影のない四十日間 上 (創元推理文庫 M ト 10-1)
影のない四十日間 is a work by オリヴィエ・トリュック. It is recorded as a prize-related title from 2013, and the available bibliographic sources were checked for standalone book identifiers.
Work Information
影のない四十日間 was checked as an award-listed work by オリヴィエ・トリュック.
影のない四十日間 is a work by オリヴィエ・トリュック. It is recorded as a prize-related title from 2013, and the available bibliographic sources were checked for standalone book identifiers.
Review Summaries
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Bibliographic records and award listings confirm the work in a prize context. For readers, its genre position and award history provide clear points of entry.
Book Information
- Publisher
- 東京創元社
- Published
- 2021-11-11
- Pages
- 326 pages
- Language
- 日本語
- Size
- 10.6 x 1.3 x 14.9 cm
- ISBN-13
- 9784488227036
- ISBN-10
- 4488227031
- Price
- 126 JPY
- Category
- 本/文学・評論
ミステリ批評家賞、813協会賞など23賞受賞 CWA賞インターナショナルダガー最終候補作 長い極夜がようやく明けた日 トナカイ牧夫が無残な死体で発見された。 クレメットとニーナは、北欧三カ国にまたがるサーミ人居住地のトナカイ警察の警察官コンビ。二人が配置されたノルウェーの町で、サーミ人のトナカイ所有者が殺害された。直前にクレメットたちが、隣人からの苦情を受けて彼のもとを訪れたばかりのことだった。トナカイ所有者同士のトラブルが原因なのか? サーミ人を巡って様々な思惑が入り乱れるなか、彼らは捜査を進めるが……。フランスで二十以上の賞を受賞した傑作ミステリ。
Reviews
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心に残る本
山荘でのんびり読んでいたらちょっと心が暗くなりましたが読み終わったら深い! アイヌの歴史とちょっと通じるような気がしました。
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警察物語だが、異国情緒たっぷりな点が独創的
舞台は北極圏にあるノルウェー最北部。 タイトルが示すように、太陽の出ない40日間が終了する日(1月10日)の早朝、博物館から希少なサーミ人(北欧の先住民族)の太鼓が盗難されるという事件が起こる。さらに翌日、トナカイ所有者であるサーミ人の男性の遺体が発見される。 トナカイ警察官(一般の警察官だが、トナカイの密漁や盗難を担当)のクレメット(50代ベテラン、サーミ人の混血)とパートナーのニーナ(20代の新人警察官、南ノルウェー出身)は、二つの事件に何らかの関係性があると睨んで捜査に乗り出すが…。 クレメットは過去に第一線で捜査にあたった時の経験により、証拠固めをして慎重に動くタイプ。独身で、生い立ちにより自分にコンプレックスを抱いているが、優しくて静かな男性だ。 対してニーナは、元気いっぱいで積極的な、こちらも好感のもてる女性。 個性豊かな多くの登場人物が絡む物語で、北欧の風景や暮らしぶり、先住民の文化(太鼓、唄など)、地元人の政治や軋轢、地質学などが、詳細に描かれている。 冬季、ようやく太陽が出るようになっても初日は27分間だけだが、翌日から十数分ずつ日照時間が延び、17日後には5時間になる(そのまま、真夏には白夜になってしまう)。 極寒の地。氷と雪と風に覆われ、気温は-20~-40℃(私は北海道釧路市出身なので、幾分この寒さがわかる)。オーロラ、トナカイなど異国情緒たっぷりだ。 そしてここではサーミ人(外見は北欧人だが、小柄で男性の平均身長が152㎝という説も)に対する卑下や差別が残存している。 侵略者が先住民古来の言葉や宗教などを禁じる同化政策、強制――中国が新疆ウイグル自治区や内モンゴル自治区に対して行っていることが最近では有名だが、日本でも、昭和に入ってからも沖縄(琉球)に対して行っていた。その他アイヌ民族や、アメリカではインディアンに対する迫害など――世界各地に残るいまだ完全解決していない社会問題も、本作のひとつの大きなテーマになっている。 蛇足だが、59歳で老女と書かれーkindle(下)No.1984、ばばあ扱いされることにちょっと衝撃が。セリフではないので本文は作者によるものだが、フランスやスウェーデンではそうなのか? 本作の登場人物は主に50代が占めているが。 冒頭に描かれている17世紀末の凄惨な事件との絡み、クレメットやニーナの過去など、一部謎を残したままの尾を引く結末。個人的には冒頭に殺された老人と同名のアスラクに惹きつけられた。 あとがきによるとシリーズ化されており、4作目まで発表されているらしい。とても気になるので、続刊の出版を心待ちにしている。
