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白秋望景

Ito Sei Literary Award

白秋望景

Saburō Kawamoto

This literary biography portrays Hakushu Kitahara's life and work against the backgrounds of city, countryside, and wartime Japan. It follows works such as Jashumon, Omoide, and Akai Tori while reading the poet's magnetism and contradictions.

Hakushu Kitaharaliterary biographymodern poetrychildren's songs

Work Information

Hakushu's poetry and children's songs are set back into the time of Meiji, Taisho, and Showa Japan.

Rakuten Books and Nihon no Furuhonya records confirm the ISBN, page count, publisher, and description. It was published by Shinshokan in 2012.

Review Summaries

  • Readers value the way it layers Hakushu's works with their historical background. Rich in biographical detail, it suits readers who want to follow both the poet's brilliance and his shadows.

Book Information

Publisher
新書館
Published
2012-01-26
Pages
433 pages
Language
日本語
Size
15.6 x 2.8 x 21.8 cm
ISBN-13
9784403211058
ISBN-10
4403211054
Price
3080 JPY
Category
本/文学・評論/評論・文学研究

北原白秋! いま、懐かしさが蘇る! 都会、田園、そして戦争、白秋が生きた明治、大正、昭和…心の襞にふれる川本三郎・文学評伝の最高峰 ◆第23回 伊藤整文学賞 受賞 (評論部門 2012年)◆

Reviews

  • 童謡歌人にとどまらぬ多彩な活動を網羅。

    明治大正昭和の3代を「言葉によって」生きた詩歌人北原白秋を描いた評伝です。 「色彩歌人」として、玄妙にして官能的な詩歌の世界を作り上げたその青年期はまことに絢爛。生地柳川で没落した商家の子どもとして、見事に功成り名を遂げました。 しかし、27歳で貫通事件により一時収監され、その名声は地に堕ちます。再生を図って居を構えた葛飾(今の市川)は萬葉ゆかりの里(偶然ですが戦後の荷風も住み着いた場所です)。ここから田園詩人として再生してゆく後半生こそ白秋が本領を発揮した時代ですね。童謡と出会い「あわて床屋」「赤い鳥小鳥」「この道」「からたちの花」などの名作を世に送り出しました。 その後も、日本で初めてマザーグースを本格的に紹介し、山田耕筰とコンビを組み三百余りの歌曲をつくっていきます。そして何より、信時潔とともに作り上げた「海道東征」は戦前の名作であり、戦後民主主義から脱却しつつある現代では、その価値がますます見直されつつある一大「宗教音楽」です。 戦時中、国を憂う白秋が軍歌を数多く書いた点についても、筆者は左翼のような一方的な糾弾に堕すことがありません。「明治、大正、昭和を生きた白秋にとって大事だったのは、この、遅れて近代化しようと懸命になっている東洋の小さな島国の切ない必死さではなかったか」と、時代と内面との葛藤に言及した適切な評価をしています。筆者の良心とバランス感覚を感じます。

  • 白秋の実像はどこか遠い。

    白秋が隣家の人妻・松下俊子とともに体験した、いわゆる姦通事件については、川西政明「新・日本文壇史」第一巻に詳しい。白秋自身が、その体験をどう撹拌咀嚼して自分の詩歌童謡の中に取り込んだか・・・という詩人の内面、創作過程を知りたかったのだが、本書は白秋の実生活を追う伝記的要素をベースにしつつ、その実像描写よりも、その詩や歌の解釈・鑑賞にウエイトが置かれているように思う。従って、本事件についても、「新・日本文壇史」のように二人の葛藤に肉薄するような記述は見られないし、人物像の輪郭自体も曖昧である。たとえば、大正3年、小笠原諸島父島へ渡ったのは「俊子は肺を病んでいた」「病気治療がまず目的だったろう」と云いながら(第9章)、「小笠原にまで付いてゆき、そこで病を得た俊子」(第10章)とあるので、”俊子が肺を病んだのはいつのことか”、という細部がボケてしまう。また、白秋と俊子の離婚について、著者は様々な観点から「俊子を責めるのは気の毒な気がする」となぜか俊子に同情的であるが、白秋より一足先に小笠原から帰った俊子と橘三千三という学生との不倫恋愛には触れず、サラリと次の妻江口章子との結婚へ移るので、離婚に至る白秋の心の闇は全く見えてこない。 白秋の詩歌童謡成立の過程を丹念に追った労作であるが、書名のごとく遠くから白秋の表情をスケッチして、その詩歌の背後にある詩人の生身の微細な表情・実生活・魂・苦悶への切り込みが浅く、通り一遍の白秋鑑賞本に終わっているのは残念。

  • 「からたちの花」はどのようにして生まれたのか

    著者による本格的な文学者評伝『荷風と東京』および『林芙美子の昭和』に続く三作目である。いずれも、著者の好みの文学者にじっくり取り組み、住まい、風景、自然、交流関係などのディテールにこだわる中で、作家の作品と生涯を浮かび上がらせるという手法がとられている。本書でも、柳川から上京し、東京や三崎、小笠原、そしてまた東京へという住まいの変遷を背景に、白秋の詩心の展開がつづられる。 白秋の代表的な作品「からたちの花」にも、少年時代の柳川の思い出、上京してからの挫折体験、家族との生活、住まい近くの自然と子供たちとの交流などが色濃く反映されている。柳川の実家が破産した後、長い間故郷に帰らなかった白秋が、有名な詩人として故郷に久しぶりに帰り、子供たちの「からたちの花」の合唱で迎えられる場面は感動的である。 本書で初めて知ったのは、晩年の「紀元2600年」(1940年)記念の交声曲『海道東征』(曲:信時潔)の作詩である。信時潔が『海ゆかば』の作曲者であることもあり、戦後はほとんど演奏されなかったが、2003年に久しぶりに演奏された。本書の著者もその演奏を聴き、深い感銘を受けたとのことである。 白秋は、日本の近代化と伝統文化とのせめぎあいの中で生まれた稀有の詩人である。本書はこの稀有の存在の尊さを改めて認識させてくれた。

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