マグダラで眠れ (電撃文庫 は 8-18)
『マグダラで眠れ』は支倉凍砂によるラノベ好き書店員大賞の対象作である。錬金術師の青年と白い修道女が旅を重ね、金属と信仰と欲望の交わる世界を進むライトノベルである。
作品情報
『マグダラで眠れ』は、支倉凍砂が人間の経験と時代の空気を作品の中心に据えた一作である。
錬金術師の青年と白い修道女が旅を重ね、金属と信仰と欲望の交わる世界を進むライトノベルである。 受賞作として読まれる背景には、題材の切実さと、作者が選んだ語り口の強さがある。
書籍情報
- 出版社
- アスキー・メディアワークス
- 発売日
- 2012-07-10
- ページ数
- 296ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.7 x 1.8 x 15 cm
- ISBN-13
- 9784048867283
- ISBN-10
- 4048867288
- 価格
- 1 JPY
- カテゴリ
- 本/コミック・ラノベ・BL/ライトノベル
人々が新たなる技術を求め、異教徒の住む地へ領土を広げようとしている時代。錬金術師の青年クースラは、研究の過程で教会に背く行動を取った罰として、昔なじみの錬金術師ウェランドと共に戦争の前線の町グルベッティの工房に送られることになる。 グルベッティの町で、クースラたちは前任の錬金術師が謎の死を遂げたことを知る。その足で出向いた工房。そこでは、白い修道女フェネシスが彼らを待ち受けていた。彼女はクースラたちを監視するというが ──? 眠らない錬金術師クースラと白い修道女フェネシスが紡ぐ、その 「先」 の世界を目指すファンタジー、ついに開幕!
レビュー
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読者の知的素養により面白さが大きく変わる作品
作中に登場する『錬金術』というのは要するに化学の実験です。 化学や科学史に興味を持てる人ならかなり面白く読むことができるのではないでしょうか。 ただ、この物語のキーになるある秘密については少し読者に提示されている情報が少なすぎて、作中で謎が解けたときに「あーなるほど!」とはなりませんでした。そこはちょっと謎解きストーリーとしてのカタルシスを与えるのに失敗してる感はあります。 本筋の謎が読者目線だと不明なまま進んでいくので、どちらかというとふわっと雰囲気を楽しむ感じの作品にはなりますが、世界観の作り方はかなりしっかりしていて、現代知識ではわかっているけど作中のキャラクターにはわからないというようなことをちゃんと線引して表現してくれているので没入感が削がれず、なおかつ現代の化学知識を持って読むと「あーあれのことね」という感じを演出できているのは素晴らしいです。 不満な点もなくはないですが総合的にはかなり良質の物語を作れていると思いました。
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読み手を選ぶ作品
狼と香辛料20巻まで読み、羊皮紙も3巻まで読んで、初めて本作品に触れました。 他の方々のレビュー通り、説明文が多いことと、同じフレーズを何度も多用しているのが目につきますが、ある意味丁寧に描写されていると捉えることもできます。しかし、キャラクターの描写や読者の期待をいい意味で裏切ったり、手練手管を楽しめます。 出版された年からするに、香辛料20巻に至るまでの、支倉先生自身が成熟されるまでの試行錯誤の作品のように思えます。(勿論この作品の最新刊ではどうなっているのか未読のため解りませんが) 狼と香辛料では、初っ端からヒロインの正体が分かりますが、この作品は最後の方まで読まないと、「結局このヒロインは何なの?世間知らずのお嬢様なの??」みたいな感じで、なんだかもやもやした感じで物語を読み進めていくことになります。 2周目にして、作品の味わいであったり、支倉先生独特の言い回しの意図に気づいたりと、何度か読むとこの本の良さが分かると思います。 ひとつだけマイナス点を上げるならば、挿絵がちょっと・・・。文倉先生が描かれていたらもっと主人公やヒロインに感情移入できただろうなぁと思います。 とはいえ文倉先生も、香辛料の1巻と20巻を比較すると別人のようにお上手になられておりますし、こちらのイラストレーターさんも伸びしろがあると期待するほかありません。 全体的に化学の分野であったりの内容が多いく、また、香辛料から入った方は世界観が別なのに似たような部分があり、混乱される部分が多々ありますので、読み手を選ぶ作品だなと思いました。
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次巻以降に期待のもてる「プロローグ」
