日本の文学賞

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狼の義 新 犬養木堂伝

司馬遼太郎賞

狼の義 新 犬養木堂伝

林新

林新と堀川惠子による犬養毅の新評伝。政党政治の激動期を生きた犬養木堂を、政治家としての孤独、言論、国家観から描き直す。

犬養毅評伝政党政治近代日本ノンフィクション

作品情報

政界を駆けた孤狼、犬養木堂の生涯を新たに描く。

KADOKAWAから単行本として刊行。林新と堀川惠子の共著で、のちに角川ソフィア文庫版も刊行された。

レビュー要約

  • 政治家の伝記としての読みごたえと、近代日本の政治風景を立体的に描く点が評価されている。人物の孤独と時代の圧力を重ねる構成が印象的である。

書籍情報

出版社
KADOKAWA
発売日
2019-03-23
ページ数
480ページ
言語
日本語
サイズ
14 x 3.1 x 19.4 cm
ISBN-13
9784041066430
ISBN-10
4041066433
価格
782 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

この男を失い、日本は焦土と化した。政界を駆けた孤狼の生涯を壮大に描く! この男を失い、日本は焦土と化した。 最期の言葉は「話せばわかる」「問答無用」ではなかった!? 5・15事件の実態はじめ、驚愕の事実に基づく新評伝。 政界を駆け抜けた孤狼の生涯を圧倒的筆力で描く!! 「極右と極左は毛髪の差」(犬養毅) 日本に芽吹いた政党政治を守らんと、強権的な藩閥政治に抗し、腐敗した利権政治を指弾し、 増大する軍部と対峙し続け、5・15事件で凶弾に倒れた男・犬養木堂。 文字通り立憲政治に命を賭けた男を失い、政党政治は滅び、この国は焦土と果てた……。 戦前は「犬養の懐刀」、戦後は「吉田茂の指南役」として知られた古島一雄をもう一人の主人公とし、 政界の荒野を駆け抜けた孤狼の生涯を圧倒的な筆力で描く。 最期の言葉は「話せばわかる」ではなかった!? 5・15事件の実態をはじめ、驚愕の事実に基づく新評伝。 「侵略主義というようなことは、よほど今では遅ればせのことである。どこまでも、私は平和ということをもって進んでいきたい」 (1932年5月1日、犬養首相の日本放送協会ラジオ演説より) 真の保守とは、リベラルとは!? 明治、大正、昭和の課題を、果たして私たちは乗り越えられたのか?? ※本書は2017年に逝去された林新氏が厳格なノンフィクションでなく、敢えて小説的な形式で構想し、着手したものを、堀川惠子氏がその意志を受け継ぎ、書き上げたものです。

●林 新:1957~2017。慶應義塾大学経済学部卒。NHKエグゼクティブ・プロデューサーとしてNHKスペシャル、大型企画を担当。「ドキュメント太平洋戦争 第4集 責任なき戦場 ~ビルマ・インパール~」(文化庁芸術作品賞)「家族の肖像」(ギャラクシー賞受賞)「世紀を越えて」「JAPANデビュー 天皇と憲法」など近現代史に造詣が深い。著書に『よみがえる熱球 プロ野球70年』(集英社)、『日本人と象徴天皇』(共著・新潮社)。 ●堀川 惠子:1969年生。テレビ記者を経てノンフィクション作家。『死刑の基準』で講談社ノンフィクション賞、『教誨師』で城山三郎賞、『原爆供養塔』で大宅壮一ノンフィクション賞、『戦禍に生きた演劇人たち』でAICT演劇評論賞。林との共同制作に「ヒロシマ・戦禍の恋文」「新藤兼人95歳 人生との格闘果てず」「死刑囚永山則夫 ~獄中28年間の対話~」等(いずれもNHK)。

レビュー

  • ぶれない政治家の矜持をつらぬいた政治家

    新たな視点での木堂像を理解できる良書

  • 「狼の義」私はとても感動致しました!

    伝記ものの難さを小説のように工夫されてあり、私のような無学者でもわかりやすい一書でした。 当時の世界感に自身を投影させながら、時代を跨ぐ男たちの生き様に喜怒哀楽の風が吹き込んできます。 読む人それぞれに感じ方は違って当たり前です。 私には、良い出会いの一書となりました。

  • 極めて質の高い良書でした!

