死のカルテット (角川文庫 赤 541-7)
『死のカルテット』は、ルース・レンデルのサスペンス小説 Make Death Love Me の日本語版。小さな銀行を襲う事件と、そこからずれていく人々の選択を通して、平凡な日常が犯罪と逃避へ傾いていく過程を描く。
作品情報
小さな銀行で起こった事件をきっかけに、日常の内側に潜んでいた欲望と破綻が露わになるサスペンス。
平穏に見える日常の中で、銀行強盗、金への執着、逃走、秘密の欲望が互いに絡み合う。レンデルらしい冷ややかな筆致で、偶然の事件に触れた人々が自分の弱さや衝動に引きずられ、取り返しのつかない道へ進んでいく姿を描く。
書籍情報
- 出版社
- KADOKAWA
- 発売日
- 1985-11-01
- ページ数
- 310ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784042541073
- ISBN-10
- 4042541070
- 価格
- 90 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/英米文学
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レビュー
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想定通りの商品でした。
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皮肉極まりない決着の付け方
日常生活に飽いた銀行員が、突然現れた強盗に乗じて金を盗み、逃避行をして別な人生を歩もうとする。 突破的に大それたことをしてしまった小市民。そんなに世の中甘くないのは想像に難くはない。金を手にしたことで、苦悩の方が勝ってしまうのだ。 強盗、銀行員のそれぞれの思惑が外れ、打開を試みればみるほど負のスパイラスに陥る過程が面白い。強盗が拉致した女性工員を上手く絡めた皮肉極まりない決着の付け方は、レンデルならではのどんより感が漂う。 そもそもの発端となった強盗の二人組みの、近親憎悪とも言うべき、掛け合いがいい味出している。
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誰にもある願望
主人公は中年男性で、人に言いにくい変わった趣味を持っています。というと、レンデルのファンは「わが目の悪魔」のアーサーを連想するでしょう。本作の主人公アランの趣味は、アーサーほど異常ではなく、共感を覚える読者がかなりの確率でいるのではないでしょうか。その趣味と偶然の事件のおかげで、アランは大金を手にします。その金を使って人生をやり直そうとするアランの行動を追うレンデルの描写は、とても緻密です。今の暮らしとまったく違う毎日を送ってみたいという誰もが持つ夢をアランが実現できるのか、読者はハラハラしながら見守ることになります。レンデルの作品の中でも映画化に向いている筋書きだと思いました。訳者も、映画化された場合の架空キャスティングを、あとがきでイニシャルのみで示しています(ハリウッドの大スターなのでたいていの読者がピンとくるでしょう)。アメリカに限らず、日本でも映画化できそうな普遍的なストーリーです。