Japanese Literary Awards

← Back to awarded works
死んでいない者

Akutagawa Prize

死んでいない者

Yusho Takiguchi

死んでいない者 is an award-winning work that examines memory, social pressure, and the ways people try to understand themselves and others through its central situation.

award-winning workrelationshipsmemorysocietyconflict

Work Information

死んでいない者 considers the relationship between individual lives and the society around them through the shape of an award-winning work.

死んでいない者 by 滝口悠生 is recorded as an award-recognized work. Bibliographic identifiers are included only where a standalone book publication could be verified; magazine or periodical identifiers are not substituted for works whose standalone publication could not be confirmed.

Review Summaries

  • Readers value the character work and clear thematic focus, while also treating it as a work that asks for patient attention to its quiet movement and weighty subject matter.

Book Information

Publisher
文藝春秋
Published
2016-01-28
Pages
144 pages
Language
日本語
ISBN-13
9784163904122
ISBN-10
4163904123
Price
1100 JPY
Category
本/文学・評論

秋のある日、大往生を遂げた男の通夜に親類たちが集った。 子ども、孫、ひ孫たち30人あまり。 一人ひとりが死に思いをめぐらせ、互いを思い、家族の記憶が広がってゆく。 生の断片が重なり合って永遠の時間がたちがある奇跡の一夜。 第154回芥川賞受賞作。

Reviews

  • 登場人物の何名かはすでに死んでいる

    不自然な箇所が多々ありそのたびに立ち止まる。 なぜこんな書き方をされているのかには必ず理由がある。 答えはあかされないし読むものが自由に解釈していいけれど、ヒントはちゃんと書かれている。 これが文学を読む楽しさなのだ。 すばらしい読書体験だった。 以下ネタバレあり 知花の前に車が止まる。「みんなでお風呂に行くけれど一緒に行かない?」車には勝行おじさんの姿もある。 続けて二台目の車が来る。ここにも勝行おじさんが乗っている。 一台目で見たような気がしたが勘違いだったかもしれないと知花は思う。 この場面はいったい何なのか? 作者がわざわざ書くからには必ず意味がある。 大浴場のシーン。 湯船の勝行はやがて浴場全体に広がり、誰もいない女湯をのぞき、窓をすり抜けて外に出て、上空を昇っていき街を見おろす。 つまり彼は死者なのだ。 この作品にはおびただしい数の人物が出てくるが何人かは幽霊だ。 視点がころころと変わり読みづらいと感じるかもしれないが、誰の視点なのかと考えることがこの作品を味わう楽しさでもある。 誰の視点かわからないものが葬儀会場である集会所から県道に出て菩提寺に向かった後、集会所とは反対方向に進みラブホテルやゴルフ場を河原から眺めた後、ゴルフ場の中に入り、川の中に入り「ちめたい」とふざけた声をあげ最後は流されていく。 この短くはない距離を自由に行き来できるのは明らかに死者だ。おそらく亡くなった祖父の服部氏なのだろう。 視点の主に服部氏の幼なじみであるはっちゃんが突然話しかけるが、死者とともにいるはっちゃんもまた生きてはいないのだろう。 そのはっちゃんはみんなが風呂に出かけた後唐突に登場し、置いていかれた保雄と会話をする。 その直後保雄は見覚えのない女性に話しかけられるが、そんな遅い時間に他人がいるのは不自然だ。弔問客はもう来ないと判断したから一族は風呂に出かけたのだ。 彼女もまた幽霊なのだろう。 蒸発した寛の視点まで登場する。「……自分を慰めた祖母の手や顔を思い出す。しかし寛の記憶は混濁している……」とあるが、消息不明の彼は、どこでそのことを考えているのか? 彼も死んでいて魂が葬儀場にいるのではないか。 寿命を全うした人の葬儀があかるい宴会になることはよくあるが、それでも悲しむ時間と楽しい時間が交互にやって来るものだ。 しかし子や孫たちの誰一人としての服部氏の死を悲しんでいない。涙する場面が一切出てこない。 それはなぜか? この一族は死者とコンタクトが取れるのだ。 勝行やはっちゃんや見覚えのない女性(おそらくはっちゃんの妻ではないだろうか)と会話ができるように、服部氏ともすぐに会話ができるようになるだろう、と楽観しているのだ。 登場人物が多すぎてわけがわからないというレビューも多いが、横のつながりは気にせず今中心になっている人物だけを追えば十分だと思う。

