龍彦親王航海記:澁澤龍彦伝
A critical biography that follows the life and work of Tatsuhiko Shibusawa through unpublished materials and testimony from people connected to him. From the Sade trial, Gendai Shicho-sha, and the magazine Blood and Roses to his relationships with Sumiko Yagawa and Ryuko, it traces the course of life and creation behind the intellectual mask.
Work Information
A substantial biography that traces the intellect and everyday life of the voyager Tatsuhiko Shibusawa through documents and testimony.
Tatsuhiko Shinno Kokaiki: A Biography of Tatsuhiko Shibusawa portrays Shibusawa's life at the intersection of literature, legal controversy, publishing, and family relationships. Using rich materials, it follows the everyday life behind the image of an intellectual, conceptual writer and the role he played in postwar Japanese publishing culture.
Review Summaries
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The book's strength lies in going beyond Shibusawa's works to examine his family, publishers, and contemporaries. Even devoted readers can encounter it as a biography that gives the figure new depth.
Book Information
- Publisher
- 白水社
- Published
- 2019-10-31
- Pages
- 520 pages
- Language
- 日本語
- Size
- 14 x 4.6 x 19.6 cm
- ISBN-13
- 9784560097267
- ISBN-10
- 4560097267
- Price
- 4400 JPY
- Category
- 本/文学・評論/評論・文学研究
不世出の異才の生涯を辿る 作家の最晩年に編集者として謦咳に接した著者による初の伝記。未公開資料と知られざる逸話を交えながら、不世出の異才の生涯を辿る。 「伊達の薄着」の美学 2019年は澁澤龍彥の生誕91年目にあたる。生前に残した膨大な作品群は根強い人気を誇り、今なお若い読者を惹きつけてやまない。本書は、澁澤と交流をもった最後の世代の編集者であり、2006年に『書物の宇宙誌 澁澤龍彥蔵書目録』を編纂した著者が、知られざる逸話を交えながら不世出の異才の歩みを明らかにする初の試みである。 生い立ちと幼少年期、多感な青年時代。同時代を生きた盟友、出口裕弘や松山俊太郎、種村季弘、三島由紀夫、多田智満子、生田耕作、加納光於、野中ユリ、土方巽、稲垣足穂、加藤郁乎、池田満寿夫、巖谷國士、唐十郎、高橋睦郎、金子國義、四谷シモンらとの出会い。澁澤が彼らと交わした書簡や関係者の証言など未公開資料を盛り込みつつ、若き日の雑誌社でのアルバイト、岩波書店の校正室で知り合った最初の妻・矢川澄子、サド裁判、1960年代から80年代にかけて時代を映す出版物を次々と刊行した版元との関わり、雑誌「血と薔薇」編集長としての仕事、二度目の妻・龍子との出会い、晩年の生活にも触れられる。 