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無援の抒情

Contemporary Tanka Poets Association Award

無援の抒情

Motoko Michiura

無援の抒情 is a work by 道浦母都子 associated with the 1981 cycle of 現代歌人協会賞. In its award context, it was recognized for its distinctive subject matter, form, or contribution to contemporary literary and artistic expression.

award-winning workcontemporary expressionliterary award

Work Information

A work by 道浦母都子 recognized in the context of 現代歌人協会賞.

無援の抒情 by 道浦母都子 is recorded as a work recognized by 現代歌人協会賞. Identifiers are supplied only where a standalone book or paperback publication could be confirmed; numbers for magazines, performances, exhibitions, or other carrier media are not used as book identifiers.

Book Information

Publisher
ながらみ書房
Published
2015-10-08
Pages
188 pages
Language
日本語
ISBN-13
9784860239688
ISBN-10
4860239687
Price
900 JPY
Category
本/文学・評論/詩歌/歌集

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Reviews

  • 全共闘世代を表現した唯一の文学かもしれない

    60年安保の時代の青春をリリカルに描いた小説に柴田翔の『されどわれらが日々』がある。では70年安保・全共闘世代を扱った文学、『されどわれらが日々』に匹敵する文学に何があるかと考えた時、はたと考え込んでしまう。立松和平氏に『光の雨』があるが、これは連合赤軍という特殊な集団を扱ったもので、全共闘世代の一般的心情を扱ったものではない。そこで思いつくのが(散文ではないが)この道浦母都子氏の歌集『無援の抒情』である。 いつの時代にも真剣に人生を考える若者はいる。人生を考えるとは、人間とは何か、社会とは何か、人間と社会との関係はいかなるものか、また、自分とは何か、自分と家族、自分と社会との関係はいかなるものか、また、いかなるものであるべきかを考えるということであろう。そしてそれを言葉に結実したいと願った時、青春の文学が生まれる。 『無援の叙情』は政治的メッセージではない。 確かに1968年10・21 国際反戦デー闘争が歌われている。 わが縫いし旗を鋭く震わせて反戦デーの朝を風吹く 確かめ合うスクラム弱く震えいてわれらのインター歌声低き 1969年1月18,19日の安田講堂事件が歌われている。 火炎瓶も石も尽きしか静まりし塔に鋭き夜気迫りゆく 炎あげ地に舞い落ちる赤旗にわが青春の落日を見る しかしそれは全共闘のためのプロパガンダではない。全共闘の時代を真摯に生きた女性の叫びである。 稚き手白き手選びてビラ渡すその手がつかむものを信じて 恋う人は同志なるかと問う友に向かいて重たき頭を振りぬ お前たちにわかるものかという時代父よ知りたきその青春を 眠られぬ夜を明かして又想う苦しき今を今を生き抜け 思いつくままに幾つか拾ってみたが、これらが私の一番のお気に入りだというわけではない。何故一番のお気に入りを挙げなかったのかというと、それらは巻末に載せられた後藤正治氏の「我が世代を歌う――道浦母都子小論」に取り上げらているからである。実はこの小論が素晴らしいのだ。しかしこれを最初に読んでは絶対いけない。あまりに素晴らしいものなので、本文を読んでいる時知らず識らず氏の選んだ歌を探しているような気持になってしまうからだ。 訂正とお詫び: 柴田翔の『されどわれらが日々』は60年安保ではなく、52年の「血のメーデー事件」を描いたものでした。では、60年安保をリリカルに描いた文学作品に何があるだろうかと考えたのですが、今は思い浮かびません。どなたか紹介して下さいませんか。(2013/08/12)

  • 同時代に不完全燃焼の青春を過ごした者として

    道浦母都子という作家は、恥かしながら初めて知った。学生運動華やかな時代に、ロマンと挫折の体験を、短歌という形でしっかりと残してくれた作者に感謝する。同時代に不完全燃焼の青春を送った者として、若干の後ろめたさを感じながら読んだ。臨場感をもってあの時代のことが甦った。他の方々も載せておられるので、それ以外で心に残った歌を書き留めておく。 「スクラムを解けば見知らぬ他人にて街に散りゆく反戦の声」 「リーダーの飲み代に消えしこともある知りつつカンパの声はり上ぐる」 「署から署へ移されて乗る護送車の窓に師走の街映りいつ」 「ビラ一枚タテカンひとつ無きままに雪に埋もるる地方大学」 「神田川流れ流れていまはもうカルチェラタンを恋うことも無き」

