軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い
This nonfiction work follows the 2005 JR Fukuchiyama Line derailment through the actions of bereaved family member Yasakazu Asano and the engineers who confronted JR West's organizational reform. Rather than reducing the disaster to individual error, it examines corporate culture, safety thinking, and the difficult dialogue between victims' families and the company.
Work Information
A bereaved family member and the head of the responsible company look beyond blame to question the safety culture of a vast organization.
Centered on Yasakazu Asano's thirteen-year effort after the Fukuchiyama Line derailment, the book connects the official investigation, punitive workplace practices, missing safety systems, post-privatization management, leadership changes at JR West, and safety reform. It pursues the nature of an organizational accident that cannot be understood through blame alone. The work received the Kodansha Honda Yasuharu Nonfiction Award.
Review Summaries
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An author interview highlights the unusual structure in which a bereaved family member entered a joint inquiry with the responsible company, valuing the book's treatment of the accident as a social and organizational issue.
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Readers tend to see it as a weighty record that faces the gravity of the accident while carefully tracing safety systems and organizational change.
Book Information
- Publisher
- 東洋経済新報社
- Published
- 2018-04-06
- Pages
- 365 pages
- Language
- 日本語
- Size
- 13.7 x 2.7 x 19.8 cm
- ISBN-13
- 9784492223802
- ISBN-10
- 4492223800
- Price
- 1690 JPY
- Category
- 本/ノンフィクション/事件・犯罪/事件一般
第41回「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」受賞! 第50回「大宅壮一ノンフィクション賞」ノミネート! 第1回「Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞」ノミネート! 『朝日新聞』『日本経済新聞』『北海道新聞』『河北新報』『週刊新潮』『週刊現代』『HONZ』等で書評掲載。 ★真山 仁氏推薦!★ 「『遺族の責務』を探し続けた男が挑む不条理 闘う遺族を静かに寄り添うジャーナリストが辿り着いた 日本社会の欺瞞と脆弱」 「責任追及は横に置く。一緒にやらないか」 遺族と加害企業の社長。 相反する立場の2人は巨大組織を変えるためにどう闘ったのか。 あの事故から始まった13年間の「軌道」を描く。 私は、この事故を淺野弥三一という一人の遺族の側から見つめてきた。 彼の発言や行動は、これまで私が取材や報道を通して見聞きしてきた事故や災害の遺族とは何かが決定的に違っていた。 淺野の視点と方法論は独特で、語る言葉は時に難解で、JR西に対する姿勢は鋭く峻烈でありながら、柔軟で融和的に見えるところもあった。