戦後の日本で、フランス文学の紹介者として、翻訳家、小説家、エッセイスト、アンソロジストとして、日本文学史上に唯一無二の足跡を残した澁澤の文学と人生を一望する1冊。 [目次] 第Ⅰ章 狐のだんぶくろ(一九二八―一九四五) 1 生誕 2 先祖/両親と親族 3 幼少年期 4 幼少年期の読書/南洋一郎 5 旧制中学時代 6 東京大空襲/敗戦 第Ⅱ章 大胯びらき(一九四六―一九五四) 1 旧制浦和高校/野沢協、出口裕弘との出会い/シュルレアリスム/コクトー発見 2 浪人時代/姫田嘉男/吉行淳之介/久生十蘭 3 東大時代/サド発見 4 「新人評論」/恋愛/小笠原豊樹 5 デビュー前夜/小牧近江 第Ⅲ章 神聖受胎(一九五四―一九五九) 1 『大胯びらき』とコクトー 2 岩波書店の外校正/矢川澄子/松山俊太郎/父の死 3 昭和三十一年/「未定」/マルキ・ド・サド選集/三島由紀夫/多田智満子 4 昭和三十二年/生田耕作と片山正樹/コクトーの手紙 5 昭和三十三年/大江健三郎論/石井恭二/花田清輝 6 昭和三十四年/結婚/加納光於と野中ユリ/「聲」/『サド復活』/瀧口修造 第Ⅳ章 サド復活(一九六〇―一九六二) 1 サド裁判 2 昭和三十五年/『黒魔術の手帖』/矢貴昇司/日夏耿之介/土方巽/稲垣足穂/推理小説月旦 3 昭和三十六年/『わが生涯』の共訳/政治 4 昭和三十七年/『神聖受胎』/『犬狼都市』/『さかしま』/加藤郁乎/小町の家 第Ⅴ章 妖人奇人館(一九六三―一九六七) 1 酒宴の日々/池田満寿夫/巖谷國士 2 昭和三十八年/「世界悪女物語」/サド裁判控訴審判決 3 昭和三十九年/中井英夫と塚本邦雄/『夢の宇宙誌』/矢川澄子の役目/種村季弘/『サド侯爵の生涯』 4 昭和四十年/三島の年賀/『快楽主義の哲学』/高橋睦郎/金子國義/《サド侯爵夫人》 5 昭和四十一年/皿屋敷事件と暴風雨の一夜/「異端の肖像」/唐十郎/世界異端の文学/古典文庫/ 北鎌倉の新居/高橋たか子 6 昭和四十二年/四谷シモン/林達夫/喧嘩 第Ⅵ章 ホモ・エロティクス(一九六八―一九七〇) 1 矢川澄子との離婚 2 昭和四十三年/日本文学へのアプローチ/『美神の館』/アスベスト館 3 「血と薔薇」 4 昭和四十四年/美学校/『怪奇小説傑作集4』/サド裁判最高裁判決/再婚/薔薇十字社 5 昭和四十五年/澁澤龍彥集成/初のヨーロッパ旅行/三島の死 第Ⅶ章 胡桃の中の世界(一九七一―一九七五) 1 前川龍子/昭和四十六年/三島事件の余韻/『暗黒のメルへン』/『黄金時代』/石川淳/アラブ旅行 2 昭和四十七年/鷲巣繁男/『偏愛的作家論』/『悪魔のいる文学史』 3 昭和四十八年/青土社/別冊新評「澁澤龍彥の世界」 4 昭和四十九年/イタリア旅行/『胡桃の中の世界』/吉田健一 5 昭和五十年/ユリイカ特集号 第Ⅷ章 記憶の遠近法(一九七六―一九七九) 1 昭和五十一年/怪人松山俊太郎/音楽 2 昭和五十二年/『思考の紋章学』/フランス・スペイン旅行/世界文学集成 3 昭和五十三年/「玩物草紙」/『記憶の遠近法』/蔵書/日本の古典 4 昭和五十四年/時評/『悪魔の中世』/ビブリオテカ澁澤龍彥/著述の分量 第Ⅸ章 魔法のランプ(一九八〇―一九八六) 1 澁澤の日常/昭和五十五年 2 昭和五十六年/オスカル/ギリシア・イタリア旅行/澁澤の旅/『唐草物語』と泉鏡花賞 3 昭和五十七年/翻訳/反核アンケート/河出文庫 4 昭和五十八年/晩年の土方巽/『三島由紀夫おぼえがき』/ウチャ 5 澁澤龍彥批判 6 昭和五十九年/バルチュス展/澁澤龍彥コレクション/ボルヘス/サイン会 7 昭和六十年/「私のプリニウス」/富士川義之/幻想文学新人賞 第Ⅹ章 太陽王と月の王(一九八六―一九八七) 1 素顔 2 昭和六十一年/土方巽の葬儀/『うつろ舟』 3 入院、手術、死 4 葬儀 あとがき/詳細目次/主要参考文献/索引
礒崎純一(いそざき・じゅんいち) 1959年生まれ。慶應義塾大学文学部フランス文学科卒。編集者。『書物の宇宙誌 澁澤龍彦蔵書目録』(国書刊行会)を編纂。共著に『古楽CD100ガイド』(国書刊行会)、『古楽演奏の現在』(音楽之友社)、編纂CDに『カウンターテナーの世界』(ヴァージン)等がある(すべて瀬高道助名義)。
Reviews
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難解な澁澤龍彦の心を、実に簡単明瞭にしてくれる完璧本!
