日本の文学賞

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芥川龍之介賞

あくたがわりゅうのすけしょう

芥川龍之介賞は日本の純文学新人賞。短編・中編の優れた作品に年2回授与される。

純文学新人賞短編・中編
創設年
1935
主催
公益財団法人 日本文学振興会(事実上 文藝春秋社と関係)
カテゴリー
純文学
選考方式
非公募
受賞対象
新人
開催頻度
年2回
発表時期
7月頃、1月頃
賞のステータス
活動中

説明

1935年に菊池寛が創設した日本の純文学新人賞。文藝春秋社内の公益財団法人日本文学振興会が主催し、新聞・雑誌等に発表された無名・新進作家による短編・中編の作品を対象に選考が行われる。選考は文藝春秋の選考スタッフによる事前の下読み(班会議→本会議)で候補作を絞り、選考委員会で最終決定される。正賞は懐中時計、副賞は100万円。受賞作は『文藝春秋』等に掲載され、発表は上半期が7月中旬、下半期が1月中旬に行われる。選考会は料亭「新喜楽」で行われ、授賞式は従来東京會舘で行われてきたが現在は帝国ホテルで執り行われている。

賞品

主賞品
正賞:懐中時計、副賞:100万円および受賞作の『文藝春秋』等への掲載
賞金
1,000,000円
  • 懐中時計(正賞)
  • 受賞作の『文藝春秋』への掲載
  • 授賞式・記者会見(従来:東京會舘、現在:帝国ホテル)

選考情報

選考プロセス

事前選考(下読み)
審査員 文藝春秋の選考スタッフ(約20名、5名ずつ4班で下読み)
発表 各班で推薦作品を選び、本会議でさらに絞り込みを行う。班会議→本会議を計12〜14回程度繰り返し、最終候補5〜6作を決定する。
最終候補確認(候補者の意志確認)
審査員 文藝春秋の選考担当と日本文学振興会
発表 最終候補作が決定した時点で候補者に受賞の意志があるか確認し、候補作を公表する。
最終選考(選考委員会)
審査員 日本文学振興会が選定する選考委員(年によるが概ね9名)
発表 選考委員は候補作をあらかじめ評点(○△×)しておき、選考会(新喜楽)で各委員が評価を披露した上で審議・投票により受賞作を決定する。
発表・授賞
審査員 選考委員会および主催者
発表 上半期は7月中旬、下半期は1月中旬に記者会見で受賞作を発表。授賞式は翌月に行われる(現在は帝国ホテル)。

選考基準

  • 純文学性・芸術性を重視すること
  • 無名・新人作家であること(新人性は選考で議論される場合がある)
  • 新聞・雑誌等ですでに発表された短編・中編であること
  • 作品の長さは概ね原稿用紙100〜200枚が目安(300枚未満が一般的な目安)
  • 文学的完成度、独自性、表現の新しさが評価される

応募のヒント

推奨

  • 新聞・雑誌等での発表を目指す(掲載作が受賞対象)
  • 純文学としての芸術性と表現の完成度を高める
  • 作品の長さは原稿用紙100〜200枚(目安)に調整する
  • 独自の視点・文体を磨き、人物描写や人間関係の深さを重視する

注意

  • 本賞を直接応募できると誤解して持ち込む(芥川賞は非公募)
  • 話題性だけを狙った浅い表現に傾くこと
  • 連作短編を無理にまとめて候補にしようとする(規定外になる場合がある)
  • 単に商業性のみを優先すること

審査員から

  • 小説の形で新しさを主張する際でも、人物と人間関係を丁寧に描くことが重要だ(選考でよく挙げられる評価点)
  • 流行や表層の観念遊びに流されず、文学としての完成度を示してほしい
  • 新人性については委員間で議論になることがあるため、作品自体の説得力を重視してほしい

関連の賞

  • 直木三十五賞(直木賞)
  • 野間文芸新人賞
  • 三島由紀夫賞
  • H氏賞(現代詩の芥川賞類似)
  • 角川短歌賞(短歌界の芥川賞)
  • 角川俳句賞(俳句界の芥川賞)
  • 岸田國士戯曲賞(演劇界の芥川賞)
  • 城戸賞(映画界の芥川賞)
  • 木村伊兵衛写真賞(写真界の芥川賞)

公式情報

https://bungakushinko.or.jp/award/akutagawa/

過去の受賞者

安堂ホセ あんどう ほせ 受賞

仮想現実と現実が交錯する近未来を舞台に、自由と管理の境界を問い直す物語。

ディスプレイの奥に広がる世界は、私たちの望みと恐怖が織り交ざった歪んだユートピアだった。

160ページ
近未来技術管理社会
小説家
鈴木結生 すずき ゆい 受賞

文学好きの若者がゲーテの言葉を手がかりに、自身の人生を見つめ直す青春小説。

『なぜ僕は言葉に縛られるのだろう』、その問いが夜半の部屋を満たした。

200ページ
文学成長青春
朝比奈秋 あさひな あき 受賞

ある家族が飼っていたサンショウウオの四十九日までの日々を通して、生命の儚さと家族の絆を描く。

あの日、川辺で見つけた小さなサンショウウオは、まるで私たちの想いを映す鏡のようだった。

144ページ
死生観家族儀式
小説家
松永K三蔵 まつなが K さんぞう 受賞

若き登山者がインドネシアのバリ島の秘境に挑む旅を通して、自身の内面と向き合う冒険譚。

頂上を目指す足取りは、過去の自分と決別するための一歩だった。

168ページ
冒険自己探求自然
小説家
九段理江 くだん りえ 受賞
144ページ
小説家
市川沙央 いちかわ さお 受賞
ハンチバック
小説家

喪服売り場で働く“あなた”が、フードコートで出会った少女とのやりとりをきっかけに、言葉にならない感情や家族の記憶を静かにたどっていく小説集。表題作を含む3編を収録する。

言葉にならない感情を、日常の手触りのなかから静かに呼び起こす。

144ページ
家族記憶喪失日常少女との出会い
小説家
佐藤厚志 さとう あつし 受賞

東日本大震災から十年余りが過ぎた宮城を舞台に、造園業の男・坂井祐治が、災厄のあとに残る喪失と再生の感覚をたどっていく長編。失われた日常の先で、それでも生き直そうとする姿を描く。