(「プロローグ」より) <本書の内容>< 乗客と運転士107人が死亡、562人が重軽傷を負った2005年4月25日のJR福知山線脱線事故。 妻と実妹を奪われ、娘が重傷を負わされた都市計画コンサルタントの淺野弥三一は、なぜこんな事故が起き、家族が死ななければならなかったのかを繰り返し問うてきた。 事故調報告が結論付けた「運転士のブレーキ遅れ」「日勤教育」「ATS-Pの未設置」等は事故の原因ではなく、結果だ。 国鉄民営化から18年間の経営手法と、それによって形成された組織の欠陥が招いた必然だった。 「組織事故」を確信した淺野は、JR西日本自身による原因究明と説明、そして、組織と安全体制の変革を求める。 そのために遺族感情も責任追及も封印し、遺族と加害企業による異例の共同検証を持ち掛けた。 淺野の思いに呼応し、組織改革に動いた人物がいた。事故後、子会社から呼び戻され、初の技術屋社長となった山崎正夫。 3年半でトップを退くが、その孤独な闘いは、JR西日本という巨大組織を、長年の宿痾からの脱却へと向かわせた。 それは、「天皇」井手正敬の独裁に依存しきった組織風土、さらには、国鉄改革の成功体験との決別だった。 淺野と山崎。 遺族と加害企業のトップという関係ながら、同世代の技術屋ゆえに通じ合った2人を軸に、 巨大組織を変えた闘い、鉄道の安全を確立する闘いの「軌道」を描く。 そこから見えてきたのは、二つの戦後史の「軌道」だった──。
松本 創(マツモト ハジム) ライター 1970年、大阪府生まれ。神戸新聞記者を経て、現在はフリーランスのライター。関西を拠点に、政治・行政、都市や文化などをテーマに取材し、人物ルポやインタビュー、コラムなどを執筆している。著書に『誰が「橋下徹」をつくったか――大阪都構想とメディアの迷走』(140B、2016年度日本ジャーナリスト会議賞受賞)、『日本人のひたむきな生き方』(講談社)、『ふたつの震災――[1・17]の神戸から[3・11]の東北へ』(西岡研介との共著、講談社)などがある。
Reviews
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「ヒューマンエラーは事故の原因ではない」という格言
事故の防止対する考え方が変わりました。「ヒューマンエラーは事故の原因では無く、結果の一つに過ぎない」という、ある意味当たり前の考え方は、恥ずかしながら大変に新鮮でした。 前半はヒューマンエラーが連続する事故の壮絶な記録です。日勤教育や超過密ダイヤをはじめとする直接の事故原因に対する被害者と加害企業の克明なやり取り。事故当時は関西地方の大学生で、その時の衝撃的なニュースを良く記憶している私には身近に感じられました。 中盤は「JR西の天皇」こと井手正敬氏をはじめとする経営陣の人物像や、事故の被害者との考え方の違いが示されます。頑なに個人の責任とする大企業と、事故を偶然の不運と取らず、社会化に向けて奮闘する被害者たち。会社人として見た際には、両方の言い分が理解できます。 後半は、それらを問題と認識しリスクアセスメントに向けて変わるJR西の姿や、変えようともがくJR社員と共に安全を積み上げようと試行錯誤する遺族達の、検討の記録を観ることができます。 私は、普段、食に関する仕事をしており、ヒューマンエラーに起因するヒヤリハットや、現場の方々の小さなミス事例には頻繁に遭遇します。言い分や考え方も理解できる一方で、管理側として、避け難い事故をどうとらえるのか、再発防止策や研修のあり方とは何かなど、毎日の安全という消費者にとって当たり前の前提を維持することへの覚悟や、プロ意識を培うための自身の土壌として、多くの知見を得ることができました。 読みながら自分の仕事に照らし合わせて考えさせられることが多くあり、途中退屈することなく、大変面白かったです。エッセンシャルワーク的な、毎日安全に存在していて当たり前的なお仕事をされてる方には、特にオススメです。
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体質は日本航空と同じだった
御巣鷹の日航機墜落事故で日本航空が様々な責任及び社内体質が問われたが 全く同様の体質で 金儲け主義が鮮明に出ている企業体質。事故が無ければ今どうなっていただろうと考えると恐ろしい。
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被害者と加害者を超えた視線で福知山線脱線事故を描いた良作
2005年に起きた福知山線脱線事故で、妻と妹を亡くした都市計画コンサルタントの淺野弥三一氏が加害者のJR西日本に徹底した対話を訴えた記録。社内政治に長けた官僚ではなく技師出身の山崎正夫氏が社長に登用され、不器用ながらも自分の言葉で事故に向き合おうとする姿勢に淺野は共鳴、事故の再発防止と組織の変革に向けた歯車が回り始めます。 国鉄改革に携わり経営基盤が弱いとされたJR西日本を株式上場にまで導き、天皇とさえ呼ばれた井手正敬氏にもインタビュー。大所高所の視線に立ち組織を牽引した井手の功績を評価しながらも、事故は組織ではなく運転士個人の責任と固執する言葉に著者は「国鉄の幻影と戦っている」と距離を置きます。 家族を奪った大企業に理性的に向き合い続けた淺野、被害者と事故に組織としてではなく人間として真摯に接した山崎、事故がなければ功労者と讃えられていたはずの井手。わかりやすさをあえて排して複数の視線から事故を考えさせる良作です。
