五年の梅
A historical novel of Edo commoners, tracing endurance, obligation, and affection through the image of plum blossoms over years. Its refined prose finds dignity and warmth in lives that are not easily rewarded.
Work Information
五年の梅 is an award-winning work that distills the voice of 乙川優三郎.
A historical novel of Edo commoners, tracing endurance, obligation, and affection through the image of plum blossoms over years. Its refined prose finds dignity and warmth in lives that are not easily rewarded.
Book Information
- Publisher
- 新潮社
- Published
- 2000-08-01
- Pages
- 249 pages
- Language
- 日本語
- ISBN-13
- 9784104393015
- ISBN-10
- 4104393010
- Price
- 1650 JPY
- Category
- 本/文学・評論
第14回(2002年) 山本周五郎賞受賞
Reviews
-
お勧めです
梱包も丁寧で開封もやり安かったです。 本の状態も良く大満足です。
-
善と悪を描くには・・
倫理的主題を取り上げた作品として秀逸です。 何れも江戸の世の庶民、無宿人から下級武士までが登場。 英雄、豪傑、なに不自由ない大富豪、大大名、絶世の美女は登場せず。 各々事情様々なれど人生の艱難辛苦に打ちひしがれ、 疲弊しつつ、格闘しつつもいつの間にか期せずして人生の実、醍醐味を味わう。 そのような共通したほろ苦くも甘美な作品群です。 とにかく作品構成、文章の淡麗さ、四季の瑞々しい風景描写、抑制しきった内面描写、 巧まずして研磨し抜いての山奥の清水の如き流れ、 一切の破綻なくまるで完成しきった名人の手になる工芸品、 そのような感興を得ました。 ただ、今日を舞台にした主題としてはなかなか構成が難しい、 なんだか昔はよかったよねぇ、という感想は悲しいですが。 最近の若手作家では得難い読書本来の多大な御利益を得られること請け合いです。
-
テンポよく、また文章も美しいです。
以前に買って読んだのですが、いつの間にか本を紛失し、再度購入して読みました。 どれもすっかり筋を忘れていて、新たな気持ちで読みました。 どの作品も心に沁み入る内容でしたが、このところ市井の話よりも武家の家庭や夫婦を 描いたものに関心が高まっているせいか「五年の梅」がいちばん心に残りました。
-
やはり表題作かな?
長い人生、少しくらい遠回りがあっても良いのかな? 否、その回り道こそがその境地にたどり着くための必要な道程だったのだろう。
-
(2020年―第121冊)「蟹」の結末の岡太がカッコよすぎる!
短編時代小説5つを集めた一冊。この短編集で山本周五郎賞を受賞しています。そのどれもが、おいそれとはいかない男女の機微を描いていて、みな読みごたえがありました。 ◇「後瀬(のちせ)の花」 :太物屋の手代・矢之吉は小料理屋の酌婦・おふじに惚れる。二人で出奔することを考えた矢之吉は店の金に手を出して……。 一直線な恋情噺かと思いきや、物語は想定外の怪異譚へとなだれ込んでいきます。不意を突かれました。 「惚れた女の苦言を無視するほど小心なことはないだろう」と自分で気づく矢之吉の姿に苦笑がもれます。 心を通わせるのが不得手な男と女が、ひとまずは心を通わせる努力を、遅ればせながら始める結末になんとも不思議な味わいを覚えました。 ◇「行き道」 :小間物屋の内儀おさいはある宴の帰路、幼馴染の清太郎と再会する。おさいには中風で寝たきりの夫が、そして清太郎には浪費癖の妻がいた……。 連れ合いに対する情愛が過去のものとなった中年男女二人が出会ったとなると、物語の行方はおのずと知れるものですが、そこが一筋縄ではいかないところがこの短編の妙です。