あの災厄から十年余り、男はその地を彷徨いつづけた。

160ページ
震災喪失再生家族宮城
小説家
高瀬隼子 たかせ じゅんこ 受賞

食への感覚の違いから職場の人間関係がゆらぐ様子を描く、芥川賞受賞作。

食べることへの温度差が、三人の関係に不穏さを生む。

162ページ
職場人間関係現代小説
小説家
砂川文次 すながわ ぶんじ 受賞

都市の中で押し込められた怒りと、身体感覚のぎこちなさを抱えた若者の行き詰まりを描く。社会への違和感が、冷たい手触りのまま積み重なっていく長編。

都市の中で押し込められた怒りと、身体感覚のぎこちなさを抱えた若者の行き詰まりを描く。

170ページ
怒り身体都市疎外
小説家
石沢麻依 いしざわ まい 受賞
貝に続く場所にて

ドイツで暮らす「私」のもとに、震災で失われたはずの友人の気配が届き、記憶と喪失の輪がゆっくりと広がっていく。遠い土地と震災後の時間をつなぐ、静かな余韻の長編。

ドイツで暮らす「私」のもとに、震災で失われたはずの友人の気配が届き、記憶と喪失の輪がゆっくりと広がっていく。

記憶喪失ドイツ震災
小説家
李琴峰 り きんほう 受賞

記憶を失った少女がたどり着いた島で、異なる言葉と秩序に出会い、自分の立ち位置を探っていく。言語、共同体、身体感覚をめぐる想像力が強い長編。

記憶を失った少女がたどり着いた島で、異なる言葉と秩序に出会い、自分の立ち位置を探っていく。

192ページ
言語記憶アイデンティティ
小説家
宇佐見りん うさみ りん 受賞

アイドルを推すことを生活の中心に据えた少女の視点から、依存、救済、自分の輪郭の揺らぎを描く。SNSと現実のあわいで、誰かを支える行為の重みが立ち上がる。

アイドルを推すことを生活の中心に据えた少女の視点から、依存、救済、自分の輪郭の揺らぎを描く。

128ページ
アイドル推し活自己喪失SNS
小説家
高山羽根子 たかやま はねこ 受賞

沖縄の資料館で働く未名子のもとに、記録と記憶、そして孤独な人々をつなぐ小さな出来事が重なっていく。静かな語り口で、土地に刻まれた時間と人の往来を描く長編。

沖縄の資料館で働く未名子のもとに、記録と記憶、そして孤独な人々をつなぐ小さな出来事が重なっていく。

160ページ
記憶沖縄資料館孤独
小説家
遠野遥 とおの はるか 受賞

日々の規律に縛られながら生きる若者の視線から、都市の息苦しさと内側からあふれる怒りを描く。過剰な理性と空虚さがぶつかる感触が鋭い長編。

日々の規律に縛られながら生きる若者の視線から、都市の息苦しさと内側からあふれる怒りを描く。

148ページ
都市怒り若者疎外
小説家
古川真人 ふるかわ まさと 受賞

日常の細部から人物の違和感や孤独を掘り起こす純文学作品。語りの距離感と生活感のある描写を通じて、家族、労働、身体、共同体といった問題を静かに浮かび上がらせる。

背高泡立草は、受賞作としての輪郭を通じて、人物と社会の関係を見つめる作品である。

152ページ
受賞作人間関係記憶社会葛藤
小説家
今村夏子 いまむら なつこ 受賞

日常の細部から人物の違和感や孤独を掘り起こす純文学作品。語りの距離感と生活感のある描写を通じて、家族、労働、身体、共同体といった問題を静かに浮かび上がらせる。

むらさきのスカートの女は、受賞作としての輪郭を通じて、人物と社会の関係を見つめる作品である。

160ページ
受賞作人間関係記憶社会葛藤
小説家
上田岳弘 うえだ たけひろ 受賞

仮想通貨の採掘会社で働く中本哲史は、小説家の夢を諦めた同僚・荷室仁、そして恋人の田久保紀子と関わりながら、情報化した世界で個であり続けることの意味を見つめていく。ビットコイン、生命、言葉、神の不在をめぐる思索的な小説。

あらゆるものが情報化する時代に、個であることの輪郭が静かに揺らいでいく。

136ページ
仮想通貨情報社会個と全体創作の挫折現代の不安
町屋良平 まちや りょうへい 受賞

デビュー戦を鮮やかに勝った後、敗戦が続く若いプロボクサーの「ぼく」は、自分がなぜボクシングを続けるのかも見失いかけている。長年のトレーナーに見放された彼が、変わり者の新トレーナーとの練習を通じて、弱さと身体と世界への向き合い方を変えていく青春小説。

勝てないボクサーの身体と心が、三日後の試合へ向けて少しずつ組み替わっていく。

140ページ
ボクシング青春身体感覚敗北と再起師弟関係
高橋弘希 たかはし ひろき 受賞

東京から東北の山間の町へ引っ越した中学三年生の歩は、少人数の学級に溶け込んだように見えたが、やがて少年たちの間に潜む支配と暴力を目撃する。自然と祭礼の美しさの裏側で、集団の熱狂が取り返しのつかないところへ進む中篇小説。

豊かな自然の沈黙の中で、少年たちの遊戯は暴力へと変わっていく。

120ページ
転校生集団心理暴力地方の共同体少年期の残酷さ
石井遊佳 いしい ゆうか 受賞
百年泥

石井遊佳の『百年泥』は、インド・チェンナイで洪水に遭った語り手の前に、泥の中から百年分の記憶や人々の人生が立ち上がる幻想的な小説。現実の異文化経験と奇想が混じり合い、語られなかった人生の可能性を照らす。

洪水の泥から、百年分の記憶とありえた人生があふれ出す。

125ページ
芥川賞チェンナイ洪水マジックリアリズム
若竹千佐子 わかたけ ちさこ 受賞
おらおらでひとりいぐも

若竹千佐子の『おらおらでひとりいぐも』は、夫を亡くした老年の女性が、東北の言葉を含む内なる声と対話しながら孤独と自由を見つめる小説。喪失の痛みを抱えつつ、ひとりで生きる時間の豊かさを描く。

老いと孤独の中で、内なる声が新しい自由をひらく。

164ページ
芥川賞老い東北方言孤独と自由
沼田真佑 受賞
影裏

沼田真佑の『影裏』は、岩手へ移った語り手が同僚の日浅と過ごした日々を回想し、東日本大震災後にその人物の見えなかった側面へ触れていく中編小説。自然描写と沈黙の多い関係を通じ、人の内側に潜む影を描く。

親しかった男の不在が、語り手に見えなかった影を浮かび上がらせる。

96ページ
芥川賞岩手震災後記憶と不在
山下澄人 やました すみと 受賞

日常の細部から人物の違和感や孤独を掘り起こす純文学作品。語りの距離感と生活感のある描写を通じて、家族、労働、身体、共同体といった問題を静かに浮かび上がらせる。

しんせかいは、受賞作としての輪郭を通じて、人物と社会の関係を見つめる作品である。

163ページ
受賞作人間関係記憶社会葛藤
村田沙耶香 むらた さやか 受賞
コンビニ人間

2016年の発売から年内に50万部を超えてからもじわじわと売れ続け、2年を経て100万部に到達した。

コンビニ人間は、受賞作としての輪郭を通じて、人物と社会の関係を見つめる作品である。

160ページ
受賞作人間関係記憶社会葛藤
小説家
滝口悠生 たきぐち ゆうせい 受賞

日常の細部から人物の違和感や孤独を掘り起こす純文学作品。語りの距離感と生活感のある描写を通じて、家族、労働、身体、共同体といった問題を静かに浮かび上がらせる。

死んでいない者は、受賞作としての輪郭を通じて、人物と社会の関係を見つめる作品である。

144ページ
受賞作人間関係記憶社会葛藤
本谷有希子 ほんたに ゆきこ 受賞

日常の細部から人物の違和感や孤独を掘り起こす純文学作品。語りの距離感と生活感のある描写を通じて、家族、労働、身体、共同体といった問題を静かに浮かび上がらせる。

異類婚姻譚は、受賞作としての輪郭を通じて、人物と社会の関係を見つめる作品である。

166ページ
受賞作人間関係記憶社会葛藤
羽田圭介 はねだ けいすけ 受賞

売れない芸人の主人公と天才肌の先輩芸人との交友を描いた作品。お笑い芸人では初の受賞。単行本の累計発行部数は229万部を突破し、芥川賞受賞作品として歴代1位の単行本部数となる。

