日本の文学賞

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滅びのモノクローム

江戸川乱歩賞

滅びのモノクローム

三浦明博

戦時中の映像と記憶を手がかりに、日本が隠した過去の犯罪を掘り起こす物語。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
2002-08-01
ページ数
317ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784062114585
ISBN-10
4062114585
価格
1 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

満場一致で選出! 第48回江戸川乱歩賞受賞作 一個のリールが歴史の闇に光をあてる。 CM制作者が手作業で再生した古いフィルム。 そこには日本がひた隠しにしてきた過去が映っていた。 ●赤川次郎氏 「釣りをモチーフにしながら、そこから事件へとつなげて行く辺りが自然で、小説として魅力あるものになっていた。」 ●逢坂剛氏 「いろいろな素材をぜいたくに盛り込んで、一つの世界を構築する腕は評価してよい。」 ●北方謙三氏 「人間の過去という大きな命題を、淡々と描きあげることに成功している。」 ●北村薫氏 「安定した筆致、小道具としての釣り用リールの扱い方などが印象に残った。魅力的な個性は、手慣れた技巧以上に尊いものである。」 ●宮部みゆき氏 「日本という国が懐深く隠し持ち、表向きは存在しないふりをしている“過去の傷”について、誠実に描いた小説だと思います。」

■三浦明博(みうらあきひろ) 1959年宮城県生まれ。明治大学商学部卒業。仙台市の広告制作会社でコピーライターとして勤務。89年独立。現在、フリーランスのコピーライター。

レビュー

  • 質、量、そして物語速度のバランス不足かな?

    仙台に始まり、日光に移る。中禅寺湖畔をほとんどの舞台に描く作品というのは珍しいとは思う。ローカル色が豊かである意味旅情すら味わえる。ぼくは山登りの時代にも日光あたりは好きな場所だったし、読んでいて大抵の場所の土地勘があり、そういう楽しみ方の方が勝ってしまったかもしれない。 デビュー作にしては、いちいち脇役的キャラクターが楽しいのだけれど、それをあまり大切にしないせいか、数日経ってみると忘れてしまう。スピード感のある筆致であるレベルに達した面白いプロットを描いているせいか、せっかくのキャラクター作りも急かされているように通り過ぎてしまうところが何とももったいない。 じっくりゆっくり長く書くという作業を一度試していただければ、評価はきっと変わる!だ!!ろうとは思う。残念ながらこの質量では今のぼくの読書感覚にはかなり物足りない。軽いという欠点をどこまで消化し切れるか、今の作家の大半に求めたいことであるのだが。

  • 釣りと戦時中の犯罪がテーマの独自性を感じる隠れた傑作乱歩賞作品

    平明な文体で読み易い作品。出だしの骨董市の描写は優れていて、期待感は高まっていきますが・・・・・・。また、昔の日光中禅寺湖周辺の描写も中々のもので、この作者の持ち味がいきています。但し、推理物としては、完成度がイマイチです。減点法ではこんな感じですが、釣りの魅力と深いを読みをできる方ならば、ここに戦時中の犯罪を絡ませたのは、少し無理筋であっても私は作者のオリジナル性として評価しました。再読したら、「13階段」や「パラソル・・・・・・・」と牽けを取らない傑作でお勧めです。

