みずは無間 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
The personality of a scientist transferred into an unmanned space probe collides with memories of his lover Mizuha left on Earth during a long journey across the galaxy. It is a speculative space-opera novel centered on loneliness and recollection.
Work Information
A lover's memory unsettles a journey through space.
Winner of the first Hayakawa SF Contest. After an accident transfers his personality into an unmanned probe, Toru Amano drifts through space and repeatedly returns to memories of his lover Mizuha on Earth. Set against the vastness of the cosmos, the novel reflects on the persistence of the self and the memory of a relationship.
Book Information
- Publisher
- 早川書房
- Published
- 2013-11-22
- Pages
- 332 pages
- Language
- 日本語
- ISBN-13
- 9784152094209
- ISBN-10
- 4152094206
- Price
- 1760 JPY
- Category
- 本/文学・評論
【第一回ハヤカワSFコンテスト受賞作】雨野透の人格が転写され宇宙を旅する惑星探査機。彼の中の、地球に残した元恋人みずはと 過ごした記憶が、宇宙の危機を招来する……壮大な思弁的宇宙SF
Reviews
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ハードでグロテスク
第一回ハヤカワSFコンテスト受賞作。 宇宙を背景にドーナツをほおばるみずはが描かれた甘い表紙とは裏腹に、内容は容赦のない本格思弁的宇宙SFに仕上がっている。 探査機のAIに転写された雨野透の一人称の語りを通じて物語は展開する。 広大無辺の宇宙を漂う合間合間に、人間だった頃のかつての恋人みずはとの記憶が再生され、徐々に彼女の人間性が浮かび上がってくる。 彼女との記憶から逃避するため、雨野がとった行動とは……。 今のSFを代表するとも言われるグレッグ・イーガンと、小林泰三を掛け合わせたような読み応えで、一度読者を引き込んだら最後まで離さない迫力ある描写が魅力的。 アクションシーンのような表面的に派手な描写はあまりないため、ハード・ソフトウェアの改造や情報知性体の創出、自己複製にポストヒューマンなどの次々提示されるSF的アイデアの奔流に反応する方のほうが楽しめるかもしれない。 また、グロテスクとタイトルにつけたが、勿論、血肉が飛び散ったりするようなシーンが登場するわけではない。 宇宙、探査機、情報知性体といった本来無機的なものが、人間の情念に絡め取られていくのをグロテスクと呼ばずにいられようか。他にも、あのシーン、このシーンと挙げたいが興を削ぐことになるので自重。 みずはという情報がもたらした無間には戦慄を覚える。 と、ここまでは作品内容についてのレビュー。 以下は、Kindle版について。 紙の書籍には収録されている選評が電子書籍版には収録されていない。 なぜ本書が受賞作に選定されたのか、選考委員の見方を知り、自分の意見と重ね合わせて本書を再考するという選評の楽しさを味わうことができないのは非常に残念。 電子書籍にあとがきが収録されていないのは身をもって知っていたが、まさか選評までとは……。 愚痴になってしまうが、どのような事情があるにせよ、このような行為は一定のニーズを縮小させてしまうだけだと思うんだがなぁ。 作品自体は文句なしに面白かったので星5つ。
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難解だがその難解さがSF的
●小説の面白さは人物描写もさることながら、SFである以上そのガジェットの特異性やSFらしさが 大切である・・・と思う。そのSFガジェットの内容は途中からついて行けなくなる程に難解(私に とって)になる。 それでも十分センスオブワンダーは堪能できた。
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SFの神髄は思弁にある