スクラップ・アンド・ビルドは、受賞作としての輪郭を通じて、人物と社会の関係を見つめる作品である。

121ページ
受賞作人間関係記憶社会葛藤
又吉直樹 またよし なおき 受賞

日常の細部から人物の違和感や孤独を掘り起こす純文学作品。語りの距離感と生活感のある描写を通じて、家族、労働、身体、共同体といった問題を静かに浮かび上がらせる。

火花は、受賞作としての輪郭を通じて、人物と社会の関係を見つめる作品である。

152ページ
受賞作人間関係記憶社会葛藤
小野正嗣 おの まさつぐ 受賞
九年前の祈り

『九年前の祈り』は、小野正嗣による芥川龍之介賞の対象作品。受賞作として注目された背景を踏まえ、人物の選択や時代・社会との関係を軸に読ませる作品である。

『九年前の祈り』は、受賞歴を通じて読み継がれる小野正嗣の作品である。

受賞作文学物語
柴崎友香 しばさき ともか 受賞
春の庭

家庭や世代の断絶を繊細に描いた中短篇。第151回芥川龍之介賞を受賞した代表作のひとつ。

『春の庭』は、受賞歴を通じて読み継がれる柴崎友香の作品である。

家庭世代記憶

『穴』は、小山田浩子による小説の受賞作である。受賞記録と公開書誌をもとに、人物の選択、記憶、時代や社会との関係を描く作品として整理できる。

『穴』は、受賞作としての輪郭を通じて、人と時代の関係を見つめる作品である。

160ページ
受賞作記憶人間関係社会葛藤
藤野可織 受賞

『爪と目』は、藤野可織による小説の受賞作である。受賞記録と公開書誌をもとに、人物の選択、記憶、時代や社会との関係を描く作品として整理できる。

『爪と目』は、受賞作としての輪郭を通じて、人と時代の関係を見つめる作品である。

125ページ
受賞作記憶人間関係社会葛藤
黒田夏子 受賞
abさんご

『abさんご』は、kuroda-natsukoによる受賞作品。受賞記録と公開書誌情報をもとに、作品単位の基本情報として整理した。

受賞歴を手がかりに、作品としての輪郭と入手状況をたどる一作。

受賞作品現代文学書誌確認

『冥土めぐり』は、kashimada-makiによる受賞作品。受賞記録と公開書誌情報をもとに、作品単位の基本情報として整理した。

受賞歴を手がかりに、作品としての輪郭と入手状況をたどる一作。

264ページ
受賞作品現代文学書誌確認
円城塔 受賞

『道化師の蝶』は、円城塔による小説。言語、翻訳、旅、記憶が入れ子状に絡み合う実験的な小説。読むことと書くことの境界を揺らし、物語が生成される過程そのものを扱う。

道化師の蝶は、実験小説を軸に作品世界を立ち上げる。

173ページ
実験小説言語翻訳記憶
田中慎弥 受賞

『共喰い』は、田中慎弥による小説。川辺の町を舞台に、父と息子、性と暴力、血縁の逃れがたさを濃密に描く小説。表題作と併録作を通じて、生の暗い循環を見つめる。

共喰いは、家族を軸に作品世界を立ち上げる。

144ページ
家族暴力地方
該当なし

幼い日に親しく過ごした貴子と永遠子が、長い時間を経て再会する物語。夢、記憶、家の気配が溶け合い、時間の層を繊細な文体でたどる。

きことわは、朝吹真理子の受賞作として刊行形態でも確認できる作品です。

142ページ
時間記憶再会
西村賢太 受賞

日雇い労働で暮らす青年の孤独、鬱屈、破滅的な自意識を私小説の文体で描く。粗い生活感の中に、社会からこぼれ落ちる者の切実さがある。

苦役列車は、西村賢太の受賞作として刊行形態でも確認できる作品です。

150ページ
私小説労働孤独
赤染晶子 受賞

アンネ・フランクをめぐる授業と女子学生たちの関係を通じ、言葉、記憶、密告の重さを描く小説。知的な構成の中に、集団の空気と個人の孤立が鋭く浮かぶ。

乙女の密告は、赤染晶子の受賞作として刊行形態でも確認できる作品です。

121ページ
記憶言葉密告

結婚後の長い時間を、夫婦の距離、家、記憶の変化を通して描く中篇小説。日常の出来事を抑制した筆致で積み重ね、人生の居場所がどこにあるのかを静かに問う。

『終の住処』は、磯崎憲一郎による受賞作として、題材の奥にある人の記憶と関係を見つめる作品である。

142ページ
夫婦記憶住まい

工場で働く女性が、自分の年収と同じ額で世界一周できると知り、日々の労働と生活を見つめ直す小説。表題作と関連作を通じて、働くことの重さとささやかな希望を描く。

年収と同じ値段の船旅が、働く日々に小さな光を差し込ませる。

186ページ
芥川賞労働生活現代小説
楊逸 受賞

中国の若者たちの理想と挫折を描く小説。大学進学を機に都市へ出た主人公たちの青春が、時代の変化と社会の現実に揺さぶられる。

青春の朝に滲む時間が、理想と現実の距離を映し出す。

150ページ
芥川賞在日中国人文学青春社会変動

豊胸手術を望む姉と口をきかない娘を迎えた三日間を、身体感覚と大阪弁の奔流で描く中編小説。女性の身体、母娘関係、言葉になりにくい不安が濃密に絡み合う。

豊胸手術を望む姉と口をきかない娘を迎えた三日間を、身体感覚と大阪弁の奔流で描く中編小説。

138ページ
身体母娘大阪弁女性の生
諏訪哲史 受賞

失踪した叔父の奇妙な言葉と生き方をたどりながら、普通の言語や日常からずれていく感覚を描く小説。吃音、孤独、逸脱への憧れが、断片的な記録の形で浮かび上がる。

失踪した叔父の奇妙な言葉と生き方をたどりながら、普通の言語や日常からずれていく感覚を描く小説。

189ページ
言葉孤独逸脱記録
青山七恵 受賞
ひとり日和

若い女性が年上の親類と暮らす日々を通して、孤独と自由のあいだにある揺らぎを見つめる小説。大きな事件ではなく、会話や生活の手触りから自立の感覚が立ち上がる。

ひとりでいる時間が、少しずつ自分の輪郭を教えてくれる。

孤独老いと若さ共同生活成長
八月の路上に捨てる

飲料配送の仕事をする男が、壊れかけた結婚と路上の時間のなかで自分の生を見つめ直す短編小説。乾いた会話と夏の熱気を通して、捨てることと残るものの痛みを描く。

夏の路上で、男は何を捨て、何を抱え直すのか。

122ページ
労働離婚路上孤独
絲山秋子 受賞
沖で待つ

『沖で待つ』は、絲山秋子による作品で、2005年の芥川龍之介賞で受賞に選ばれた。

芥川龍之介賞で評価された絲山秋子の作品。

芥川龍之介賞受賞
中村文則 受賞
土の中の子供

『土の中の子供』は、中村文則による作品で、2005年の芥川龍之介賞で受賞に選ばれた。

芥川龍之介賞で評価された中村文則の作品。

芥川龍之介賞受賞
阿部和重 受賞

神町を舞台に、終わりと始まりが入り混じる人間関係を描く小説。壊れたもの、演じられたもの、土地の因縁が絡み合い、阿部和重らしい硬質な視線で物語が進む。

神町で、ひとつの終幕が別の物語の始まりへ変わる。

232ページ
神町終幕家族と性現代小説

寝たきりの祖母を介護する若者の語りを、饒舌でリズムの強い文体で押し出した小説。介護、家族、閉塞した生活を、荒々しいユーモアと切迫感で描く。

介護の日常が、過剰な言葉の熱で文学へ変わる。

169ページ
介護家族若者の閉塞饒舌な文体
金原ひとみ かねはら ひとみ 受賞
蛇にピアス

「蛇にピアス」は、金原ひとみによる受賞作品です。人物の感情や関係の揺れを軸に、時代や場所の空気を映しながら読者を作品世界へ導きます。

蛇にピアスは、受賞歴を通じて広く知られるようになった作品です。

人間関係記憶日常と非日常
綿矢りさ わたや りさ 受賞

「蹴りたい背中」は、綿矢りさによる受賞作品です。人物の感情や関係の揺れを軸に、時代や場所の空気を映しながら読者を作品世界へ導きます。

蹴りたい背中は、受賞歴を通じて広く知られるようになった作品です。

140ページ
人間関係記憶日常と非日常
吉村萬壱 よしむら まんいち 受賞

「ハリガネムシ」は、吉村萬壱による受賞作品です。人物の感情や関係の揺れを軸に、時代や場所の空気を映しながら読者を作品世界へ導きます。

ハリガネムシは、受賞歴を通じて広く知られるようになった作品です。

536ページ
人間関係記憶日常と非日常
大道珠貴 だいどう たまき 受賞

年上の男性とドライブに出る女性の視点から、欲望、寂しさ、身体感覚が混ざり合う関係を描く小説。軽妙な語りの底に、逃げ場のなさとどこか投げやりな切実さが漂う。

車窓を流れる景色の中で、甘さよりも苦みの残る関係が揺れていく。

193ページ
恋愛身体感覚孤独芥川賞
吉田修一 よしだ しゅういち 受賞

日比谷公園で出会った男女の会話と距離感を通して、都市で働く若者の孤独と曖昧な親密さを描く中編小説。淡い恋愛の手触りと、都心の風景の軽やかな揺れが重なる。

公園のベンチに流れる会話から、都市生活の孤独と近さが浮かび上がる。

