Art Encouragement Prize for Minister of Education, Culture, Sports, Science and Technology
無花果の森 (新潮文庫)
After escaping an abusive husband and settling in a provincial city, Izumi works in the home of an elderly painter and slowly reconsiders love and renewal after loss. It portrays isolation under pressure and the possibility of starting again.
Work Information
A story of love and renewal after everything has been lost.
A novel published in Shincho Bunko. Known as a long work about isolation and renewal, it also won the Art Encouragement Prize from the Minister of Education, Culture, Sports, Science and Technology.
Book Information
- Publisher
- 新潮社
- Published
- 2014-04-28
- Pages
- 575 pages
- Language
- 日本語
- Size
- 14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-13
- 9784101440279
- ISBN-10
- 4101440271
- Price
- 935 JPY
- Category
- 本/文学・評論
小雨の降りしきる午後、夫の暴力に耐え切れなくなった新谷泉は、家を飛び出した。隠れ場所を捜し、ごくありふれた地方都市に降り立った彼女は、狷介な高齢の女性画家に家政婦として雇われることになる。降り続く雨のなか、時間だけが静かに流れゆく日々を過ごす泉は、思いがけない人物と出会う……。追いつめられ、全てを失った男女の愛と再生の物語。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
Reviews
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とても面白ろかった!
この物語の主人公の女性の一種の恋愛模様とこの女性を雇った老画家の存在が興味をひいた。
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人生に絶望した男と女。それゆえ離れがたい思いが強まる。
アダムとイブが裸を隠すために使ったのが無花果の葉。 無花果の花は外からは見えない。 夫のDVから逃れ、隠れるようにたどり着いた新谷泉が落ち着く先が著名な画家天坊八重子の家。 その家の庭に植わるのが、無花果の木だというのが象徴的。 画家天坊八重子は、自らの意志で世界から孤絶し、安易に世界と手をつながずにきた人間ならではの、ある種の強さ、凄みを持つ女性で、自分が誰で、何をしているのか時々分からなくなるという主人公泉とは真逆の生き方をしてきた人間。 そんな泉が偶然出会った鉄治も、偽名を使い、世間から隠れ生きている、ある意味未来のない男。 自ら隠れ生きている、そんな、名前も未来もない男女でも、惹かれあうことができる。 未来をあきらめていた二人だからこそ、ただの世間話をしているときでも、一瞬一瞬が満ち足りていながら、それがすぐに消え去ってしまうまぼろしのように思え、わが身の幸福が消えることに恐れる。 人生に絶望した男と女。 それゆえ離れがたい思いが強まる。 鉄治は泉にとって、忘れかけていた炎を灯してくれた存在だ。 立ち上った炎は、いま静かに揺らめき、深かった闇に一条の光を与えてくれている。 そんな二人だけに、彼らに関係してくる人間は限りなく少ない。 飲み屋『ブルーベルベット』を経営するゲイのサクラは、そんな二人に関わる数少ない一人。 サクラの描かれ方は、(例えば、毒舌的本音をはくなど)完全にステレオタイプのゲイと言えますが、それはサクラがステレオタイプのゲイを演じているからだとも言えるでしょう。 打算的でありながら優しさも併せ持つサクラは、どこか憎めない存在として描かれており、ステレオタイプと分かっていても、本作を楽しませる一点的存在となっています。 小池真理子作品としては『恋』や『沈黙の人』、短編集『千日のマリア』などと比較して、それほどハット驚くような意外性はないものの、どっしりと安定した作品との印象を持ちました。
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差入れ用
差入れ用
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よかった
小池真理子さんの本は何度か読んできたが、死別や別れストーリーが多く感じられてきたが、 この本は最後に求め合う二人が再会し、その後おそらく一緒に幸せに過ごして行くのだろう思われるストーリーで終わって行く感じがよかった。 途中ドロドロでも最後にハッピーエンドとなるような本をもっと書いて欲しい。