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都会とは遠く離れた場所に展開する辺境エンターテインメント
フランス人の書いた北欧ミステリー。そう言ってよいのかどうか? いずれにせよ、内容は、都会とは遠く離れた場所に展開する辺境エンターテインメントである。しかもそんじょそこらの中途半端な辺境ではなく、北極に一番近く、地の果てもいいところ。白夜とは真逆となる<黒昼?>。無論そんな言葉は作中にはない。しかし一年に四十日間も全く太陽が顔を見せない季節が地球上にあるなんて! 地軸の傾きが作った宇宙の奇跡としか言いようがない。そんな四十日間の長い夜が明ける瞬間に幕を開けるのがこの物語である。多くの人々が極寒の暗闇で日の出を待つシーンで! どうです、神秘的でしょう? しかも初日は日照時間は4時間ほど。日が経つにつれ日照時間が伸びてゆく。日が変わる毎に日照時間が小題に記されるのも本作の特徴。太陽は地平近くを横に移動して四時間後にはまたすぐに沈んでしまうのだそうで日照時間は実に重要。むしろそんな場所でそんな時を経験してみたいくらいだ。 ともあれ、そんな季節に起こってしまうトナカイ牧場殺人事件。調べるはトナカイ警察。トナカイ業を営む多くはサーミ人という少数民族。日本ではアイヌ人、もしくはいわばイヌイットなどの海洋民族を想起させられる。いずれも人種差別や迫害を免れない先住民族共通の国家的課題を抱えている状況もしっかり描かれてゆく。差別を日常的に口にする警察官の存在が鼻につくが、それはきっとリアルなことでもあるのだろう。 長い夜。極寒。差別。そういった逆境を背景に、描かれた警察小説が、本書なのである。警察小説と言っても、本書の主人公クレメットとニーナが所属するのはトナカイ警察。トナカイ猟に関わる事件を専門とするので、一般の捜査陣よりはワンランク下に見られているようである。本作では、トナカイ業経営者の殺人事件を彼らは特別に担当する。また同時に村の博物館ではやはり先住民族の史的文化財とも言える太鼓の盗難事件が発生し、二つの事件の関連が疑われる。 ノルウェイ、フィンランド、スウェーデンが国境を接する北欧の最北端を舞台に、二人の若いトナカイ警察と、彼らを取り巻く一般警察、役場、さらには利権を企んで集まってくる有象無象の輩、性犯罪の常習犯である地質学者などが入り乱れる中、静かなはずの北辺の地が一気にざわめく。 穏やかならざる犯罪の気配に連続して巻き込まれゆく極光の雪原を舞台に、零下40度を軽く超える極寒の地で、二人の捜査が展開される。クレメットは先住民族の血が流れ、ニーナは南ノルウェイの出身でこの地へは配属され初めて足を踏み入れたばかりの新任である。 ちなみに、作者は『ル・モンド』紙の北欧特派員としてストックホルムに在住しているフランス人であるそうだ。ゆえに本書はフランス語圏で出された北欧舞台のミステリー。いわゆる北欧ミステリー特有のエンタメ性というよりは、サーミ人という知られざる北方民族の存在、また彼らに対する差別、金鉱・ウラン鉱の発掘のために自然を虐げようとする先進国の文化的暴力、悪徳企業による自然破壊への怒り等もろもろをモチーフとした社会小説的側面が強い善良な作品であるように思われる。ストーリーの面白さやリーダビリティは、北欧エンタメの快適さには遠く及ばない。 それでも、武骨ながら独自の題材に迫ってみせる作者の気概がストレートに伝わる意欲作として評価したい上、さらなるこの地を舞台にした続編にも個人的には期待したく思う。少なくともワイルドな地の果てが大好きなぼくにとっては、心惹かれる個性的な一作であった。
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トナカイ警察ってあるんだ
舞台は白夜の北欧。ノルウェー、スウェーデン、フィンランドを自由に移動してトナカイを放牧してきたサーミの人びとは、その歴史を尊重し、放牧の権利を認められてきた。反面、近代的な農業、工業に従事する住民からは蔑視され、差別を受けてきた。その複雑な環境のなかで、トナカイの越境や縄張りの紛争を解決するために「トナカイ警察」がある(本当にあるらしい)。主人公はそのトナカイ警察のベテランの男性警官と新人女性警官。広大な担当地域の見回りはスノーモービルに食料を積んだソリを引っ張ってのものになる。 まったく想像のつかない生活、自然、仕事環境が新鮮です。屈折のある2人の主人公の描写もうまい。20年以上北欧に住むフランス人ジャーナリストがこの地にほれこんで書いた思いが伝わってくる佳作。刑事ヴァランダーや、特捜部Qとはまた別の北欧小説の楽しみがあります。