176ページ
都市孤独恋愛日常
長嶋有 ながしま ゆう 受賞
猛スピードで母は

母の再婚話に揺れる少年の視点から、大人の事情と家族の距離を描く作品。乾いたユーモアと細かな生活描写が、子どもに見える世界の速度と不安を鮮やかに伝える。

アクセルを踏み込む母の横で、少年は家族の変化を見つめる。

160ページ
母子家族子どもの視点芥川賞
玄侑宗久 げんゆう むねひさ 受賞

生と死のあわいを、仏教的な感覚と日常の言葉で描く中編小説。亡き人への思い、弔い、残された者の揺らぎが、静かな不思議さを帯びて立ち上がる。

死者と生者のあいだに咲く花が、弔いの時間を照らす。

173ページ
仏教死生観弔い日常
青来有一 あおき ありいち 受賞
聖水

身体と信仰を思わせる題名のもと、浄化と汚れの感覚をめぐって人間の内面を描く純文学作品。静かな言葉のなかに、日常の裂け目が差し込む。

『聖水』は、青木亜里一の作風が凝縮された受賞作。

純文学身体信仰浄化日常
堀江敏幸 ほりえ としゆき 受賞

フランス滞在の記憶と友人との再会を通して、移動、翻訳、過去の重なりを静かにたどる小説。柔らかな文体のなかに、異国で生きる感覚と喪失が沈んでいる。

『熊の敷石』は、堀江敏幸の作風が凝縮された受賞作。

165ページ
純文学フランス記憶翻訳喪失
町田康 まちだ やすし 受賞
きれぎれ

断片化した語りと独特のリズムで、現代の自意識と滑稽さを描く小説。言葉が暴走するような文体のなかに、孤独と社会への違和感がにじむ。

『きれぎれ』は、町田康の作風が凝縮された受賞作。

188ページ
純文学文体断片自意識滑稽
松浦寿輝 まつうら としき 受賞

雨と湿り気を帯びた都市の空気のなかで、映画、記憶、欲望が絡み合う中編小説。退廃的な美しさと、過去に取り残された人物たちの痛みが響く。

『花腐し』は、松浦寿輝の作風が凝縮された受賞作。

150ページ
純文学映画記憶欲望都市
玄月 げんげつ 受賞
蔭の棲みか

『蔭の棲みか』は、1999年の受賞対象となった文学作品です。題名が示すイメージを軸に、作者の関心や同時代の表現感覚がうかがえる作品として位置づけられます。

『蔭の棲みか』は、題名の余韻から作品世界へ読者を引き込む文学作品です。

文学人間関係時代
藤野千夜 ふじの ちよ 受賞
夏の約束

『夏の約束』は、1999年の受賞対象となった文学作品です。題名が示すイメージを軸に、作者の関心や同時代の表現感覚がうかがえる作品として位置づけられます。

『夏の約束』は、題名の余韻から作品世界へ読者を引き込む文学作品です。

文学人間関係時代
該当なし
平野啓一郎 ひらの けいいちろう 受賞
日蝕
花村萬月 はなむら まんげつ 受賞
ゲルマニウムの夜
藤沢周 ふじさわ しゅう 受賞
ブエノスアイレス午前零時
目取真俊 めどりま しゅん 受賞

『水滴』は、目取真 俊の受賞作として注目された作品。題名が示す中心的なイメージを軸に、人物や出来事の変化を追う。

『水滴』は、受賞時の時代感覚と作者の関心が交わる作品。

188ページ
受賞作人物の変化時代と社会
辻仁成 つじ じんせい 受賞

辻仁成『海峡の光』は、芥川龍之介賞で取り上げられた作品です。題名が示す印象を軸に、人物の選択や時代の空気を通して、読後に余韻を残す世界を描いています。

『海峡の光』は、受賞作として読まれてきた作品の核を静かに伝える一作です。

159ページ
人生記憶時代
柳美里 やなぎ みり 受賞

柳美里『家族シネマ』は、芥川龍之介賞で取り上げられた作品です。題名が示す印象を軸に、人物の選択や時代の空気を通して、読後に余韻を残す世界を描いています。

『家族シネマ』は、受賞作として読まれてきた作品の核を静かに伝える一作です。

159ページ
人生記憶時代
川上弘美 かわかみ ひろみ 受賞

川上弘美『蛇を踏む』は、芥川龍之介賞で取り上げられた作品です。題名が示す印象を軸に、人物の選択や時代の空気を通して、読後に余韻を残す世界を描いています。

『蛇を踏む』は、受賞作として読まれてきた作品の核を静かに伝える一作です。

169ページ
人生記憶時代
又吉栄喜 またよし えいき 受賞
豚の報い

『豚の報い』は、又吉栄喜による芥川龍之介賞受賞作。受賞時の評価対象となった作品で、題名やジャンルの特性を手がかりに、作者の関心が凝縮された一作として読める。

又吉栄喜の表現が、豚の報いという題名に凝縮された芥川龍之介賞受賞作。

受賞作芥川龍之介賞作者性
保坂和志 ほさか かずし 受賞
この人の閾

『この人の閾』は、保坂和志による芥川龍之介賞受賞作。受賞時の評価対象となった作品で、題名やジャンルの特性を手がかりに、作者の関心が凝縮された一作として読める。

保坂和志の表現が、この人の閾という題名に凝縮された芥川龍之介賞受賞作。

受賞作芥川龍之介賞作者性
室井光広 むろい みつひろ 受賞
おどるでく

『おどるでく』は室井光広による作品です。室井光広から1994に刊行が確認できる一冊で、受賞対象となった時期の作者の関心と語り口を伝えます。

『おどるでく』は、室井光広の受賞対象となった作品です。

受賞作現代文学作者の代表的関心
笙野頼子 しょうの よりこ 受賞

『タイムスリップ・コンビナート』は笙野頼子による作品です。笙野, 頼子, 1956-から1994.9に刊行が確認できる一冊で、受賞対象となった時期の作者の関心と語り口を伝えます。

『タイムスリップ・コンビナート』は、笙野頼子の受賞対象となった作品です。

157ページ
受賞作現代文学作者の代表的関心
奥泉光 おくいずみ ひかる 受賞

『石の来歴』は、奥泉光による作品で、芥川龍之介賞の受賞作です。文芸春秋、1994.3の刊行情報が確認でき、作品の中心には登場人物の切実な経験や時代の空気が置かれています。

芥川龍之介賞で評価された、奥泉光の作品です。

203ページ
文学賞受賞作人物描写時代と記憶
吉目木晴彦 よしめき はるひこ 受賞

『寂寥郊野』は、吉目木晴彦による作品で、芥川龍之介賞の受賞作です。講談社、1993.5の刊行情報が確認でき、作品の中心には登場人物の切実な経験や時代の空気が置かれています。

芥川龍之介賞で評価された、吉目木晴彦の作品です。

208ページ
文学賞受賞作人物描写時代と記憶
多和田葉子 たわだ ようこ 受賞

民話的な「犬婿入り」のモチーフを現代の都市空間に移し、不穏でユーモラスな変身譚として描く小説。日常の足場がずれていく感覚を、軽やかな語りで異界へつなげる。

都市の日常に民話の影が差し込み、奇妙な婚姻譚が始まる。

153ページ
異類婚姻民話都市変身
藤原智美 ふじわら ともみ 受賞

地下鉄運転士の身体感覚と都市の地下空間を通して、現代の生活者の孤独と欲望を描く小説。闇のトンネルと駅の光が、規律と官能のあいだにある都市の表情を浮かび上がらせる。

地下を走る列車の速度が、都市生活者の内面を照らし出す。

205ページ
地下鉄都市生活身体感覚孤独
松村栄子 まつむら えいこ 受賞

松村栄子『至高聖所アバトーン』は、新構想大学に入った沙月とルームメイト真穂の関係を描くキャンパス小説。乾いた孤独が、もう一つの孤独へ寄り添おうとする過程を、透明感のある筆致で描く。

鉱物質の孤独が、もうひとつの孤独へ静かに近づいていく。

176ページ
キャンパス小説孤独友情芥川賞
辺見庸 へんみ よう 受賞

辺見庸『自動起床装置』は、通信社の仮眠室で働く「起こし名人」を通じて、眠りと文明の疲弊を描く芥川賞受賞作。目覚めさせる仕事が、かえって現代社会の眠りの深さを浮かび上がらせる。

眠りを起こす男の姿から、文明の深い疲れが見えてくる。

174ページ
眠り通信社文明批評芥川賞
荻野アンナ おぎの あんな 受賞

荻野アンナ『背負い水』は、嘘、妄想、恋愛、身体感覚が軽やかに転がる芥川賞受賞作。表題作を含む短編集として、知的な遊びとブラックな笑いが独特のリズムを生む。

薔薇色の嘘をつきたいという願いが、才気ある笑いへ変わる。

229ページ
妄想ブラックユーモア芥川賞
小川洋子 おがわ ようこ 受賞

姉の妊娠を見つめる妹の語りを通して、身体、家族、母性への違和感を冷ややかな感覚で描く小説です。日記のような時間の進行のなかで、祝福されるはずの出来事が不穏な気配を帯びていきます。

姉の妊娠を記録する日々は、静かな違和感と秘められた衝動を映し出します。

189ページ
妊娠身体感覚家族不穏な日常
辻原登 つじはら のぼる 受賞

中国奥地の村を訪れる日本人の視線を通して、場所の記憶、名づけること、異文化との距離を描く小説です。旅の具体的な手触りの奥に、言葉が土地や人間をどう捉えるのかという問いが置かれています。

