夏の流れ
Set in a prison overlooking the sea, this short story contrasts the routine of a prison officer with a family and the time remaining to a condemned prisoner. As the execution day approaches, it explores the weight of life and the relationship between those who judge and those who are judged.
Work Information
Against the routine of prison life, it sharply portrays the lives and deaths of the judge and the judged as an execution day draws near.
Kenji Maruyama's debut and an Akutagawa Prize-winning work. The title story follows a prison officer and a condemned prisoner in a prison by the sea, asking what gives life its weight.
Book Information
- Publisher
- 文藝春秋
- Published
- 1967-07-05
- Pages
- 220 pages
- Language
- 日本語
- ISBN-13
- 9784163011905
- ISBN-10
- 4163011900
- Price
- 1233 JPY
- Category
- 本/文学・評論
第56回(昭和41年度下半期) 芥川賞受賞 第51回(1998年) 野間文芸賞受賞
Reviews
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日常の深淵を覗く一冊
丸谷才一の『夏の流れ』を読み終え、深い余韻に浸っています。この作品は、単なる物語として消費されるのではなく、読者の心の奥底に静かに、しかし確実に染み渡るような読書体験をもたらしてくれました。 主人公の語りを通して描かれるのは、何気ない日常の断片でありながら、その裏に潜む人間の複雑な心理や、過去の記憶、そして避けがたい生の営みです。特別な事件が起こるわけではありません。しかし、その淡々とした語り口の中に、ふとした瞬間に現れる鋭い洞察や、ユーモアとペーソスが入り混じった情景描写が、読者を深く引き込みます。 特に印象的だったのは、言葉の選び方、文章のリズム感です。丸谷才一の文章は、まるで音楽を聴いているかのように心地よく、時に詩的で、時に哲学的な響きを持っています。一文一文をじっくりと味わいながら読み進めることで、情景が鮮やかに目に浮かび、登場人物たちの感情がじんわりと伝わってきました。 物語の舞台となる「夏」という季節も、この作品に独特の雰囲気を与えています。過ぎ去っていく時間、変わりゆくものと変わらないもの、そして移ろいゆく感情。夏の暑さや眩しさ、そしてどこか物憂げな空気が、物語全体に漂い、読者の心に郷愁や切なさを呼び起こします。 表面的なストーリーを追うだけでなく、その奥にある人間の本質や、人生の機微に触れるような感覚です。 じっくりと文学作品を味わいたい方、日常の中に潜む美しさや切なさを感じ取りたい方には
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人間のリアリズム描写の極みがここにあります
ありのままの人間を描く際に、どうしても負の部分はそぎ落としたくなるもの。 たとえば、司馬遼太郎にしてみれば、登場人物一人一人が希望に満ち溢れ、輝いています。 一方、丸山健二の描写は違います。徹底的な客観描写にこだわり、人間の持つ快いところ、不快なところ、タブーなく描写します。 聖域なき情景描写に、とても衝撃を受けた一冊です。衝撃を受けたというのは、気持ちのよい方向ではなく、こんなことまで書いてしまうんだ、でも嘘ではないよなあ、自分にもこういう嫌なところはあるんだろうなあ、と丸裸にされた感じです。 タイトルにある「夏の流れ」は死刑囚留置場の刑務官の話ですが、死刑囚と肉薄する会話内容はなんともいえない、エゴの強さを感じます。
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最近のものは読んでないが・・・
『まだ見ぬ書き手へ』を読んで刺激されて本書を購入したんだけれど・・・、残念ながら、さほど感じるところはなかった。 この短編集の収録作に限っていうと、ヘミングウェイやスタインベックの焼き直しといった印象。 たぶん、若き日の丸山はヘミングウェイになりたかったのじゃないかな(今は知らんけど)。でも、文章の濃密さと読後感の鮮烈さでは ヘミングウェイやスタインベックには遠く及ばない。嫌いじゃないけど。みんな結構★つけてるよね(笑)。ヘミングウェイの短編は読んだ上でのことなのだろうか?
