日本の文学賞

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芥川龍之介賞

あくたがわりゅうのすけしょう

芥川龍之介賞は日本の純文学新人賞。短編・中編の優れた作品に年2回授与される。

純文学新人賞短編・中編
創設年
1935
主催
公益財団法人 日本文学振興会(事実上 文藝春秋社と関係)
カテゴリー
純文学
選考方式
非公募
受賞対象
新人
開催頻度
年2回
発表時期
7月頃、1月頃
賞のステータス
活動中

説明

1935年に菊池寛が創設した日本の純文学新人賞。文藝春秋社内の公益財団法人日本文学振興会が主催し、新聞・雑誌等に発表された無名・新進作家による短編・中編の作品を対象に選考が行われる。選考は文藝春秋の選考スタッフによる事前の下読み(班会議→本会議)で候補作を絞り、選考委員会で最終決定される。正賞は懐中時計、副賞は100万円。受賞作は『文藝春秋』等に掲載され、発表は上半期が7月中旬、下半期が1月中旬に行われる。選考会は料亭「新喜楽」で行われ、授賞式は従来東京會舘で行われてきたが現在は帝国ホテルで執り行われている。

賞品

主賞品
正賞:懐中時計、副賞:100万円および受賞作の『文藝春秋』等への掲載
賞金
1,000,000円
  • 懐中時計(正賞)
  • 受賞作の『文藝春秋』への掲載
  • 授賞式・記者会見(従来:東京會舘、現在:帝国ホテル)

選考情報

選考プロセス

事前選考(下読み)
審査員 文藝春秋の選考スタッフ(約20名、5名ずつ4班で下読み)
発表 各班で推薦作品を選び、本会議でさらに絞り込みを行う。班会議→本会議を計12〜14回程度繰り返し、最終候補5〜6作を決定する。
最終候補確認(候補者の意志確認)
審査員 文藝春秋の選考担当と日本文学振興会
発表 最終候補作が決定した時点で候補者に受賞の意志があるか確認し、候補作を公表する。
最終選考(選考委員会)
審査員 日本文学振興会が選定する選考委員(年によるが概ね9名)
発表 選考委員は候補作をあらかじめ評点(○△×)しておき、選考会(新喜楽)で各委員が評価を披露した上で審議・投票により受賞作を決定する。
発表・授賞
審査員 選考委員会および主催者
発表 上半期は7月中旬、下半期は1月中旬に記者会見で受賞作を発表。授賞式は翌月に行われる(現在は帝国ホテル)。

選考基準

  • 純文学性・芸術性を重視すること
  • 無名・新人作家であること(新人性は選考で議論される場合がある)
  • 新聞・雑誌等ですでに発表された短編・中編であること
  • 作品の長さは概ね原稿用紙100〜200枚が目安(300枚未満が一般的な目安)
  • 文学的完成度、独自性、表現の新しさが評価される

応募のヒント

推奨

  • 新聞・雑誌等での発表を目指す(掲載作が受賞対象)
  • 純文学としての芸術性と表現の完成度を高める
  • 作品の長さは原稿用紙100〜200枚(目安)に調整する
  • 独自の視点・文体を磨き、人物描写や人間関係の深さを重視する

注意

  • 本賞を直接応募できると誤解して持ち込む(芥川賞は非公募)
  • 話題性だけを狙った浅い表現に傾くこと
  • 連作短編を無理にまとめて候補にしようとする(規定外になる場合がある)
  • 単に商業性のみを優先すること

審査員から

  • 小説の形で新しさを主張する際でも、人物と人間関係を丁寧に描くことが重要だ(選考でよく挙げられる評価点)
  • 流行や表層の観念遊びに流されず、文学としての完成度を示してほしい
  • 新人性については委員間で議論になることがあるため、作品自体の説得力を重視してほしい

関連の賞

  • 直木三十五賞(直木賞)
  • 野間文芸新人賞
  • 三島由紀夫賞
  • H氏賞(現代詩の芥川賞類似)
  • 角川短歌賞(短歌界の芥川賞)
  • 角川俳句賞(俳句界の芥川賞)
  • 岸田國士戯曲賞(演劇界の芥川賞)
  • 城戸賞(映画界の芥川賞)
  • 木村伊兵衛写真賞(写真界の芥川賞)