村の名を探す旅は、土地と記憶をめぐる静かな思索へ変わっていきます。

218ページ
土地の記憶異文化名づけ
大岡玲 おおおか れい 受賞

『表層生活』は、大岡玲による小説。受賞として記録され、作品の題名やジャンルから作者の初期・代表的な関心がうかがえる。

大岡玲の『表層生活』は、受賞歴とともに読み継がれる小説。

227ページ
小説文学賞受賞作日本文学
瀧澤美恵子 たきざわ みえこ 受賞
ネコババのいる町で

『ネコババのいる町で』は、瀧澤美恵子による小説。受賞として記録され、作品の題名やジャンルから作者の初期・代表的な関心がうかがえる。

瀧澤美恵子の『ネコババのいる町で』は、受賞歴とともに読み継がれる小説。

246ページ
小説文学賞受賞作日本文学
該当なし
南木佳士 みなき かし 受賞
ダイヤモンドダスト

『ダイヤモンドダスト』は南木佳士による受賞作です。受賞時に評価された主題、語りの調子、人物や場面の立ち上げ方を通じて、作者の関心が凝縮された作品として読むことができます。

『ダイヤモンドダスト』は、受賞時に注目された表現の核を手がかりに読み解きたい作品です。

230ページ
純文学記憶人間関係
李良枝 り よしえ 受賞
由煕

『由煕』は李良枝による受賞作です。受賞時に評価された主題、語りの調子、人物や場面の立ち上げ方を通じて、作者の関心が凝縮された作品として読むことができます。

『由煕』は、受賞時に注目された表現の核を手がかりに読み解きたい作品です。

純文学記憶人間関係
新井満 あらい みつる 受賞
尋ね人の時間

『尋ね人の時間』は新井満による受賞作です。受賞時に評価された主題、語りの調子、人物や場面の立ち上げ方を通じて、作者の関心が凝縮された作品として読むことができます。

『尋ね人の時間』は、受賞時に注目された表現の核を手がかりに読み解きたい作品です。

純文学記憶人間関係
池澤夏樹 いけざわ なつき 受賞

都会で働く若者の視線を通して、科学、宇宙、孤独、友情が透明な文体で結び合わされる中編小説。静物画のような題名の通り、目の前の事物を見つめることが世界の広がりへつながっていく。

スティル・ライフは、池澤夏樹の表現の核を伝える一作である。

187ページ
都市生活科学と宇宙孤独友情
三浦清宏 みうら きよひろ 受賞

長男が仏門に入る決断をめぐり、家族、信仰、世代の距離が交差する小説。個人の選択が家の内側に波紋を広げ、親子それぞれの価値観を照らし出す。

長男の出家は、三浦清宏の表現の核を伝える一作である。

229ページ
家族信仰世代差自立
村田喜代子 むらた きよこ 受賞

祖母の家に集まった子どもたちの視点から、家族の記憶と土地の気配を静かに浮かび上がらせる中編小説。日常の会話や食卓の感触の奥に、血縁の親密さと不穏さが同時に漂う。

鍋の中は、村田喜代子の表現の核を伝える一作である。

235ページ
家族の記憶祖母と子ども日常の不穏土地の気配
該当なし
米谷ふみ子 よねたに ふみこ 受賞

ユダヤ系アメリカ人の夫を持つ女性が、夫の一族と再会し、血族の儀式に向き合う中で異文化の家族関係と自分の孤独を見つめる小説です。移民、結婚、障害のある子を抱える家庭の重さが交差します。

異文化の家族儀礼を前に、自由を求めた女性の孤独と葛藤が浮かび上がります。

168ページ
異文化結婚家族移民孤独
該当なし
木崎さと子 きざき さとこ 受賞
青桐

青桐の木をめぐる記憶と時間を通じて、人の生の痛みと再生を描く小説。抑えた筆致の中に、家族や故郷への感情が静かに立ち上がる。

『青桐』は、木崎さと子の受賞作として、題名に込められた象徴から人間の記憶や感情を照らし出す。

小説記憶家族再生
該当なし
笠原淳 かさはら じゅん 受賞
杢二の世界

『杢二の世界』は、受賞時に評価された題材と作者の視点が結びついた作品である。題名が示す人物、土地、出来事、記憶を手がかりに、時代の空気や人間関係の揺れを読者に伝える。

『杢二の世界』は、題名に込められた含みから人間と時代の姿を浮かび上がらせる。

受賞作品人間関係時代性記憶社会
小説家
高樹のぶ子 たかぎ のぶこ 受賞
光抱く友よ

『光抱く友よ』は、受賞時に評価された題材と作者の視点が結びついた作品である。題名が示す人物、土地、出来事、記憶を手がかりに、時代の空気や人間関係の揺れを読者に伝える。

『光抱く友よ』は、題名に込められた含みから人間と時代の姿を浮かび上がらせる。

受賞作品人間関係時代性記憶社会
小説家
該当なし
加藤幸子 かとう さちこ 受賞
夢の壁
小説家
唐十郎 から じゅうろう 受賞
佐川君からの手紙
小説家
該当なし
吉行理恵 よしゆき りえ 受賞
小さな貴婦人

『小さな貴婦人』は、猫をめぐる夢想と孤独を詩的な散文で描く吉行理恵の連作小説集である。表題作を含む五編が、傷つきやすい存在同士の交感と、外界の悪意にさらされる繊細な心の揺れを優雅で奇妙な筆致で浮かび上がらせる。

猫たちの気配と夢想が、傷つきやすい心の孤独を静かに照らす。

183ページ
孤独詩的散文繊細な交感芥川賞受賞作
小説家
赤瀬川原平 あかせがわ げんぺい 受賞

父の遺骨を納める墓地を見に出かけた「私」の目に映る街並みや頭をよぎる思考の中へ、父の記憶が滑り込んでいく短篇小説。

墓地へ向かう何気ない移動の中で、父の不在と記憶が日常の細部ににじむ。

304ページ
父の記憶墓地日常の観察不在家族
小説家
該当なし
森禮子 もり れいこ 受賞

アメリカ中部の田舎町で暮らす日本人妻たちを描き、異国での結婚生活、望郷、愛と孤独を通して日本人の心性を問う短編小説である。退役軍人の夫と暮らす圭子をはじめ、現地で愛する者に背かれた女性たちの寂寥が重ねられる。

アメリカの田舎町で暮らす日本女性たちの望郷と孤独が、モッキングバードの声の届く日常に浮かび上がる。

193ページ
在米日本人望郷国際結婚孤独女性の生活
小説家
重兼芳子 しげかね よしこ 受賞

火葬場で遺体を焼く仕事に携わる男性を中心に、死を日常の労働として見つめる人間の孤独と献身を描く短編小説である。老人専門病院で働く女性との関係を通して、死者を送る仕事の重さ、愛情、職業へのためらいが静かに浮かび上がる。

死者を焼き、遺族に骨を渡す男の仕事が、恋と生活の中で人間の尊厳を問い直す。

268ページ
火葬場死と労働献身恋愛老い
小説家
青野聰 あおの さとし 受賞

青野聰の芥川賞受賞作。外国人の妻とともに日本へ戻る男を中心に、自由であることへの疲れ、結婚生活のずれ、故郷や生活へ戻ろうとする違和感を描く。海外を経た主体が日本社会に再び触れるときの屈折を、私小説的な語りと時代の空気の中に置いた作品である。

帰る場所を求める男は、自由の果てで生活と日本にふたたび絡め取られていく。

165ページ
帰国者の違和感結婚生活自由と孤独日本社会私小説的語り
小説家
高橋揆一郎 たかはし きいちろう 受賞
伸予

『伸予』は、高橋揆一郎が小説の形式で人物の感情や時代の気配を描いた作品です。受賞歴からも、題材の扱いと文体の緊張感が同時代の読者に強い印象を残したことがうかがえます。

『伸予』は、小説の枠組みの中で、人間関係と時代の空気を印象的に浮かび上がらせる作品です。

人間関係時代の空気内面描写
小説家
高橋三千綱 たかはし みちつな 受賞

『九月の空』は、剣道に打ち込む少年の青春と、揺れ動く恋愛感情をみずみずしく描いた小説です。若さの無防備さと季節の移ろいが重なり、成長の痛みを澄んだ筆致で伝えます。

