日本の文学賞

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文藝賞 ぶんげいしょう

第60回(2023年)

中編長編

受賞者

5名
小泉綾子 こいずみ あやこ 受賞

北九州の片田舎。右手の小指と薬指の半分を失った中学生・界は、学校へ行かず不良グループとたむろする中で、地元の男・橘さんに心酔する。東京のラッパーとトラブルを起こした橘さんのため、夜行バスでひとり東京へ向かう少年の切実な暴走劇。選考委員全員満場一致で受賞した第60回文藝賞の受賞作。

行き場のない熱を抱えた少年の、切実なる暴走劇。

148ページ
少年暴走地方義侠身体
佐佐木陸 ささき りく 優秀作

数日前のことも憶えておらず、生まれてから部屋を出たことのない怜王鳴門が、ある日「パパ上」のノートパソコンに届いた「きみの物語」を読み始める。驚異の記憶力でクイズに耽溺した過去の自分、クイズチームの「サッちゃん」と「パパ」、言語を獲得した血統犬「ベリアル」——複数の世界線が現実と物語の境界を突破する、究極のマルチバース小説。

この世界は破壊すべきである、○か×か?

128ページ
記憶クイズマルチバース物語論アイデンティティ
図野象 ずの しょう 優秀作

日当7,500円のバイトに遅刻しないため2,000円のタクシーに乗り、消費者金融アプリとマッチングアプリを交互に眺める25歳・美帆。買い物依存と性依存、貧乏で不仲な両親、ストーカーと化した元同級生——歯車がある死をきっかけに加速し、地獄の底へと爆進する。選考委員・町田康が「これは効いた。効きまくった」と絶賛した第60回文藝賞優秀作。

現在を生きるため人生を手放し、地獄の底の絶望と希望へと爆進する。

176ページ
依存貧困女性自滅現代社会
西野冬器 にしの とうき 受賞
子宮の夢

女たちが「子宮投げ」に興じるまちで暮らす「私」と「時間」、そして私の母をとりまく幻想的な一夜。一行目から最終行まで、一文一文が破格の才能と表現に貫かれた圧巻の短篇。2007年生まれ、当時16歳の西野冬器が第60回文藝賞短篇部門で受賞したデビュー作。

一行目から最終行まで、一文一文が破格の才能と表現に貫かれた圧巻の短篇。

幻想身体若さ時間
才谷景 さいたに けい 優秀作

体中に穴が開き、液体が溜まっていくひよりは、「穴の底を貫く」と言ういっくんと、「筒になりなさい」と言う母に囲まれて生きている。独特の重さと湿り気に満ちた世界に読者を引きずり込む、第60回文藝賞短篇部門優秀作。受賞後第一作「庭に接ぐ」を収録した単行本が2026年4月に刊行。

独特の重さと湿り気に満ちた世界に、読者を静かに引きずり込む。

128ページ
身体家族幻想生と死