日本の文学賞

← 受賞作品一覧に戻る
佐藤さん

講談社児童文学新人賞

佐藤さん

片川優子

気弱な高校一年生の少年が、幽霊に憑かれた「佐藤さん」と出会い、除霊を引き受けることから始まる児童文学。怪異を入口に、少年と少女の不思議な関係と成長を描く。

児童文学幽霊高校生出会い成長

作品情報

幽霊に憑かれた佐藤さんとの出会いが、少年の日常を少しずつ変えていく。

講談社刊。片川優子のデビュー作で、長野ともこが絵を担当。講談社公式ページでは紙版 ISBN 9784062124676、四六判、210ページとして案内されている。

レビュー要約

  • 現役高校生作家のデビュー作として紹介され、等身大の少年の弱さと怪異の設定を結びつけた点が読みどころになっている。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
2004-07-16
ページ数
203ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784062124676
ISBN-10
406212467X
価格
405 JPY
カテゴリ
本/絵本・児童書/読み物/童話・文学

現役高校生作家 注目のデビュー作 高校一年の少し気弱な主人公の男の子。彼が幽霊に憑かれている「佐藤さん」と出会い、彼女の除霊を引き受けたことから彼と彼女のふしぎな関係がはじまった。

レビュー

  • 軽く読める。

    冒頭の佐藤さんへの主人公の思いの描写に一気に引き込まれました。 ところどころ「もう少し深く描写して欲しいかな」と思ったところもありましたが、 それでも読みやすく、面白かったです。 後半で佐藤さんの問題が突如として浮かび上がってくるのですが、 それでもきっちりまとまって完結したと感じます。 さらりと読めてしまう軽さの中に、社会が抱える問題を含めた物語。 重さと軽さのバランスがよく、読んでいてすんなりと心に入ってきました。

  • 中学3年生の時に書いた小説、らしい。

    僕は「佐藤さん」が怖い。 ナイフを持っているわけではないし、不良でもない。 ごく普通のクラスメイトの女の子を僕が怖がる理由は、 彼女に憑いている「アレ」のせい…。 主人公の男の子はとても可愛らしく、好感の持てる人柄。 映画・シックスセンスを見て 「僕はあの映画を観て、日本で一番泣いた男だという自負がある。つまり、それほどまでに大泣きした。なんか主人公の子に同調して、どうしようもなくなったのだ。あんなに泣いたのは、高校受験真っ只中で精神が不安定だったときに『となりのトトロ』を観た時以来だ。」 と語っている。 ヒロインの「佐藤さん」もいい子です。 教室ではネコを被っているのに、本当は気が強くて、思ったことをズバスバ言う。主人公の佐伯くんとは、合わないんじゃないかなと思うけど、だんだんと2人の距離が縮まっていく間の心理描写が秀逸で、 最後には佐藤さんも佐伯くんも、自分の中のコンプレックスを乗り越えて、大人になる。気持ちのよい終わり方。 主人公の親友は、''いかにも'℃蜷l公の親友だし、背後霊の安土さんも''いかにも'=B キャラが型に嵌っているので、とても読みやすいし、安心して読み進められる。作風でゆえばはやみねかおるさんに近いかな? 最初に少し書いたけど、この作品は、1987年生まれの方が、中学3年生の時に書いたもの。 でもとてもそんな風に思えません。 15歳の時にここまで丁寧な描写が書けるなんて、相当な苦労してきたのか、これから先がしんどいんじゃないかとか、余計なことを思ってしまったり。 解説が森絵都さんだったんだけど、 「綿矢リサを中心に、雨後の竹の子のように生まれた10代作家の中でも、一番の注目株」と書かれていたけど、 他の10代作家のように、浮いた感じが全然なくて。 中堅作家さんの作品のように感じました。これから先が本当に楽しみ。 そういえば、山田悠介のリアル鬼ごっこも「全国に500万人いる佐藤さんを殺せ!」というストーリーだったし、 佐藤、というのは日本人の代表的な苗字、というイメージがあります。 この本も、ほんの少し非現実的なストーリーなんだけど、 題名や主人公の名前を「佐藤さん」にすることで、 どこかにあるような話しのように思わせて、虚と実のバランスをとっているように思います。 (リアル鬼ごっこはまるでとれていないのですが…あれはライトノベルにして、海外のお話しにしたら、ここまで酷評されなかったと思うのですよ) この小説で一番凄いな、と思うのは、佐藤さんの心理描写が殆ど出ていない点。 それ故に、読者も登場人物(とゆうか主に主人公の)目線から、佐藤さんのことを追っていける、楽しい小説。 高校生のお話しなので、大学生の方が読むには少し物足りなく感じるかも知れないけれど、 読後感はとてもよいです。1時間半くらいで読めるので、息抜きにどーぞ。