『九月の空』は、小説の枠組みの中で、人間関係と時代の空気を印象的に浮かび上がらせる作品です。

262ページ
人間関係時代の空気内面描写
小説家
宮本輝 みやもと あきら 受賞

『螢川』は、北陸富山の春から夏へ移る季節の中で、少年の父の死と淡い初恋を描く小説です。螢の群れの美しさが、成長の痛みと喪失感を忘れがたい光景に変えています。

螢の光が、少年の喪失と初恋を静かに照らします。

184ページ
少年喪失初恋富山
小説家
高城修三 たかぎ しゅうぞう 受賞
榧の木祭り

『榧の木祭り』は、祭りと共同体の記憶を背景に、人びとの関係と土地に残る時間を描く小説です。榧の木という象徴を通して、個人の生と地域の歴史が結びつきます。

一本の木と祭りの記憶が、人びとの過去を静かに呼び戻します。

祭り共同体記憶土地
小説家
三田誠広 みた まさひろ 受賞

『僕って何』は、学生運動の余波の中で揺れる若者の自立を描いた青春小説です。内ゲバ、同棲、母との関係を通して、自分が何者なのかを問う切実さが浮かび上がります。

時代に流されながらも、自分の輪郭を探す若者の痛みが描かれます。

176ページ
青春学生運動自立同棲
小説家
池田満寿夫 いけだ ますお 受賞
エーゲ海に捧ぐ

『エーゲ海に捧ぐ』は、版画家としても知られる池田満寿夫が、地中海的な光と官能を小説の言葉に移した作品です。異国の風景と愛の感覚が、視覚的な鮮やかさをもって描かれます。

