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洪水と水害をとらえなおす-自然観の転換と川との共生

Mainichi Publishing Culture Award

洪水と水害をとらえなおす-自然観の転換と川との共生

Takashi Okuma

From the perspective of river engineering, this book reconsiders floods not only as hazards to be controlled but as questions of nature, society, and place. Looking back at traditional relationships with rivers, it argues for flood control based on coexistence, including levees that do not easily fail even when overtopped.

flood controlflood damageview of naturelocal society

Work Information

A reconsideration of flood damage through a changed view of nature and coexistence with rivers.

Published by the Rural Culture Association, this work by a leading river engineer examines the limits of modern flood control and Japanese views of nature, proposing ways to live with rivers. It won the seventy-fourth Mainichi Publishing Culture Award.

Review Summaries

  • The book is notable for going beyond technical discussion to reconsider the relation between disaster prevention and locally rooted views of nature. In an age of frequent disasters, its refusal to treat rivers simply as enemies offers practical insight.

Book Information

Publisher
農山漁村文化協会
Published
2020-05-29
Pages
284 pages
Language
日本語
Size
14.8 x 2 x 20 cm
ISBN-13
9784540201394
ISBN-10
4540201395
Price
2970 JPY
Category
本/アート・建築・デザイン/建築/建設・土木/河川工学

★令和2年土木学会出版文化賞受賞 2021.05.17 ★第74回毎日出版文化賞受賞!(自然科学部門)2020.11.3 日本人の伝統的な自然観に迫りつつ、 今日頻発する水害の実態と今後の治水のあり方について論じ、 ローカルな自然に根ざした自然観の再生と川との共生を展望する。 大熊河川工学集大成の書。 推薦の言葉 高橋 裕(東京大学名誉教授) 洪水と水害を論ずれば当然ながら立ち向かう大波―伝統と近代化の相克―それを見事に泳ぎ切った著者ならではの快著。確固たる歴史観と地域特性の理解なくしては到達できない。 内山 節(哲学者) 民衆の自然観を破壊していった近代国家の自然観。本書は、それを見据えながら川と人間の関係を問い直す大熊河川工学の集大成である。

大熊 孝(おおくま たかし) 新潟大学名誉教授・新潟市潟環境研究所所長・水の駅ビュー福島潟名誉館長・NPO法人新潟水辺の会顧問・日本自然保護協会参与・(公財)こしじ水と緑の会理事。 1942年台北生まれ、高松・千葉育ち、新潟市在住、1974年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了(工学博士)、新潟大学工学部助手、講師、助教授、教授を経て、 2008年新潟大学名誉教授、同年新潟日報文化賞受賞。専門は河川工学・土木史、自然と人の関係、川と人の関係を地域住民の立場を尊重しながら研究している。 著書に、『利根川治水の変遷と水害』(東京大学出版会、1981年)、『洪水と治水の河川史―水害の制圧から受容へ』(平凡社、1988年、文庫版2007年)、『川がつくった川、人がつくった川―川がよみがえるためには』(ポプラ社、1995年)、『技術にも自治がある―治水技術の伝統と近代』(農文協、2004年)、『社会的共通資本としての川』(東京大学出版会、2010年、編著)、『みんなの潟学』(新潟市、2018年、編著)などがある。 本書で令和2年土木学会出版文化省受賞とともに長年の学会への貢献から、令和2年土木学会功績賞も受賞

