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ノックする人びと

Bungei Award

ノックする人びと

池内広明

A mystery about a protagonist who loses the memory of a sudden assault and must confront the blank space in his mind amid the testimony of witnesses.

memory lossassaultuneasepsychological mystery

Work Information

Somewhere inside the missing memory, someone keeps knocking quietly at the door.

Published as an Excellence Award winner of the 32nd Bungei Prize, this novel follows a protagonist who cannot remember the assault he suffered and lets the gap between testimony and truth grow increasingly unsettling.

Book Information

Publisher
河出書房新社
Published
1996-01-01
Pages
173 pages
Language
日本語
ISBN-13
9784309010335
ISBN-10
4309010334
Price
1760 JPY
Category
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

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Reviews

  • ホログラフィック宇宙論

    隠れた傑作。1996年に出版された小説。2011年当時に偶然手に取って読んだが、震災などの社会情勢などと相まって当時の感性ではこの小説の世界観を理解できなかった。 その後、2022年のノーベル物理学賞は量子もつれ現象に関する研究が受賞生成AIが大きく社会を変えようとしている2023年、量子コンピューターが現代社会構造を維持するのに不可欠な存在になってきている現在に偶然にこの小説を手にする機会があった。 現在の物理学で論議されている11次元のパラドクスな世界観。確率論に支配される物理世界においてだれもが隕石に衝突する可能性や登場人物それぞれの主観によって異なる現実世界の在り方(次元)が、主人公が存在する現実世界(次元)と重なりそうで重ならない。それにより生み出される小説全体を通した世界観(次元)。また読む人の存在する次元(1996年、2011年、2023年という4次元/読者それぞれが生きている高次元のパラレルな次元)が重なりあう。 何度か自分の次元を変えて読んでみることをお勧めします。

  • Someone is knockeing on you…

    『ノックする人びと』です。『sWinG maN』というタイトルで映画化もされています。表紙イラストは松本大洋です。 主人公はファクシミリを買って歩行者天国を歩いていたら……通り魔に襲われて暴行を受け、その時の記憶を失ってしまいます。 事の真相を知るため、主人公はその時の目撃者を訪ね歩いて調べる、という話です。 犯人捜し、というよりは真相解明のために主人公は色々な人と会う訳ですが……サスペンスっぽい始まりではあっても、あくまでも純文学寄りなので、すごい謎解きがあるというのではありません。 登場人物が非常に個性的です。目撃者たちもつかみどころのない奇妙な考え方や物言いをします。他にも朽木、タコ、リアンナなども印象的。 アジアの子、あるいはカエルというべき犯人が一番謎めいていますが。それでも、社会が抱えている憤懣、攻撃性を端的に示しているのかもしれません。 地球上どこにいても、隕石が落ちてくる確率がわずかであっても存在するように、現代社会の中でも、「本性が無い」のが本性である人間は、自由から逃れることはできず、だから突然事件に巻き込まれる危険性も持っている、ということでしょうか。 主人公と目撃者たちのやりとりが最大の見所です。

  • 心の回路を開いてくれる傑作。Kindle化を希望!

    謎めいた暴行事件に突然遭遇した主人公が、それを自ら解明していくうちに普通の因果では説明のつかない異なる「位相」に入っていくのが面白い。 冒頭1行目からサクサク読めて奇想天外で幻想的でありながらエンターテインメント小説ではなく正統派の純文学として読める。筆者の文章が信頼できるのは、決してスピリチャルな真理ではなくあくまで読者のいるこっち側に身を置き続けるところにあるからだろう。 不条理な出来事、不可解な事実、懐かしい記憶、どこかに到達しそうで高まっていく興奮、きらめきのある時間などに行き当たるが、筆者はひとつひとつを無理につなげて真理を語ろうとしないのであり、こうして、逆にそれらは生のまま神秘的な鮮烈さを保ったまま展開していく。 この本を読んで心の回路が作者の思惑通りゆっくりと開かれていく感じを味わうたび、ああ小説の力とは凄いものだ!と唐突に思う。 埋もれた伝説的傑作。古書は高値で推移しているので再版はなくともKindle化はされないともったいない。

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