エーゲ海の光の中で、愛と身体の感覚が鮮烈に立ち上がります。

官能異国芸術家
小説家
村上龍 むらかみ りゅう 受賞
限りなく透明に近いブルー

米軍基地の町で生きる若者たちの退廃、音楽、薬物、性、虚無感を鮮烈な感覚で描いたデビュー長編。乾いた視線と過剰な描写が、戦後日本の豊かさの裏側を映し出す。

眩しい退廃の奥に、透明な虚無が沈んでいる。

176ページ
青春基地の町退廃虚無七〇年代
小説家
中上健次 なかがみ けんじ 受賞

『岬』は、中上健次が紀州の土地と血縁の問題を濃密に描いた中篇である。路地、家族、欲望、暴力の気配が重なり、のちの熊野サーガへつながる原点となった。

紀州の土地と血の重さを刻み、戦後文学に新しい地平を開いた芥川賞受賞作。

272ページ
紀州血縁路地暴力
小説家
岡松和夫 おかまつ かずお 受賞

福岡の志賀島を舞台に、土地に残る記憶と人間の孤独を重ねる中篇小説。地域の歴史と生活感を背景に、戦後文学のなかで地方と個人の関係を静かに照らし出す作品である。

『志賀島』は、岡松和夫の表現を受賞作として伝える作品です。

254ページ
地方記憶孤独戦後文学
小説家
林京子 はやし きょうこ 受賞

『祭りの場』は、長崎での被爆体験を抑制された筆致で描く林京子の代表作である。叫びではなく、記憶の奥に残る身体感覚と沈黙を通して、原爆の時間を文学に刻み込む。

長崎の被爆体験を、抑えた言葉で深い衝撃へ変えた芥川賞受賞作。

398ページ
被爆体験記憶長崎戦争文学
小説家
日野啓三 ひの けいぞう 受賞
あの夕陽

夕陽に照らされる男女の暗い淵を描く日野啓三の短編小説。都市的な不安と戦後的な感覚が重なり、芥川賞受賞作として作家の転機となった。

夕陽の光が、男女の関係の暗い底をあらわにする。

芥川賞都市男女不安
小説家
阪田寛夫 さかた ひろお 受賞
土の器

信仰、家族、記憶をめぐる阪田寛夫の小説。児童文学や詩でも知られる作者が、芥川賞受賞作では人間の内面と信仰の重さを静かに描いた。

土から形づくられた器のように、人間の弱さと信仰が描かれる。

芥川賞信仰家族記憶
小説家
該当なし
野呂邦暢 のろ くにのぶ 受賞

『草のつるぎ』は、野呂邦暢によるの受賞作です。題名が示す人物・場所・出来事を軸に、当時の文学・芸術表現の文脈で評価された作品として位置づけられます。

で評価された、野呂邦暢の『草のつるぎ』。

320ページ
受賞作文学・芸術時代の表現
森敦 もり あつし 受賞
月山

『月山』は、森敦によるの受賞作です。題名が示す人物・場所・出来事を軸に、当時の文学・芸術表現の文脈で評価された作品として位置づけられます。

で評価された、森敦の『月山』。

受賞作文学・芸術時代の表現
三木卓 みき たく 受賞

『鶸』は、三木卓によるの受賞作です。題名が示す人物・場所・出来事を軸に、当時の文学・芸術表現の文脈で評価された作品として位置づけられます。

で評価された、三木卓の『鶸』。

受賞作文学・芸術時代の表現
山本道子 やまもと みちこ 受賞

『ベティさんの庭』は、山本道子によるの受賞作です。題名が示す人物・場所・出来事を軸に、当時の文学・芸術表現の文脈で評価された作品として位置づけられます。

で評価された、山本道子の『ベティさんの庭』。

463ページ
受賞作文学・芸術時代の表現
郷静子 ごう しずこ 受賞
れくいえむ

『れくいえむ』は、郷静子によるの受賞作です。題名が示す人物・場所・出来事を軸に、当時の文学・芸術表現の文脈で評価された作品として位置づけられます。

で評価された、郷静子の『れくいえむ』。

81ページ
受賞作文学・芸術時代の表現
畑山博 はたやま ひろし 受賞
いつか汽笛を鳴らして

『いつか汽笛を鳴らして』は、畑山博によるの受賞作です。題名が示す人物・場所・出来事を軸に、当時の文学・芸術表現の文脈で評価された作品として位置づけられます。

で評価された、畑山博の『いつか汽笛を鳴らして』。

247ページ
受賞作文学・芸術時代の表現
宮原昭夫 みやはら あきお 受賞

『誰かが触った』は、宮原昭夫によるの受賞作です。題名が示す人物・場所・出来事を軸に、当時の文学・芸術表現の文脈で評価された作品として位置づけられます。

で評価された、宮原昭夫の『誰かが触った』。

670ページ
受賞作文学・芸術時代の表現
李恢成 り かいせい 受賞
砧をうつ女

『砧をうつ女』は、李恢成による作品。受賞時期の文学・出版状況を映し、題名が示す人物、場所、事件を軸にした表現が作品の核になっている。

『砧をうつ女』は、受賞作として残る題材の強さと作者の視点を伝える作品である。

214ページ
受賞作作品昭和期の文学作者の視点
東峰夫 とうみね お 受賞
オキナワの少年

『オキナワの少年』は、東峰夫による作品。受賞時期の文学・出版状況を映し、題名が示す人物、場所、事件を軸にした表現が作品の核になっている。

『オキナワの少年』は、受賞作として残る題材の強さと作者の視点を伝える作品である。

受賞作作品昭和期の文学作者の視点
該当なし
古井由吉 ふるい よしきち 受賞

登山で出会った男女の関係を通して、精神の揺らぎと身体感覚の不確かさを描く小説。現実と幻影の境目を曖昧にする文体が、古井由吉の初期文学を特徴づける。

杳子は、古井由吉の表現が受賞時の評価と結びついた作品である。

428ページ
心理身体感覚幻想
吉田知子 よしだ ともこ 受賞
無明長夜

出口の見えない日常と人間関係の重さを、鋭い心理描写で描く小説。題名が示す暗さは、登場人物が抱える孤立と、そこから抜け出せない時間の感覚に結びつく。

無明長夜は、吉田知子の表現が受賞時の評価と結びついた作品である。

208ページ
孤立心理日常
古山高麗雄 ふるやま こまお 受賞

戦争体験を背景に、収容所の記憶と生き延びることの重さを描く小説。淡々とした語りのなかに、暴力と人間性の境界がにじむ。

プレオー8の夜明けは、古山高麗雄の表現が受賞時の評価と結びついた作品である。

601ページ
戦争記憶捕虜体験
清岡卓行 きよおか たくゆき 受賞

旧満洲の大連を記憶の舞台に、青春の感傷、異郷の風景、家族への思いを重ねる小説。詩人でもある作者の感覚的な文章が、失われた土地へのまなざしを支える。

アカシヤの大連は、清岡卓行の表現が受賞時の評価と結びついた作品である。

422ページ
記憶大連喪失
庄司薫 しょうじ かおる 受賞

大学紛争期の空気を背景に、若者の自意識と社会への違和感を軽快な一人称で描く青春小説。饒舌な語りが、明るさの奥にある不安を浮かび上がらせる。

赤頭巾ちゃん気をつけては、庄司薫の表現が受賞時の評価と結びついた作品である。

188ページ
青春大学紛争自意識
田久保英夫 たくぼ ひでお 受賞
深い河

人間の奥底に流れる暗い感情と回復への気配を、静かな筆致でたどる小説。表題の河は、個人の記憶と生の重さを受け止める象徴として響く。

深い河は、田久保英夫の表現が受賞時の評価と結びついた作品である。

222ページ
内面記憶再生
丸谷才一 受賞

戦後の時間感覚を背景に、人生の残り時間を意識する人物の内面と日常の陰影を描く小説。丸谷才一の知的で端正な文体が、私的な記憶と時代の空気を重ね合わせる。

年の残りは、丸谷才一の表現が受賞時の評価と結びついた作品である。

267ページ
時間記憶戦後社会

アメリカ滞在経験を背景に、異文化のなかに置かれた女性の孤独と自由への感覚を描く小説。乾いたユーモアと不安の気配が、会話や行動の細部から立ち上がる。

三匹の蟹は、大庭みな子の表現が受賞時の評価と結びついた作品である。

441ページ
異文化女性の自立孤独
柏原兵三 受賞
徳山道助の帰郷

故郷へ戻る人物を通して、戦後の時間と家族、土地との関係を見つめる小説。帰郷の物語でありながら、戻る場所の不確かさを静かに描く。

徳山道助の帰郷は、帰郷を軸に柏原兵三の視線が凝縮された受賞作である。

帰郷家族戦後
大城立裕 受賞
カクテル・パーティー

占領下沖縄の米軍関係者と住民の交錯を描き、植民地的な力関係と家族の傷を浮かび上がらせる戯曲的な小説。会話の緊張が時代の不均衡を鋭く示す。

カクテル・パーティーは、沖縄を軸に大城立裕の視線が凝縮された受賞作である。

沖縄占領家族の傷
丸山健二 受賞
夏の流れ

死刑囚をめぐる夏の時間を通して、生と死、制度と個人の距離を乾いた筆致で描く中編。抑制された文体が緊張を高め、読後に重い余韻を残す。

夏の流れは、死刑を軸に丸山健二の視線が凝縮された受賞作である。

死刑生と死抑制された文体
該当なし
高井有一 受賞

敗戦直後、夫と家を失った母子が東北の寒村に身を寄せる物語。希望を断たれた母の孤独と絶望を、感情を抑えた筆致で描き、寒さと沈黙が重く迫る。

帰る場所を失った母子の前に、北の冬と孤独が静かに立ちはだかる。

224ページ
敗戦母子喪失東北孤独
津村節子 受賞

売れない同人誌作家の夫と、その心の動きに一喜一憂する妻の関係を描く短編。破局寸前の夫婦が保つ奇妙な均衡を、妻のまなざしから丹念にたどる。

顧みられない愛情は、夫婦の暮らしを支える玩具のような均衡へと変わっていく。

256ページ
夫婦創作愛情孤独女性の内面
柴田翔 受賞

六全協後の虚無感が漂う時代を背景に、若い男女が出会い、別れ、闘争や裏切りを経験しながら生きようとする長編。戦後思想の挫折と青春の痛みが、知的で抒情的な文体で描かれる。

何を信じればよいのか見失った時代に、若者たちは傷つきながら自分の生を選び取ろうとする。

272ページ
戦後思想青春学生運動虚無恋愛
田辺聖子 たなべ せいこ 受賞

実らない恋を抱えた有以子が、親友ヒロシとの旅に出る恋愛短編。軽やかな会話と旅の移動感の中に、恋の痛み、自己韜晦、関西的なユーモアが重なっていく。

旅に出ても失恋の痛みは消えず、笑いの奥で有以子の感傷が淡く揺れる。

217ページ
恋愛失恋関西の会話ユーモア
後藤紀一 ごとう きいち 受賞

戦後の村落と少年期の感受性を背景に、人と土地の記憶が交差する短編集の表題作。素朴な風景の中に、成長の痛みや生活の陰影を静かに浮かび上がらせる。

少年の目に映る橋は、村の暮らしと遠い世界とを結ぶ境界として立ち上がる。

209ページ
少年期戦後の村土地の記憶成長
河野多惠子 こうの たえこ 受賞

外房の海辺で甥と蟹を探す中年女性の心理を描く短編。穏やかな浜辺の情景の奥に、子どもへの執着、羞恥、孤独が入り混じる複雑な内面が広がっていく。

海辺の遊びは、女性の胸底に沈む屈折した欲望と孤独を照らし出す。

336ページ
女性心理海辺幼児へのまなざし羞恥孤独
川村晃 かわむら あきら 受賞
美談の出発

『美談の出発』は、川村晃の芥川賞受賞作。善意や美談として語られる出来事の背後にある人間関係のずれを見つめ、語りの出発点そのものを問い直す短編として読める。

美談が始まる場所に、人間のずれと曖昧さが潜んでいる。

芥川賞美談の裏側人間関係短編
宇能鴻一郎 うの こういちろう 受賞

巨大な鯨に挑む漁師たちの闘いを軸に、人間の執念、共同体の荒々しい力、自然への畏怖を描く短編。海と肉体の描写に迫力があり、神話的な題名にふさわしい熱を帯びる。

巨大な鯨との格闘を通して、人間の復讐心と生命力がむき出しになる。

228ページ
鯨漁復讐生命力神話性
該当なし
三浦哲郎 みうら てつろう 受賞

家族の暗い記憶を背負う大学生の「私」が、小料理屋で働く志乃と出会い、互いの傷をいたわりながら結ばれていく恋愛小説。清冽な抒情のなかに、生き抜こうとする切実さが流れている。

いたましい過去を抱えた二人が、静かな川の流れのような愛によって再生へ向かう。

400ページ
純愛家族の傷再生東北文学芥川賞
北杜夫 きた もりお 受賞

第二次大戦末期、ナチスによる精神病者の殺害政策に抵抗しようとする精神科医たちの苦悩を描く表題作。極限状況のなかで、人間の不安、倫理、医学の限界が鋭く問われる。

もう一つのアウシュヴィッツを前に、医師たちは患者を救おうとして絶望的な選択へ向かう。

304ページ
戦争と医学倫理的葛藤精神医療極限状況芥川賞
斯波四郎 しば しろう 受賞
山塔

斯波四郎の芥川賞受賞作で、山を背景にした人間の孤独と精神の揺らぎを重厚に描く小説。戦後文学の中で、自然の厳しさと人の内面を結びつける作品として読まれている。

山の沈黙の中で、人の孤独と精神の影が濃くなる。

孤独精神戦後文学芥川賞
大江健三郎 おおえ けんざぶろう 受賞
飼育

『飼育』は、大江健三郎による小説・文芸作品である。受賞時期の文学・文化状況の中で評価された作品として、作者の関心や時代の空気を伝える。

『飼育』は、大江健三郎の仕事の中で受賞歴と結びついて記憶される一作である。

人間関係時代戦後文学
開高健 かいこう けん 受賞
裸の王様

裸の王様は開高健による受賞作。作品の刊行状況と入手可能な本の情報を確認したうえで扱う。

開高健による受賞作。

受賞作刊行状況作品背景
菊村到 きくむら いたる 受賞
硫黄島

昭和文学史に名を残す不朽の戦争文学 新聞記者の主人公のもとに一人の青年が訪ねる。投降前に硫黄島の洞窟に埋めた日記をとりにいきたいから、記事にしてほしいという。米軍当局の許可を得、島に渡るが、どういうわけか現地で自殺してししまう。

菊村到による受賞作。

受賞作刊行状況作品背景
近藤啓太郎 こんどう けいたろう 受賞
海人舟

『海人舟』は、近藤啓太郎による小説作品で、芥川龍之介賞の1956-1回で受賞対象となった作品です。公開資料で確認できる範囲では、刊行形態や後年の収録状況を中心にたどれる作品です。

近藤啓太郎の『海人舟』は、受賞歴を通して現在も作品名をたどることができる一作です。

小説作品受賞作戦後文学
石原慎太郎 いしはら しんたろう 受賞
太陽の季節

『太陽の季節』は、既成の価値観や倫理に反抗する戦後世代の若者を、肉体、性、虚無をめぐる感覚とともに描いた石原慎太郎のデビュー作である。若い世代の奔放さを正面から扱った作品として発表時に強い反響を呼び、芥川龍之介賞受賞によって社会的事件ともいえる注目を集めた。

若い戦後世代の肉体と反抗を描き、文学の外側にまで波紋を広げた鮮烈なデビュー作。

352ページ
戦後世代反抗と虚無肉体と性既成倫理への挑発太陽族
遠藤周作 えんどう しゅうさく 受賞

『白い人』は、遠藤周作が第二次世界大戦中のドイツ占領下リヨンを舞台に、西洋思想における原罪、善悪、信仰の問題を鋭く描いた初期作品である。ナチの暴力と神学生をめぐる残酷な状況を通して、後年の遠藤文学に通じるキリスト教と人間の弱さへの問いが現れている。

