中世の窓から (ちくま学芸文庫 ア 25-5)
Set chiefly in Nuremberg, this historical work follows the lives of ordinary people in a medieval city. Through the spread of the money economy, artisans' worlds, festivals, gift exchange, women, and Jews, it depicts medieval Europe as a society in which human relationships and social structures were being deeply transformed.
Work Information
Looking beyond the cliché of a dark age, the book reveals a major transformation in medieval Europe through ordinary people's lives.
Chusei no Mado kara presents medieval Europe not as darkness or stagnation, but as an age in which social relationships were being reorganized. By following urban life, artisans, money, festivals, and gift exchange in Nuremberg, it views historical change through the everyday lives of unnamed people.
Review Summaries
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The book is valued for reading the medieval city not as a symbol of stagnation, but as a dynamic world where money, artisans, festivals, and human relationships overlap. It is received as a work that approaches the foundations of European culture through details of everyday life as well as institutions.
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Its focus on ordinary and marginalized people shows the distinctive character of Abe's historical method. By reading visible objects together with invisible changes in relationships, the book brings readers closer to a fuller picture of medieval society.
Book Information
- Publisher
- 筑摩書房
- Published
- 2017-06-06
- Pages
- 384 pages
- Language
- 日本語
- Size
- 10.5 x 1.6 x 14.8 cm
- ISBN-13
- 9784480098016
- ISBN-10
- 4480098011
- Price
- 1540 JPY
- Category
- 本/ノンフィクション/歴史・地理・旅行記/歴史/その他
中世ヨーロッパに生じた産業革命にも比する大転換――。名もなき人びとの暮らしを丹念に辿り、その全体像を描き出す。大佛次郎…
Reviews
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中世に形成されるヨーロッパでの新しい人間関係
著者阿部氏によれば、ドイツを中心とするヨーロッパでの人と人との、そして人と物との新しい関わり方は、集落が都市として発展し始める中世時代に端を発している。農村地帯とは切り離されて城塞によって取り囲まれた都市は、それまでの人同士の関係を必然的に変化させていく。最初に例を挙げているのが都市の最小単位になる住居で、その集合体である街は社会的な共同体を形成するので、当然安全かつ円滑な社会を維持するために新しい法律が必要になり、結果的に都市住民は既得権益維持のために余所者を排除しようとする差別も表面化してくる。また貯蓄や分配がたやすく商業活動に圧倒的に有利な貨幣の価値が、それまでの物に取って代わって優位に立ち貨幣経済が成立するが、それがまた一方で貧富の差を拡大させたことも理解できる。阿部氏はユダヤ人への差別が決定的になったのは、ヨーロッパの人々が古いタイプの人と物との関係をまだ手放せないでいる時、彼らが逸早く貨幣価値を認めて蓄財したことへの反発としている。 カトリック教会は喜捨や寄進を奨励し、死後の世界を保証するという元手のかからない方法での莫大な富の貯蓄が可能になり大聖堂の建築が始まる。それはそれ以前の奉仕に対する贈答という主従関係のシステムを根本的に変えることになるが、大規模な教会建築にはヨーロッパ中の高い技術を持った職人が必要になり、国を越えた文化や芸術の伝播が始まるのも貨幣経済の優位があって可能になったもののようだ。