日本の文学賞

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アラビアの夜の種族

日本推理作家協会賞

アラビアの夜の種族

古川日出男

1798年、ナポレオン艦隊の侵攻が迫るカイロを舞台に、奴隷アイユーブが歴史を覆すとされる「災厄の書」を求める長編小説。語られる物語が現実へ浸食していく、千夜一夜物語を思わせる重層的な構成を描く。

物語の力ナポレオンのエジプト遠征カイロ歴史と虚構

作品情報

語られた物語が現実を変えていく、カイロの夜の長編。

2001年に角川書店から刊行された長編。ナポレオンの侵攻が迫るエジプトで、アイユーブは主人を守るため「災厄の書」を探す。書物をめぐる探索と夜ごとに語られる物語を交差させ、物語そのものが歴史へ作用するさまを描く。

レビュー要約

  • 千夜一夜物語を思わせる語りと重層的な仕掛けに惹かれる声がある一方で、悠然とした語りの速度や複雑な構成を負担に感じる評価もある。

書籍情報

出版社
KADOKAWA
発売日
2001-12-01
ページ数
659ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784048733342
ISBN-10
4048733346
価格
1500 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

語られるのは、存在しない物語。13世紀エジプトを舞台とした奇書の登場! 聴きたい者の前に、物語は姿を見せる。ナポレオンのエジプト侵攻をくい止めるため、奴隷アイユーブが探しだした「災厄の書」。そして、物語が現実を浸食し始める--。

レビュー

  • 傑作です

    過去に文庫版で読みましたが、あらためて単行本を購入しました。ファンタジー?、伝奇?などのジャンルに入るとも思いますが、作者の想像力と筆力に感服しました。古川氏の最高傑作と思いますが、今後これを超える作品は出ないでしょうね。秋の夜長に、ご一読をお勧めします。

  • アラビアンファンタジー

    友人に勧められたので買いました。 これ以外にも、3冊でセットになっている同作品の別文庫バージョンもありますが、この一冊で上中下の内容が入っています。 二段組の600ページ程度なので文量は多めです。 文章の書き方や表現に癖があります。性表現中に出てくるとある四文字の単語が気になって気になって、こういう真面目な文章の書き方しておいてそういう表現する??みたいなギャップにとてもじわじわ来ました。 また、現実世界と物語世界を行ったり来たりし、次の章が待ちきれなくなる、本の魅力に取り憑かれていくのを追体験させられるようで良いです。

  • 今この瞬間、殺されるとしても、その本を読むことは止めることができない

    [あらすじ] ナポレオンの遠征軍が迫るカイロ。エジプト政界第三位の実力者に仕える若き執事・アイユーブは、読み始めると死を突きつけられても読むのを止められない(ほど面白い)という稀書“災厄の書”をナポレオンに献上することを提案します。 ところが、実際にはそんな本は存在せず、“夜の種族”を名乗る女性が夜毎に語る物語を口述筆記することで“災厄の書”を作り出そうとしていたのです。 完全にハードルが上がった状態で語られる「物語」こそが、この本のメインとなります。 物語は一人の少年を主人公にして始まります。彼の生涯が綴られるのですが、なんというか、RPGで迷宮の最奥に鎮座する魔王がどうやって誕生したのかを描いたような内容です。 イスラームの帝国で大王の末子として生まれたアーダムは、容貌の醜さから疎まれ、乳母(実は魔女)によって孤独に育てられ、妖術と謀略に長けた王子として成長します。 彼は騎兵100騎で敵国を崩壊させると宣言すると、敵国の中枢である邪教団に潜入しました。しかし、祭神である蛇のジンニーアと出会うと、その力に惚れ込み弟子となります。妖力を高めたアーダムは父王を殺して帝位を簒奪し、大王となったのです。 絶大な権力を得ると、蛇神の生け贄を無尽蔵に生み出すため迷宮を造りました。迷宮には魔物が棲みつき、魔物は財宝を溜め込みます。財宝を狙い数多の盗っ人や冒険者が侵入し、その大半が命を落とします。それが蛇神の生け贄となるのです。 アーダムと蛇神は互いに協力関係で力をつけていきますが、アーダムは蛇神の目的――能力の高い妖術師の子種を媒介とした自身の復活――を知ります。 これを裏切りと感じたアーダムは蛇神を出し抜き復讐することを誓いました。夢を見ると考えを読まれるため、眠りを絶ちます。耐え難い眠りへの飢えを紛らわすため、アーダムは女を犯し魔物を屠り臣下を殺します。 いつしかアーダムは悪逆の魔王として恐れられるようになるのでした。 そして千年後、新たに二人の人物を主人公に加え物語は続きます。彼らは対立する関係になり、協力する関係になり、著者と著書の関係になり、物語を紡いでいくのです。 実に読み応えがあります。 さらに、この本の特徴は語り手が多重に存在することです。サウジアラビアで本書の英訳版を手に入れたとあとがきで語られ、この物語がいかに語り継がれてきたかが注釈によって考察されます。作中ではアイユーブが“災厄の書”の物語を編纂し、物語内ではアーダムが魔術書を書き、それを魔術師ファラーが読み込みます。 イスラーム世界のエキゾチックな雰囲気を味わいつつ、物語の入れ子構造にひたってみてはいかがでしょうか。

