雨をよぶ灯台
A poetry collection by Martha Nakamura that draws readers in through rough, tactile images of family and body.
Work Information
An animistic sensibility quietly shakes the outline of reality.
A poetry collection published by Shichosha and recognized as the award-winning work for the Sakutaro Hagiwara Prize.
Book Information
- Publisher
- 思潮社
- Published
- 2020-02-25
- Pages
- 99 pages
- Language
- 日本語
- Size
- 12.5 x 1 x 18.8 cm
- ISBN-13
- 9784783736912
- ISBN-10
- 478373691X
- Price
- 3146 JPY
- Category
- 本/文学・評論/詩歌/詩集/現代詩
あの優しい男は/私が家で泣いているときに/カーテンの隙間から/星明りと一緒に差し込む白い顔の男である (「御祝儀」) 「影も形もないものが、光をひろげ、流れをつくる。そんな夢のような作品を、マーサ・ナカムラだけが書いていく」(荒川洋治)。 豊かな詩的想像力、類いまれな筆力を示した、中原中也賞受賞のデビュー作『狸の匣』から2年。自由と切迫のはざまで揺れ動く、最新15篇。 装幀=外間隆史
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刻印
マーサ・ムラカミの詩は、散文詩に分類されるという。三分死、あるいは、燦蚉視。章節は密度に足りず、因分子でははみ出してしまう。「御祝儀」は長閑な郷愁もどきから始まり不吉な溶暗に至るまでの、途中遠雷のように反響するリフレインに刻印された、緩やかだが静穏とは程遠い道筋。孤塁田 猿や奥旅 尾道の作品を燻して、カンナにかけたよう。解体、捻転、切離。挿入、変形、振動。反転、屈曲、圧迫。行っては戻りまた戻り、気づいたら一人先に行きすぎたあの長い回廊によく似た螺旋的反復。予測を嘲笑う工程とふわふわした押し問答を経て、異形の時空が待ち侘びたかのように現前する。後悔と混乱、困惑と孤立。内へ内へとめり込むように開いてゆくぐにゃりとした造形は、巧妙に埋伏されていたものをお構いなく剥き出しにする。すると、見覚えのあるものが、くるりと捲れ上がったその奥に。安寧も諦観もあろうはずがないが、鈍麻した感情に掬われる。