ザ・チェーン 連鎖誘拐 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Rachel, a single mother whose daughter is kidnapped, is forced to abduct another child and is pushed from victim to accomplice in a relentless chain of violence. In a situation with no real escape, each choice she makes to protect her family triggers yet another threat.
Work Information
To save her daughter, Rachel is forced into the next kidnapping.
This translated edition was published by Hayakawa Shobo in the Hayakawa Mystery Bunko line, with the first volume running 304 pages. It turns an uneasy premise in which a victim becomes an offender into a fast-moving, tightly wound thriller that unfolds across two paperback volumes.
Book Information
- Publisher
- 早川書房
- Published
- 2020-02-20
- Pages
- 292 pages
- Language
- 日本語
- Size
- 10.6 x 1.2 x 15.7 cm
- ISBN-13
- 9784151833045
- ISBN-10
- 4151833048
- Price
- 858 JPY
- Category
- 本/文学・評論/文芸作品
「お前の娘を誘拐した。返してほしければ、他人の子供を誘拐しろ」 一気読み必至。無類の誘拐エンターテインメント小説! 身代金は怪物(モンスター)になること。誘拐の手口はここまで邪悪に進化した! ――長岡弘樹(『教場』著者) どうしたらこんな物語(プロット)を思いつけるのか。驚嘆と脱帽、そして嫉妬。 ――伊岡瞬(『悪寒』著者) 子供を愛しているか?それならお前も今日から悪党だ。 ――中山七里(『さよならドビュッシー』著者) 前のめりで読み進め、あるページで背筋が伸びた。「この先を見せてくれる気だ」と。 ――芦沢 央(『火のないところに煙は』著者) シングルマザーのレイチェルの娘が誘拐された。何者かから、身代金をビットコインで送金し、他人の子どもを誘拐しろと指示されるレイチェル。レイチェルが誘拐した子供の家族がまた身代金を払い、その家族がさらに別の子供を誘拐すれば、娘は生きて解放される。失敗すれば殺されてしまうというのだ。 謎の人物が仕組んだこの連鎖誘拐システム〈チェーン〉に組み込まれてしまったレイチェルは、無関係の子供の誘拐計画を試みることに……被害者から加害者へと変わってしまった彼女の運命は!?
Reviews
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<チェーン>は77章で終わりを迎える
デニス・ルヘインがパトリック&アンジー・シリーズの「雨に祈りを」の後、突然のように「ミスティック・リバー」を書き上げたように、エイドリアン・マッキンティが本作を書き上げた事情は杉江松恋さんの「解説」に委ねるにしても(残念ながら、先に読むことはおすすめできません)、本作には、ショーン・ダフィ・シリーズにはない「洗練」が見出せます。 「ザ・チェーン 連鎖誘拐 "The Chain"(上・下)」(エイドリアン・マッキンティ ハヤカワ・ミステリ文庫)を読みました。 舞台は、北アイルランドではなく、米国・マサチューセッツ、プラム島、ニューベリーポート、ボストン。十三歳の少女・カイリーが誘拐され、その誘拐犯からカイリーの母親・レイチェルに宛てて電話がかかってきます。<チェーン>という名の誘拐。我が国で言えば、誘拐に「不幸の手紙」というロジックを被せ、再構築したような犯罪にレイチェルと前夫の兄・ピートが絡め取られていきます。作者は、ワン・アイディアからスキのない物語をクリエイトしていますから、わずかでもストーリーの骨組みを話すことはできませんね。犯罪被害者が犯罪者の片棒を担ぐことで、連鎖する誘拐事件。 第一部は、その犯罪そのものが描かれ、第二部はその後の顛末が詳述されます。類まれなアプリと使い捨てモバイル、そしてビットコイン。もう一つのカルテル。カイリー不在の部屋には、キーラ・ナイトレイの《プライドと偏見》のポスター。レイチェルは、癌のサヴァイバーでありながら、未来が開けてきた矢先にこの事件に遭遇します。ピートもまた、元軍人であり、ある病を抱えたまま、この事件に巻き込まれていきます。