌輝作品。とても骨太でした。 活字は白黒なのに、目に見えるのは「血の赤」と「光の金」。色彩がグワッとくる作品でした。 力強さとインパクトと圧力。読み終わって、やっと深く息が吸えました。 この本は、パワーストーンに近い気がします。身近に置いておくのが怖いぐらい、本からパワーが溢れています。
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幕末と言う時代がが生んだ異端の天才絵師の物語
おどろおどろしい表紙絵にまず度胆を抜かれた。主人公・絵金の数少ない現存する絵屏風だと言う。幕末の我が国は、外様雄藩の台頭、欧米列強の横暴、幕藩体制の制度疲労、夜郎自大な神国思想などが相まって、尊王攘夷、佐幕と言った名分のもと血で血を洗う闘争が行われていた。西郷どんや、土方歳三達と同じそんな時代が生んだ、異端の天才絵師・絵金こと林洞意。彼と彼の描く屏風絵や芝居の看板絵を巡る土佐藩著名人の物語である。 筋書きが時として時空を飛び越えて、回り灯籠かキュビズム小説と呼びたいような展開に戸惑ったが、とにかくすこぶる面白い。ただ狂気の天才絵師の呪縛によって土佐藩や都で悲惨な事象が起きたのではなく、次世代を生み出すマグマが、土佐勤皇党と同時に絵金の才能も開花させたのに違いない。ナポレオンと言う英雄やマルクスという天才が歴史を作るのでは無く、時代が彼らを生み出したのだと信じている者として星ひとつ減らさせてもらった。 ただ、巻末で土佐勤皇党への歴史的評価を絵金の弟子・小龍が述べていた。明治維新への趨勢に疑念を捨てきれない愚者として、将に我が意を得たりの思いであった。謀略、強奪、暗殺の匂いのする勤皇党の岡田以蔵よりも沖田総司の方が美しい。これで星ひとつプラス、結局5☆に落ち着いた。
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