日本の文学賞

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田村俊子賞

たむらとしこしょう

女性が書いた日本語の文学作品に毎年授与する文学賞。

日本語文学女性文学
創設年
1961
主催
田村俊子会
カテゴリー
文学総合・文芸総合
受賞対象
プロ
開催頻度
年1回
賞のステータス
終了

説明

田村俊子の死後の印税を基に1961年に設立された、女性作家の優れた日本語文学作品に贈られる文学賞。授賞式は毎年4月16日に東慶寺で行われ、第17回(1977年)をもって終了した。

選考情報

選考プロセス

選考委員会
審査員 湯浅芳子、佐多稲子、高見順、草野心平、立野信之、武田泰淳、瀬戸内晴美
発表 授賞式にて発表(4月16日)

過去の受賞者

木々康子 きぎ やすこ 受賞
蒼龍の系譜

木々康子の小説作品。家系や血筋を示す「系譜」を題名に置き、個人の生を一族の記憶や歴史の流れの中で捉える。

一族の流れをたどることは、個人の孤独と選択を見つめることにつながる。

家系女性の生記憶歴史
武田百合子 たけだ ゆりこ 受賞

武田百合子が、夫・武田泰淳と過ごした富士山麓の山荘での生活を記した日記文学。家族、犬、食事、天候、死の気配までを克明にとらえ、日常の細部から強い文学的な時間を立ち上げる。

富士山麓の暮らしの細部が、読む者の前で静かに文学へ変わっていく。

448ページ
日記文学家族富士山麓日常の観察
津島佑子 つしま ゆうこ 受賞

『葎の母』は、津島佑子の初期を代表する作品で、母と子、家族の記憶、女の生の重さを静かに掘り下げる。自伝的な影を帯びながら、個人の感情を広い家族小説へ押し広げている。

母と子の関係を通じて、家族の記憶と女性の孤独を描く初期代表作。

217ページ
母子関係家族女性の孤独記憶
一の瀬綾 いちのせ あや 受賞
黄の花

『黄の花』は、女性の生活感情や時間の移ろいを、花の色の印象に重ねて描く小説として読める。一ノ瀬綾の受賞作として、女性の経験を文学の中心に置く田村俊子賞の性格をよく示す。