  • 全読書人必読と言っていい壮大な法螺話の面白さ。

    以前「月刊プレイボーイ」誌が、「ミステリー徹夜本を探せ」との何とも魅惑的な特集を組んだ際、北上次郎、大森望、豊崎由美の当代きっての凄腕書評家3人に、爆笑問題の太田光がこぞって最高位に挙げていたのが今作、ずっと気になっていたのだが、ようやくこの度読了した。そして、これは評判通りの途方もなく壮大な作品だった。 謀術、眩惑、魁偉、豪胆、妖艶、爛熟、恐怖、幻想、浪漫、正に血湧き肉踊る疾風怒濤の650ページ。その本、古今東西稀代のまたとない玄妙驚異の内容を備えた、たちまち読み手を虜にする物語と文中形容されるに相応しい1冊。 プロローグで語られるナポレオン東征に対抗する奇妙奇天烈な企みが果たして何なのか、それを知るだけで、読書好きなら興味津々になる事請負なのだ。 古川日出男が仕掛けた現代版千夜一夜物語といった趣。好き嫌いはあると思うが、読み続ける事が辛くなる頃合で小休止し、息をつきつつ、壮大な法螺話に身を任せたい。 ミステリーのカテゴリーに入るかどうかは微妙だが、エキゾチックなムードや冒険小説がお好きな方には是非お薦めしたい。

  • 王道であり怪書

    冒険譚としても歴史ものとしてもファンタジーとしても読める。異常な語彙力による巧みな筆致に脳がトリップする。しかし読みにくくはない。王道であり、怪書。

  • 語りと、物語の不滅

    しばらく積読状態だったのですが夏にも文庫化されるとのことなので、高い単行本を買った手前、慌てて読みました。 凝った構成と彫琢された文章が紡ぎだす物語は幻惑的で色々な楽しみ方が出来るでしょう。私は語られる物語のストーリーよりも、物語を語るという行為と語られると語られる物語の不滅を巡る物語と思って読みました。 読む人の数だけ楽しみ方があるような、そんな懐の深い物語です。

  • 1時間読んで合わなかった人はおとなしく撤退しよう

    表題の通り。1時間読んでダメだったったら読む必要はない。その先には何もない。 延々と迂遠な表現が続く骨子の緩い物語。 他のレビューに引っ張られる必要はない。時間は有限。

  • 読めて良かった。

    かつて書評を見て読みたかった本です。手に入ったので読んでみて良かった。幻想的でしかもSF。こうした作品はなかなかありません。とは言え、人によっては取っつきにくいかも知れないので星4つとしました。

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