Shogakukan Nonfiction Grand Prize
殉教の刻印 (長崎文献社名著復刻シリーズ 3)
マルチルの刻印 is a nonfiction by 渡辺千尋. It focuses on 殉教の記憶をめぐり、歴史の痕跡に刻まれた信仰と暴力をたどる。
Work Information
マルチルの刻印 uses the world suggested by its title to bring people and their times into quiet focus.
マルチルの刻印 is a nonfiction by 渡辺千尋. It focuses on 殉教の記憶をめぐり、歴史の痕跡に刻まれた信仰と暴力をたどる。 Its appeal as an award-winning work lies not only in its subject but also in the way it conveys the atmosphere of its time through people and events. As the narrative or argument unfolds, readers can trace the social background and changing values behind it.
Book Information
- Publisher
- 長崎文献社
- Published
- 2013-12-01
- Pages
- 269 pages
- Language
- 日本語
- ISBN-13
- 9784888512046
- ISBN-10
- 4888512043
- Price
- 1760 JPY
- Category
- 本/アート・建築・デザイン
Amazon.co.jp: 殉教の刻印 (長崎文献社名著復刻シリーズ 3) : 渡辺 千尋: 本
Reviews
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これはオススメです!
極上のミステリーを読んでいるようで、読中、つねにワクワクしていました。私のほうに背景となっている歴史の知識はなかったので、そのあたりは調べながら読みすすめました。 著者は歴史専門の学者ではなく銅版画家ですが、とても丁寧に論述されており、ときに現場の経験をふまえながらの推測は説得力もあって、おもしろかったです!
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聖母子像
この書物は1595〜1597島原セミナリオ学生作の聖母子像覆刻の物語です。 セミナリオ学生作、それを元にした中国製、そしてオリジナルと考えられるスペインのヴィーリックス版を比較対照しながら、セミナリオ学生作から消滅した キリストの手元の白鳩 について分析をしています。 1597年は26聖人殉教のあった年でもあります。 著者が銅板画製作者且つ覆刻担当者であることによる専門的な銅板画技術の分析は、当方のような素人には大変興深いところがあります。 しかし、より興味深いのは26聖人殉教とセミナリオ学生の銅板画製作を関連付けてあるところです。 学生の心理に立ち入って、想像力を駆使して考えています。 ここは感動的です。 例えば、P158 “鳩はけされたのではなく、解放されたのではなかったか。 ・・・ この鳩は抱かれているのではなく、キリストに捕らえられているのではないか。 本当は、逃げたくてもがいているのではないか。 もがいて苦しんでいる自分なのではないか―――“ ノンフィクションという分野にもかかわらず大胆に想像していく過程が面白いです。 本題の3種の聖母子像の違い、白鳩の有無についての比較については、余り興味を惹かれなかった。 繰返しになりますが、製作者の心理に分け入っての考察に カトリック信者である当方は少なからず衝撃を受けております。
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知的好奇心が生んだ「奇蹟」
400年前に、キリシタンのおそらくは日本人が彫り上げたエングレービングの銅版画『セビリアの聖母』の復刻の話が、長崎で生まれ育った日本でも数少ないエングレービングの作家である著者のもとにもたらされたのは、その背後にいかなる不可思議な符合があったとしても、すべては偶然だろう。だが、著者は、そこに運命を見、受容し、決断し、必然といえる領域にまで牽引している。しかし、それは、信仰心によるものではなく、驚嘆すべき知的好奇心の力であった。著者が、ビュラン(彫刻刀)の技法を介して、安土桃山時代の名も伝わらぬ原版の作者の思いを感じ取り、過去と通じ合う「奇蹟」の記述はスリリングであり、本書の中で圧巻の部分と思う。人が偶然の出会いを如何にして運命の出会いへと変え、「奇蹟」を生み出すものなのか、その一つの在り様として知的好奇心の力を見せつけられた思いがする。
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中世の世界への旅
キリスト教の伝来と布教は、その時代の支配者の都合により大きな犠牲を払った。 キリスト信者も、大きな迫害の中で悩み、どう生き、死んだのか、日本人の手による中世のキリスト版画の 謎を追って、国内を歩き、外国を調査し、信者たちの心を追体験をしようとする。 版画から消えた鳩、削り取った線の後を彫刻刀で掘ろうとすると、昔の作者の動揺、苦悩は激しく伝わった。それは今までにない感触だった。レコードの溝から音声を再現するように、強いさけびを感じだ。 火あぶりの刑となった殉教者たちは、竹やりを持つ役人の心の救済を願っただろう、炎をてに掴み体につけるような行為はあるはずもない言い伝えだ。だが、有ったかも知れないと作者は思う。印刷機が伝来し、布教のためキリスト版画の量産が必要とされた。中世の神学校で、版画の技法を習った日本人がいた。学校は短期間で消えた。わずかな版画が残った。版画の系譜をたどっても残る、その謎とは何か。たいへん刺激的な本である。
Related Literary Awards
- Shogakukan Nonfiction Grand Prize Edition 8 (2001) ・excellence award