PTSDが癒えない人間たちに上乗せするかのように空前絶後の心の傷を与えられた主人公たちがどのような巻き返しを図るのか?それは、何故そうするのか? ページ・ターナーであることは保証できます。第一部は、意外にあっさりしていて(ここまで、ショーン・ダフィを読み続けた読者には)物足りないかもしれません。しかし第二部の畳み掛ける展開は、しっかりとそのことを補完してくれます。そして、この物語は77章で完結しますが、(ある理由から)そのこともまたとても意味深い。77章目の終わりは、たとえこの世界が「内面へと向かう道が謎に満ちている」荒涼たる世界であったとしてもなお貴く、美しい「詩」のように読むこともできます。 ビーマーに乗る前に車底に水銀スウィッチ式の爆弾があるかどうかを確認するショーン・ダフィのような人生は、多くの<メタファー>によって変えることができるのかもしれません。
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マッキンティとしては初のアメリカンなエンターテインメント作品
マッキンティと言えば北アイルランドを舞台にした、闘う警察官ショーン・ダフィ・シリーズでの好印象しかないのだが、驚いたことに、いくつかの賞を獲ったにも関わらず執筆の対価に合わないとしてペンを折ってしまいネット配車タクシーのドライバーに転職していたのだそうだ。そんな、と思ってしまうのはぼくだけではない。 本作の彼の初稿(短編小説)を読んだドン・ウィンズロウは、もとより彼の才能を買っており、自身の米国エージェントを通して長編化と作家への復帰を説得したらしく、彼は本作で改めてアメリカでの出版での勝負に出たとのことである。作者自身のあとがきと杉江松恋の文庫解説にも詳しい。 さてその力の入った実にアメリカ向けの作品が本書であり、正直、ショーン・ダフィ・シリーズのマッキンティの躍動する、あの寒々しい北アイルランドの風土と闘いの歴史の上に繰り広げられる重たい捜査模様を期待する読者は、呆気に取られると思う。 むしろピエール・ルメートルなどに見られるスリリングな状況作り、逆転また逆転の仕掛けといった高いエンターテインメント性など、これがあのマッキンティなのかと驚くほど、それはアメリカンなエンターテインメント作品に仕上がっているのである。 誘拐された親は次の誘拐を完了させないと我が子を取り戻せないというチェーンに巻き込まれた家族。そのシステムを構築した者の正体は? そして結末は? とまず物語構造だけで緊張関係を作り出してしまっている。 さらにスマホ、タブレット、パソコン、アプリなど、現代ならではの道具による仕掛けが頻出と多彩な銃器によるアクション。世界中の若者に受けそうな、それこそ今にも映画化されそうな面白小説に仕上がっている。 個人的にはショーン・ダフィの鼻っ柱の強さが好みだっただけに、マッキンティにはこの手の才能で稼いで生活基盤を手に入れて頂いたら、生まれた地である北アイルランドを素材にしたショーンの物語も末永く紡いで行って欲しいものである。
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ありえない設定で無理かも!
設定に無理があり過ぎる。「子供を誘拐された親が他人の子供を誘拐する。これを続けること。それがチェーンの指示」そんなことできるわけがない。それが途中で途切れないように素人(被害者兼加害者)が他人の素性を探る。信用できるか(この場合、口が堅いかどうか)どうか、誘拐をやり遂げる実行力・行動力があるかどうか、警察やマスコミに話さないかどうか。家庭環境、就職状況、経済環境、性格、病状などなど。調べられるわけがない。物語ではSNSで調べてましたが、噴飯ものではないでしょうか。ペイフォワードの悪い版かな?物語に少しでもリアリティを求める人には不向きです。
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前半はいいが。
チェーン(連鎖)って発想は面白いと前半はぐいぐい引き込まれました。しかし、後半何故か急に(ネタばれ注意)黒幕と思われる人物が不自然に急接近する展開に。何か強引にまとめた感じで、星3つですね。
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映像化しても面白そうな話
子どものころ流行ったチェーン・メールのように、子どもを誘拐された親が自分の子どもを取り返すために次々と他人の子どもを誘拐していく……という話で、2部構成になっています。第1部で母親が娘を取り返し、第2部で犯人を探す。第1部は章題に「何曜日何時何分」と表記されていて、誘拐した側とされた側の行動を時間とともに追っていきます。TVドラマの「24」みたいでハラハラドキドキして面白いなと思いながら読んでいくと、後半では章題がなくなってしまいます。第2部にも章題をつけていたら、もっと面白く感じた気がします。また、第1部でも途中でエピソードがポッカリ抜けて話が飛ぶところがあります。読んでいていきなり時間と場面が飛ぶので「えっ?!」と面食らいますが、書くのが面倒になってしまったんですかね。残念です。でも、それを差し引いても面白い話でした。
