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第9回(1956年) 候補受賞作: 機械のなかの青春
『機械のなかの青春』は、佐多稲子が戦後の労働現場と若い女性たちの生を見つめた小説です。工場という近代化の場に置かれた青春を、働くこと、書くこと、仲間との関係を通して描き、戦後文学における労働とジェンダーの主題を考えるうえで重要な作品として読まれています。
機械の響きのなかで、若い働き手たちが自分の言葉と生活を探していく。
204ページ戦後文学女性労働工場と生活書くこと -
第25回(1972年) 受賞受賞作: 樹影
『樹影』は、佐多稲子による作品。受賞時期の文学・出版状況を映し、題名が示す人物、場所、事件を軸にした表現が作品の核になっている。
『樹影』は、受賞作として残る題材の強さと作者の視点を伝える作品である。
受賞作作品昭和期の文学作者の視点
佐多稲子
さた いねこ
Sata Ineko
別名:
窪川稲子 / 佐田イネ
ペンネーム:
窪川稲子(結婚後に使用した筆名。初期の作品は窪川稲子名義で発表。)
プロフィール
- 性別
- 女性
- 生誕
- 1904-06-01 (長崎県長崎市)
- 死没
- 1998-10-12 94歳
- 国籍
- 日本
- 言語
- 日本語
- 居住地歴
- 長崎県長崎市 → 東京都千代田区神田(上京後の居住地) → 東京都文京区本郷(本郷での創作活動) → 東京都八王子市(墓地・晩年)
経歴
- 職業
- 小説家, 女性運動家, 随筆家
- 活動期間
- 1928年〜1998年
- 所属
- 日本共産党, 婦人民主クラブ, 日本社会党関連団体
- 影響を受けた人物
- 中野重治, 芥川龍之介, 堀辰雄
- 影響を与えた人物
- 壺井栄, 後進の女性作家たち
受賞歴
| 年 | 賞名 | 対象作品 | 部門 | 主催 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1962 | 女流文学賞 | 女の宿 | — | — | 受賞 |
| 1972 | 野間文芸賞 | 樹影 | — | 野間文化財団 | 受賞 |
| 1976 | 川端康成文学賞 | 時に佇つ(十一) | — | 川端康成文学賞選考委員会 | 受賞 |
| 1983 | 毎日芸術賞 | 夏の栞 | — | 毎日新聞社 | 受賞 |
| 1983 | 朝日賞 | — | — | 朝日新聞社 | 受賞 |
| 1986 | 読売文学賞 | 月の宴 | 随筆・紀行賞 | 読売新聞社 | 受賞 |
女流文学賞
1962
対象作品:
女の宿
結果:
受賞
野間文芸賞
1972
対象作品:
樹影
主催:
野間文化財団
結果:
受賞
川端康成文学賞
1976
対象作品:
時に佇つ(十一)
主催:
川端康成文学賞選考委員会
結果:
受賞
毎日芸術賞
1983
対象作品:
夏の栞
主催:
毎日新聞社
結果:
受賞
朝日賞
1983
主催:
朝日新聞社
結果:
受賞
読売文学賞
1986
対象作品:
月の宴
部門:
随筆・紀行賞
主催:
読売新聞社
結果:
受賞
受賞・候補エディション
野間文芸賞
2回登壇
女流文学賞
1回登壇
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第2回(1963年) 受賞受賞作: 女の宿
『女の宿』は、佐多稲子が女性たちの日常の奥にある不幸と哀しみを描いた短編。友人宅に宿を借りた語り手の視線を通して、慎ましく生きる女性たちを取り巻く時代の圧力が静かに浮かび上がる。
何気ない宿の一夜に、女性たちの哀しみがにじむ。
261ページ女性の生活日常の哀しみ戦後文学短編
川端康成文学賞
1回登壇
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第3回(1976年) 受賞受賞作: 時に佇つ(十一)