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いいんじゃなーい
【収録作】 (1)夏の流れ (2)その日は船で (3)雁風呂 (4)血と水の匂い (5)夜は真夜中 (6)稲妻の鳥 (7)チャボと湖 【概要】 1966年〜1977年までの丸山健二の中短編が順番に7つ収録されている。どの作品も文章が平易で、中学生でも読めるんじゃないかと思われる文章。しかし表題作は60年代の芥川賞作品でもっとも良作だと言っても良いぐらいの出来である。ページ数は73ページ。 【感想】 とにかく表題作であるらしい、他の方のレビューでも書かれてるが、行間や余白からかもしだす空気感がたまらねんだって、夏のけだるい暑さ、スコールのような雨、上流の森林から聞こえてるカッコウの声、緊迫する刑務所の空気。そういったものが鮮烈なイメージとして頭の中に残るんだってさ、マジかー?。まぎれもなく名作中編。 【その他】 夏の流れ以外の作品は小品な感じの短編で、グ.ロくて冷酷で闇を感じるの?そんなことないさ。チャボと湖とか。だがとても良い。 1300yenと定価が高いのが少しネックではあるのでさようならしたいのだけども
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ひどい
芥川賞とか文学賞の正体がよくわかる。文壇の先輩作家が 選ぶのだから自分を超える危険性ある若手を推すわけがない。 実力は皆無だか、セックスだの麻薬だの興味本位で一過性の 話題を扱った作品だけが選ばれる。 本作品もテーマは死刑執行を担当する看守。それが受賞の理 由であろう。仕事に耐えられず辞めていく若い看守がいる一方、 ベテラン看守はあまり何も感じない。むしろ特別手当を期待す らしている。 それ以外は何もなし。高校生が文化祭用に作った三流映画 ぐらいの出来です。若い悩める看守がまったく描けていない。 ただ悩んでます、でおわり。読者はなめられている。 ベテラン看守が作者の仙台時代の知り合いにでもいたのであ ろう。かなりな愚作である。
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素晴らしいけれど
「夏の流れ」 硬派な作家として知られる丸山健二のデビュー作。 文体から感じられる雰囲気にはすでにその後の傾向が表れています。年齢を考慮しなくても、これだけの傑作を作り上げるということはかなりの文才に恵まれているのでしょう。 ただ、所々引っかかるというか、まだ完成しきっていない印象を受けたのも事実です。たとえば会話など、スムーズさに欠けている。意図的にそうしているとも思えない。私の読みが浅いだけなのかもしれませんが。 現在の丸山健二が同じテーマを扱ったとすれば、一層重厚で本質を突いた作品になっているのではないでしょうか。そういう意味で、あえて星4つ。
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この当時の丸山健二が、懐かしい……
現在丸山健二は、「孤高の文学者」として、長野県に住み、 年に1作、おそろしく難解な長編を出版している。 なぜ、こんなふうになってしまったのだろうか。 「夏の流れ」で芥川賞を取り、「月に泣く」で川端康成賞を取り(辞退)…… このあたりまでは、文章もわかりやすく、 ストーリーも、ある意味で自分勝手な現在の作品とはまったく違い、 どこか「切なさ」さえ感じた。 私は、今の丸山健二を批判はしない。 しかし、読んでわくわくする、胸が締め付けられる、感動する…… そういう作品ではないと思う。 しかし、本書に収められた短編群は、贅肉を削ぎ落とした端正な文章、 読みやすいが、決してあざとさのない文章とストーリーだ。 久しぶりに初期の頃の丸山健二を読んでみて、 「良い物語を読んだ……」という気持ちになった。 わかりやすければいい、というものではないが、 現在の丸山健二の文章は、どこか破綻している。 webの文章もそうだ。 この風変わりな作家の原点を見る意味でも、一読をお勧めする。
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昭和っぽい。
丸山健二さんの本です。 解説があの茂木健一郎でして、「へえ」とか思っちゃいました。また、丸山健二さんのスキンヘッドの迫力ある近影もおさめられています。 短編集で、芥川賞の「夏の流れ」「その日は船で」「雁風呂」「血と水の匂い」「夜は真夜中」「稲妻の鳥」「チャボと湖」がおさめられています。 「夏の流れ」は刑務官の話で、死刑執行の機微が描かれています。「その日は船で」は堕胎させる話。「雁風呂」は金をパクる話。「血と水の匂い」は猟に行く話。「夜は真夜中」は痴漢しようと思ったらケツを掘られました、という話。「稲妻の鳥」は、画家の話。「チャボと湖」は、チャボを熱湯かけて殺すキチガイ女の話。 なんか、会話文で話を展開させる短編が多かったような気がします。 なかなか面白いですが、なんか昭和臭のする話が多いなぁ、と思いました。当たり前ですが。