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事故を核にして組織と人間を赤裸々に描き出す
2005年に起きた福知山線脱線事故は死亡107人、重軽傷562人もの犠牲者を出した。遺族から告発されたJR西日本の歴代社長3人は無罪となった。あれほどの事故を起こしながら誰も刑事責任を負わない。当時、私は司法に対して不信感を抱いたことを覚えている。この感情はどうやら日本人に共通らしく、ある学者が本文中にも述べているが、日本人は事故が起きた時には原因追求よりも犯人探しをする傾向が強いという。江戸時代には火災が起きると失火者を河原で火あぶりにした。罰則を重くすることで火災を減らそうとしたのである。それは事故の原因や組織的背景の究明には力をいれないことを意味する。 やはりJR西日本もこの大事故を「運転手のブレーキ遅れ」の個人の過失として幕引きを図ろうとしていた。しかし、それを許さない遺族がいた。妻と妹を奪われ、娘が重傷を負わされた浅野弥三一氏は、地獄のような苦しみをのりこえて、原因究明と再発防止が「遺族の社会的責務」であると考えて行動に移したのである。浅野氏は、子会社から呼び戻されて社長に就任したばかりの山崎正夫JR西日本社長に「責任追及は横に置く。組織的な原因究明と安全構築のために一緒にやろうではないか」と遺族代表、JR西日本関係者、学者の3者による委員会設立を提案した。災害復興や都市計画の専門家として常に住民側に立って活動してきた浅野氏ならではの動きであった。 山崎社長の指示でつくられた三者委員会は、これまでのJR西日本の処罰主義に傾く安全管理を俎上に乗せた。ミスした個人を罰することは事故撲滅には繋がらないことを確認し、避けられないヒューマンエラーを組織やシステムでカバーする仕組みが話し合われた。委員会は5年間で27回開催され、組織事故の構造を明らかにし、ヒューマンエラー非懲戒、リスクアセスメントの充実、第三者機関による外部監査などを提言した。この提言はやがてJR西日本の安全運行の方針と組織改革に取り入れられていった。被害者と加害者が同じテーブルで再発防止を協議するのは、わが国において画期的な出来事であった。巨大組織を相手に闘った浅野氏の峻烈な生きざまに敬意を表したい。 著者は、事故は戦後の日本の2つの道の交差だったと考えている。浅野氏は都市計画の専門家として、災害や公害の問題や街づくりで一貫して弱い住民の側に立って活動してきた。それが彼の生きる道であった。一方で、新自由主義の構造改革により民営化されたJR西日本は、赤字路線切り捨て、私鉄とのスピード競争=過密ダイヤ、人員削減を進め、安全よりも利益を重視する道を進んでいた。その2つの道が交わったところに福知山線事故が起きた。浅野氏が被害者となって原因究明と再発防止のために巨大組織と闘ったのは自らの道を進むためであった。 事故後の13年を掘り下げたこのレポートには感嘆しかない。事故を核にして組織と人間が赤裸々に描かれていて私は熱くなって読みふけった。本書は一級のノンフィクションであるのはもちろんだが、経営学の組織論、危機管理論の絶好のテキストでもある。長く読まれるべき名著として私は推したい。
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敬意
事故の遺族となって怒りをぶつけるだけではなく、根本的な原因追求と企業体質を変えるためにJR西日本と対話する努力をされたことに敬意を表します。
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「組織と個人、その闘い」を描いた普遍的ノンフィクション
巨大事故で最愛の妻を奪われながら、強靭な意志を持って冷静であろうと努め、あくまで「理」によって加害企業と粘り強く対峙した淺野氏。 子会社から呼び戻されて社長となり、官僚的組織風土の中で孤立しながらも「安全のプロ」の信念を貫き、遺族との対話の道を開いた山崎氏。 2人の技術屋が出会い、外と内からJR西日本という巨大企業の「軌道」を変えていった10数年間の闘いの記録。 「国鉄改革の総司令官」から「JR西の天皇」となった井手正敬の生々しい言葉は、人間は決して成功体験から逃れられないこと、急進的な改革は必然的に独裁者を生み、止まれなくなって破綻することを物語る。とはいえ、井手を単純な悪者にして一刀両断するのではなく、その功罪を詳らかにしている。 題材は一つの大きな事故だが、「組織と個人、その闘い」を描き出した普遍的なノンフィクションである。
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しかし教訓は生かされていない
記録が残されてよかった。
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巨大企業病のJRと闘った一遺族の全記録
誤りを認めることが出来ない巨大企業を動かした一人の遺族の闘いを克明に記録したノンフィクション。 非常に読み応えあります。