Mainichi Publishing Culture Award
過去をもつ人
Yoji Arakawa's essays on reading and literature reconsider what it means to read works from the past amid changes in contemporary language and society.
Work Information
過去をもつ人 is a work with a distinctive character worthy of its award recognition.
Yoji Arakawa's essays on reading and literature reconsider what it means to read works from the past amid changes in contemporary language and society.
Review Summaries
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Readers and critics value the work's distinctive material and style, with attention to its lingering effect and structure.
Book Information
- Publisher
- みすず書房
- Published
- 2016-07-21
- Pages
- 232 pages
- Language
- 日本語
- ISBN-13
- 9784622085201
- ISBN-10
- 4622085208
- Price
- 2970 JPY
- Category
- 本/文学・評論
この三年間に発表されたエッセイのなかから、読書にかかわる61編を選び、 書き下ろし「銅のしずく」を添えた。 『読書について』からショーペンハウアーの以下の言葉が引用される。「書く力も 資格もない者が書いた冗文や、からっぽ財布を満たそうと、からっぽ脳みそが ひねり出した駄作は、書籍全体の九割にのぼる。」その上で、二世紀後の日本 の読書は、どうか。「いまは一般的読書が支配。本らしい本を読む人は少ない。 読書が消えた時代だ。静かだ。読書とは何かを「考える」ときなのかもしれない。」 また、文学像について。「文学全集がなくなったあと、風景は一変した。 個々の作家を読むことだけで、文学像がつくられるようになった。 てもとの本だけが光り、過去のものへの視線が消えうせる。(…)おおきなできごとのあとで、 詩人や作家たちが、いわば文学「特需」の詩文を順風のなか量産したようすを見て、 文学像を形成する人はどうか。あの日以後この国は変わった、私も目覚めたという人たちの 一見すなおだが、よく見ると底の浅い単純な詩文。それらを批判的に見つめることは、 単純なものに魅せられた読者にはできないだろう。」 文章とことばの新しい情景をつねに視野に入れてきた荒川洋治が、本を読む人におくる、 きびしくもあたたかい一冊。 2016年、毎日出版文化賞書評賞を受賞!
荒川洋治 あらかわ・ようじ 現代詩作家。1949年、福井県三国町生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業。 詩集『水駅』(書紀書林・第26回H氏賞)『渡世』(筑摩書房・第28回高見順賞)『空中の茱萸』(思潮社・第51回読売文学賞)『心理』(みすず書房・第13回萩原朔太郎賞)『北山十八間戸』(気争社)、 エッセイ・評論集『忘れられる過去』(みすず書房・第20回講談社エッセイ賞)『文芸時評という感想』(四月社・第5回小林秀雄賞)『詩とことば』(岩波現代文庫)『文学のことば』(岩波書店)『文学の空気のあるところ』(中央公論新社)など。
Reviews
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言葉の達人による読書にかかわる62編のエッセイ集
初出が2013年6月から2016年5月までの3年間に新聞、雑誌などに掲載されたエッセイのなかから読書にかかわる61編を選び、書き下ろしの1編を添えた62編を集めたエッセイ集である。いずれも荒川のリズムの良い平易な短い文を積み重ねた佳品ぞろいだが、個人的に何度読んでも肯かせられたのは『正宗白鳥の筆鋒』と題した一編である。 荒川は正宗による『島崎藤村の文学』からの一節「藤村氏は、簡素な生活に、味わいの深そうな意味を見つけて、それを尊いように取り扱っていた。」を引用した上で次のように言う。<この「深そうな意味」は「深い意味」とは、少しばかりちがう。「尊いように」は「尊いものとして」などではない。こまかいところにも批評の意識がみてとれる。人の心にはこのような区別を必要とするものがある。この一節にとどまり、あれこれを思って何時間かを過ごす人もいるはず。こういう文章を文章というのだろう。> 言葉の達人荒川ならではの読み方には思わず唸ってしまう。さらに正宗白鳥の批評の基本姿勢と比べた今日の批評家の文章について荒川は次のように苦言を呈する。<今日の批評家は長い文章を書く。知識、情報、解釈。それらしく見えるけれど、よく見ると、実は何ひとつ書かれてないことが多い。ほんとうの批評は少しのことばで十分だ。(中略)読む人のそれぞれの場所に、かかわる。ひびく。そういう文章を正宗白鳥は書いた。> 荒川の文章も短く、リズムが良く、明晰で、人の心にひびき、良くしみてくる。
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ていねい、ということ
ていねいにいきたじかんを ていねいによみとくひとがいる それはことばのきぼうにちがいない ことばをしんじようとする すべてのひとによんでほしい
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荒川洋治に何が起きた
これまでのエッセイと、趣が違う。本を読んで感想めいたことを書いているが、かつてのような面白さ、鋭さがなくなっている。大学教授になったことと関係あるのだろうか。(その後藝術院賞をとり藝術院会員になったからある種納得した)
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入試に出題される予感がするエッセイ集
このジャンルの文章は、だいぶご無沙汰していた。たぶん、遠い昔に読んだ小林秀雄以来だろう。 筆者の恬淡とした姿勢に好感が持てる。わかりやすいものの、知性のあふれ出た文章である。 分量もほどよい長さであり、大学入試で出題される予感がするエッセイ集である。
Related Literary Awards
- Mainichi Publishing Culture Award Edition 60 (2006) ・book review award