戦時下のリヨンを舞台に、信仰と悪の問題へ切り込む遠藤周作の芥川賞受賞作である。

262ページ
キリスト教原罪戦時下のリヨン善と悪信仰の揺らぎ
小島信夫 こじま のぶお 受賞

占領期の日本で、アメリカン・スクールを見学する日本人英語教師たちのぎこちなさ、劣等感、滑稽さを描く短編小説。戦後の日米関係を背景に、言語、教育、敗戦後の意識を鋭い諷刺と不安定なユーモアで捉える。

アメリカン・スクール見学の一日が、敗戦後の日本人教師たちの不安と滑稽さをあぶり出す。

400ページ
占領期日米関係英語教育諷刺
庄野潤三 しょうの じゅんぞう 受賞

「プールサイド小景」は、突然職を失った夫が子どもたちとプールで遊ぶ姿を、妻の目を通して静かに見つめる短編です。家庭のささやかな幸福が、社会的な不安や生活の変化によっていかに揺らぐかを、抑制された筆致で描きます。

明るいプールサイドの光景に、家庭の幸福のもろさが静かに差し込む芥川賞受賞作です。

320ページ
家庭失職夫婦日常の不安幸福の脆さ
吉行淳之介 よしゆき じゅんのすけ 受賞

「驟雨」は、吉行淳之介の芥川賞受賞作で、男女の欲望、嫉妬、倦怠を冷静な観察で描く初期代表作である。性を通じて、肉体の確かさと精神の不確かさ、人間関係に潜む孤独を見つめ、戦後文学の新しい感覚を示した。

にわか雨のように訪れる欲望と倦怠が、男女の関係の奥にある孤独を浮かび上がらせる。

336ページ
男女関係欲望と倦怠戦後文学芥川賞身体と精神
安岡章太郎 やすおか しょうたろう 受賞

「悪い仲間」「陰気な愉しみ」は、安岡章太郎の初期短編で、第29回芥川賞を受賞した二作である。幼少期からの孤立感、やましさ、病と家庭への違和を、軽妙さと自嘲を帯びた文体で描き、第三の新人を代表する作家の出発点を示した。

やましさと孤立を軽妙な文体で捉え、戦後文学に新しい内面の声をもたらした受賞二作。

350ページ
第三の新人孤立感やましさ芥川賞
五味康祐 ごみ こうすけ 受賞

五味康祐「喪神」は、剣豪小説の緊迫した世界に、老いと死の気配を重ねた短編です。武芸の極みにある人物の内面と、勝敗だけでは測れない生の終わりを、硬質な文体で描きます。

剣の勝敗の奥に、老いと死を見つめる芥川賞受賞作です。

157ページ
剣豪小説老い武芸時代小説
松本清張 まつもと せいちょう 受賞

「或る『小倉日記』伝」は、森鴎外の小倉時代を追う青年と母の姿を描いた松本清張の芥川賞受賞作。無名の人物が資料を追い続ける執念と、その努力が報われにくい現実を通して、清張文学の出発点にある社会への眼差しを示している。

鴎外の足跡を追う無名の青年の執念に、清張文学の原点が宿る。

496ページ
森鴎外小倉資料調査孤独母子芥川賞
該当なし
堀田善衛 ほりた ぜんえ 受賞
広場の孤独, 漢奸

『広場の孤独, 漢奸』は堀田善衛による作品で、1951-2回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

堀田善衛の『広場の孤独, 漢奸』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
安部公房 あべ こうぼう 受賞
壁 S・カルマ氏の犯罪, 春の草

『壁 S・カルマ氏の犯罪, 春の草』は安部公房による作品で、1951-1回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

安部公房の『壁 S・カルマ氏の犯罪, 春の草』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

304ページ
近代日本文学芥川賞社会と個人
石川利光 いしかわ としみつ 受賞
春の草

『春の草』は石川利光による作品で、1951-1回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

石川利光の『春の草』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
辻亮一 つじ りょういち 受賞
異邦人

『異邦人』は辻亮一による作品で、1950-1回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

辻亮一の『異邦人』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
井上靖 いのうえ やすし 受賞
闘牛

『闘牛』は井上靖による作品で、1949-2回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

井上靖の『闘牛』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
由起しげ子 ゆき しげこ 受賞
本の話

『本の話』は由起しげ子による作品で、1949-1回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

由起しげ子の『本の話』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
小谷剛 こたに つよし 受賞
確証

『確証』は小谷剛による作品で、1949-1回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

小谷剛の『確証』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
清水基吉 しみず もときち 受賞
雁立

『雁立』は清水基吉による作品で、1944-2回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

清水基吉の『雁立』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
八木義徳 やぎ よしのり 受賞
劉廣福

『劉廣福』は八木義徳による作品で、1944-1回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

八木義徳の『劉廣福』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
小尾十三 おび じゅうぞう 受賞
登攀

『登攀』は小尾十三による作品で、1944-1回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

小尾十三の『登攀』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
東野邊薫 ひがしのべ かおる 受賞
和紙

『和紙』は東野邊薫による作品で、1943-2回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

東野邊薫の『和紙』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
石塚喜久三 いしづか きくぞう 受賞
纏足の頃

『纏足の頃』は石塚喜久三による作品で、1943-1回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

石塚喜久三の『纏足の頃』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
倉光俊夫 くらみつ としお 受賞
連絡員

『連絡員』は倉光俊夫による作品で、1942-2回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

倉光俊夫の『連絡員』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
該当なし
芝木好子 しばき よしこ 受賞
青果の市

『青果の市』は芝木好子による作品で、1941-2回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

芝木好子の『青果の市』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
多田裕計 ただ ゆうけい 受賞
長江デルタ

『長江デルタ』は多田裕計による作品で、1941-1回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

多田裕計の『長江デルタ』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
櫻田常久 さくらだ つねひさ 受賞
平賀源内

『平賀源内』は櫻田常久による作品で、1940-2回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

櫻田常久の『平賀源内』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
高木卓 たかぎ たく 受賞辞退
歌と門の盾

『歌と門の盾』は高木卓による作品で、1940-1回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

高木卓の『歌と門の盾』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
寒川光太郎 さむかわ こうたろう 受賞
密獵者

『密獵者』は寒川光太郎による作品で、1939-2回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

寒川光太郎の『密獵者』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
半田義之 はんだ よしゆき 受賞
鶏騒動

『鶏騒動』は半田義之による作品で、1939-1回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

半田義之の『鶏騒動』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
長谷健 はせ けん 受賞
あさくさの子供

『あさくさの子供』は長谷健による作品で、1939-1回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

長谷健の『あさくさの子供』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
中里恒子 なかざと つねこ 受賞
乗合馬車

『乗合馬車』は中里恒子による作品で、1938-2回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

中里恒子の『乗合馬車』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
中山義秀 なかやま よしひで 受賞
厚物咲

『厚物咲』は中山義秀による作品で、1938-1回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

中山義秀の『厚物咲』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
火野葦平 ひの あしへい 受賞
糞尿譚

『糞尿譚』は火野葦平による作品で、1937-2回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

火野葦平の『糞尿譚』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
尾崎一雄 おざき かずお 受賞
暢気眼鏡

『暢気眼鏡』は尾崎一雄による作品で、1937-1回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

尾崎一雄の『暢気眼鏡』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
石川淳 いしかわ じゅん 受賞
普賢

『普賢』は石川淳による作品で、1936-2回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

石川淳の『普賢』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
冨澤有爲男 とみざわ ゆいお 受賞
地中海

『地中海』は冨澤有爲男による作品で、1936-2回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

冨澤有爲男の『地中海』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
小田嶽夫 おだ たけお 受賞
城外

『城外』は小田嶽夫による作品で、1936-1回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

小田嶽夫の『城外』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
鶴田知也 つるた ともや 受賞
コシャマイン記

『コシャマイン記』は鶴田知也による作品で、1936-1回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

鶴田知也の『コシャマイン記』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人
石川達三 いしかわ たつぞう 受賞
蒼氓

『蒼氓』は石川達三による作品で、1935-1回の芥川龍之介賞で受賞対象となった。初期の同賞を形づくった作品の一つとして、作者の時代認識や人物描写の特色を伝える。

石川達三の『蒼氓』は、芥川龍之介賞の初期受賞作として記録される作品である。

近代日本文学芥川賞社会と個人