花の色の印象から、女性の生活と記憶を描く受賞作。

199ページ
女性の経験生活感情記憶
吉野せい よしの せい 受賞

阿武隈山麓の厳しい自然と貧しさの中で生きた農婦の記憶を、土の匂いを帯びた言葉で描く作品集。七十代で書き始めた吉野せいの文学が、強い生活の実感を放つ。

貧しさの底から、土に根を張った言葉が立ち上がる。

230ページ
農村貧困女性生活記録
島尾ミホ しまお みほ 受賞
海辺の生と死

奄美の島での戦争体験と生活を、島尾ミホ自身の記憶から描く作品。個人史と地域史が重なり、女性の語りとして田村俊子賞にふさわしい強度を持つ。

海辺の暮らしと戦争の記憶が、ひとりの女性の声で結ばれる。

奄美戦争体験女性の記憶自伝的作品
富岡多恵子 とみおか たえこ 受賞
植物祭

『植物祭』は、富岡多恵子による文学作品。1974年の受賞作として、題材を絞り込んだ表現と、人物や土地、時代の手触りを読者に残す構成が評価された。

植物祭は、限られた形式の中に時代と人の気配を刻む作品。

人間心理時代性土地
高橋たか子 たかはし たかこ 受賞

『空の果てまで』は、高橋たか子による文学作品。1973年の受賞作として、題材を絞り込んだ表現と、人物や土地、時代の手触りを読者に残す構成が評価された。

空の果てまでは、限られた形式の中に時代と人の気配を刻む作品。

306ページ
人間心理時代性土地
広津桃子 ひろつ ももこ 受賞
春の音

『春の音』は、広津桃子による作品。受賞時期の文学・出版状況を映し、題名が示す人物、場所、事件を軸にした表現が作品の核になっている。

『春の音』は、受賞作として残る題材の強さと作者の視点を伝える作品である。

受賞作作品昭和期の文学作者の視点
江刺昭子 えさし あきこ 受賞
草饐―評伝・大田洋子

『草饐―評伝・大田洋子』は、江刺昭子による作品。受賞時期の文学・出版状況を映し、題名が示す人物、場所、事件を軸にした表現が作品の核になっている。

『草饐―評伝・大田洋子』は、受賞作として残る題材の強さと作者の視点を伝える作品である。

受賞作作品昭和期の文学作者の視点
石垣りん いしがき りん 受賞

『石垣りん詩集』は、石垣りんによる作品。受賞時期の文学・出版状況を映し、題名が示す人物、場所、事件を軸にした表現が作品の核になっている。

『石垣りん詩集』は、受賞作として残る題材の強さと作者の視点を伝える作品である。

96ページ
受賞作作品昭和期の文学作者の視点
江夏美好 受賞
下々の女

『下々の女』は江夏美好による小説。名もなき女性たちの生活に目を向け、社会の底辺から時代を描く。

下々の女は、時代の陰影の中で人が抱える痛みと意志を見つめる作品。

女性の生庶民歴史
本多房子 受賞

婦人民主新聞記者としての活動に対して

三枝和子 さえぐさ かずこ 受賞
処刑が行われている

『処刑が行われている』は三枝和子による小説。不穏な題名のもとで、制度や視線に追い詰められる人間の感覚を描く。

処刑が行われているは、時代の陰影の中で人が抱える痛みと意志を見つめる作品。

女性の生権力孤独
松原一枝 まつばら いちえ 受賞

『お前よ美しくあれと声がする』は松原一枝による小説。呼びかける声の響きを軸に、女性の生の選択と尊厳を描く。

お前よ美しくあれと声がするは、時代の陰影の中で人が抱える痛みと意志を見つめる作品。

241ページ
女性の生家族記憶
福田須磨子 ふくだ すまこ 受賞

『われなお生きてあり』は福田須磨子による原爆文学。被爆後を生きる身体と声を通して、なお生きることの重さを記す。

われなお生きてありは、時代の陰影の中で人が抱える痛みと意志を見つめる作品。

442ページ
原爆戦争生と死
松田解子 まつだ かいこ 受賞
おりん口伝

語り継がれる女性の生を通して、貧困、労働、家族の重さを描く長編。口承の力を生かし、名もない人々の記憶を歴史の中に置き直す。

おりん口伝は、口承を軸に松田解子の視線が凝縮された受賞作である。

口承労働女性の生
吉行理恵 よしゆき りえ 受賞
夢のなかで

夢と現実の境目を揺らしながら、感受性の奥にある不安と孤独を描く作品。幻想的な手触りのなかに、日常からこぼれる心の動きが刻まれている。

夢のなかでは、夢を軸に吉行理恵の視線が凝縮された受賞作である。

幻想孤独
中村きい子 なかむら きいこ 受賞
女と刀

薩摩の家に生きる女性の半生を、家制度と武士的価値観の圧力のなかで描いた長編。女性の記憶を通して近代日本の家族と暴力を見つめる。

女と刀は、女性史を軸に中村きい子の視線が凝縮された受賞作である。

女性史家制度薩摩
萩原葉子 はぎわら ようこ 受賞

『天上の花』は、萩原朔太郎の娘である萩原葉子が、詩人三好達治の人間像とその愛憎を描いた作品である。追憶と創作を交差させながら、文学者の光と影、親密さの痛みを鮮やかに浮かび上がらせる。

三好達治への追憶と愛憎を通して、詩人の深奥に迫る評伝的小説。

211ページ
三好達治詩人の記憶愛憎文学者像
阿部光子 あべ みつこ 受賞

『遅い目覚めながらも』は、阿部光子が人生の転機と信仰への歩みを、生活の実感に根ざして描いた作品集である。受賞対象の「神学校一年生」を含み、遅れて始まる学びと自己回復の感覚が全体を貫いている。

人生の後半に始まる学びと信仰を、静かな目覚めとして描く作品集。

240ページ
信仰学び直し女性の人生自己回復
秋元松代 あきもと まつよ 受賞

『常陸坊海尊』は、源義経伝説に連なる常陸坊海尊の民間伝承を背景に、孤児となった少年の罪と救済を描く秋元松代の戯曲である。東北の語りと戦後の記憶が重なり、個人の傷を共同体の深い声へと広げていく。

民間伝承と戦後の孤児の罪を重ね、救済のありかを問う戦後戯曲の代表作。

260ページ
民間伝承戦後罪と救済東北
竹西寛子 たけにし ひろこ 受賞

『往還の記』は、竹西寛子が日本の古典と現代の読者との往き来をたどる評論・随筆集である。古典を遠い過去としてではなく、現在の感受性と響き合う言葉として読み直す姿勢が貫かれている。

古典の言葉と現代の心を往還し、読むことの現在性を問い直す一冊。

185ページ
日本古典批評随筆読書論
倉橋由美子 くらはし ゆみこ 受賞
業績に対して

『業績に対して』は特定の一作品名ではなく、倉橋由美子の初期からの文学的成果を対象にした受賞理由。『パルタイ』以後の実験的な小説世界、寓話性、知的な構成力が、同時代の女性文学の枠を押し広げた点で評価された。

倉橋由美子の実験的な小説世界そのものが評価対象となった受賞。

作家業績実験小説寓話性女性文学
森茉莉 もり まり 受賞

森茉莉の耽美的な小説世界を代表する短編集。表題作では、純真さと退廃、憧れと禁忌が重なり合い、言葉の贅を尽くした文体で恋の光と痛みが描かれる。

禁じられた恋の光と悲傷を、濃密な言葉で包み込む森茉莉の代表作。

384ページ
耽美禁忌の恋純真と退廃森鴎外の娘女性文学
瀬戸内晴美 せとうち はるみ 受賞

明治から昭和にかけて自分の信念と愛を貫いた作家・田村俊子の生涯をたどる評伝。瀬戸内晴美は関係者への聞き取りと足跡の追跡を通じて、忘れられかけていた女性作家の激しい生と文学を掘り起こす。

愛と文学を自分のものとして生き抜いた田村俊子に、瀬戸内晴美が深い共感を寄せる。

493ページ
女性作家評伝近代文学愛と自立文学的デビュー