物語の中途でわずかに姿を見せる、人待ち顔の若い娘の存在がこの小説の締めのとことでおさいに人生の舵を切らせます。その物語の行き道に魅せられました。 ◇「小田原鰹」 :鹿蔵は二十五歳、おつねは十七歳で夫婦(めおと)となった。しかし鹿蔵は串づくりのわずかな内職以外には収入がなく、おつねと幼い息子・政吉の稼ぎをあてにする。その政吉が十四で出奔してしまう。やがておつねは意を決して…。 初老の域に入った鹿蔵が亀の歩みではありながらも人とのつきあいを修復し、誠意ある人生を歩み始めたかに見えるところで悲劇が起きます。 踏ん張りどころをどこで見出すか。その見極めはだれしも難しく感じるものでしょう。鹿蔵が踏ん張る地点は少なからず遅かったのかもしれません。ですが彼は、踏ん張ることを一切あきらめたわけではなかったことは確かだと思わされます。 そして妻おつねは自分に対してあれほどの仕打ちを加えつづけた夫でありながら、鹿蔵への思いを完全には断ち切ることのない人生を歩みます。男女の計り知れぬ情と、わずかながら救いを同時に見た思いがします。 ◇「蟹」 :志乃は二度の離縁を経て今日、柔術師範の岡本岡太のもとへ嫁す。新しい夫は郡方でのお役目をしくじったために不遇の生活を送っていて、今は経済的にはかなり窮する身だ。志乃自身も過去の夫への不満から二人の男と通じていたという、岡太には明かしがたい過去をかかえている。ある日志乃は、過去の情夫と町でばったり出くわしてしまう…。 蟹とは志乃が嫁いだ夜に岡太が用意した料理のこと。米すら満足に用意できない中で自ら捕らえた蟹を煮て出したのです。過去に嫁した先では二度とも決して幸せを感じられなかった志乃が、作法も知らぬまま一心不乱に蟹を食したときに得も言われぬ幸福感を味わえたのです。 この「蟹」までの三編が、夫婦関係に満ち足りた思いを抱けない女性を主人公にしていました。しかしこの「蟹」は、満ち足りた思いを抱けなかった主人公が新しい夫婦関係のなかに満ち足りた思いをみつけていく話ですから、読んでいて清(すが)しい思いを味わえます。 岡太が少々かっこよすぎる気もしますが。 ◇「五年の梅」 :村上助之丞は友である台所奉行・矢野藤九郎を救うため、藩主・黒田豊前守直亨に諫言した結果、蟄居を命じられる。助之丞は藤九郎の妹・弥生との縁談話を虚偽の理由で自ら壊してからこの諫言事件にのぞんでいた。弥生は別の家に嫁すこととなるが、助之丞は思いを断つことができず、そして弥生もまた思いは同じであった……。 上下関係に厳しい武家社会の掟を短慮のあまり破ってしまった助之丞と、事情を知らされぬまま破談をつきつけられた弥生の、王道ともいえる恋慕の物語です。直情型ハムレットとオフェリアの恋路にもなぞらえることができそうで、心ひき絞られる思いとともに読み進めましたが、作者の乙川優三郎は悲恋では終えない結末を用意してくれているので、読後感はとても爽やかです。 .
-
高座にかけたいと思う落語家もいそうだ。
男と女のどうしようもなく行き暮れる愛憎の景色を描いた技巧5篇。 タイトルチューンには猛烈にしびれちゃったぞ。 冒頭の「後瀬の花」は 読者に後ろ回し蹴りを見舞わせるワン・アイデア・ストーリー。 おお、この作者は、こんなことをするのか と楽しい驚きを味わえた。 乙川時代物を何作か読んだ方であれば 首肯していただけるのではないか。 作者に許可を得られるかどうかわからないが、 高座でかけたいという落語家がいてもおかしくない。 ところが非常に残念なことに巻末の解説で、 この作品のキモがいきなりネタバラシされている。 これから読もうという方は、先に解説を読んではいけないよ。 ちゅうか、なんでこおゆうことを筆者でもない人物が書いてしまうのか。 いわれなくても読むっての。 こんな解説文を掲載してしまった編集者にも文句を言いたいぞ。 どんどんっ(と机を叩く)。
-
普通に有難うございました。
母親のために購入しました。状態も良く気持ちよく買い物できました。 有難うございました。
-
人に寛容に。
時代小説を読むようになり藤沢周平氏の次に読み始めたのが乙川優三郎氏でした。 収められている5篇すべて好きですが、特に「蟹」が気に入っています。岡本岡太のような男性は素敵です。 人生どんな経験をしても、人間最後にしあわせを掴み取りたい。その思いで生きていくこと、出来ます。 これからも読み返したい素晴らしい本です。