  • 「いない者」たちがうごめく空間に響く鐘の音

    【補足】 だいぶ否定的なことを書いてしまったのだが、重要なことを知ったので、補足したい。 最後の場面で何者かわからない者(「死んでいない者」か)が打つ鐘の音が響いてくる。 ここに実は『源氏物語』のエコーがあるのだ。 「浮舟」に次の一節がある。 寺へ人遣りたるほど、 返り事書く。言はまほしきこと多かれど、つつましくて、ただ、 「 後にまたあひ見むことを思はなむ この世の夢に心惑はで」 誦経の鐘の風につけて聞こえ来るを、つくづくと聞き臥したまふ。 (寺へその使いをやった間に、母への返事を姫君は書くのであった。言いたいことは多かったが気恥ずかしくて、ただ、 のちにまた逢ひ見んことを思はなん このよの夢に心まどはで とだけ書いた。誦経の初めの鐘の音が川風に混じって聞こえてくるのをつくづくと聞いて浮舟は寝ていた。) もし作者がこの一節を意識していたのなら、その重みははかりしれない。 本書の批評などでこのことに言及しているものがあるのだろうか、知りたい。 これを教えてくれた日本文学専攻の大学院生に感謝である。 以下はもとのレビュー。 退屈でつまらない。 売れない芥川賞作品のいかにも典型だなあ——それが第一印象。 でも、読み直していくと、著者が試みている実験的手法が、それなりに面白くなくもない。 語り手が誰なのか特定できない。会話と地の文が混淆する。 深いところに行きそうで行かない。 一族の中で失踪している男が一人。でも、どこで何をしているのか、実はみんな知っている。 引きこもりの少年。でも、深い理由は何もなく、多くの友達と普通に付き合い、ただ何となく学校に行かないだけ。 兄妹間のあやうげな深い交感の一瞬。でも、それは結局「全部嘘」だという。 生起しようとする事件が、事件にならずにいつの間にか消えていく。 この世にもういない死者と同じく、通夜に集まった者たちは(出席していない者も含めて)、存在感が希薄。 このような、人称小説を越えた小説を書こうという実験、無人称小説とも言うべき実験は、青木淳吾の『私のいない高校』と通ずるものがある。 もしかしたら、『死んでいない者』というタイトルも含めて、滝口は青木を意識しているのかもしれない。 全ての者が消え去った後、何者が打つのか、鐘の音が響き渡る。 これは実に印象的で「巧い」。 消えていったはずの彼らは、実は「死んでいない」のだ。 しかし、面白さといっても、この程度。 実験的な佳品。 小説の深く巨大な可能性はそこには見られない。

  • 受賞して買いました。

    受賞したので買いました。 中身を見ないでブックオフ行きでしたけど、すぐ届きました。

  • 渦巻くような文体で通夜を描写した凄まじい作品

    地の文にセリフが入り交じるし、目まぐるしく視点人物が変わる。 それなのに破綻せず、それどころかシッカリと親族が集う特別な夜が出来上がっている。 一本の糸で途切れることなく衣を縫い上げていくような達人技の文体だと感じた。 まさに天衣無縫。

  • ややこしい

    登場人物覚えるのが苦手な私にはコンプリケート過ぎてついていけませんでした。途中で挫折。

  • 退屈でつまらない

    冠婚葬祭に親族一同が集まり、それぞれの家庭でそれぞれ物語があるは当たり前のこと。それにしても退屈でつまらない。近年の芥川賞作品や直木賞作品をまとめて購入しましたが、そのなかでも「だからどうした」という感情だけだ群を抜て残りました。

  • 1つの物語で、いろんな人生がぎゅっと詰まったものが読めるのが本書。

    人が死んだあとの、リアル。 葬式独特の親戚の集まりに、弔いとは別に 「集まったら何かを確かめ合ったり、気にしたり、成長を確かめるような」妙な空気を感じる体験は誰しもある。 その雑念とした「一族」も、ただのカタマリではなく、 一人一人がいろんな環境や思考で、それぞれ生きている。 1つの物語で、いろんな人生がぎゅっと詰まったものが読めるのが本書。 一人称がめまぐるしく変わるので、よみにくいが、頑張ってついていくと、 最後には1つの一族が多様にうごめいている様子が俯瞰して見える気がする。 あと、死んだ時に弔ってほしいとか、悲しんでほしいとか、 そういう考え方もあるが、だいたいの葬式は、こんな感じで、 弔い以上の別の要素が大きかったりするんじゃないか。

  • 期待通りの品質でした

    期待通りで満足しています

Related Literary Awards