公式情報

https://bungakushinko.or.jp/award/akutagawa/

過去の受賞者

安堂ホセ あんどう ほせ 受賞
DTOPIA

仮想現実と現実が交錯する近未来を舞台に、自由と管理の境界を問い直す物語。

ディスプレイの奥に広がる世界は、私たちの望みと恐怖が織り交ざった歪んだユートピアだった。

近未来技術管理社会
小説家
鈴木結生 すずき ゆい 受賞
ゲーテはすべてを言った

文学好きの若者がゲーテの言葉を手がかりに、自身の人生を見つめ直す青春小説。

『なぜ僕は言葉に縛られるのだろう』、その問いが夜半の部屋を満たした。

文学成長青春
朝比奈秋 あさひな あき 受賞
サンショウウオの四十九日

ある家族が飼っていたサンショウウオの四十九日までの日々を通して、生命の儚さと家族の絆を描く。

あの日、川辺で見つけた小さなサンショウウオは、まるで私たちの想いを映す鏡のようだった。

死生観家族儀式
小説家
松永K三蔵 まつなが K さんぞう 受賞
バリ山行

若き登山者がインドネシアのバリ島の秘境に挑む旅を通して、自身の内面と向き合う冒険譚。

頂上を目指す足取りは、過去の自分と決別するための一歩だった。

冒険自己探求自然
小説家
九段理江 くだん りえ 受賞
東京都同情塔
小説家
市川沙央 いちかわ さお 受賞
ハンチバック
小説家
この世の喜びよ
小説家
佐藤厚志 さとう あつし 受賞
荒地の家族
小説家
高瀬隼子 たかせ じゅんこ 受賞
おいしいごはんが食べられますように
小説家
砂川文次 すながわ ぶんじ 受賞
ブラックボックス
小説家
石沢麻依 いしざわ まい 受賞
貝に続く場所にて
小説家
李琴峰 り きんほう 受賞
彼岸花が咲く島
小説家
宇佐見りん うさみ りん 受賞
推し、燃ゆ
小説家
高山羽根子 たかやま はねこ 受賞
首里の馬
小説家
遠野遥 とおの はるか 受賞
破局
小説家
古川真人 ふるかわ まさと 受賞
背高泡立草
小説家
今村夏子 いまむら なつこ 受賞
むらさきのスカートの女
小説家
上田岳弘 うえだ たけひろ 受賞
ニムロッド
町屋良平 まちや りょうへい 受賞
1R1分34秒
高橋弘希 たかはし ひろき 受賞
送り火
石井遊佳 いしい ゆうか 受賞
百年泥
若竹千佐子 わかたけ ちさこ 受賞
おらおらでひとりいぐも
山下澄人 やました すみと 受賞
しんせかい
村田沙耶香 むらた さやか 受賞
コンビニ人間

2016年の発売から年内に50万部を超えてからもじわじわと売れ続け、2年を経て100万部に到達した。

小説家
滝口悠生 たきぐち ゆうせい 受賞
死んでいない者
本谷有希子 ほんたに ゆきこ 受賞
異類婚姻譚
羽田圭介 はねだ けいすけ 受賞
スクラップ・アンド・ビルド

売れない芸人の主人公と天才肌の先輩芸人との交友を描いた作品。お笑い芸人では初の受賞。単行本の累計発行部数は229万部を突破し、芥川賞受賞作品として歴代1位の単行本部数となる。

