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魔王の愛

Ito Sei Literary Award

魔王の愛

Katsunori Miyauchi

Maou no Ai is a novel that reconsiders Mahatma Gandhi not as a simple great man but as a many-sided human being. Through dialogues with the dead, it traces the contradictions and strength behind his commitment to nonviolence.

Gandhinonviolencehistorical fictiondialogue with the dead

Work Information

The novel calls Gandhi a demon king in order to look again at the human being behind nonviolence.

Published by Shinchosha in 2010, Maou no Ai won the fiction category of the Ito Sei Literary Prize. It portrays Gandhi, symbol of Indian independence and nonviolence, together with his instability and mystery as a human being, joining biographical interest with Katsusuke Miyauchi's novelistic questioning.

Review Summaries

  • The core of the work is its refusal to leave Gandhi as a simple saintly figure, instead presenting human complexity. It is a weighty novel for readers who want both thought and story.

Book Information

Publisher
新潮社
Published
2010-11-01
Pages
375 pages
Language
日本語
ISBN-13
9784103449027
ISBN-10
4103449020
Price
1409 JPY
Category
本/文学・評論

Amazon.co.jp: 魔王の愛 : 宮内 勝典: 本

Reviews

  • 別視点からの、マハトマ・ガンジーの生涯

    非暴力・不服従運動で、インドの大英帝国から独立を導いた、マハトマ・ガンジーの生涯を、別の視点からとらえたもの。 ガンジーは、13歳で結婚しています。 幼児婚です。 ガンジーはイギリスで弁護士の資格を取るインテリですが、妻は最後まで読み書きができなかったと言われています。 また最晩年、インド、パキスタンの分離独立(1947年8月15日)前後、ヒンズー教徒とイスラム教徒間で、憎悪が憎悪を呼ぶ、むごたらしい惨劇が多発します。 ガンジーは、身を挺してこれを沈めるべく、惨劇が起こった地を行脚し、時に断食をします。 このとき、ガンジーは宗教的修行の一環として、孫娘と互いに真っ裸で一つの部屋で寝ます。 これはガンジーの奇行として、ガンジーの側近も非常に当惑した行いです。 このように、ガンジーには、「非暴力・不服従運動の雄」だけではとらえきれない側面があります。 本書は、そういったガンジーの多様性を、一つの視点からとらえたものです。 インド独立史、ガンジーの伝記等、一通りの知識がある人で、興味がある人向きの書物と思います。(一般向きではありません。)

  • 聖から性、そして聖へ

    子どもの頃はガンジーといえば「聖人」のイメージしかなく、近年になって、彼の晩年のスキャンダル等を知り、ぎょっとしました。 おかげで彼についての書籍を読みたかったのに、どれを選んでいいのやら。しかしある日、平積みされている本書の、「魔王」というタイトルを見て、「ああ、これなら」と思いました。 文章は評伝というより小説の体裁で、ごくゆったりと進みます。 俗を嫌いながら俗に魅力を感じ続け、目指していた聖人ではなく狡い政治家になっていくガンジー。 断食でさえも政治的かけひきとして利用する、そんな自らをゆるすことができず、達成できなかった平和を遠望し、内心で苦しむ晩年の描写が素晴らしい。 暴露本的ないやらしさはなく、筆者は終始「生まれては消えていく人間の一人」としてのみ「Xさん」に呼びかけ、炎天下、彼の足跡を淡々と辿り続ける。 「人生の行路で、悪魔から神に変わったと正直に言えない人は、どうか、私の幸福をかき乱さないでください」(本文より) ハンセン病に苦しむ人から自殺はゆるされるだろうかと訊ねられると、「ゆるされるでしょう、しかし方法は断食による餓死をおすすめします」と「Xさん」は言う。 その理由は、「思いとどまったとき、まだ引き返せるから」 ・・・これは悪魔の言葉でしょうか? 神? 聖人? 俗人? 悪魔でもあり、神でもある。マレビトは鬼でもある。俗にまみれ性にとりつかれ、身勝手さも臆病さもある、一人の男の言葉、行動、だからこそ心に沁みる。 読後、幼い頃に持っていたガンジーの「聖人」イメージは見事に崩れ、しかしその殻の内側から生まれたのは、いつでも「ろくでもないなあ」「何もできないなあ」と嘆息したくなる、みっともない「自分」に近い何かでした。 強烈なエピソードや大きな起承転結のない物語、ですが読後、あたたかい気持ちになる一冊です。 精神が疲れている時、お勧めです。

