詩集 アイヌモシリの風に吹かれて
Ainumosir no Kaze ni Fukarete is a long narrative poem that receives the wind across Ainumosir as a broad sense of time. It carries history, land, and Indigenous memory through poetic rhythm.
Work Information
The wind crossing Ainumosir carries the voices of land and history in poetic form.
First issued by Otaru Shiwakai in 2009 as a long narrative poem, the same title later appeared from Cruise as a poetry collection. The work reconnects Ainu land and modern memory through an epic poetic breath.
Book Information
- Publisher
- 株式会社クルーズ
- Published
- 2022-01-26
- Pages
- 162 pages
- Language
- 日本語
- Size
- 14.8 x 1.6 x 21 cm
- ISBN-13
- 9784905756835
- ISBN-10
- 4905756839
- Price
- 1980 JPY
- Category
- 本/文学・評論
哲学者花崎皋平の自伝的ポエム。小熊秀雄賞受賞の『詩集 アイヌモシリの風に吹かれて』増補復刊!!
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涼風吹き抜ける物語詩
北海道はアイヌ語で、アイヌモシㇼ(人間の大地)と呼ばれる。その北海道小樽市に住む市井の哲学者で、詩人でもある花崎皋平(はなざきこうへい)の代表作(詩)である。 2009年に刊行されて小熊秀雄賞を受賞したが、私家版だったために手に入らなかった幻の詩集で、今回、増補版として復刊された。 受賞作の長編物語詩「アイヌモシㇼの風に吹かれて」は、北海道大学助教授だった花崎が大学を辞めた後、有珠の漁師や市民たちとともに取り組んだ火力発電所建設反対運動やアイヌ民族の復権運動、世界先住民族会議の開催などを振り返り、半生を綴った叙事詩である。 清い心のことをアイヌ語でピㇼカケウトゥムと言うが、清い心で書かれた花崎の詩の言葉たちを読むと、読み手の身体を涼風が吹き抜けて行くような清涼感を感じる。 個人的には、お爺が孫娘の真(さな)に向けて語るスタイルを取った第三章「さなよ」がお気に入りだ。ひとりのお爺として、胸に染み入るものがある。 大学の内外で暴力の嵐が吹き荒れた1970年前後の全共闘時代が過ぎ去った後、核戦争の危機をはじめ、環境破壊や貧困飢餓、差別など、人類の文明的な課題が浮き彫りになった。 そんななかで、地域主義やコミューン運動といった新たな文明を構想する動きが広がったが、その先駆けとして精力的に思索や活動を展開していたのが、花崎皋平や高木仁三郎、真木悠介らであった。 1980年前後に大学生だった私は花崎らの著作をむさぼり読んだが、中でも月刊「展望」1977年9月号に掲載された花崎皋平と真木悠介の対談「<心ある道>は勝ちうるか」は、その後の人生を生きるうえでの道標になった。 また、花崎の著作『風はおのが好むところに吹く』や『いのちをわかちあう』は、そのタイトル自体が新たな文明の方向性を考える際、示唆に富んだ良書であった。 本詩集は、市井の哲学者・思想家・活動家としての花崎ではなく、詩人として書いているため、その時々に花崎がどう感じ、どういう気持ちでいたかがわかる。 池上彰の言葉を拝借すれば「そうだったのか、花崎皋平」とでもなろうか。妙にしっくりと腑に落ちた感じがした。 そして、我らの世代にとってカリスマだった花崎皋平が、ノンノ・アチャボ(アイヌ語で花お爺)として、より身近な存在になった気がしたのである。