作品情報
文学者のそばにあった暮らしと別れを、銀色の月のように静かに照らす。
作家の仕事を最も近くで見てきた配偶者によるエッセイ。創作の現場、家族としての時間、別れの記憶を過度に劇化せずに綴り、文学者の肖像を私的なまなざしから浮かび上がらせる。
レビュー要約
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静かな文体と近親者ならではの距離感が評価されている。文学的な回想として読む読者と、夫婦の時間をたどる記録として読む読者の双方に届く作品である。
書籍情報
- 出版社
- 岩波書店
- 発売日
- 2012-06-08
- ページ数
- 128ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13 x 1.6 x 19 cm
- ISBN-13
- 9784000225946
- ISBN-10
- 4000225944
- 価格
- 2336 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
「残されたこの〈私なるもの〉は何だったのか……。亡き夫を鏡にして私を照らし出せば、ぼんやりとでも自分の姿が映るのではないか」。小川国夫という「太陽」が没した後、ぽつんと宙に残った「月」としての私。作家の影として暮らした日々の苦しみと、夫の光を浴びて生きた悦びを鮮やかにつづった、追想のエッセイ。第七回小島信夫文学賞・特別賞受賞。
小川 恵(おがわ けい) 本名・小川綏子(おがわやすこ).1933年11月18日,長崎県佐世保市生まれ.1957年11月,同年に『アポロンの島』を出版した小川国夫と結婚.2008年4月に他界した夫との別離後に執筆された本書が初めての著作となる.
レビュー
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夫婦間の微妙な愛情に共感
小川国夫を知るために購入、奥様である作者が作家小川国の傍らでその仕事ぶりを表にでることなく、静かにみておられた奥様に感服。特に、帰って来ない夫を女の勘でその滞在先に訪ねられ、女性と居た夫を確認した直後、外に飛び出し慟哭、つわりもあったのが吐いてしまう場面、それを夫の死後作者自身も80歳近くでありながもまた思い出され最後にまた書いておられるところなど、共感して読みました。
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小川国夫を側面から照射する光
小川国夫という不思議な作家がどのように文学に取り組み、特異な小説群を生んできたきたのかは、彼自身の著作でかなり明らかにされています。しかし、この小川の同伴者、妻による小川国夫へのレクイエムは、その文学的な営為がどのような苦悩のうえになされたのかを、違った角度から照らし出しています。やや硬質な文章が、小川国夫とこの著者との関係を表しているように思えます。しかし、私にとって衝撃的であったのは、小川とその母との間柄、それにまた妻として著者がどのように関わってきたかの生々しい描写です。小川国夫の原点のひとつをかいまみる思いがしました。小川と著者との他のものを許さない密な結びつきと外面的な距離(坂ですれ違う国夫が著者を無視する!)との先鋭な対立も記憶に深く残ります。80歳になんなんとする著者の何とみずみずしい文章でしょうか。3.11後に小川国夫はまた新しい側面を見せてくれる予感がします。
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違和感ぬぐえず
小川国男についてのつましいなドキュメントが読みたくて購入したが、妙に生々しい描写で、私の求めた本ではないことを知った。
関連する文学賞
- 講談社エッセイ賞 第29回(2013年) ・受賞