  • ガンジーの裏面を知ることが出来る

    聖人として悪い話を聞かないガンジーのあまり知られていない裏の顔を描けていた。 インドを旅する著者とガンジーの霊との対話形式というのも斬新。 著者の他作品を、読もうとは思わないがインド旅行の前に読んだらインドへの理解が深まった。

  • 2000億分の1の人としての責任

    ガンジーの生きた跡をたどりながら、たどる主人公のモデルは作者自身、というストーリー。作品中ではガンジーはXさんという仮名になっているけれど、名前をあえてはずすことで、わかっていてもなお、その生の痕跡が名前にふりまわされないようになっている。スタイルは、「焼身」と同じ。ただし、抗議の焼身をした僧に対し、Xさんはしぶとく生き続ける。 ガンジーといえば、インド独立の父であり、何度も断食や無暴力の抗議活動を行った人ということで知られている。宮内はガンジーを一度、ふつうの人間というところまで裸にした上で、あらためて、何をしてきたのかを語ろうとする。少年期にすでに結婚した後、留学して弁護士となる。インドに帰ってきてからは、独立運動をすすめる一方で、性愛とは無縁の生活を送ろうとする。だが、必ずしもそうした欲望が消えるということはない。夫として妻や子を支配し、若い女性を身の回りに置く。 小説の中では、しばしば、9・11が言及される。宮内はあらためて、ガンジーを現在の中に置こうとする。インドは独立時に、パキスタンというもう1つの国と分かれてしまった。その痕跡が、9・11につながっていく。それはもっと大きく、これまで誕生した2000億人の人間の流れの中に入っていく。ガンジーも宮内も、読者であるぼくもその中の一人だ。 そういえば、本書を読みながら、ぼくが思い浮かべていたのは、その直前に読んだ、マーティン・ルーサー・キングの「自由への大いなる歩み」だった。岩波新書で刊行されたこの本もまた、無暴力の運動の記録だった。当時、路線バスには白人と黒人の席が分かれていた。また、座るのは白人が優先されていた。20世紀中ごろのアメリカでの話だ。だから、黒人はバスに乗るのをやめ、歩いて通勤する。時間もかかるし大変だけど、歩く。そうした運動から、黒人は公民権を獲得していった。そして、21世紀には、その黒人の大統領が就任する。 それでアメリカがいい国になったか、インドがいい国になったか、そうとは言えない。あいかわらず、世界は混沌とし、複雑さが増している。 そうした中で、宮内は、結局のところ、人は2000億分の1でしかないところから始めなきゃいけない、そんなことを語ろうとしているのだろうか。そうした中で、魔王を、自分のエゴを抱えながら、それでもどうにかやっていかなきゃいけない。ガンジーはその中でも、よくやった、そういうことなのだろうか。 彷徨する主人公にとって、世界はなお混乱し、自分は小さな存在のまま、だというのに。だからこそ、小説を書くぐらいしかできないのかもしれないのに。

  • やっと大センセーになったはず

    宮内の話は重くて、自己韜晦が多いので、退屈でした。半分の長さにトリミングしてほしかった。それで逃げていたのですが、今回は、最後までほぼ読めました。 ガンジーを人間として、史実に即して書いております。史実の出先はあっと驚くところにあります。ガンジーは老人になっても、女好きだった。13歳で結婚した文盲の妻に飽きて、これまた文盲の息子を追い出して、息子は路上死。えぐい過去を生きた末に、「聖人」となっていました。 宮内はインドをあるきまわり、己の境涯を重ねて、淡々と精緻にガンジーの実像に迫ります。終始、Xとガンジーを呼ぶ手法も斬新だったような気がします。 正月には是非とも読んでみてください。

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