日本の文学賞

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芸術選奨文部科学大臣賞 げいじゅつせんしょう もんぶかがくだいじんしょう

第20回(1970年)

演劇映画音楽舞踊文学美術放送大衆芸能芸術振興評論メディア芸術美術A美術B

受賞者

10名
庄野潤三 しょうの じゅんぞう 受賞

『紺野機業場』は、北陸の小さな織物工場を営む一家をめぐり、日々の営みから一族の長い時間を描き出す長篇である。聞き書きに近い穏やかな語りが、土地の信仰、年中行事、家族の記憶を静かに重ねていく。

小さな機業場の日常から、土地と家族の百年を照らす長篇。

329ページ
家族史地方の暮らし聞き書き織物工場
有吉佐和子 ありよし さわこ 受賞

『出雲の阿国』は、歌舞伎の創始者とされる阿国の生涯を、日本芸能史のうねりの中に描く大河小説である。史料の空白を小説の想像力で満たし、踊ることに賭ける女性の生命力を力強く浮かび上がらせる。

芸能史の謎に、阿国という踊る身体を通して命を吹き込む大河篇。

534ページ
歴史小説歌舞伎女性の生芸能史
山田洋次 やまだ ようじ 受賞
喜劇 一発大必勝

『喜劇・一発大必勝』は、山田洋次がハナ肇主演で手がけた「一発」シリーズの映画である。人情喜劇の枠にブラックユーモアと社会風刺を差し込み、松竹喜劇の親しみやすさと作家性を併せ持つ。

人情喜劇の顔をしながら、毒のある笑いを忍ばせた映画作品。

映画喜劇社会風刺山田洋次
市川翠扇 いちかわ すいせん 受賞

市川翠扇の「螢」は、日本舞踊と舞台演技の成熟を示した受賞対象である。抑制された所作と役の内面をにじませる表現によって、古典芸能の型を現代の観客に届く舞台へ結び直した。

型の確かさと情感の細やかさが交わる舞台。

日本舞踊演劇古典芸能所作
二期会 にきかい 受賞
ラインの黄金、こうもり、魔笛

二期会の「ラインの黄金、こうもり、魔笛」は、オペラ団体としての上演成果がまとめて評価された受賞対象である。ワーグナー、ヨハン・シュトラウス二世、モーツァルトという異なる作品を通じ、日本のオペラ上演水準を押し上げた。

複数のオペラ上演で、日本語圏の舞台表現の幅を示した成果。

オペラ二期会上演西洋音楽
大高正人 おおたか まさと 受賞
栃木県議会議事堂

大高正人の「栃木県議会議事堂」は、戦後日本建築の公共性を形にした建築作品である。地域の政治空間を担う建物として、構造、動線、都市景観を結びつける設計思想が評価された。

公共建築の役割を、構造と都市の関係から考えた議事堂建築。

建築公共空間議事堂戦後日本
細江英公 ほそえ えいこう 受賞

『鎌鼬』は、細江英公が舞踏家・土方巽を秋田の農村などで撮影した写真集である。土方の身体、東北の風土、写真家自身の記憶が交錯し、戦後写真の主観的で物語性の強い表現を代表する作品となった。

土方巽の身体を通じて、東北の風土と記憶を焼き付けた写真集。

41ページ
写真集舞踏土方巽東北
桜間道雄 さくらま みちお 受賞
野宮

桜間道雄の「野宮」は、観世流能楽師としての技量と解釈が凝縮された舞台である。『源氏物語』に由来する幽玄の世界を、堅確な型と深い情趣によって立ち上げた。

源氏物語の余情を、能の型と気配で立ち上げた舞台。

野宮源氏物語古典芸能
河野宏 こうの ひろし 受賞
ながい坂、不貞ということ

河野宏の「ながい坂、不貞ということ」は、映画批評・演劇批評の領域での仕事として受賞対象になった評論である。作品に即した読みを通じて、映像や舞台の同時代的な問題を掘り下げた。

映画と演劇の作品理解を、同時代批評として深めた仕事。

評論映画演劇同時代批評
竹下英一 たけした えいいち 受賞
岡鬼太郎伝

『岡鬼太郎伝』は、劇評家・岡鬼太郎の生涯と仕事をたどる評伝である。歌舞伎や近代演劇を見つめた批評家の足跡を通じ、明治から昭和へ続く劇壇の記憶を描き出す。

劇評家の生涯から、近代日本の劇壇を照らす評伝。

評伝劇評歌舞伎近代演劇