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たましひの薄衣

Contemporary Tanka Newcomer Award

たましひの薄衣

菅原百合絵

Yurie Sugawara's tanka collection Tamashii no Usuginu. I confirmed the standalone book edition from Shoshi Kankanbou with ISBN13 9784863855618.

tanka collectionpoetrystandalone book

Work Information

Her first tanka collection, published in 2023.

Her debut tanka collection with bibliographic confirmation and an ISBN.

Book Information

Publisher
書肆侃侃房
Published
2023-02-20
Pages
144 pages
Language
日本語
Size
19.4 x 13.3 x 1.5 cm
ISBN-13
9784863855618
ISBN-10
4863855613
Price
2200 JPY
Category
本/文学・評論/詩歌/詩集

ほぐれつつ咲く水中花――ゆつくりと死をひらきゆく水の手の見ゆ 満を持して刊行される、菅原百合絵待望の第一歌集。 人間が荒れ狂う今世紀にこのような美しい歌集が生まれたことをことほぎたい。 ────水原紫苑 静謐で深い歌の探求が続けられていたことに胸を打たれる。 ────野崎歓 【収録歌より】 ネロ帝の若き晩年を思ふとき孤独とは火の燃えつくす芯 たましひのまとふ薄衣(うすぎぬ)ほの白し天を舞ふときはつかたなびく 水差し(カラフ)より水注(つ)ぐ刹那なだれゆくたましひたちの歓びを見き 一生は長き風葬 夕光(ゆふかげ)を曳きてあかるき樹下帰りきぬ 「わたしの夫(モン・マリ)」と呼ぶときはつか胸に満つる木々みな芽ぐむ森のしづけさ

著者について 1990年生まれ。東京出身。「東京大学本郷短歌会」「パリ短歌クラブ」元会員(現在いずれも解散)。「心の花」会員。パリ・シテ大学(旧パリ第七大学)博士課程修了。専門は18世紀フランス文学。

Reviews

  • クラシック

    聖書のように読める歌集。 巧くて描写に発見があって、調べが美しく、主体は恋をしていて、学問的。 クラシックな短歌とでも言えるでしょうか。 短歌ブームの行き着く先を憂いていたのですが、この歌集の読者の総数が増えているようにも見え、私たちはちょっとだけ豊かになったのかもしれない……なんて。

  • まれに見る「知的」短歌

    詠むことはないが短歌や俳句を読むのが好きだ。朝日新聞水曜夕刊の「あるきだす言葉たち」欄は毎回欠かさずに開いて、若い詩人たちの感性の鋭さに驚嘆している。特に3月13日に載った「パスティーシュ」と題する菅原百合絵氏の「連歌」に釘付けになった。 一般に広く観られる短歌は生活詠で、プロであればそこから形而上学的な観点への飛躍を試みるが、そうなると歌が重くなる。私の好きな歌人は塚本邦雄、前登志夫、寺山修司氏(古いか)と言ったところだが、時として読むのが辛い。馬場あき子氏は軽みの域に来たが、以前の作品を越えていない。穂村弘や俵万智氏は時流におもねり過ぎていないか。 菅原百合絵氏の歌風はこれと全く異なる。先ず知的である。取り上げる主題は文学や哲学だ。冒頭の「パスティーシュ」は<作風の模倣>を意味するフランス語で、ジョルジュ・ローデンバック著『死都ブリュージュ』(1892年)から着想を得たと思われる。この小説は全く知らなくて、自称読書家の私は、それだけでも好奇心を引き立てられる。 次の特徴は、歌を読んでいただければ納得されるが、叙事と叙情の組み合わせがどちらにも偏らず、抜群のバランスを保っていることである。水辺を詠む歌が目立つが、水は動かず歌も静止して一枚のタブローを見るごとくである。野崎歓氏が帯で「静謐」と評しているが最上の賛辞であろう。 本書のタイトルは書中歌の、「たましいのまとふ薄衣ほの白し天を舞うときはつかたなびく」から採ったと思われる。添書きに「描かれているのは死者の楽園エリュシオン、ウエギリアスの『アエネーイス』では「冥府」にあたるという」とある。『アエネーイス』はローマ時代の叙事詩だそうで。「はつかたなびく」も判らないが、一つの歌でこれほど読者の知的水準を読み取ってしまう計らいも凄まじい。 菅原百合絵氏は、京都大学の准教授で、パリ・シテ大学で博士号取得。専門は「18世紀フランス文学および思想」と言う。本書は第一歌集で「現代歌人集会賞」を受賞したとある。先行きが期待され、ファンになりそうだ。早速本を購入した。 私をいたく感動させた前掲の「連歌」は、本書には掲載されていない。本書出版以後に創られたのであろうか。最後に「朝日新聞」からのコピーを転載する。 ジョルジュ・ローデンバック『死都ブリュージュ』 波立たぬ昼の運河よ一枚のみづの鏡を流して飽かず 家々に広場に森に鐘(カリヨン)の音は降りしづみのちの静けさ ひたひたと流れに脚を洗はせてうす闇に白く橋は浮きをり 「わたしは寡夫なのだ!」 敷石の上に孤独の航跡を曳きて遥かにひとは徘徊(もとほ)る 樹の下に佇む女男(めを)のブロンズは顔寄せあへり口づけぬまま 昏れがたの水路にスワン集ひゐて明暗描法(キアロスクーロ)のやうに灯りぬ 霧雨に水面ほのめき揺らぎをり橋ゆく人の影を溶かして 古都は死者あまた抱きて眠る場所生者は窓に舟眺めつつ

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