  • 解説の井家上さんが大暴走

    週刊文春の年間ミステリーベストテンが新人賞、特に乱歩賞受賞作に異常に甘いことは有名だ。 1980年代などは1位2位がほとんど指定席で、佳作や次点刊行作もあわせ4位まで独占したこともある。 推理作家協会員達は新人に優しく、同輩に厳しいのだろう。1990年代に入り「このミステリーがすごい」 が始まると、こちらは対照的に新人にシビアで、同じ作品が片や1位、片や50位以下なんてことも珍しく なくなった。 で、2003年乱歩賞受賞作「滅びのモノクローム」も、文春3位、「このミス」ゼロ票(順位にすれば100位 以下か)という結果となった。文庫解説の井家上隆之氏は、これが憤懣やるかたないらしくて 「若い世代の“歴史離れ”というのは好意的に過ぎる、歴史に対する“無知”というしかない、じつに 恐るべき現実の反映としか見えない」 とまで書いている。賞賛や批判について異議を唱える、というのは判るが、黙殺について異議、しかも ここまで激烈な異議を唱えるというのは異例ではないか。 60名の選考委員が、この作に票を投じなかったというだけで「無知というしかない」とまでバッサリ斬 られているのである(実際は匿名座談会の「テーマが陳腐」というコメントに対して向けられたものの ようが気もするが)。きっと凄まじいまでの歴史の真実が、感動的なエンターテインメントの形で提出 されているに違いない・・・・ という期待は半分冗談だったが、そのまた半分も満たしてくれることはなかった。別に人々はこの作に 自虐史観がどうのこうのと批判を加えたわけではなかったのである。テーマが大切であればあるほど、 より巧緻なドラマの中で説得力を以て描かなければ読者の胸に届くことはない。そこが本作は決定的に 不足しているのである。これでは「無駄に重いデーマ」ではないか。むしろ歴史を軽く見ているのは 作者や井家上氏の方ではないだろうか。

  • 江戸川乱歩賞らしくないかも?

    毎年の様に、江戸川乱歩賞を読んでいますが、全部読み終わった感想としては、江戸川乱歩賞らしくないように思いました。もちろん、読む人それぞれに感性があると思いますが、少なからず私にはそう思いました。 この小説は、段落ごとに話しが移り変わりますが、その段落が切り替わる際に、何の事を書いているのかが全く不明で、読んでいて一気に読み上げるだけのストーリー性とか、ゾクゾクするような面白さにかけていました。 こう書いてしまうと、これから読もうとしている方に大変失礼ですね。ただ、釣りという題材を上手く絡ませた内容だと思います。

  • 読めば読むほど引き込まれる。

    最初の事件へのきっかけがちょっとした好奇心からなるものだったのが、ひとつひとつ解放していくと、時代をさかのぼっていかなければならなくなったのが、面白かった。 リールを使ったのもなるほどっと思わせる筆運び。 骨董市から戦後へと行く時代の流れがあまりにも興味を引く運びになっていた。 ミステリー好きの方には絶対に読んでほしい一冊です。

  • 面白かったよー

    前年の13階段と比較してしまうと、心に迫ってくるものが少なかったかというのは仕方が無いでしょうが、結構面白かったです。 釣りにはまったく縁が無いので、釣りと犯罪を組み合わせた辺りは中々新鮮でした。中禅寺湖にまつわる戦争の記憶、在日外国人に対する迫害など、年々忘れ去られいくような事柄に再びスポットを浴びせたこの作品は読み応えがありました。

  • 不明な小説

    フィルムの謎は提示されるが,事件が起こらない。 中盤230ページを読むとようやく殺人が起こる。 場面が頻繁に変わって書かれるが,”誰が”,”何を” ”どういう関係があるのか”というのがさっぱりわからない。 読者は読み進んでから,戻りに戻らなければならないだろう。 動機もはっきりしない。 手がかりも示されず,謎解きの小説ではない。 テーマは重厚だが,これはミステリーなのだろうか。 釣りと歴史に興味がある人にはよいのかもしれない。 門外漢にはあまりに冗長だが。 乱歩賞と構えて読むと失望する。

  • 期待させておいて 肩透かし

    何の予備知識もなくこの本を読みました。のっけから今住んでいる仙台が出てきて、次に大好きなフライフィッシング、憧れのHARDY PERFECTリールが出てきて おやおやと思っていたら学生時代にバイトしていた日光中禅寺湖畔の風景と次々に自分と重なる部分に深くひきつけられました。しかしながら 不気味な謎解きの展開があって その原因が判ると一気にあっさりと不満足な結末を迎えて 幽霊の正体みたり枯れ尾花みたいな話でした。 主役の二人がディーン・クーンツの主人公の善人パターンで 悪役もなんだか悪モノぶりが物足りないし、フライフィッシングの薀蓄も物足りなかった。 全部中途半端。

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