NW-SFという今では死語のようなものが出てきたころから、ガジェットと思弁がSFの中心になった。 本作の素晴らしいところは、大宇宙・AI・非人類知生体・次元と絡めた宇宙論など、多くのSF要素に、一組の男女のありようを織りなしたところにある。 そう「織りなした」ということがぴったりで、物語の中の物語は軽やかに距離も時間も乗り越えてシームレスにつながる。 こういう方法をとると、文意の散乱とともに、意味をくみ取ることがむつかしくなるはずだが、読者も軽やかに時空を超えたストーリーに引き込まれていきます。 デビュー作ということもあって、相当時間をかけて練られた作品だと思います。 ところで、この作品と同時に評価の高い『プロジェクト・フェイル・メアリー』を読んでいるのですが、中盤までは多くの類似点が見られて、興味深かったです。あちらはいかにもアメリカSF、映像を重視した正統派という感じでしたが、私は本作のほうが数段上の作品だと感じました。
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日本長編SF小説の最高傑作
大傑作である。 日本長編SF小説の最高傑作だと思われる。 対抗できるのは「脱走と追跡のサンバ」くらいだろう。 「セルフリファレンスエンジン」と比較して読んでいたが、 作中で、四通りの人生の解釈が提示され、それをもとに物語は輪郭をはっきりさせていく。 ちなみに、めちゃくちゃ読みやすい文章なので、難解だと敬遠している人でも大丈夫。 途中、涙を流して泣いてしまった。 第一回ハヤカワSFコンテストの受賞作がこれほどの傑作なら、 ぼくは世界を許そうと思う。 「こころ」「人間失格」にとって代わる最先端の思弁小説であり、新しい古典たりえる作品。
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俺は「みずは」は好きだな
過去の恋人に関する個人的な情念によって宇宙が滅びるという、SFとしてはある意味安易な発想を、多少強引な部分もあれども、ちゃんと理屈をつけて書ききっている点が素晴らしい。 「みずは」に関する描写は好き嫌いが分かれるところだろうが、変に小奇麗な書き方をせずに、人間の、生命の「欲」を捉えたいという作者の思いを評価したい。
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SFホラーの傑作
図書館で借りて一度読んでいたのですが、とても気に入ったため改めてkindle版を購入しました。 感想はタイトルの通りです。 みずはの描写には迫力があります。暗く、孤独な宇宙の中で、SF的世界観の中で突然現れるメンヘラ気味の彼女の記憶は、あまりに生々しく、場にそぐわなさすぎてぞっとします。それも含め様々な要素を無駄なく使い切り、飢餓というテーマを背骨に通し、ホラーとしてきっちり締めた本作は紛れもなく傑作でしょう。 個人的には小林康三とかよりも今風っぽくて好きです。レビューがいまいち良くないのが不思議なくらいです。
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もののはずみ
Twitterのタイムラインにタイトルが複数回現れた上に、グレッグ=イーガン好きに薦められていたので読んでみた。 確かにグレッグ=イーガンの作品に通じる設定。一方で、グレッグ=イーガンの作品はその設定とテーマが直結しているのに対して、この作品のテーマは設定ではなくて、あくまで人に見える。 文章から感じられる雰囲気もとてもウェットで、自分は苦手。読んでいてあまり楽しい気分にならない。 でも、食い合わせが悪そうなこの二つの要素が絡み合って、SF設定のハードさにもかかわらずスラスラ読めたのは、面白い感覚だった。
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疲れる……
最近はSFのレビューが続いているが、僕は基本的にSFを好んでは読まない。 なので基となった作品などは知らない。 その点を踏まえた上で、ほぼSF素人であろう僕の率直な感想としては、『読んでいて疲れる』であった。 構成力は素晴らしいし、設定も素晴らしいので文句はない。 ではどこが疲れる要因であったのか? たぶん、文体や『知っている前提』で書かれてあることが影響しているのだと思われる。 文体に関しては、人によって合う合わないがあるのでともかくとして、『知っている前提』というのが何となく気に入らない。 『SF知らない人は読まなくて良いよ。理解する人だけ読んでくれ』という傲りに近い匂いが漂っている。 言い換えるなら、『SFを楽しませたい!』という感じではなく、『SFを楽しみやがれ!』という強引さ。 たとえば同賞最終選考作品の『テキスト9』は、SF素人の僕でも、特に意識することなく楽しめた。 しかし本作品は、意識しないと楽しめない。 だから読んでいて疲れたのだと思う。 そういった意味で、SF玄人の人の評価は高いのかもしれないけれど、SF素人の僕からの評価は低くならざるを得ない。
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