又吉直樹 またよし なおき 受賞
火花
小野正嗣 おの まさつぐ 受賞
九年前の祈り
柴崎友香 しばさき ともか 受賞
春の庭
冥土めぐり
円城塔 受賞
道化師の蝶
田中慎弥 受賞
共喰い
該当なし
きことわ
西村賢太 受賞
苦役列車
赤染晶子 受賞
乙女の密告
ポトスライムの舟
楊逸 受賞
時が滲む朝
諏訪哲史 受賞
アサッテの人
八月の路上に捨てる
中村文則 受賞
土の中の子供
阿部和重 受賞
グランド・フィナーレ
金原ひとみ かねはら ひとみ 受賞
蛇にピアス
綿矢りさ わたや りさ 受賞
蹴りたい背中
吉村萬壱 よしむら まんいち 受賞
ハリガネムシ
大道珠貴 だいどう たまき 受賞
しょっぱいドライブ
吉田修一 よしだ しゅういち 受賞
パーク・ライフ
長嶋有 ながしま ゆう 受賞
猛スピードで母は
玄侑宗久 げんゆう むねひさ 受賞
中陰の花
青来有一 あおき ありいち 受賞
聖水
堀江敏幸 ほりえ としゆき 受賞
熊の敷石
町田康 まちだ やすし 受賞
きれぎれ
松浦寿輝 まつうら としき 受賞
花腐し
玄月 げんげつ 受賞
蔭の棲みか
藤野千夜 ふじの ちよ 受賞
夏の約束
該当なし
平野啓一郎 ひらの けいいちろう 受賞
日蝕
花村萬月 はなむら まんげつ 受賞
ゲルマニウムの夜
藤沢周 ふじさわ しゅう 受賞
ブエノスアイレス午前零時
目取真俊 めどりま しゅん 受賞
水滴
辻仁成 つじ じんせい 受賞
海峡の光
柳美里 やなぎ みり 受賞
家族シネマ
川上弘美 かわかみ ひろみ 受賞
蛇を踏む
又吉栄喜 またよし えいき 受賞
豚の報い
保坂和志 ほさか かずし 受賞
この人の閾
室井光広 むろい みつひろ 受賞
おどるでく
笙野頼子 しょうの よりこ 受賞
タイムスリップ・コンビナート
奥泉光 おくいずみ ひかる 受賞
石の来歴
吉目木晴彦 よしめき はるひこ 受賞
寂寥郊野
多和田葉子 たわだ ようこ 受賞
犬婿入り
藤原智美 ふじわら ともみ 受賞
運転士
松村栄子 まつむら えいこ 受賞
至高聖所アバトーン
辺見庸 へんみ よう 受賞
自動起床装置
荻野アンナ おぎの あんな 受賞
背負い水
小川洋子 おがわ ようこ 受賞
妊娠カレンダー
辻原登 つじはら のぼる 受賞
村の名前
大岡玲 おおおか れい 受賞
表層生活
瀧澤美恵子 たきざわ みえこ 受賞
ネコババのいる町で
該当なし
南木佳士 みなき かし 受賞
ダイヤモンドダスト
李良枝 り よしえ 受賞
由煕
新井満 あらい みつる 受賞
尋ね人の時間
池澤夏樹 いけざわ なつき 受賞
スティル・ライフ
三浦清宏 みうら きよひろ 受賞
長男の出家
村田喜代子 むらた きよこ 受賞
鍋の中
該当なし
米谷ふみ子 よねたに ふみこ 受賞
過越しの祭
該当なし
木崎さと子 きざき さとこ 受賞
青桐
該当なし
笠原淳 かさはら じゅん 受賞
杢二の世界
小説家
高樹のぶ子 たかぎ のぶこ 受賞
光抱く友よ
小説家
該当なし
加藤幸子 かとう さちこ 受賞
夢の壁
小説家
唐十郎 から じゅうろう 受賞
佐川君からの手紙
小説家
該当なし
吉行理恵 よしゆき りえ 受賞
小さな貴婦人
小説家
赤瀬川原平 あかせがわ げんぺい 受賞
父が消えた
小説家
該当なし
森禮子 もり れいこ 受賞
モッキングバードのいる町
小説家
重兼芳子 しげかね よしこ 受賞
やまあいの煙
小説家
青野聰 あおの さとし 受賞
愚者の夜
小説家
高橋揆一郎 たかはし きいちろう 受賞
伸予
小説家
高橋三千綱 たかはし みちつな 受賞
九月の空
小説家
宮本輝 みやもと あきら 受賞
螢川
小説家
高城修三 たかぎ しゅうぞう 受賞
榧の木祭り
小説家
三田誠広 みた まさひろ 受賞
僕って何
小説家
池田満寿夫 いけだ ますお 受賞
エーゲ海に捧ぐ
小説家
村上龍 むらかみ りゅう 受賞
限りなく透明に近いブルー
小説家
中上健次 なかがみ けんじ 受賞
小説家
岡松和夫 おかまつ かずお 受賞
志賀島
小説家
林京子 はやし きょうこ 受賞
祭りの場
小説家
日野啓三 ひの けいぞう 受賞
あの夕陽
小説家
阪田寛夫 さかた ひろお 受賞
土の器
小説家
該当なし
野呂邦暢 のろ くにのぶ 受賞
草のつるぎ
森敦 もり あつし 受賞
月山
三木卓 みき たく 受賞
山本道子 やまもと みちこ 受賞
ベティさんの庭
郷静子 ごう しずこ 受賞
れくいえむ
畑山博 はたやま ひろし 受賞
いつか汽笛を鳴らして
宮原昭夫 みやはら あきお 受賞
誰かが触った
李恢成 り かいせい 受賞
砧をうつ女
東峰夫 とうみね お 受賞
オキナワの少年
該当なし
古井由吉 ふるい よしきち 受賞
杳子
吉田知子 よしだ ともこ 受賞
無明長夜
古山高麗雄 ふるやま こまお 受賞
プレオー8の夜明け
清岡卓行 きよおか たくゆき 受賞
アカシヤの大連
庄司薫 しょうじ かおる 受賞
赤頭巾ちゃん気をつけて
田久保英夫 たくぼ ひでお 受賞
深い河
丸谷才一 受賞
年の残り
三匹の蟹
柏原兵三 受賞
徳山道助の帰郷
大城立裕 受賞
カクテル・パーティー
該当なし
柴田翔 受賞
されどわれらが日々──
田辺聖子 たなべ せいこ 受賞
感傷旅行 センチメンタル・ジャーニィ
後藤紀一 ごとう きいち 受賞
少年の橋
河野多惠子 こうの たえこ 受賞
川村晃 かわむら あきら 受賞
美談の出発
宇能鴻一郎 うの こういちろう 受賞
鯨神
該当なし
三浦哲郎 みうら てつろう 受賞
忍ぶ川
北杜夫 きた もりお 受賞
夜と霧の隅で
斯波四郎 しば しろう 受賞
山塔
大江健三郎 おおえ けんざぶろう 受賞
飼育
開高健 かいこう けん 受賞
裸の王様
菊村到 きくむら いたる 受賞
硫黄島
近藤啓太郎 こんどう けいたろう 受賞
海人舟
石原慎太郎 いしはら しんたろう 受賞
太陽の季節
遠藤周作 えんどう しゅうさく 受賞
白い人
小島信夫 こじま のぶお 受賞
アメリカン・スクール
庄野潤三 しょうの じゅんぞう 受賞
プールサイド小景
吉行淳之介 よしゆき じゅんのすけ 受賞
驟雨
安岡章太郎 やすおか しょうたろう 受賞
悪い仲間・陰気な愉しみ
五味康祐 ごみ こうすけ 受賞
喪神
松本清張 まつもと せいちょう 受賞
或る『小倉日記』伝
該当なし
堀田善衛 ほりた ぜんえ 受賞
広場の孤独, 漢奸
安部公房 あべ こうぼう 受賞
壁 S・カルマ氏の犯罪, 春の草