佐多稲子の自伝的短篇連作。戦前・戦中・戦後を生きた作家の記憶を、痛みと清冽さを併せ持つ筆致でたどり、窪川鶴次郎の死をめぐる章が川端康成文学賞の対象になった。
時の歪みに沈んだ記憶を、清冽な眼差しがすくい上げる。
214ページ自伝的短篇プロレタリア文学記憶戦後文学
作品
代表作
キャラメル工場から
1928年 プロレタリア文学(短編・自伝的)幼少期にキャラメル工場で働いた経験をもとにした作品。労働者の生活と女性の視点を描く出世作。
労働貧困女性労働者自伝的要素
くれなゐ
1936年 長編小説夫婦関係や不倫、女性の苦悩を描いた長編。作者自身の経験を投影した自伝的な要素を含む。
夫婦関係不倫女性の葛藤自伝
私の東京地図
1949年 随筆・回想録戦前から戦後にかけての東京での生活や記憶を綴った回想的作品。都市と個人の記憶をテーマにする。
都市記憶戦後女性の生活
樹影
1972年 小説戦後の社会と個人の内面を描いた作品。1972年に野間文芸賞を受賞した。
戦後内面描写社会批評
時に佇つ
1975年 小説/短篇集時間の流れのなかで人間を見つめる短篇・小品を含む作品。川端康成文学賞を受賞した一編を含む。
時間回想個人史
夏の栞
1983年 回想録/評論盟友・中野重治を追悼する回想集。文学的・個人的な回想を通じて戦後文学の一側面を示す。毎日芸術賞・朝日賞を受賞。
追悼友情文学史
月の宴
1985年 随筆・紀行随筆や旅の記録を含む随筆集。読売文学賞(随筆・紀行賞)を受賞した作品を含む。
随筆旅内省
全著作
- くれなゐ
- 女性の言葉
- 素足の娘
- 女三人
- 美しい人たち
- 樹々新緑
- 日々の伴侶
- 季節の随筆
- 心通はむ
- 扉
- 夢多き誇
- 香に匂ふ
- 女性と文学
- 気づかざりき
- 若き妻たち
- 牡丹のある家
- キャラメル工場から
- たたずまひ
- 旅情
- 私の長崎地図
- 四季の車
- 私の東京地図
- 開かれた扉
- 黄色い煙
- 燃ゆる限り
- 子供の眼
- 夜の記憶
- 機械のなかの青春
- みどりの並木路
- いとしい恋人たち
- 智恵の輪
- 舵をわが手に
- 夜を背に昼をおもてに
- 風と青春
- 心の棚
- ある女の戸籍
- 女の一生
- 樹々のさやぎ
- 罪つくり
- 体の中を風が吹く
- 人形と笛
- 佐多稲子作品集(全15巻)
- 愛とおそれと
- 歯車
- ばあんばあん
- 働く女性の生きかた
- 灰色の午後
- 振りむいたあなた
- 一つ屋根の下
- 夜と昼と
- 女の宿
- あねといもうと
- 女茶わん
- 渓流
- 生きるということ
作風・主題
- 文体
- プロレタリア文学的リアリズム自伝的回想女性の視点を重視した描写叙情的かつ社会的な視点
- 頻出モチーフ
- 労働夫婦関係左翼運動・政治活動都市と記憶女性の自立と苦悩
健康
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敗血症1998敗血症により1998年10月12日に死去
評価・遺産
プロレタリア文学の系譜に位置しつつ、戦前・戦後を通じて女性の視点や都市の記憶を描いた作家。婦人民主クラブなどの社会運動にも深く関わり、多くの受賞歴を持つ。戦後文学と女性文学の重要な一端を担った。
関連学会
- 佐多稲子研究会
大衆文化への影響
- 複数の作品が映画やテレビドラマ化され、戦後の女性像や社会運動を描く作家として言及されることがある。
豆知識
- 生前の出生名は「佐田イネ」で、幼少期にキャラメル工場で勤務した経験が代表作『キャラメル工場から』の原点となった。
- 若い頃、夫と心中を図る未遂事件があり、その後離婚し創作活動を本格化させた。
- 1932年に日本共産党に入党し、その後除名されるなど、左翼運動との関わりが創作に影響を与えた。
- 戦後は婦人民主クラブの設立に関わり、後に同クラブの委員長を務めた時期がある。
- 『たけくらべ』論争を引き起こすなど、文学論争にも影響を与えた。
- 多数の文学賞を受賞し、長年にわたる創作活動で現代日本文学に貢献した。
- 1998年に敗血症のため94歳で死去した。