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SFする思考: 荒巻義雄評論集成

Nihon SF Grand Prize

SFする思考: 荒巻義雄評論集成

Yoshio Aramaki

A collected volume of Yoshio Aramaki’s SF criticism, tracing the intellectual history of postwar SF.

science fictioncritical essayspostwar literature

Work Information

One book crosses the act of writing SF and the act of thinking SF.

Verified as Takanashi Shobo’s SF suru Shiko: Aramaki Yoshio Hyoron Shusei, a critical essay collection by Yoshio Aramaki.

Book Information

Publisher
小鳥遊書房
Published
2021-11-25
Pages
832 pages
Language
日本語
Size
15.5 x 5 x 21.8 cm
ISBN-13
9784909812711
ISBN-10
4909812717
Price
4180 JPY
Category
本/文学・評論/評論・文学研究

◉第43回日本SF大賞受賞作! 「術の小説論」からマニエリスム論へ、50余年の軌跡 世界を思辨するツールとしてのSF。 SFを書くこと、考えることで文明批評をしてきた荒巻義雄は いかにして小説を書き、詩作したのか。 評論するSF作家の思考の全貌 ================= 解説「読むことのドラマ:メタSF的実験とマニエリスム的遊戯」 巽孝之(SF批評家、慶應義塾大学名誉教授) 目次抜粋 SFの理論 第一章 日本戦後SFの思想的背景 A 高度成長と他人指向の時 B 構造主義と〈人間の死〉の時代 C SFとフーコー D ポスト・モダンとアメリカン・サブカルチャー 第二章 道具的哲学思考へ――ジル・ドゥルーズ登場第一部 A 〈差異と反復〉&〈襞〉の思想 B 〈アンチ・オイディプス〉という機械 C 垂直思考からリゾーム的平面思考へ D 文言と言説 E 定住思想から遊牧思想へ F ポスト・モダンと記号 付 章 欲望の哲学史――新哲学の名は新実在論 第三章 SF評論と批評の基礎 A 日本SFの勃興期 B 構造主義批評への長い道のり C 構造主義とは何か D 〈隠喩〉〈換喩〉〈提喩〉 E 記号表現と記号内容の切断 F SFと現象学 J ロラン・バルト/神話とSFの関係 K ラカン問題 L メルロ=ポンティ/身体/ロボット M 決定論/カオス N 集合的無意識と近代理性 O デリダはSFに馴染む 第二部 単行本解説とわたしの読み方 【単行本解説】 筒井康隆・著『ベトナム観光公社』他一二項目 【わたしの読み方】 『浴槽で発見された日記』(スタニスワフ・レム・著)他五七項目 第三部 作家論 山野浩一の世界 眉村 卓の世界 小松左京の世界 星 新一の世界 筒井康隆の世界 他、一三名 第四部 雑記帳 【美術】+【科学と精神医学】+【自分史】+【文学】+【未来学】+【思想と宗教】九二項目 第五部 わたしの修行時代 (ファンジン同人誌「CORE」「宇宙塵・他) 【CORE】一六項目 【宇宙塵】アメリカSF論(I~VII) 【SF新聞】BEMの笑い――グロテスク考 付 録 術の小説論・他 解 説 メタSF的実験とマニエリスム遊戯 (巽孝之・著)

1933年小樽市生まれ。早稲田大学で心理学、北海学園大学で土木・建築学を修める。日本SFの第一世代の主力作家の一人。1970年、SF評論『術の小説論』、SF短編『大いなる正午』で「SFマガジン」(早川書房)デビュー。以来、執筆活動に入り現在に至る。単行本著作数180冊以上(文庫含まず)。1990年代の『紺碧の艦隊』(徳間書店)『旭日の艦隊』(中央公論新社)で、シミュレーション小説の創始者と見なされている。2014年11月より『荒巻義雄メタSF全集』(全7巻+補巻/彩流社)を刊行。2017年には『もはや宇宙は迷宮の鏡のように』(彩流社)を満84歳で書き下ろし刊行。2019年、北海道文学館俳句賞・井手都子記念賞、伝奇ロマン復活第一弾『有翼女神伝説の謎』(小鳥遊書房)を刊行。2020年伝奇ロマン復活第二弾『高天原黄金伝説の謎』(小鳥遊書房)を刊行。現在も生涯現役をモットーに、作家活動を続けている。