Reviews

  • 読みやすく、勉強になる専門書

    大熊孝著「洪水と水害をとらえなおす」紹介 “もともと日本人が自然に対してもっていた自然観、すなわち「民衆の自然観」がどのようなものであり、それが明治時代の近代化以降、「国家の自然観」のもとでどう変質していったのかを、洪水と水害の関係性を中心として眺めてみたい。・・・・ 新潟において、どのような「都市の自然観」が構築できるのかを探ってみたい。“ これは、本書の「はじめに」の一節である。この言葉は本書を太く貫く趣旨である。内容を目次の中の言葉で紹介する。 第一章 日本人の伝統的自然観・災害観とは ・・・「石」にも心を読み取る日本人 第二章 近代化のなかで失われた伝統的自然観 ・・・発電のための川だけになった信濃川・阿賀野川 第三章 小出博の災害観と技術の三段階 ・・・川の定義と技術の三段階 予備知識・川の専門用語 第四章 近年の水害と現代治水の到達点 ・・・現代の治水計画における問題点 ・・・ダムは水害を克服できたか? 第五章 究極の治水体系は400年前にある ・・・堤防の越流のさせ方で被害は変わる 第六章 今後の治水のあり方 ・・・越流しても破堤しにくい堤防に 第七章 民衆の自然観の復活に向けて ・・・自然への感性と知性をみがく 第八章 自然と共生する都市の復活について ・・・新潟市の「ラムサール条約湿地都市認証」への期待 著者は、「理系の土木技術者」と自称しておられるが、河川工学、土木史の専門家であり。新潟大学の教授も務めた方である。河川に関する著作も多い。 近年、“観測史上最大の雨量”と形容される大雨による河川の氾濫、しかも一級河川でも氾濫が頻発しており、治水についての関心を高めている人もあると思う。 私もその一人であるが、河川問題の専門書には縁がなかった。本書は、そのような私にとって、読みやすく、そして勉強になる「専門書」であった。

  • コロナも河川もまず、理解

    人類の歴史において河川からは多くのさまざまな恩恵を受け、それなりに付き合ってきた。今の時代それをすっかり忘れて生活していることが多い。いつからか、河川も自然も人間がコントロールできると勘違いしてきた。昨今の洪水や水害は、すべてではないが、そんな人間の活動へのしっぺ返しのような印象もある。もう一度、身近な河川の歴史を科学的な視点で振り返ってみる必要がありそう。それにしても、洪水の被害が出るたび、どうしてそんなところに?と思うような場所にシニアハウスが建られていることに歯がゆい思いがする。

  • 配って歩きたくなる本

    いきなり天台宗の話から始まるこの本。 ゴリゴリの河川工学のページも結構あるけれど、主題はタイトルの通り、人と自然との関係性をどう捉えるか、だと感じた。 水害に留まらず、様々な自然災害や、我々を取り巻く自然との生き方、教育、人と人とのコミュニケーションなど、様々な事を考えさせられた。 治水にめっちゃ詳しい、頭のいいおじいちゃんと軒先でじっくり語らった後の様な(そんな経験ないけど)、感動的な読後感だった。 宇沢先生と共著も出されてたのは知らなかった。「専門分野しか知らないオタク」の対局、謙虚に学び続ける深い知性を感じた。 うーん、読んで良かった。

  • 高額なダム建設より安価な堤防強化を提案

    洪水対策として、ダム建設や堤防強化があるそうです。八ツ場ダム建設費用は利息を含め、総額一兆円とのことです。一方、例えば「連続地中壁工法」という堤防強化の費用は、100キロメートルの堤防を強化しても500億円で済むそうで、ダム建設よりも費用は安いそうです。しかも、ダムはいずれ土砂で満杯になり、洪水調節機能がなくなってしまうのだそうです!最後に、これら巨大コンクリート建造物を撤去するのに、これまた何百億円かかるのでしょうか、、、、? しかし、著者の一番心配されていることはお金のことではなく、「日本人から民衆の自然観が失われてしまったこと」ではないかと感じました。「自然に還り、自然と共生する」という自然観を持っていた、400年前の日本人による伝統的治水工法の有用性について、述べられています。 当時は、治水には限界があることを前提に、「被害が相対的に少ないところに越流堤を造り、そこから洪水を氾濫させ、ほかの勝手なところでの破堤を防ぐという方法がよくとられていた」のだそうです。越流氾濫量は破堤氾濫量に比べ多寡が知れているので、被害を相当程度軽減できるからだそうです。著者によれば、それが「究極の治水」と言えるのではないか、とのことです。 日本人の伝統的自然観を見直しつつ、近代的科学技術を用い、災害とも共生することを提案する著者の考えに、強く共感いたしました。

  • 自然に対する人間の取り組み方

    2020年現在の河川の洪水の原因や対策の基本がよく分かったように思う。人間は大自然とどう向き合っていくのかが問われる。自然を支配することは、どんなに科学や技術が発展しても人間には無理。このことをしっかりと自覚することが次の生き方につながることを学んだ。