作者の作品を読むのは初めてで、本屋のラノベコーナーの新刊に置いてあったのが妙に気になって読んでみるかと思い、購入しました。 ストーリーは、亡くなってしまった恋人が目の前で解体されている様をみて、悲しいというよりも錬金術の材料としてみてしまうほどの錬金術にどっぷりつかっている錬金術師(主人公)と、あることをきっかけに主人公たちを監視するために派遣された修道女の少女(ヒロイン)が出会う中世ファンタジーです。 一応、錬金術に関連する事件が起きてそれを解決するという流れはありますが、今巻では主に錬金術や世界設定などの本作にかかわる舞台の説明がメインで描かれていると個人的には思っています。 次巻以降もおそらく錬金術に関わる事件が起きて解決に導くというものになると予想はしていますが、今巻だけではなんともいえないなと思ったので、今巻は本シリーズの「プロローグ」にあたると書きました。 今巻で、私が特にすごいなと思っているところは、作者のこだわりです。 読んでいる途中で「蒸留」というものが出てくるのですが、その例として「亜鉛」が出てきます。 私自身文系で化学はほとんど学習していないので、知識があやふやだったのですが、「亜鉛って確か、化学式で書いたときO(酸素)が入ってるから酸化だった気が…、あれ?となるとここで説明されている蒸留とあんまり関係ないんじゃないか?」と思いながら読んでいました。 読み終わって、作者あとがきを読むと、作者もこの点を指摘していましたが、それでも、この世界での錬金術師なら「蒸留」であるというように考えるだろうと思い、「蒸留」の例として書いたと述べています。 作者の設定通りの世界で主人公たちを設定通りに動かすというのはプロとしては当たり前のことなのかもしれませんが、その当たり前のことにこだわっているというところがみえて、作者はよく勉強されている上にブレないのだなと良い印象を与えてくれました。次巻が出る間に『狼と香辛料』を読んでみるかと思わせてくれるほどに。 その他、「錬金術師」はなぜ「錬金術師」と呼ばれるのかという点の語り方も私は好きです。錬金術師というイメージは「鉛を金に変える」とか、『ハリーポッター』で出てきた「賢者の石」、「不老不死」とか、コミックで読んだ『鋼の錬金術師』での「等価交換」とかのイメージしかない自分にとっては、「なるほど」と思えるだけの説得力があって、本当かどうかは知らないですが面白いなと思いました。 あとは、この話の要である錬金術が次巻以降にどう絡んでいくのかというところが楽しみです。 そういった意味で、次巻以降に期待の持てる「プロローグ」だなと思いました。 ただし、教会?騎士?異端?何それ?となる方は、読んでいて何が何だかさっぱりわからないということにもなり得るので、ある程度の知識を持って読むか、ある程度割切って読むことができないと少し読みづらいかもしれません。その点は注意してください。
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狼と香辛料を読んで面白いと感じていれば
なにかアンチみたいな人達が湧いておりますが支倉凍砂先生の面白さは健在です。 ただ他の方の言われるようにインパクトに欠けていますが1巻ずつ順調に面白くなってますのでお勧めです。
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ストーリーの勢いよりも深みを重視する方におすすめ!
まずお伝えしておきたいことは、シリーズものだけあって、1巻だけではまだまだ全体が見えてきません。 と言いますのも、職や立場の違う人物を世界観に沿って深く作り込み、丁寧に説明している、という印象を受けるからです。 明日をも知れぬ、過酷な時代に生きる人物の心情がしっかりと考慮され、等身大で理にかなった感性を誰もが備えています。 人間的な弱さ、個人や組織の抱える事情、その時代故の動かし難い固定観念、といったものそれぞれに言い分と説得力が窺え、逆に、分かりやすい悪は見えてきません。 明確にされた巨悪が討たれたり、正義を掲げて改革する場面はあったとしても、本筋にはならないでしょう。 どう転ぶかは本当にまだ読めません。 ただ、人物や組織の立ち位置は考え込まれてぶれなさそうですし、例え主人公に都合よく話が進むにしろ、人物間の駆け引きや心の機微は大事にしていただけそうです。 ストーリーのテンポは緩やかで、劇的な状況変化は少なめ。 ポンポンとは進まないので、勢いを重視する方はだれたり、まだるっこしく感じるかもしれません。 その代わり、行動や考え、出来事にきっちりと説明をつけておられるので、 ・腑に落ちない点があまりに目立つと、読む気をなくす ・少し立ち止まって、より深く、色んな視点から考えてみられる話が好き という方には合うかもしれません。 これについては特に個人的な所感ですが、文章は落ち着いた筆致で好感が持てます。作品の雰囲気に違和感なく溶け込んでいるように思えました。 また、詰め込みすぎない程度に幾つかの話題が掘り下げられ、次巻以降の流れに期待が持てます。 2巻以降はどうなるか分かりませんが……この作者さんなら、と期待できました。
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中世の経済から中世の化学へ