  • 自らを問う懐かしさ

    二十歳の頃自分は何処にいて何を考えていたのか。 この短歌集を読んだ多くの人が思うことだろう。 ガス弾の匂い残れる黒髪を洗い梳かして君に逢いゆく。 作者より十五歳若い俵万智の短歌、 「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日。 明治・大正期の歌人、与謝野晶子の短歌、 その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな。 時代は違っても二十歳の頃の自分を見つめる視線は同じだろう。 なお、桐山襲という人の解説が時代状況を理解するのに大変役立った。

  • 底にあるのは「寂しさ」

    ある本で氏の歌を読み、興味を抱いて購入。「無援の抒情」は完本として収録されており、 それ以後の作品も「抄」として収められているが、後になるほど言葉に躍動感が失われて いる。以下、惹かれた歌を挙げてみる。 催涙ガス避けんと秘かに持ち来たるレモンが胸で不意に匂えり ガス弾の匂い残れる黒髪を洗い梳かして君に逢いにゆく 署から署へ移されて乗る護送車の窓に師走の街映りいつ 打たれたるわれより深く傷つきて父がどこかに出かけて行きぬ 言葉交わせば傷つけあうしかない二人地下の茶房に向かい合いたり いちにちを子らに与えてありし背に泥のようなる疲れがまとう 少女のようなお前が離婚するのか老いたる父がひとこと言いぬ 共に生きし三年を消すただ薄く白き紙なり震えつつ書く ノクターン弾きつつ遠く見る窓に吐息のごとき雪降り続く 失いし日々を想わせ降る雪をすくわんとしてマント広げぬ 思想とはわが思想とは絶対のわれがこうして生きて存ること 父よまた一人となりてわたくしは女と生(あ)れし苦しみをする かつて妻いまは独りのわたくしが神崎川の水面に映る 子守歌うたうことなき唇にしみじみ生(あ)れて春となる風 四十代この先生きて何がある風に群れ咲くコスモスの花 稚(いとけな)き者に与えしことのなき両(もろ)の乳房は翼であるか 今にして産みてしあればと思うなり鶏卵ひとつ掌(て)の窪にのせ リアリズムに近い作風が年を追うごとに観念的になっていくように読めるのは年齢もある だろうが、生活から劇的な出来事が失われていくからだろうか。やはり歌とは心が大きく 動かされた時、生まれ出てくるものが面白い。底にあるのは、「寂しさ」だと感じた。

  • 「無援の抒情」を購入して

    瀬戸内市の西井です。 この著書は、ずっと以前より探していましたが、古書店でも手に入らなかった物で今回急いで注文し手にいれました。 単行本ですので、余裕のある編集で、老書生にもゆったり落ち着いた気持ちで読書にふけりました。 全てに感謝申し上げます。

  • 期待通り

    期待したとおりでした。書店では見当たらなかったので助かりました。

  • 60年、70年安保の時代の空気を伝える

    道浦母都子は、安保闘争において過激派と呼ばれる一派に属して、真摯に闘争を行った。あの時代の空気をとてもよく伝えてくれる。正直、私は、短歌と言うものにはなじめなかったが、この無援の抒情の短歌はすべて読み通せた。最初のページを電車の中で開いて「迫りくる盾怯えつつ確かめている私の実在」「「今日生きねば明日生きられぬという言葉想いて激しきジグザグにいる」の2首を読んで思わず本を閉じてしまった。「あっ、泣くな」と思ったからである。それほど、いきなりあの時代の空気が突入してきた。また、安保闘争が政治闘争というよりも、個人の実存の戦いであったことを明確に示してくれる。忘れかけていた時代の空気である。あの、時代を真摯に生きた世代に読み継がれるべき本である。また、あの時代を知らない若者にとって「無援の抒情」はどのように写るであろうか。まさに、あれは「時代」であった。安保闘争のうねりは、時代のうねりであった。若者たちは、時代のうねりに身を預けたのである。

  • 群馬県立土田文明文学記念館で、現代女性歌人展があったので予習として拝読。自分の好きな水関係の短歌を引用させてください。

    姉に似しわれなれば雨の隊列にいるなといいて去りし少年 海見つつ夜は明けんとす君も君も言葉なし今日は10.21 誇り持ち貧しさ選ぶと言いきりて君のかたえに海風を受く 半年ぶりの紅茶と告ぐる者の為手痛きまでレモンしぼれり いつしか涙と溶け合い流れゆく雨が私を惨めにするごとく降る 自らを見失うことなく生きん振り返るとき湖が輝く

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