作品情報
大庭みな子が人間関係の深層と生の不穏さを繊細に描く長編小説。
大庭みな子が人間関係の深層と生の不穏さを繊細に描く長編小説。鳥の声を思わせる題名の余韻の中で、記憶、愛、孤独が複雑に響き合う。
レビュー要約
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読者からは、題材の鮮明さと時代の空気を伝える筆致が評価される一方、背景知識を要する重さを感じる声もある。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 1985-10-01
- ページ数
- 312ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062021456
- ISBN-10
- 4062021455
- 価格
- 727 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
第39回(1986年) 野間文芸賞受賞
レビュー
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人間の業の深さ
何もここまで、と思うほど登場人物それぞれが男女のこと、親子のこと、生きることの業を抱えて右往左往する。結局は死ぬことによってしかその業は消化されないのかと思わせる結末に、ある意味ほっともする。すべては取るに足らぬこと、死ぬことさえも恐れることはない、要は今日をどう生きるか、というよりも、昨日ではない今日、明日ではない今日を淡々と人は受け入れていくしかない、とも読みとれる。深い絶望のようであるが、何故かそこに流れるものは明るい。軽い鬱を誰もが抱えているが、それは軽い空腹感の心地よさとも通じるようでもある、とも言っているようである。
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「文学」の正統の力
いまどきは、軽いタッチで祖母、母、娘の三世代や「家」を描くライトノベル感覚の文芸がありますが、こちらはさすがに本格派の「文学」そのものでした。わが家は女だらけなので、いろいろ大庭さんの書きっぷりやセリフまわしに思いあたることが多く、感心するばかりです。まさに人間、人生への洞察が鋭くて、正直、ある独白で、ちょっと自分の人生を重ねて、泣かされました。大庭作品は、三匹の蟹以来だったけれど、他の作品にも興味を改めて持ちました。 今の若い作家たちや二十代ぐらいまでの人にはわからないかもしれないけど、やはり正統派だと思いなおしました。
関連する文学賞
- 野間文芸賞 第39回(1986年) ・受賞