作品情報
記録することと読み直すことのあいだで、言葉が世界をどう写し、組み替えるのかを探る実験的なデビュー作。
第43回群像新人文学賞当選作を単行本化した横田創のデビュー作。カフェテリアで働く青年の記録と、有原悦子が言葉を介して他者と交わす物語を交差させ、世界を写す行為そのものを小説の中心に据える。労働と芸術、原語と字幕、書く者と読む者の境界を揺らしながら、言葉が現実に触れるあり方を描く。
レビュー要約
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言葉と現実のあいだに生まれるずれを執拗に追う作風と、多様な仕掛けを組み込んだ構成が評価されている。読者には、従来の私小説とは異なる実験性をもつ作品として受け止められている。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2000-08-01
- ページ数
- 179ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062102940
- ISBN-10
- 4062102943
- 価格
- 1870 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
群像新人文学賞受賞作 世界を写生=記録→サンプリングする文学 大型新人のデビュー作 「推したのは、ものを書く、あるいは世界があることに対して、だえずブレながらも執拗に絡み、言語を現実のとの間に隙間を作っているからだ。擾乱する言葉の裂け目から「(世界)」の生地が覗く瞬間がある」──藤沢周 「非常にレベルが高く、様々な仕掛けをくり出すのも面白く腕力がある」──笙野頼子 「完成度の高い作品である。作者は「現代文学」についてよく知り、多くのテクニックを手に入れ、言葉への臭覚も鋭い」──高橋源一郎
1970年7月、埼玉県生まれ。早稲田大学教育学部中退。演劇の脚本を書くかたわら、小説の執筆をはじめ、2000年、本作で群像新人文学賞を受賞。現在、新宿区神楽坂在住。
レビュー
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労働者と芸術家の弁証法!
①労働者は誰もしたくないことを賃金貰って行う仕事をする者であり、そうではない仕事を行う者を芸術家という。二人の書簡は労働者と芸術家の弁証法である。 ②両者に共通していることは、必要としている人がいることだ。需要がある限り、仕事は成立する。AIとロボットが代用し、労働者は減少するが、なくなることはない。 ③労働に貴賤はあると思われるが、やらねばならないことは同じだ。レジ打ちも、映画の字幕作成も、それぞれ必要な仕事なのだ。結論はどちらの仕事も、貴賤が付けられない。 学ぶことご多い哲学小説としてお勧めだ。
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誠実な小説
形式は、実験的な思想小説のように見える。だけど、読んでみれば案外読者を意識した親切な文章。派遣の配膳人に登録して、レストランの洗い場を巡りながら、プロフェッショナルなこだわりと技術を持って皿洗いをする男や、外の世界と対峙するためにあらかじめ会話や出来事を想定して何パターンもの脚本を作る女など、何だか気になる魅力的な登場人物が出てくる。変わった小説を作ってやったぜ、みたいな厭らしさはなく、とても誠実に、小説だった。
関連する文学賞
- 群像新人文学賞 第43回(2000年) ・当選作