日本の文学賞

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北杜夫

きた もりお

Kita Morio

別名: 斎藤 宗吉
ペンネーム: 斎藤憂行旧制松本高校時代に用いた仮名。, 北杜夫作家活動で使用した代表的な筆名。父の七光りを隠す意図で用い始めた。

プロフィール

性別
男性
生誕
1927-05-01 (東京府東京市赤坂区青山南町(現:東京都港区南青山))
死没
2011-10-24 (東京都目黒区東が丘 国立病院機構東京医療センター) 84歳
国籍
日本
言語
日本語
居住地歴
東京都港区南青山(出生) → 仙台市(学生時代) → 山梨県甲府市(勤務) → 東京都世田谷区(居住) → 長野県軽井沢町(別荘)

経歴

職業
小説家, 随筆家, 精神科医, 医学博士
活動期間
1959年〜2011年
所属
日本藝術院
所属団体
日本藝術院会員
影響を受けた人物
斎藤茂吉, トーマス・マン
影響を与えた人物
斎藤由香

学歴

松本高等学校(旧制)
理科乙類
国: 日本
昆虫採集に熱中していた。
東北大学
医学部 / 医学部
学位: 卒業
国: 日本
医学部を卒業。大学時代に雑誌『文藝首都』に参加・投稿。
慶應義塾大学大学院医学研究科
医学研究科
学位: 医学博士
卒業年: 1960
国: 日本
博士論文「精神分裂病における微細精神運動の一考察」により医学博士を取得。

受賞歴

芥川龍之介賞
1960
対象作品: 夜と霧の隅で
主催: 芥川龍之介賞選考委員会
結果: 受賞
毎日出版文化賞
1964
対象作品: 楡家の人びと
主催: 毎日新聞社
結果: 受賞
日本文学大賞
1986
対象作品: 輝ける碧き空の下で
主催: 日本文学大賞選考委員会
結果: 受賞
大佛次郎賞
1998
対象作品: 茂吉評伝(青年茂吉/壮年茂吉/茂吉彷徨/茂吉晩年)
主催: 大佛次郎賞選考委員会
結果: 受賞
旭日中綬章
2011
主催: 日本政府
結果: 追贈

受賞・候補エディション

芥川龍之介賞 1回登壇
  1. 受賞作: 夜と霧の隅で

    第二次大戦末期、ナチスによる精神病者の殺害政策に抵抗しようとする精神科医たちの苦悩を描く表題作。極限状況のなかで、人間の不安、倫理、医学の限界が鋭く問われる。

    もう一つのアウシュヴィッツを前に、医師たちは患者を救おうとして絶望的な選択へ向かう。

    304ページ
    戦争と医学倫理的葛藤精神医療極限状況芥川賞
新潮社文学賞 2回登壇
  1. 受賞作: 楡家の人びと

    『楡家の人びと』は、東京青山の楡脳病院とその一族三代を描く北杜夫の長篇である。明治から昭和へ向かう時代の変化を背景に、楽天的で誇大な院長・楡基一郎を中心とする家族の滑稽さ、孤独、崩壊の気配を重層的に描く。

    大病院を築いた一族のにぎやかな年代記が、近代日本の光と翳りを映し出す。

    581ページ
    家族史病院近代日本年代記
  2. 受賞作: 白きたおやかな峰

    登山と友情を軸に、極地へ向かう青年たちの憧れ、危うさ、自然の圧倒的な力を描く山岳小説。

    「白きたおやかな峰」は、北杜夫の表現が凝縮された受賞対象作品です。

    山岳小説友情自然
日本文学大賞 1回登壇
  1. 『輝ける碧き空の下で』第二部は、北杜夫がブラジル移民の夢と現実を描いた二部作の完結篇。広大な異国の大地に新しい生活を求めた人々の希望、挫折、家族の時間を追う。

    ブラジルの青空の下で、移民たちの夢と現実が交差する。

    314ページ
    移民ブラジル家族近代日本夢と挫折
大佛次郎賞 1回登壇
  1. 受賞作: 青年茂吉、壮年茂吉、茂吉彷徨、茂吉晩年

    『青年茂吉、壮年茂吉、茂吉彷徨、茂吉晩年』は、北杜夫による小説、ノンフィクション、歴史書の作品。大佛次郎賞で評価された作品として、作者の関心や時代性が表れた一作である。