  • ダムがある川でなぜ毎年のように水害が起きるのかがよく分かります

    ここ数年、毎年のように豪雨による水害が起きます。その都度、「ダムがあったら水害が防げた」というようなことを言う御用学者がいますが、すでに日本には3000基ものダムがあります。豪雨で氾濫する川のほとんどに、すでに立派なダムが造られているのです。つまり、ダムによる治水には限界があるということが、私たちは嫌というほど見てきているのに、テレビや新聞でそういうことを指摘する人はほとんどいません。本書を読めば、ダムによる治水には限界があり、ほかの選択をすべきだということがよく分かります。

  • 期待通りでした。

    期待通りでした。

  • 歴史的検証から考える、自然と対峙しない治水論

    図書館本 本年度のベスト3に入るであろう良書 そしてダムや治水問題を正しく理解するためにも。 洪水と水害をとらえなおす 大熊孝 農文協 2020 大熊先生の本は何冊か読んでおり、自然との共生という態度は哲学3人塾(内山節、鬼頭秀一、大熊孝)の会でもお聞きしていたので本書も非常に分かり易く、敢えて結論からかけば大熊先生の自叙伝的治水論としての河川工学とでも言うべきでしょうか? まさに令和2年7月豪雨での熊本県球磨川の水害を見聞きして、川辺川ダムがあれば的な報道がされる違和感を感じざるを得ません。ダムか堤防か?という工事ありきの防災対策が想定外な降雨量に対してまったく意味をなさない治水計画にも思えます。 本書は自然災害や河川工学の歴史を検証し、100%の正解など存在しない水害対策に関して多くのヒントとこれからの施策の在り方を提示しています。 最も基本的な事は、人類は自然を征服したり管理しようとする思想こそが人類を破滅に導くという事なのでしょう。自然に生かされ、自然との折り合い(居り合い)の中で、いかに人的被害を最小に出来るのか?そんな事を本書は教えてくれます。 備忘録的メモ 洪水は必ずしも水害を導かない。下流部を肥沃にしてきた歴史的事実 白洲次郎が東北電力会長時代のダム 魚道を作るという発想は皆無 2008年JR東日本宮中取水ダム(長野 山手線用電力)コンピュータープログラムによる不正取水発覚 河川工学の川の定義「河川は、地表面に落下した雨や雪などの天水が集まり、川や湖などに注ぐ流れの筋(水路)などと、その流水を含めた総称である」 大熊氏が学生に教える川の定義「川とは山と海とを双方向に繋ぐ、地球における物資循環の重要な担い手であるとともに、人間にとって身近な自然で、恵みと災害という矛盾のなか、ゆっくり時間をかけて、ひとの”からだ”と”こころ”をつくり、地域文化を育んできた存在である。 水害調査心得 現場調査なくして発言権なし ダムによる堰上げの影響 2011年7月 只見川水害 ダムの洪水調整機能の精査の必要性 河川改修工事との工事費比較(ダム工事の高額) 土木機械力の質的・量的な進歩により堤防化の迅速で安価な工事が可能に 基本高水とダム計画の乖離 八ッ場ダムを含むダム群 治水計画は絵に描いた餅 ダムの排砂問題(黒部ダム排砂による富山湾の魚介類死滅)から多くのダムの堆砂問題が浮上(想定外の量的堆砂) 穴あきダムの登場 八ッ場ダムの洪水調節計画は変更されていた 信玄堤は本当に信玄が作った? そして徳島堰は甲斐国志にはまったく登場しない。 将棋頭(六科)、堀切(竜岡台地)価の可能性あり 現在の日本の治水計画は、表向き平等性を担保することを前提として、大きな基本高水を設定し、ダムによる洪水調節と河道の洪水流下能力を組合せで、計画洪水を一滴も漏らさせずに海まで排出する計画となっている。(堆砂、環境問題は考慮されず) 堤防強化の経済性(安価) 社会的共通資本としての川 (宇沢弘文との共著) 社会的共通資本:自然環境、社会的インフラストラクチャー、制度資本 地域・都市における自然観と国家の自然観との対立

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