著者の前シリーズ、『狼と香辛料』はメインテーマとして商業を扱っていました。 経済構造や商業手法の綿密な描写が素晴らしく、ヒロインと主人公の小気味よい掛け合いと共に物語の中で強い存在感を示していました。 本作では、商業に変わって錬金術が登場します。 ライトノベルや漫画で錬金術と言えば、かなりファンタジーな印象が強くなっているわけですが、本作の場合は実在した人々をモデルにしています。 化学が学術分野として確立する前の時代、その基礎となる知識や技術を生み出した「錬金術師」たち。そんな彼らの生活を描いた作品です。 本作では冶金が中心となって物語が展開しますが、この後冶金以外の分野もテーマとするのかは未知数です。 相変わらず掛け合いでの台詞運びや、細かな動作の描写が心地よく、これによって物語に引き込まれます。 主人公であるクースラは、前作のロレンスと比べると、かなり尖った主人公です。無論、行商人と錬金術師という社会的立場を鑑みれば当然ですが、ロレンスがぼんやりと「自分の店を持つ」という夢を思い描いていたのに対して、クースラの「それ」は非常に強い思いであり、盲目的ですらあります。これによって、前作のロレンスを引っ張る(と言うか、ロレンスの手綱を引っ張る)ホロという立場から一点して、弱く儚げなヒロイン(フェネシス)を守る主人公(クースラ)という形にキャラクターの立ち位置や属性が変化しています。 このキャラクター属性の大きな変化というものがこの作品への評価の分かれ目になる気がします。 個人的には、頭が良くアクションもこなせる主人公はストレスにならなくて好印象です。ヒロインに関しては、単純に好みでかわいいので問題ありません(終盤の要素とは関係なく)。 更に、主人公の仲間である3人目のレギュラー(?)キャラが、ロレンスの悪友などとは比べものにならないくらいの「悪友」です。私としては特に彼のことが気に入りました。 ただ、「眠らない錬金術師」という意味ありげな二つ名がほとんど機能していないのが気になりました。次巻以降で展開があるのでしょうか。 終盤に登場したある要素によって、前作である「狼と香辛料」の世界との繋がりを連想しましたが、本作の場合は前作ではあまり意識しなかった史実や伝承からの引用が多く、それらを加味すれば基本的には関わりの無い世界観なのかもしれません。 次巻以降でのその「要素」の取り扱いに注目したいです。
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とても良い作品です。しかし人は選びます!
中世、錬金術師のクースラが前任錬金術師の技術を解きながらその死の真相にせまる。 が、大筋になります。一巻なので世界観の説明が多くシリーズ導入部といった感じです。 おそらくシリーズ化前提作品なのでしょう。今後の展望に期待。 私は世界観がしっかりとしたファンタジーが好きなのでこの作品はグッドです。 文章、物語のどちらも前作同様丁寧な作りで誤解や矛盾点によるストレスなく読めました。(誤字は編集さんがんばって) ヒロインも保護欲をかき立てるタイプでその味を良く出していて、私はロリコンへ一歩近づきました。 支倉凍砂先生の作品を今後も楽しんで行きたいと思います。 「マグダラで眠れ」は「狼と香辛料」のような万人向け作品ではありません。 ヒロインであるフェネシスはホロのような万能系ではないので活躍はしませし、行商ではなく錬金術なので冒険要素も薄いです。主人公も正統派ヒーローとは言えないですし。 その辺りのわかりやすいラノベ的な魅力がないことが賛否両論に分かれるゆえんではないでしょうか。 でも、クースラが意外と頼れるヤツだったり、フェネシスを守ってあげたくて仕方なくなったり、街の仕組みが更に掘り下げられていたりと魅力は十分なんですが…
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ちょっとキャラクターの魅力の掘り下げが弱いか。
ところどころに、はっとする表現や上手いセリフ回しはあるのですが、全体的に面白くありません。 なぜ、面白く無いのかというと、個人的な意見ですが、説明文がとにかく多いからなのかなと思います。 あまり一般的ではない、特殊な題材を描いている以上、主人公のクースラなどが解説役になってるシーンが多いのですが、これがかなり分量があります。 その説明にページを取られ、キャラの魅力が掘り下げられず、そんな魅力が薄いキャラがあれこれ解説役になるので、読んでいて疲れます。 読者にも向けた説明じみた台詞がかなり多いですが、その説明しているシーンで面白さが感じられないのですね。 前作の主人公ロレンスも、商売のことを読者に説明するために解説役になることが多いキャラでしたが、彼の場合、ホロに良い所を見せたい、優位に立ちたいという意味から説明してる事が多く、しかし最後にはホロにやり込められるという、そのやりとりが微笑ましかったわけです。 しかし、今回のヒロインであるウルは、静かな性格で、しかもそれほど博識ではないため反論も稚拙で感情的なものが多く、クースラが一方的に説明して、一方的にやり込めて、それで終わりとなってしまってます。 しかも、この時点では必要で無さそうな情報も説明しており、かなり読んでいて疲れます。 もう少し設定の説明は削って、キャラクターの魅力を掘り下げることにページをさけば、面白いものになったんじゃないかと思います。
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