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最悪
同作者の前作3部を読み期待して読んだが、子供を被害者にする内容が許されない最悪であった。
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我が子を失う恐怖は完全な悪を行うことを正当化するのか
いろいろな意味で表題のシステム、「ザ・チェーン」の設定がすごい。 基本的には不幸の手紙と最近の韓国の「脅迫ポルノ」の手法を組み合わせたようなもので、誘拐された子供の解放のための条件に仮想通貨での身代金だけではなく被害者に別人の子を誘拐させることを加え、次の被害者の支払いが完了した時点で初めて解放するというもの。本人が警察に通報するなどの反抗をした場合だけでなく、次順の被害者が問題を起こしても子供は帰ってこない。その場合、被害者は誘拐した子供を殺し、タイムリミットまでに別の子供を誘拐しなければならない・・・・ 誘拐という犯罪には致命的な欠点が2つある、ということはミステリファンなら自明のことだろう。 ・身代金の受け渡し ・子供の処分。解放すれば犯人の身体的特徴など、重大な情報がばれる。 致命的とまでは言えないが、被害者に当局に通報させないというのも頭の痛いところだ。 ”チェーン”は最初の数件の誘拐が成功すればこれらの条件を無効にできる。 外部との接点となる部分をすべて「被害者」にさせることでシステムの管理者は直接手を汚さないですむ。組織を介さないので糸をたぐられてイモズル式に挙げられる、という心配もない。被害者は子供を取り返したければ共犯者・・・というより加害者になるしかないので「次の誘拐」が実行されれば警察への通報が不可能になる。経済的モデルとしての”チェーン”はネズミ講同様どこかで継続限界を迎えるが、それも最初から織り込み済みだ。ただ管理者が証拠を消して姿を隠せばいいだけである。 物語は最愛の娘を誘拐された母親レイチェルの視点で進むが、”チェーン”の冷酷な合理性がのしかかるドラマは圧倒的なサスペンスである。あるのだが・・・どうにも胸がザワつく、というか居心地が悪い。 自分が彼女の立場に置かれたら・・・・と考えても、”チェーン”の要求に「それはできない」と思えてしまうのだ。 以前、ケント・ギルバートが日本人とアメリカ人ではルールに対する感覚がまるで違う、と分析していたのを思い出した。 「日本人はルールの中で行動を選択するのが当然と考える。アメリカ人は個人の選択は何をしようが完全に自由と考え、ただ禁止事項についてはそのルールが正当で有効なものならしない」 というのだ。 ”チェーン”は禁止事項を無効なものにする、と言っていいだろう。だが・・・・ 個人にとっての絶対的な価値のためなら完全な悪・・・赤の他人の子供を誘拐し、時には殺す・・・を行うことは正当化できるのか?人間はかって神やイデオロギー、民族自決といった「絶対的な価値」のために取り返しのつかない愚行を行ってきた。「親子愛」のためならそれは許されるのか?「個人の選択の自由」はそこまで完全であるべきなのか? そう考え「我が子の命のためといえどもそんなことは絶対しない」と言い切れるならカッコいいのだが、あいにく私はそこまで立派な人間ではない。実際にこんな事態になったら見苦しく思いまどい、七転八倒したあげく監視されているのを承知で「多分大丈夫だ」と根拠のない楽観で自分を納得させて警察に通報するか、あえなく時間切れになってしまって最悪の事態を迎えることだろう。 「しない」ではなくただ「できない」だけの日本人、ということか。 脅迫があったその日のうちに誘拐の準備にかかってしまう、という主人公の決意にどうしても感情移入できないのはそれが理由だ。 物語としての面白さは抜群なのだが、コロナのパンデミックで社会の紐帯が溶けかかっている今は特に注意が必要かもしれません。ですが、自分の「許容度」がどのくらいなのか確認するという意味合いならおすすめできます。
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個人的にはダメでしたね(原題:The Chain)
自分の子供を誘拐され、その開放を望むなら、他人の子を誘拐しなければならない、という悪魔のスキーム、ザ・チェーン。 それに巻き込まれた親子の奮闘を描く本作。 ショーン・ダフィーシリーズの作者が描く現在の犯罪劇なのだが、大きく前後半に分かれる展開に。 前半の守勢パートと後半の攻勢パートなのだが、前半は冗長すぎるし、後半はあっけなさ過ぎる。 ショーンダフィーシリーズのような濃密な展開よりもポップで、映画のような作品なのだが、あまりに後半の展開が早い(雑)過ぎて、がっかりしました。 もちろん、つまらないことはないのですが、ショーンダフィーシリーズの続刊の方が個人的には待ち遠しかったです。 その意味では、早川書房刊の他の作品「七つの墓碑」の方がダークで、感情移入して読めました。
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