    大佛次郎賞で注目された、北杜夫の個性がうかがえる作品。

    小説ノンフィクション歴史書大佛次郎賞

作品

代表作

幽霊 ― 或る幼年と青春の物語

1954年 小説

自伝的要素を含む初期の長編で、幼年期と青春期を描く。

幼年青春家族

どくとるマンボウ航海記

1960年 随筆・紀行

水産庁の調査船に船医として乗船した体験をユーモラスに綴った随筆。ベストセラーとなる。

航海ユーモア昆虫

夜と霧の隅で

1960年 短編小説

ナチス・ドイツの「夜と霧」作戦をモチーフにした短編で、芥川賞受賞作。

戦争倫理人間心理

楡家の人びと

1964年 長編小説

斎藤家の歴史や人物群像を描いた大河小説。近代における市民小説として高く評価された。

家族史近代化人物群像

ぼくのおじさん

1972年 小説

家族や人間関係を中心に据えた作品。後に映画化される。

家族成長記憶
映像化・舞台化
  • [映画] ぼくのおじさん / 山下敦弘 (2016)

どくとるマンボウ昆虫記

1961年 随筆・自然史

昆虫採集や自然観察を題材にした随筆集。幼少期からの昆虫趣味が反映されている。

昆虫自然追憶

全著作

  • 幽霊 ― 或る幼年と青春の物語
  • 夜と霧の隅で
  • どくとるマンボウ航海記
  • どくとるマンボウ昆虫記
  • 楡家の人びと
  • ぼくのおじさん
  • 輝ける碧き空の下で(全2巻)
  • マンボウ最後の家族旅行
  • マンボウ酔族館(1-6)
  • 人工の星
  • どくとるマンボウ回想記
  • 見知らぬ国へ

翻案

  • ぼくのおじさん(映画、2016)
  • クレージーの怪盗ジバコ(映画、1967)
  • どくとるマンボウ&怪盗ジバコ(アニメ、1983)
  • コミック版 どくとるマンボウ昆虫記(2013)

作風・主題

文体
ユーモアを基調とした随筆的文体純文学的描写ナンセンス/風刺的ユーモア児童文学的な語り口SF的要素を含む作品もあり
頻出モチーフ
昆虫・自然観察旅・航海家族史・斎藤家躁うつ(躁鬱)の体験とユーモア化マンボウ(自身のキャラクター)

健康

  • 躁うつ病(双極性障害・双極I型)
    壮年期以降
    創作活動や公的発言に影響を及ぼした。自身の体験を随筆でユーモラスに記し、躁鬱病への理解緩和に貢献した。

評価・遺産

医師としての経験を土台にしたユーモラスな随筆と、多様なジャンルにわたる小説群で広い読者層を獲得した。芥川賞受賞や多数の文学賞受賞、また躁うつ病について公に語ったことで文学界と社会に強い影響を残した。

記念館・博物館

  • どくとるマンボウ昆虫展(巡回展) 全国各地(軽井沢高原文庫など) 2008年開館

関連学会

  • 日本藝術院

資料所蔵先

  • 軽井沢高原文庫
  • 新潮社(所蔵資料)

大衆文化への影響

  • マンボウ・マブゼ共和国(自称のミニ独立国)
  • ネスカフェCM出演(1974年)
  • 多数の随筆・エッセイを基にしたテレビ・映画化や特集

引用

  • 今日からおとなしくなります。
    出典: 妻へ残した毎朝の手紙(エピソード)
  • とても照れくさいけれど光栄。大好きなコガネムシなのでうれしい。
    出典: 新種コガネムシの献名に際して(報道発言) (2011年)

豆知識

  • 熱狂的な阪神タイガースのファンであり、阪神関連のエッセイを多数執筆。
  • 幼少期からの昆虫採集愛好家で、晩年もコガネムシ類に執着心を持ち続けた。
  • 自宅を「マンボウ・マブゼ共和国」と称してミニ独立国を名乗ったエピソードがある。
  • 1976年の躁状態に伴う株の売買などで巨額の損失を被り、自己破産に至るなど経済的困難を経験した。
  • 『どくとるマンボウ航海記』は水産庁の調査船での体験を基にしている。