ある朝、突然自分の名前を喪失してしまった会社員の「ぼく」(S・カルマ氏)。名前を失ったことで現実での存在権を失い、マネキン人形やラクダに奇妙な愛情を抱きながら不条理な世界を漂う。窃盗の罪で裁判にかけられ、最終的には壁そのものへと変形していく主人公の姿を通じて、孤独な人間の実存的体験と価値逆転を描いた芥川賞受賞作。本書には表題作のほか「バベルの塔の狸」「赤い繭」など超現実主義的な短篇群を収録する。

壁がいかに人間を絶望させるかというより、壁がいかに人間の精神のよき運動となり、人間を健康な笑いにさそうかということを示すのが目的でした。 ——安部公房「あとがき」(『壁』)

304ページ
アイデンティティの喪失不条理実存主義超現実主義疎外寓意と諷刺
石川利光 いしかわ としみつ 受賞
春の草
辻亮一 つじ りょういち 受賞
異邦人
井上靖 いのうえ やすし 受賞
闘牛
由起しげ子 ゆき しげこ 受賞
本の話
小谷剛 こたに つよし 受賞
確証
清水基吉 しみず もときち 受賞
雁立
八木義徳 やぎ よしのり 受賞
劉廣福
小尾十三 おび じゅうぞう 受賞
登攀
東野邊薫 ひがしのべ かおる 受賞
和紙
石塚喜久三 いしづか きくぞう 受賞
纏足の頃
倉光俊夫 くらみつ としお 受賞
連絡員
該当なし
芝木好子 しばき よしこ 受賞
青果の市
多田裕計 ただ ゆうけい 受賞
長江デルタ
櫻田常久 さくらだ つねひさ 受賞
平賀源内
高木卓 たかぎ たく 受賞辞退
歌と門の盾
寒川光太郎 さむかわ こうたろう 受賞
密獵者
半田義之 はんだ よしゆき 受賞
鶏騒動
長谷健 はせ けん 受賞
あさくさの子供
中里恒子 なかざと つねこ 受賞
乗合馬車
中山義秀 なかやま よしひで 受賞
厚物咲
火野葦平 ひの あしへい 受賞
糞尿譚
尾崎一雄 おざき かずお 受賞
暢気眼鏡
石川淳 いしかわ じゅん 受賞
普賢
冨澤有爲男 とみざわ ゆいお 受賞
地中海
小田嶽夫 おだ たけお 受賞
城外
鶴田知也 つるた ともや 受賞
コシャマイン記
石川達三 いしかわ たつぞう 受賞
蒼氓