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リリアン

Oda Sakunosuke Award - Grand Prize and Former Newcomer Prize

リリアン

Masahiko Kishi

A city fiction collection in which the conversations of a jazz bassist living on the outskirts of town and an older woman he meets in a low-key bar overlap, lightly reflecting lives lived on the margins of Osaka.

Osakaconversationcity fictionrelationshipsmusic

Work Information

Conversation like a constellation lights up the lives of two people in Osaka.

Published by Shinchosha as both a book and an ebook, this volume contains the title work and 'Osaka no Nishi wa Zenbu Umi,' drawing out the texture of personal time and place from conversations on the edge of the city.

Book Information

Publisher
新潮社
Published
2021-02-25
Pages
208 pages
Language
日本語
Size
13.5 x 2.2 x 19.4 cm
ISBN-13
9784103507239
ISBN-10
4103507233
Price
1815 JPY
Category
本/文学・評論

この曲、 ただいま、おかえりって、 言い合ってるみたいやな。 街外れで暮らすジャズ・ベーシストの男と、近所の酒場で知り合った女。星座のような会話たちが照らす大阪の二人、その人生。人々の声が響く都市小説集。

Reviews

  • 関西弁と関西人

    私は生まれも育ちも関東人 叔母が関西人

  • 文体がすばらしい

    面白い作風にであった。作品のほとんどが会話体で構成されている。聞き手は「そう」「そうなん」「そうやな」と大阪弁で穏やかに相槌をうつ。その呼吸とリズムが心地よく、ものがなしさがじわりと伝わってくる。穏やかな海にポカリと浮かび、ゆらりゆらりと寄り添いながら言葉をかわす。まるで絵本のような作品である。

  • 大阪が舞台の情緒的な小説

    この作家の本が好きで、いろいろ読んでいますが、この小説はかなり気に入っています。 大阪の場末の街が舞台となっていますが、情緒的な作品が好きな方にオススメします。

  • ええやん

    他のレビューにもありますが会話が本当に素朴で心地良い。何でやねん!!みたいな誇張された関西弁じゃなくて、市井の人情深い、関西人からするとごく自然な方言です。ものすごく引き込まれましたし癒されました。

  • 大仰なドラマはない分、一市井人としての体温が心に沁みます。静かに泣きました・・・。

    小説なので人物のエピソードはあるが大仰な事件とかそういうドラマではない。反対に、もしかしたら誰でも日常体験しているような、一市井人としての肌感覚で味わうヒリヒリした感情とか、苦さ、焦燥感、不安、ささやかな喜び、etcのエピソードです。それらが巧みに組み立てられて、じわじわ沁みてきます。 最近は、やけに大げさな設定やドラマ展開で泣かせにかかる刺激性の高い小説が多い気もしますが、これはその反対で、心の襞に貼りつくような、やや低い感じの体温を感じさせる人物のエピソードとその言葉数の少なさに、切なさが押し寄せて静かに泣きました。 TVに溢れている芸人の大阪弁とは少し異なる、市井人の大阪言葉がとてもいい感じで直接心に届きます。 なお、音楽好き、特にJazz好きな方には、専門的な内容があってとても共感できます(もちろんその知識が皆無でもこの本はお勧めです) 刺激が苦手で、静かなニューマン物語が好みの方、更にJazz好きで大阪好きな方にはお勧めです。

  • ええやんなあ

    社会学での蓄積を見事に表した小説です。一気に読んだ。読ませる本です。星4つなのは、この部分は大阪弁でなかったらという箇所がいくつもあるから。全てベタベタにする必要はないが、ここという箇所が標準語表現なのは音が外れたときのようです。まあ外すのもジャズかも知れませんが、やっぱり押さえるところはあるはずです。その点が残念。

  • 会話

    この小説は会話がいいですね。お互い内向してるふたりが一緒にボーッと1点を眺めて過ぎる静謐な時間。 なんか泣ける。どこか切ないのだけど悲しくはない。生き物としての在り様が悲しい。けど嬉しい。 これは岸さんの筆力というより、岸さんがこういう空気感を文字にできる審神者みたいな存在なのかも。

  • 置かれた境遇に対する静かな「寄り添い」を感じる。

    著者の単行本3冊目になる小説集。 もともと社会学者としての著書「断片的なものの社会学」や「街の人生」を読んで好きになった人。 彼が小説を書くようになってからも追いかけている。 著者が社会学の質的調査として、個人の生い立ちや人生の語りを聞いてきたという「姿勢」を知っていると、小説の中に滲む「哀感」のニュアンスがわかる気がする。 ・ ドラマチックなストーリー展開があるわけではない。 本作では、大阪でジャズべーシストとしてなんとか生計を立てる「俺」と、場末の飲み屋で知り合った年上の女 「美沙」とが寄り添う姿を静かに描く。 本作での発明なのか、二人の会話だけが「」で区切らず、改行だけで交互に綴られる。 そう書くことで、読者にとって、その会話が二人の間での静かな囁き合いや、もしかしたら「心の中だけで行われる交感」のようにも感じられる。 それが小説全体の「哀感」を生み出すことに成功している。 ・ 表題の「リリアン」とは、かつて少女たちの間で流行した編み物の一種。 男はその単語から、小五の時のエピソードを思い出し、美沙に語る。 “クラスに、太って、いつも汚い服を着ていて、みんなから嫌われ、無視されていた少女がいた。ある日、ぼくのうちで読書会をしようとみんなに呼びかけたら、「私も行ってええの?」と少女が真っ先に言った。クラスのみんなは凍りつき、案の定、ウチに来たのは彼女ひとり。” 彼は仕方なく和室に通したが、何も言わず自分は二階の部屋にこもった。 しばらくして罪悪感と嫌悪感でいっぱいになった彼は、そっと階段の上から覗き込んだ。 和室にひとり放置されていた少女は、背中を丸めて胸の前で両手を動かしていた。 「そうか、あれリリアンを編んでいたんや」 その後、美沙はたびたび俺に求める。 「もっかいリリアンの話して」と。 ・ この作品に作者の明確なメッセージが込められているのかどうかわからない。 けど、大袈裟に運命とまでは言わないが、今そこに置かれている自分の境遇を、自分のせいとは思わないで。と、言ってくれているような、静かな「寄り添い」を感じる。

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