文章も平易で、とても読みやすい。分厚い本ですが、どんどん引き込まれるように読み進めることができます。 澁澤龍彦の生い立ちから、アーテイスト関り、性向、付き合い、生活の様子が、透けて見えるような書きぶりです。 本の装丁や作りも、とても素晴らしい!値は張るが安い値段です。 ただ、龍彦自身の難解な文学作品への、踏み込みがすこし甘いのは、作者の性格からきているのかもしれない、と感じる。 評伝だから、それはしかたのないことなのであるが、しかし付き合いや本の成立過程をいくら詳しく掘り起こしても、澁澤の精神の奥深さまでは、決して到達できないのは、あたりまえのこととして、読み進めたい。ただ、澁澤の悩みや苦しみ、そして生活の心情などは、手に取るように了解できる美本である。 われわれの世代には、暗黒世界の帝王的な存在だった作家の、成立過程や人とのつきあいもよくわかる一冊です。 K きた
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売れてるんだ
発刊間もない頃だったので当然、初版と思いきや、第3版。売れているんだな、と実感。オールドファンにとっては嬉しい限りですが、初版か重版かが判ると、もっと注文しやすくなると思った次第。
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澁澤国の王子様
500ページを越える伝記ですが、編年体ですっきりしていて読みやすいです。 澁澤龍彦は、小さな世界の王子様で、その交遊関係はアングラとアバンギャルド満ちていました。あの頃の、あのメンバーの名前が登場するだけで、熱量は半端ではなくなります。 他方で、澁澤の母、妹たち、一人の奥様の矢川澄子、二番目の龍子と、女性を追っていくと澁澤の王子様像はよりくっきりしてきます。 澁澤ファンにはお勧めできる一冊です。
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手頃な値段
澁澤辞典で 調べ物の時に助かります
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他人の人生を我が物とする楽しみ
読み終わったとき、渋沢とともに一つの人生を生きたと思った。林達夫の『林達夫著作集 別巻 書簡」を読んだときにも、長い人生を生きたと感じた。筆者磯崎純一は、渋沢を取り巻く、さまざまな状況から、渋沢を立ち現わせようとして、成功した。けっして、批評家たろうとしなかった。渋沢が、病院で、死期間際に見た幻覚は、『澁澤龍彦全集 22巻』に記載があるので、是非、読んでください。奥本大三郎も、内容の奇怪さと文体のアポロ的な明晰さに驚いている。
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ライトノベル親和性(美少女的日常と異世界転生)
高踏的秘教的文学者と称される澁澤龍彦は、案外ライトノベル的世界観(美少女的日常と異世界転生)に親和的だと気づいた。もう少していねいに言うと、2010年代の日常系マンガが描く世界を少年皇帝龍彦親王は実際に生きたという見立てである。 没後20年余年。彼の持つポピュラリティはここにあるのではないか? なかなかの発見と悦に入ったのだが、ふと我にかえった。これは1993年発行の澁澤論の再発見に過ぎない。 浅羽通明『澁澤龍彦の時代 幼年皇帝と昭和の精神史』(青弓社) がその本である。浅羽本を、令和補論を付したもらってちくま文庫で読みたい。
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ミステリアスな文化人のポートレート
澁澤龍彦は、多彩な活動をした奇人というイメージを持っていたのだが、高岳親王航海記の幻想的小説で初めて作品に触れた。その生涯に関心を持ちこの分厚い伝記を読んだ。一人の異人の人生を淡々と追いかけ、時代背景や文化人とのふれあいに全く違った世界をみせてくれる。伝記は、こんな異体験を読者にさせるものだと著者の力量に瞠目した。大力作で、少ないながら熱烈に読者をひきつけてゆく魅力のある本と思う。
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泣けた。
最後まで読んで、ひとりの天才の一生を丸ごと活字本化することの壮大さに敬意を。 臨終場面は映像的、象徴的すぎるかもしれないが、泣けた。 澁澤はかなり持ってる方で、当時彼の中世ヨーロッパに関する博識はいわば伝奇的に面白かった。 三島由紀夫とのつながりから沼正三の「家畜人ヤプー」についての記述がないのが意外だった。当時何か言ってなかったかな。かなり世界が近い感じなのだが。 黒メガネの肖像しか印象になかったので、澁澤龍彦という作家の文字通りの「素顔」を初めて見た。