それだけに中世には職人の専門的な技術の向上とその洗練が着実に進んでいた。こうしたヨーロッパの大都市での人々の生活に、著者が現代社会の萌芽を見ているのは興味深いし、文化も技術も停滞して社会的な発展が途絶えた暗黒の中世では決してなかったことが理解できる。むしろ現在の我々の人間関係の仕組みをより良く知り、またそれを活かすためには意外にも中世時代の価値観の変化を見極める必要があるだろう。 随所にイラストを掲載してイメージを助けてくれるので、中世の世界をバーチャルに体験できるが、そこには私達が抱いている中世に対する印象からは随分違ったものが見えてくる。むしろ難解なのはこの時代に生きていた人々のスピリットをつぶさに理解することだろう。それにはより奥深い読書が求められるし、勿論この一冊では充分とは言えない。幸い阿部氏の中世シリーズの作品はこの新聞掲載のための書き下ろし作品以外にも次々と出版を重ね、具体的なテーマによって更に詳述されているので、中世に興味のある方はその手始めに本書を読まれることをお勧めしたい。
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中世ヨーロッパ好きにはおすすめの一冊
1981年に書かれた本の文庫版(らしい)。 「中世ヨーロッパの生活」など、 そっち関係の本はそこそこ読んでましたが、この本の存在は今の今まで知りませんでした。 結論から言うと、「こんな良い本が三十年以上も前からあったのなら、もっと早く読んでおけばよかった」と感じてしまう一冊でした。 主に14~16世紀のドイツをメインに、 当時の人々の生活を説明していますが、 ただ単に「〇〇という生活をしていた」という風に事実を羅列するのではなく、 「その当時は〇〇という概念があり、それで△△となり、それで人は□□をするようになった、 そのため××という説話が作られ、当時の人々はその話を聞きながら▽▽と思っていた」というように、 根源的な理由からそれに関する逸話、人々の心境まで、流れに沿って分かりやすく説明してます。 当時の人々の生活臭が感じられ、本当に窓から当時の情景を観察しているかのようです。 強いて注意点を上げるとすれば、タイトルに「中世」とありますが、 説明対象は14~16世紀ドイツがほとんどで時代的にも場所的にも狭く、 中世時代を幅広く説明した本ではない、ということです。 (大抵の人が「中世ヨーロッパの町」と言われてイメージするのは、この時代のドイツやフランスだとは思いますが・・・) 中身は、 当時の家の構造と、その家の中で人々はどういう風に生活をし、何を考えていたのか。 閉鎖された都市空間で、人々はどういう繋がりを持っていたのか、何によって繋がっていたのか。 兄弟団(現在でいえばサークルみたいなもの)が人々の生活にどう関わっていたか。 靴屋、仕立屋、石工職人、鍛冶師、飛脚(手紙の配達人)、娼婦について、彼らの仕事は世情とどう影響していたのか。 祭り、子供の遊び、当時歌われていた歌について、 などが書かれています(上記のこと以外にも、内容は多岐に及びます)。 さらには 家長(男主人)は家庭を上手に治めれないと、近隣住人に家の屋根をはぎ取られた。 貨幣は当時呪術的な意味もあり、お守りとしての要素も強く、削って粉にして薬にすることもあった。 という小話も随所に盛り込まれています。 個人的にはですが、流れに沿って説明しているので非常に読みやすく、 中世ヨーロッパに興味ある人はもちろん、それほど興味のない人にもおすすめできると思います。 P.S. なぜか中古で3000円とかしてますが、定価1300円なので・・・。 たぶん本屋に行けば、普通に置いてます(私は近所の本屋で買いました)
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過去へのガイドブック
阿部謹也先生の本はどれも独自の視点を提供していて 面白く読めるが、本書でも中世ヨーロッパを少し変わった 視点から読み解いている。 祭り、貨幣経済、職人たち、子供と遊びなど「そうだったのか」 と瞠目させられることばかりである。 私たちはハリウッド映画の歴史物の影響なのか、中世といっても つい現代と衣装ぐらいが違う時代のように考えてしまうが、 やはり完全に別の世界であり、別の思考様式にしたがって、 別の価値観に基づいた別の生活が営まれていたという しごく当たり前のことに気づかされた。
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『超約ヨーロッパの歴史』と合わせて見た感想
比較的最近に執筆されたジョン=ハースト『超約ヨーロッパの歴史』を以前読んだのですが、 40年ほど前に執筆された本書の当時では斬新な考え方・結論が 現在では、ヨーロッパ社会の変遷についての確立された常識になっており感銘を受けました。 本書は主にドイツの都市を例に挙げているので、 併せて『中世ヨーロッパの暮らし』(ふくろうの本)を読むとローマ近隣の都市・フランス南部・ベルギーの中世都市との比較ができるので楽しめると思います。
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西洋美術史にふれる方必読にしたい1冊
特に中世ヨーロッパ美術・芸術史に関して、美術作品・芸術作品・建築そのものの研究だけでなく、それらを支えたのがどのような人たちであるか、彼らがどのような社会背景・文化背景の下に生き、仕事を行っていたかがわかる中世生活史・社会史といえる書。 一歩進んだ旅行者にもお勧めで、同じ中世都市を散策するのでも、この書を読んで、時代を築いていった庶民に思いをはせることで、文化情緒あふれる中世の旧都市の散策をさらにいっそうロマンチックなものにさせる。