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映画化で
映画を見るために読みましたが意外と面白かったです。結構長いですが
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キャラが
新聞連載だったんですよね?だからと言うわけでもないですがキャラの設定が甘いです。孤高の女流画家もなんだか時々どうでもいいと言いながら泉のことに興味津々になったりして下世話な婆さんが実は本性?と思うしオカマも余計な登場人物です。
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さすが小池さん
読み出して、あれ? 小池真理子?という感じでした。そしてその理由は読み終わった時にわかりました。 それは、この小説が日経の夕刊連載だったからだろうと。 日経の読者の多くは男性でしょう。そしてサラリーパーソン。 あえて小池さんが男性向けに書いた小説なのかもしれませんね。 でも、やはり小池さんの言葉遣いは上手だと思います。 そして男に対する厳しい目と優しい目がある。 2009年の「ふたりの季節」の様な自叙伝的ラブストーリーも良いし、本作品のような対照的な二人の男を登場させて物語が進む日陰的な作品も良いです。 小池さんの観察眼というのか、社会を見る目が凄くリアルです。 おそらく世の中には沢山いるのであろう最低な男、ただし社会的には認知され評価されていたりする男。 主人公の女性(泉)が言葉の暴力と身体的暴力にさいなまれれた時の描写。 「あなたは一種の人格破綻者であり、妻に向かってサディスティックな振る舞いをしなければ、生きていけないほどの幼稚な人なのだ」 「妻を完全に支配しなければ気がすまないのは、自分に自身がないからなのだ」 「あなたは確かに天才と呼ばれている(映画監督として)かもしれないけど、裏の実態はこれなのであり、このことを知るのは私しかいない、私はいつでも、あなたから受けた謂われない暴力を世間に公表できる」ということも半ば身を震わせ、絶叫するようにして言った。 嗚咽し、あやまる必要もないのにあやまり続け、部屋の片隅でまるくなりながら嵐が過ぎ去るのをまっているだけだったのが、、、 世の男性は多かれ少なかれ、身につまされるのであろう。
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「安手のドラマみたい」な展開
小池真理子氏の本は大好きで、しかも今作は「DVを受けた女性が新しい人生を切り開いていく物語」と聞いて、期待して読みました・・・が。 残念ながら期待外れ。 展開が都合が良すぎる。 DVを受けた妻が夫から逃げ出して見知らぬ街に住みついて、 そこに顔見知りの同じく逃亡中の男性がいて、当然のように結ばれて・・・って、 作中の台詞にもあるように「安手のドラマみたい」。 DVを受けた女性・DVをする側の男性の実態にも、真に深く迫っていない。と強く感じました。 何というか、DVに対するイメージやデータだけで書いた描写みたいでした。 実際は、DVをする側は、その人がいないと生きていけないかのように被害者に思い込ませ、感情的・精神的に被害者を コントロール下に置きます。被害者にとってDV加害者は、単に「自分に恐いことをする人」というだけでなく、 その人にすがらないと生きていけないようにされているので、DV加害者に依存していくようになり、 自尊心や自立心・気力を奪われ、DV環境から簡単に抜け出せず、泥沼の中で苦しみます。 本の中で描写されているより、もっと複雑で深い心理的な葛藤や苦しみが被害者にはあります。 だのに、その点があんまりリアルに書かれていない。 小池氏は某女性週刊誌のインタビューで、「自分で考えて生きる主人公にしたかった」と語っていましたが、 この主人公は、そのような人物像として描かれていたかな?疑問に思いました。 どちらかというとこの主人公は、問題や苦しさを自分の力で「考えて」向き合って生きていくというよりは、淡々と「流れるように」生きていくタイプだと思います。 加えて、せっかく、主人公をお手伝いさんとして雇う高齢で独身の女画家という、人生のペーソスを感じさせられるような 面白い脇役を配しているのに、ストーリーに効果的に生かし切れていなくて勿体ないです。このお婆さんの存在が、 主人公の人生にとってどんな意味があったのか、もっと書き込んでほしかった。 他にも、タイトルにも使用されている「無花果の庭」や、老画家と詩人との秘められた恋などの、 ストーリーの中の小道具が活きていない。 主人公の母と姉との関係が殆ど触れられていない点(どうして主人公は夫のDVの被害下にあるのに、自分の肉親に助けを求められないのか。 そこをもっと書き込めば、主人公の孤独がより明確に浮き彫りになったはず)など、もう一歩踏み込めばもっとリアルに主人公像に 肉薄できたのに、全体的に書き込まれていない「余白」の部分が多すぎて、残念です。 筆力がある作家さんなので、読者を最後まで「読ませる」ことは出来るし、それなりに面白く読めるとは思います。 ただ、実際に現実の世界でDVを受けている被害者や、辛い思いをしている女性が 本から真剣に何かを掴もうとして読むと、本書の内容の踏み込みの足りなさとリアル感の欠如に、すごく物足りなく感じると思います。