作品情報
視力を失いかけた作家が、手術と回復を通して見ることの意味を捉え直す。
講談社エッセイ賞受賞作。白内障手術という個人的な医療体験を、作家らしい観察眼と率直な語りで描き、身体と生活が変わる瞬間を読ませる。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 1985-07-01
- ページ数
- 196ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062022750
- ISBN-10
- 4062022753
- 価格
- 241 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/エッセー・随筆/日本のエッセー・随筆/近現代の作品
第2回(1986年) 講談社エッセイ賞受賞
レビュー
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70年代の作家のモラルにダメ出しできる楽しさ
80年代の白内障手術の普及期の話として、タイトルのエッセイは読めます。医学的な話と個人的な逡巡でしょうか。よく書けていると思いました。 でも、現在の白内障手術の参考にはあまりならないです。 養生訓の部分、70年代の医療系の情報誌の連載。まあ、作家は病気をかかえるものだというのはいいとして、今のモラルから考えると、あまりいい素行とはいえないですね。赤線が廃止されたので、歩くことが少なくなって運動不足、とか、どんだけ淋病にかかっていて、梅毒は大丈夫かよ、とか。淋病の検査にいったら「大腸菌ですね」って医者に言われ、「そういえば前日、男娼と寝た」とか。まあ、普通に、結核とか喘息とかも抱えていたし、そういう病気のレポートでもあって、特に結核がどう扱われていたかは、証言としてはありますが。あんまり養生していないというところで、笑い流しましょうか。今の作家が書いたらNGな話も多いなあ。という意味で、読むのは悪くないです。
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著者の忍耐強さ
吉行淳之介氏の本を読むのはひさしぶりだ。かつて学生の頃などはむさぼるようにして著者の本を読んだものだが、この『人工水晶体』は読み逃していた。 しかし、それを読んで思い知らされるのは著者の忍耐強さだ。片目が徐々に見えなくなり最後には光しか感じなくなるまで数年間、吉行氏は医療が発達するまで根気強く病気を調べ続け「ここだ」というタイミングで手術を決意する。もし僕などが同じ目にあったらとてもここまで粘り強く待つことなどできず、大騒ぎをしてしまうだろう。〜そしてタイトル作以外の養生訓にも生前にかかったあまりに多くの病気をうけいれ、しっかりと受け入れていく過程が描かれている。 多くの病気をかかえながら執筆活動を続けたことで有名な著者だが、吉行氏の忍耐強さとたくましさが表現されている一冊である。
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吉行的軽さ
講談社エッセイ賞受賞作で、表題は還暦の吉行が白内障で目の手術をした話で、そのあとはいろいろとした病気の話が続くが、吉行的に軽いタッチで、それが60年代的な軽薄さと見える。淋病になった話とか、男娼と寝た話とか、笑いながら書いている感じなのが不快である
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