日本の文学賞

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文學界新人賞 ぶんがくかいしんじんしょう

第131回(2026年)

文芸新人賞

受賞者

2名
村司侑 むらし ゆう 受賞
ソリティアおじさんがいた頃

味噌製造会社の直売店に勤める主人公の瑠奈は、かつての職場で「ソリティアおじさん」と呼ばれていた元同僚・黒野田が着衣着火の火災で亡くなったという訃報を受ける。葬儀に参列したのち、忘れていたこと、確かめようのないことがとりとめなく浮かび上がり、主人公は変化してゆく。京都方言を交えた語り口で、日常のささやかな細部と死という大きなテーマを向き合わせた純文学短編。

昔職場にいた、黒野田さんが亡くなった。忘れていたこと、確かめようのないことがとりとめなく浮かんでくる。

記憶と喪失死と日常職場の人間関係回想内省音の対比
沓乃よう くつの よう 佳作
ドロップ

夏の高校の教室を舞台に、女子高生たちの白熱した議論と、彼女たちを見守る女性教師の内面世界を交互に描いた短篇小説。高木が主宰する非公式の「女子会」では、「性加害の当事者にパイプカットは必要か」「佐藤蓮君の彼女にはだれがふさわしいか」といった議題が次々と繰り出される。教師はサクマドロップスを舐めながら生徒たちの言葉を聞き流し、過去の男子生徒や事件の記憶が妄想と地続きになって立ち上がってくる。清冽な教室の空気と、教師の意識が滲んでいく感覚が重なりあい、大人と子どもの認識のずれが浮かび上がる。

北舎三階、三年三組の教室からは黄土色のグラウンドがよく見える。

296ページ
記憶と妄想の地続き大人と子どもの認識のずれ学校という密室空間世代間のギャップ戦争・暴力の記憶