    大変な量の資料を分析し、史実に則しつつ、一つの小説として流れを作られた素晴らし内容でした。著者の努力と見識の高さに感謝申し上げます。

  • 安部総理に読ませたい。

    大変内容の充実した本です。

  • 中途半端な労作

    よく調べた労作であることは確か。 でも、犬養道子の本の愛読者である私には、違和感しかなかった。 一次資料の扱い方が問題。その人の書いたものや、録音の記録があるものは、原文を引用してほしかった。評伝なのだから、著者の考えや思い入れを廃し、引用を説明で繋ぐぐらいでもよかった。これは、資料を読み込んで筆者の言葉で書き直してあるので、細かいところでニュアンスが変わってしまうのである。 私がわかるのは、犬養道子に関する部分だけだが、そこがそうなのだから、他もおそらく全部そう。 また、「話せばわかる」と言ったかどうかの根拠についても、孫の道子の著作に、「おそらくこういうことだったのでは?」という推察が、資料的根拠を挙げて説明してあるのだが、それに全く触れられていないのは、残念。 買うんじゃなかったです。

  • 結末は知っているものの、息をもつかせぬ展開

    現在の選挙制度や政治は所与のものではなく、紆余曲折を経て作り上げられたのだと、改めて認識させられる良書だと思います 犬養ら主人公達が元老や官僚、政党、国民、そして最後は軍と対峙する姿は、悲壮感が 漂いながらも生き生きと活写されていました。 今の世に犬養、古島のごとき政治家は有りや、と問いたくなります。

  • 注意 ノンフィクションではなく、小説です。

    堀川恵子のファンである。今のノンフィクションを代表する作家さんである。『死刑の基準』、『裁かれた命』、『教誨師』、『死刑囚永山則夫』などの死刑を題材としたノンフィクションは全てが傑作。 たまたま未読の本書が、文庫化されたのを知り、アマゾンでポチる。 届いてから気付きましたが本作は「小説」です。経緯は、あとがき部分に書いてあります。私は、近現代史が好物なので愉しく読めましたが、堀川恵子さんの他の作品とはちょっと異なるので、気になる方は、立ち読みしてから買うのもありです。

  • まさに命がけで戦った気骨の政治家、犬養毅を生き生きと描いている

    この本は、司馬遼太郎賞の受賞作。昭和7(1932)年の5・15事件で、軍人に殺された犬養毅の一代記である。明治23年に第1回帝国議会が開かれるも、立憲政治はその後、必ずしも順調に成長することができず、圧殺されていく過程を追ったスケールの大きな物語だ。ノンフィクションノベルの形をとり、立憲主義を命がけで育て、守ろうとし、力尽きた数人の男を通し、複雑でわかりにくい政治と社会の流れをわかりやすく描くのに成功している。 そこには、政治家同士がいまからみれば理解不能の理由で政敵の足を引っ張りあいに、まっとうな議論というものができない未熟な姿が浮沈し、軍国主義の芽が、実は明治の早い時期からあったことを感じさせる。その中で、立憲主義を育て守ろうと、終始、廉潔かつしぶとく戦ったのが犬養だ。そのしたたかな面によって、「犬養はわかりにくい」とも思われがちだが、多くの資料に基づく事実によって、犬養が強い意志と気迫をもって、“孤狼”のようにしたたかに戦っていくさまが生き生きと描かれている。戦いのクライマックスとなるのが、昭和7年5月1日、乾坤一擲、全国民に訴えたNHKラジオでの演説だ。 極右は極左と同じくらい実に危険至極であり、侵略主義は時代遅れと断じ、「どこまでも、私は平和ということをもって進んでいきたい。・・・決して外国に向かって侵略しようとなどという考えは毛頭もっていないのである」と。じつに“満州事変”の翌年のことである。増長する軍人と沸き立つ世論の中で、このような内容の発言はまさに命がけ、と本人は重々承知であったろう。案の定、2週間後にファナティックな海軍将校らの凶弾に頭を打ち抜かれた。 犬養の死のあと、政治家やジャーナリストは口を閉ざし、反対に立ち上がることもなくなってしまう。5.15事件、そして4年後の2.26事件の歴史的な意味が、明確に浮かび上がってくる。軍の暴力が立憲主義そのものを殺したと。 身の危険を冒してもあえて言うべきは言うという骨ある、またテロリストの前でもたじろがない腰の据わった政治家が、昭和前期の狂った時代に確かに存在していた。そのような人物を歴史の上でもつことは、日本人の大きな誇りである、とさえ思えてくる。 本書の著者は二人いる。堀川惠子氏と林新氏は夫婦である。林氏はNHKプロデューサーで、「責任なき戦場 ビルマ・インパール」など近現代をテーマに社会派の番組を数々制作してきた。林氏は犬養に惚れ込み、長年にわたって構想を練り、資料を集め、定年退職後執筆を始めた。ところが、明治時代を書いたところで帰らぬ人になってしまった。その志を、堀川氏が引き継ぎ、仕上げた。堀川氏もまた犬養と、さらに夫に惚れているのがわかる。夫婦による見事な合奏である。 犬養の演説は、林氏が生前入手し、パソコンに残していた「発掘資料」だ。その骨格は本書に書かれ、おそらく戦後初めて世に出たものであろう。貴重な歴史的資料である。唯一惜しむらくは、演説の全文をそっくりそのまま読みたいという欲望をかなえられなかったことである。

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