Reviews

  • 『SFする思考』はSF評論の “ワイドスクリーン・バロック” だ

    2021年は《二刀流》大谷翔平の活躍で、コロナで沈みがちの日本人が大いに元気づけられた一年だった。《二刀流》というなら、昨年末に刊行された『SFする思考』の著者荒巻義雄も、かつて《二刀流》でデビューしている。1970年に小説『大いなる正午』と評論『術の小説論』を引っ提げて日本SF界にプロデビューした著者は、米寿を過ぎたいまも“生涯現役”を掲げて作家活動を続けている。 『SFする思考』は荒巻がSF同人誌『CORE』時代から60年以上にわたり書きつづけてきたSF評論の集成である。しかし、さすがに800ページ(四百字詰換算で二千数百枚という)をこえる分厚な一冊を手にしたとき、最後まで読み通せるかの不安も感じたが、読み始めたらそんな心配も何処へやら。ただし持つ手が疲れることは覚悟した方がいい。 著者は無類の哲学思想マニアでもある。デビュー評論はカントだったが、ずっと「SFとはなにか」を考え続けている。近現代の哲学思想を独自に解釈して、日本SF発展の背景や著者の諸作品を含めたSFという文学の位置づけを丹念に検討しているのが第一部「SFの理論」である。哲学思想といっても単なる説明の羅列ではない。われわれが知っている多くの内外SF作品やSF作家を例示しての説明なので、小難しいと敬遠がちの現代思想や文学理論をちょっとは身近なものにすることができる。 第二部「単行本・文庫解説と私の読み方」、第三部「作家論」はSF小説や作家に関する文章の集成だが、多くが第一世代の日本SF作家や後輩のSF作家・評論家などとの交友録ともなっていて、SF作家ファミリーのインサイダー情報も読みどころだ。また著者は、他者の文章の読み方が独特である。文の構造を丹念に分析したり、自作の創作に役立つ何かをつかもうとして共鳴したり反論したりと、評論一辺倒でない著者だからこその文章が満載である。第二部と第三部では1970年の平井和正「平井和正の世界」がもっとも古い文章だが、2021年の日付で野崎まど『タイタン』やカズオ・イシグロ『クララとお日さま』までとりあげている目配りはさすがだ。 荒巻の活動は小説と評論にとどまらない。詩集『骸骨半島』で北海道新聞文学賞を受賞した詩人の顔を持つとともに、現在も詩の同人誌「壘」の主宰者であり、《二刀流》どころか八面六臂の活躍を続けている。また前衛絵画などに造詣が深く、かつては「札幌時計台ギャラリー」のオーナーでもあった。第四部「雑記帳」に収録されている文章は、詩誌やギャラリー機関誌に投稿されたものも多いが、興味の対象がSFにとどまらない。といっても著者の眼はSF者のそれであるから、どの文章も切り口が斬新である。個人的にはやはり【文学】分野の文章がとくに面白かった。荒巻は勉強家である。興味を持った分野には、それを突きつめるように様々な本を読む。わからない言葉が出てくるとすぐに辞書を引く。そしてそこから自身の発想を広げていることも伺える。何だかついつい忘れがちなこうした基本的な動作にも、衰えを見せない旺盛な活動力の秘密の一端があるのかもしれない。 最後の第五部「私の修業時代」には、SF同人誌『CORE』と『宇宙塵』への投稿評論が集められており、どれもこれまでなかなか目にすることができなかった文章である。筒井康隆と知己となるきっかけになったという「東海道戦争」論をはじめ、いまはクラシックとなっている1960年代の多くの内外SF小説への荒巻批評を読むことができる。また『宇宙塵』に連載された「アメリカSF論(Ⅰ~Ⅶ)」は、プロデビューまえの1967年、68年に書かれたものだが、デビュー評論『術の小説論』を発想した経緯なども開示されている。 近年の著者は、デビュー以来の各時代に趣向を変えて書き綴ってきた自身の小説群を、マニエリスム思想に基づくものと自己分析する。またSFという分野自体をマニエリスム的想像力の産物だと主張するとともに、AIが活躍する今世紀をマニエリスム時代と名付けようと提案している。SF小説には“ワイドスクリーン・バロック”と呼ばれる小説群がある。「時間と空間を自由に手玉に取り、気の狂ったスズメバチのようにブンブン飛びまわる。機知に富み、深遠であると同時に軽薄」な小説群を指し、本書にも言及があるアルフレッド・ベスター『虎よ!虎よ!』や、カート・ヴォネガット『タイタンの妖女』がその代表とされる。もし評論においてもそんなことを考えるなら、時空を超えた広範な興味対象に哲学思想をベースとして創造的な視点を提供している荒巻の『SFする思考』こそ、「SF評論の “ワイドスクリーン・バロック” 」と呼んでもよいのではないだろうか。

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