  • とても読みやすいけど。

    設定とストーリーの出だしが面白くて、先を読むのが楽しみだったが、話が進むにつれて主人公のあまりのヘタレっっぷりに、いらいらもやもやしてきた。 なによりも、あんなに頼りなくて、うじうじしている主人公に、なぜ佐藤さんが魅かれていくのか共感できなかった。 佐藤さんと母親との確執についてもちょっと強引にもってきたという感じがした。 周りがいい人だらけなのも、ちょっと物足りない。

  • まっすぐなラブストーリーなのだ。

    ドジで鈍感で、気持ちがすぐに読まれてしまうほど単純で、気が弱くて、物事を後ろ向きに考えてしまう。そして、「僕」は自分でもそんな奴なのがわかっていて、でもそこからなかなか向け出すこともできない。唯一のスキルといったら、幽霊が見えてしまうこと。そんなの誰にも言えないし、言ったら馬鹿にされるの決まっている。そして「僕」が今一番近づきたくないのが、隣の席に座っている、佐藤さん。だって、彼女には背後霊が取り憑いているから。これは、「僕」と佐藤さんの、まっすぐなラブストーリーなのだ。 幽霊が見えてしまう男の子と、背後霊がいる女の子のラブストーリーなんて、異様だと思う人もいるかもしれないけれど、そうじゃなくて、そうした特殊な設定にしたからこそ、二人のピュアな気持ちが際だって見えてくる。 「僕」の特殊能力を知った佐藤さんは、教室ではしとやかな女の子を演じていたけれど、本当の自分を「僕」に見せる。やっと自分の悩みをわかってくれる人が現れたからって。でも、「僕」は、佐藤さんのイマージが急に変わってしまったから、ちょっとビビる。と、佐藤さんは、「ごめんね、清楚で可憐で優しい女の子じゃなくて。でもいまどきそんな子いないよ」 いいでしょ、この出会い。 よくない? いいよ!

  • 若いっていいなあ、と思ってしまった

    『佐藤さん』です。第44回講談社児童文学新人賞入選作です。 タイトルはなんとも地味なのですが、本作品執筆時は作者は中学三年生だった、ということで読んでみました。 これは……なんか負けた気がする。普通に面白かったです。 本は厚くないし、文章も平易だし、内容もそんな難解ではないので、あっというまに読み終えてしまうのですが……つまりはそれくらい、とても読みやすかったです。 確かに、随所に若さというか欠点というか、挙げようと思えば幾つでも列挙できそうなのですが、そんなことがヤボに思えてしまうほど、作品世界に引き込まれてしまいました。 ちょっと優柔不断な主人公はライトノベルっぽかったり、安土のキャラなども含めてどこかケータイ小説っぽい色合いも感じる、極めてライトな作風です。 でも、そんな中で主人公の心理をしっかり描写しています。ラノベやケータイ小説の場合、文章が稚拙なものが時として見られて、それにより全体の評価も下がっている感じがするのですが、本作品はあくまでもしっかりした文章力に裏打ちされています。主人公とヒロインの佐藤さんだけではなく、志村、安土、田川、清水、主人公の家族など、脇役キャラもいい味出しています。 幽霊ネタ、は出てくるのですが、話の中心となっているのはあくまでも爽やかなボーイミーツガールなので、安心して読めます。 評価は、諸々の欠点はスルーして面白さをプッシュして★5です。

  • 一服の清涼剤

    片桐優子「佐藤さん」を読了。清清しい、青春ものです。世知辛い世の中に疲れたら、読んでみるのもいいかもしれません。みずみずしい感覚に頬も緩んでしまいます。 作者が中学生時代に書いた作品とのこと。その清潔感が溢れる作風です。清潔感で貫かれた、青春物。それだけで手に取るべきですね。良い読書体験でした。

  • 読んだ後、心の中に優しい風が吹いてくる

    隣の席の「佐藤さん」には幽霊がついていて、その霊が僕(佐伯君)には見える。その佐藤さんから「好きだ」と告白されるのだが、佐伯君は自分に自信が持てなくて、佐藤さんに何も言えなくて、言えないことに また、うじうじと悩んでしまうような高校生である。 つまり、作者のあとがきにあるように佐伯君は純朴で優しい、どこにでもいる普通の高校生なのである。 その佐伯君にも中学生時代にいじめられた傷があり、強いと思っていた佐藤さんも虐待の傷をかかえている・・・。 読んだ後、心の中にやさしい風が吹いてくる、そんなお話です。

  • さわやかな幽霊モノ

    幽霊が見える男の子と、幽霊に取り付かれやすい女の子(と、幽霊)の交流。 さわやかな学園物語です。 主人公たちにはそれぞれ重ための過去もありますが、 軽やかな語り口と、自分の事情も突き放したような距離のとり方が お話を重いものにはせず、ぐいぐい読めてしまいます。 登場人物も、脇役まで魅力的。 ヤングアダルト好きにはかなりおすすめです。 このお話で作者は、講談社児童文学新人賞入選していますが、 執筆当時まだ中学生。 同世代の方にも、ぜひ。

関連する文学賞